5月も中旬を過ぎました。
今年も、富士山須走のまぼろしの滝が出現する時期となりました。
SNS界隈では、既に様子見に行かれた方をちらほらと見かけるようになってきたので、わたしも様子見に行ってきました。
結果としては、少々時期が早かったようで、落差のある立派な「滝」は出現していませんでした。
その代わり、上流に遡行することで心時良い水音の楽しい川の流れを楽しむことができました。
これから6月にかけて、徐々に雪解けが進んで水量豊富な瀑布が楽しめるようになるかと思いますので、これから行こうと思っているようでしたら、予習を兼ねて、こちらの記事を読んでいってもらえたら嬉しいです。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2023/5/20
天候:曇り
エリア:富士山エリア
コース概要:
富士急バス「須走浅間神社停留所」〜須走口一合目「馬返し」〜須走口二合目「狩休」〜須走口五合目〜成就ヶ沢〜須走口五合目〜須走口二合目「狩休」〜須走口一合目「馬返し」〜富士急バス「須走浅間神社停留所」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR御殿場線「御殿場駅」から、富士急バスで「須走浅間神社停留所」に向かい、スタート
(帰)「須走浅間神社停留所」から、富士急バスでJR御殿場線「御殿場駅」に向かい、帰路へ
概要
まぼろしの滝
「まぼろしの滝」は、富士山須走口五合目の駐車場から30分ほど南下した先にある成就ヶ沢(別名「不浄流し」)にて、5月から6月にかけて限定的に発生する滝です。
富士山は大部分が溶岩なため、雨や雪解け水は地中に染み込んでしまい水の流れが出来ない特殊な環境となっています。
しかし、成就ヶ沢は溶岩流が地表で固まってできた窪地なため、水が染み込みづらい地形になっています。
そして、雪解けの始まる時期になると、この窪みに雪解け水が流れ、短期間だけの川が出来上がり、その中で落差のある場所を指して「まぼろしの滝」と呼んでいるようです。
なお、成就ヶ沢の源流は標高2,800mまで遡った位置になるようです。そこまで遡行することも可能なようですが、整備された登山道ではありません。ガイドロープやテープの類は存在していませんので、水の流れに夢中になって帰り道を見失わないようくれぐれもご注意くださいね。
こちらは過去のまぼろしの滝の様子になります。興味ありましたら一緒に読んでみてくださいね。
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 2213 m
最低点の標高: 793 m
累積標高(上り): 1931 m
累積標高(下り): -1934 m
総所要時間: 08:42:23
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、次の区間になります。
- 成就ヶ沢周辺
成就ヶ沢周辺
今回の山行ルート上の注意区間は「成就ヶ沢周辺」です。
先に書いたように、成就ヶ沢は源流まで遡行できるようですが、水の流れている時期は沢の中を突っ切るわけにもいきません。
状況によって、遠回りに回り込んで進むようなシーンも出てきます。
そうなってくると、似たような風景の多い富士山では道迷いに陥るリスクが少なからず出てきます。
特に、雲の中に入ってしまい視界が極端に狭くなるような状況でしたら、思い切って撤退することも視野に入れておいてください。
今月に入り、この場所にて道迷いによる遭難事故が発生しているようです。
自分の感覚を過信せずに、GPSアプリや紙の地図で現在地を常に把握しながら探索するようにしてくださいね。
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おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントは、次の場所になります。
- 須走口一合目手前の砂防堰堤
須走口一合目手前の砂防堰堤
今回の山行ルート上の展望ポイントは「須走口一合目手前の砂防堰堤」です。
本来であれば、成就ヶ沢周辺の方が標高的にも見晴らし的にも優れているのですが、今回は雲の中に入ってしまい展望ゼロだったため、こちらのポイントを紹介します。
ここは最近作られた砂防堰堤のある場所になるのですが、周囲の木々が伐採されたことにより、御殿場方面への眺望に優れた場所となりました。
鋪道を下るときに御殿場市街地と箱根の山々への眺めが楽しめます。
おそらく、車の中からも眺めることができると思いますので、マイカー組も気にしつつ通過してみてくださいね。
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今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
山行中のコンディション
- 天候:曇り
- 気温:14〜20℃
- 活動場所:標高800〜2,200m
行動時の組み合わせ
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:無し
- アウター:無し
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
停滞時の組み合わせ
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:無し
- アウター:無し
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
公共機関移動時の組み合わせ
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:なし
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:薄手の手袋
今回は、スタートからゴールまで半袖Tシャツで活動しました。
歩き始めから気温だけでなく湿度も高く、ちょっと歩いただけで背中にじっとり汗が滲む日となりました。
須走口五合目まで登り、森林限界を超えてからは風が体温を下げてくれて心地良い感じになりましたが、下山した後でも半袖Tシャツだけで十分な感じでした。
これから梅雨の時期に入り、さらに気温や湿度が上がっていくものと思います。
そろそろ半袖Tシャツだけで過ごせる期間になりそうです。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
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山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、富士急バス「須走神社停留所」からのスタートとしましたので、「東京駅」からのアプローチは次の通りとなります。
- 「東京駅」から、JR東海道線沼津行きに乗り込み、「国府津駅」へ
- 「国府津駅」から、JR御殿場線三島行きに乗り込み、「御殿場駅」へ
- 「御殿場駅」から、富士急バス河口湖行きに乗り込み、「須走浅間神社停留所」へ
東京駅から普通便の始発を乗り継ぐと「国府津駅」での乗り換え時間が5分程度となかなかタイトとなります。
路線バスと違って、手を振ったら停まってくれることも無いので、変な位置に乗り込まないようにご注意ください。
わたしの場合となりますが、誤って10両車両の最後尾に乗ってしまい、そこから御殿場ホームへ乗り換えた際には、ダッシュしたのに間に合わず、次の電車に乗る羽目になりました。
ご注意ください。
おトイレについては、「御殿場駅」の構内と構外、そして「須走浅間神社」の駐車場や道の駅すばしりにもあります。
いずれかの場所で、適宜済ませてください。
身支度は、「須走浅間神社」から陸橋に向かうまでの間にある長ベンチを利用すると面倒が無いかと思います。
道の駅「すばしり」の裏手にもベンチ類がありますが、フードコート利用者優先と思われるので、長時間利用は控えておいた方が良いでしょう。
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富士急バス「須走浅間神社停留所」〜須走口一合目「馬返し」
「須走浅間神社停留所」を下車したら、神社でご挨拶のために道路を渡って境内に向かいます。
「須走浅間神社」の正式名は東口本宮冨士浅間神社です。
東口は須走口を指し、本宮は各地に分かれた神社の大元を指すので、この地で発展した富士講の本拠地として栄えた神社となります。
それだけに、境内はかなり広い敷地となっていて、大杉の間を通る遊歩道が整備されたちょっとした公園といった体になっています。
特徴的なのは、宝永4年(1707)の大噴火の際に飛来した大きな火山弾が置かれているところでしょうか。
かなり大きな岩の塊で、当時はこんな巨大な塊が無数に降り注いできたことを考えると、大噴火が起こった際の絶望的な様子が垣間見える気がして、考え深いものがありました。
そのほかには、狛犬が富士塚の上に立っていたり、神門の中にお祭りで担ぐ富士山のミニチュアが置かれていたりと、なかなかに見どころの多い神社となっていますので、ここをメインに観光に訪れるのも面白いかと思います。
拝殿にてご挨拶を終えたら、駐車場側の鳥居から外に出て、道の駅すばしり、ふじあざみラインへと進んでいきます。
長くまっすぐに続く鋪道歩きは、風景の変化が乏しいのでなかなかの修行となりますが、勾配は穏やかなので、マインドフルネス的に淡々と進んでいきましょう。
勾配が少し急になり九十九折りの坂道を登っていくと、真新しい砂防堰堤が見えてきます。
天気が良ければ、振り返り越しに御殿場の街並みや箱根の山々を眺めることができることでしょう。
砂防堰堤を通過したら、須走口一合目「馬返し」までは10分ほどとなります。
ここから、鋪道と旧登山道の分岐があります。
どちらを使っても須走口五合目までは登れるので、気が向いた方で進んでください。
今回は、降雨後で泥濘がひどそうだったので鋪道を登っていくことにします。
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須走口一合目「馬返し」〜須走口二合目「狩休」〜須走口五合目
引き続き鋪道を登っていきます。
ここからの注意点としては、鋪道に設置されている歩行者用の幅が狭くなっている点です。
多分、歩行者が通過することは想定していないのでしょう。
大人一人がなんとか歩ける幅しか確保されていないので、背後の車の音に気をつけて登ってください。
須走口二合目「狩休」の駐車場を通過したら、更に変化が乏しくなって黙々と歩くだけになっていきます。
途中、旧登山道と合流する場所が数箇所あるので、変化のない環境が苦しくなってきたら旧登山道にスイッチして歩くのも良いでしょう。
折り返し、折り返し進んでいくと「須走口五合目」に到着です。
この時点で疲れが溜まっているようでしたら、右手を進んで山小屋前のベンチをお借りして休憩入れるといいでしょう。
「須走口五合目」から、まぼろしの滝のできる「成就ヶ沢」までは30分ほどで到着できます。
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須走口五合目〜成就ヶ沢〜須走口五合目
「成就ヶ沢」に到着して直ぐの場所に、最初の滝ができるポイントがあります。
まずは、ここに水の流れができているか確認してみましょう。
もし、ここで滝を確認できなかったら、上流に遡ることで水の流れを確認できる場合があります。
シーズン中は、結構な人数の観光客が遡行していってるので安心感がありますが、整備された登山道があるわけでは無いので無理は厳禁です。
少しでも不安を感じたら、スパッと切り替えて引き返す様にしてくださいね。
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須走口五合目〜須走口二合目「狩休」〜須走口一合目「馬返し」
「須走口五合目」まで戻ってきたら、そのまま鋪道を降っていくことにします。
鋪道を使って下山する際は、ペース配分に注意が必要です。
特に普通車が通過する一般道は、地面が平坦でコンディションが良いので、調子に乗って駆け降りてしまう傾向が強いかと思います。
1時間程度の短い区間であれば、そういう進み方でも大丈夫かと思いますが、2時間、3時間と継続して降っていくと、硬いアスファルトを踏みつけるときに受ける衝撃や負担が結構溜まってきます。
少し歩幅を抑えてゆっくり目に降る方が良いでしょう。
ぐるぐると九十九坂を降っていき「馬返し」まで降ってこれたら、降りルートも行程の半分をクリアです。
引き続き、ゆっくり目のペースで降りていきましょう。
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須走口一合目「馬返し」〜富士急バス「須走浅間神社停留所」
「馬返し」を通過して、数回のUターンを通過したら、残った長い直線を消化していきます。
木々の間から御殿場の街並みが見え隠れするので、登ってきた時に比べたら楽に感じるかもしれません。
長い直接を歩き切って、道の駅すばしりまで到着したらゴール地点「須走浅間神社停留所」までは正味10分程度です。
一気に歩き切ってしまって、コーラでも飲みながらゆっくり休憩を入れてくださいね。
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おまけ
今回は、久々の御殿場駅ということでお気に入りの「人参湯」に寄り道してみたのですが、暖簾が出ていません。
臨時休業なのかとネットで調べてみたところ、2023年2月に閉業してしまったようです。
このご時世なので致し方ないとはいえ、駅チカで使いやすく、素朴な雰囲気の素敵なお風呂だっただけに、とても残念です。
仕方がないので、山北駅まで進んで「さくらの湯」に入っていくことにしました。
こちらの入浴施設は、町営施設で入浴料金が大人一人500円ととてもお財布に優しいお風呂になっています。
制限時間が2時間な点、コロナワクチン接種会場として頻繁に休館となる点が玉に瑕なのですが、駅近で移動が少なく、21時まで営業しているので、あの界隈だと営業していればとても使いやすい施設かと思います。
御殿場駅に下山するときには、前もって営業時間を確認しておくとよいかもしれませんね。
「さくらの湯」については、以下の記事に詳しくまとめてますので、一緒にみていってくださいね。
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まとめ
富士山須走口五合目のまぼろしの滝に訪れたときの様子でした。
まぼろしの滝は、雪解けの量や降雨によって、出現したり、しなかったり、運の要素が強いように思います。
そんな時は、頑張って上流に遡行してみると、水の流れを楽しめるかもしれません。
GPSアプリなどを使って現在地を把握しつつ、無理無い範囲で探検してみると面白いかもしれませんよ。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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