雪解けの時期5月中旬から6月中旬の期間だけ限定で眺めることのできる滝が富士山の山腹にあります。
富士山須走五合目から歩いて30分、「まぼろしの滝」という、仮名が正式名称になっちゃったみたいなヘンテコな名前の滝です。
以前に訪れた時には時期尚早で水流れを確認できず、そのまま下山しましたが、今回、滝が発生しているとの前情報を掴んだので、早速向かってみることにしました。
ここ最近、お天気が安定せずに、この日も、山頂への眺めは期待薄でしたが、肝心の滝の方は、しっかりと眺めることができました。
もし、あなたが滝好きで、限定もの好きなら、十分満足してもらえるかと思いますので、是非、最後まで読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/5/15
天候:曇り
エリア:富士山エリア
コース概要:富士急バス「須走浅間神社停留所」〜馬返し〜須走五合目〜まぼろしの滝〜須走五合目〜馬返し〜富士急バス「須走浅間神社停留所」
難易度:体力☆☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR御殿場線「御殿場駅」から富士急バスで、「須走浅間神社停留所」へ
(帰)「須走浅間神社停留所」から富士急バスで、JR御殿場線「御殿場駅」へ
概要
須走ルート(すばしりるーと)
須走ルートは、富士山の主要登頂ルートの一つで、御殿場ルートに次いで五合目からの歩行距離が長いコースです。
詳しくは、過去の山行記録にまとめてます。以下のリンクよりご確認ください。
まぼろしの滝(まぼろしのたき)
本来、富士山山中には涸れた沢はたくさんあるのですが、常時、水流のある沢は存在していないので、川や滝の類はありません
これは、富士山に降り積もっているスコリアと呼ばれる穴の空いた軽石状の火山石が原因で、雨や雪解け水といったものは、地表を流れずに地面の中に染み込んでしまうかららしいです。
富士山の地下を流れる水は、このスコリアの地層で自然と濾過された綺麗な水になるみたいです。
しかし、不浄流しと呼ばれる沢は少し毛色が違うようです。
ここは富士山の他の場所と異なり、地表を溶岩流の跡が覆っており水が染み込んで行きません。
このため、雪解けの時期だいたい5月中旬から6月中旬になると、雪解け水が流れを作り、この時期だけの川や滝を作り出してくれます。
これが、まぼろしの滝として、一部ハイカーの間で話題となり、いつの間にか名前が知れ渡って、現在では立派な観光地として多くの観光客が訪れる場所になっています。
ただし、マイカーが無いとアクセスは少し難儀するかもしれません。
この時期、麓から須走五合目まで続くふじあざみラインは開通していますが、登山バス、ハイキングバスは運転していないため、タクシーもしくは、徒歩で向かうことになります。
徒歩でのアクセスを選択した場合、麓からの標準タイムは約4時間。
車道と登山道の二本が並行にはしってますが、車道は車の往来が多く、山道は一部道が不明瞭な感じで、どちらを通過するにも一癖あるのが難儀しそうなしゆうです。
ただし、五合目まで登ってしまえば、後は30分程度のアップダウンの少ない道を通過するだけなので、この区間だけならお散歩感覚で向かうことができます。
注意点としては、雪解けの状態によっては水が流れる時期はまちまちで、苦労して登ってみたものの涸れた溶岩流だけだったということも十分にあり得る点です。
赴く際には、SNSなどの情報をまめにチェックしておくことをおすすめします。
関連リンク
須走五合目にある菊屋さんのアカウントを載せておきます。フォローしておくと、まぼろしの滝含めて、須走五合目付近のリアルな状況を確認できますよ。
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
まずは、今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高を示します。
最高点の標高: 2198 m
最低点の標高: 796 m
累積標高(上り): 1832 m
累積標高(下り): -1830 m
総所要時間: 07:52:58
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントは、以下の通りです。
- まぼろしの滝上流部
まぼろしの滝上流部
今回の山行ルート上で展望を楽しめたポイントは、「まぼろしの滝上流部」です。
正確には、上流というほど登ってはいませんが、一番最初にあわられる滝の部分から上流方面に登っていく過程で見られた、広範囲に広がる溶岩流の模様が他はみることの無い不思議な光景を見せてくれました。
残念ながら、この日は全方位雲に覆われてしまっていたのですが、晴れた日であればここに富士山山頂の姿がプラスされて、絶景この上ない雰囲気になったのではと想像してしまいました。
次に来る機会があったら、晴れた日に支流となる雪渓部まで登ってみたいと思わせてくれる面白い場所でした。
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注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、次の通りです。
馬返しから須走五合目までの車道区間
今回の山行ルート上で注意したほうがよさそうな区間は、「馬返しから須走五合目までの車道区間」です。
往来に特別な技術が必要な箇所では全く無いのですが、ここを挙げた理由は車やバイクの交通量の多さです。
非常に頻繁に車両が通るため、徒歩で通過するには適していません。
特に、単車乗りのグループがツーリングに訪れることが多いみたいで、この日も10台規模のグループが2組、2、3台のグループになると、数え切れない量が行き来してました。
車道脇の歩道が申し訳程度しか幅が無い点も危なさを醸し出している要因になってます。
このため、多少踏み跡が薄い場所があったとしても、馬返しからは登山道を通過する方が良い様に感じます。
途中、車道と登山道を行き来する枝道が数箇所あるので、状況をみて移動すると良いでしょう。
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今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:薄手のフリース、ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
今回は、スタートは半袖Tシャツ、五合目以降はソフトシェルを羽織っての活動となりました。
この日は、始終曇り空で歩き始めから少し肌寒い状況でしたが、歩き始めてしまえば、体の内から熱を生じるようになり半袖Tシャツでも快適に活動できました。
五合目以降は、雲の中に入ってしまい冷たい湿気を含んだ風が止まることなく吹いていたので、ソフトシェルを上から羽織って体温低下を防ぐようにしました。
交通機関での移動中は、朝の電車内では半袖Tシャツと薄手の長袖Tシャツ、夜の高速バス内ではこれに薄手フリースを羽織った完全防備で過ごしました。
気候的には半袖Tシャツと長袖Tシャツの重ね着で丁度よかったのですが、帰りのバスの中で何故か空調を付けていてとても寒かったのでフリースを重ねて凌いだ状況でした。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、最初からやらかしました。
富士急バス公式サイトに、「春季ハイキングバス運行の案内」が出ていたのですが、ここには須走五合目までの便は含まれて居ないことに気がつかないまま現地入りしてしまいました。
この結果、予定よりも1時間遅れでの移動となり、余裕ある山行とはなりませんでした。
それでも、場合によってはもっと遅いバスになってしまって「まぼろしの滝」まで赴くことすらできなかったかも知れず、直ぐに気がついて良かったかなとも思います。
そのような経緯があったので、この日のアプローチは次のような行程となりました。
- 「東京駅」より東海道新幹線沼津行き始発に乗り「国府津駅」へ
- 「国府津駅」で下車したら、御殿場線に乗り換えて「御殿場駅」へ
- 「御殿場駅」からは富士急バス河口湖行きに乗り「須走浅間神社停留所」へ
- 「須走浅間神社」で出発のご挨拶をしてスタート
途中のおトイレの場所は、御殿場駅の構内もしくは、構外。どちらも逃したら「須走浅間神社」の駐車場内で済ませることができます。
身支度は、須走浅間神社の駐車場付近に休憩に適したベンチが点在していますので、いずれかをお借りするとスムーズでした。
途中の道の駅「すばしり」の敷地内にもいくつかベンチありますが、おそらく施設に入っている飲食店のものだと思うので、利用は控えたほうが良いようでした。
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富士急バス「須走浅間神社停留所」〜馬返し
「須走浅間神社停留所」に到着したら、来た方向に少しだけ戻って「須走浅間神社」正面鳥居を潜ります。
そして、まずは富士山入りする旨をご挨拶してからスタートするのが良いでしょう。
神社からは裏門から外に出ると須走五合目に向かう車道「ふじあざみライン」に進むことが出来ます。
途中で道の駅「すばしり」の脇を通過しますが、道の駅入口に「富士山の水」の出る蛇口があるので、ここで飲み水を補充して行っても良いかも知れません。
「ふじあざみライン」に入ったら、長い直線の車道歩きとなります。
途中に陸上自衛隊の演習地に向けての脇道が至る所にありますが、全て立ち入り禁止となっているので入らないようにした方が良いです。
この日は、演習の日だったようでひっきりなしに大砲や拳銃の発砲音が鳴り響いていて、少し怖い内での通過となりました。
これは、馬返しを通過してからも鳴り響いていて、車やバイクのエンジン音と合わせてかなり賑やかな中歩くこととなりました。
静かな道中を期待するのであれば、演習日の確認も前もってしておいた方が良いかも知れません。
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馬返し〜須走五合目
今回は、馬返しから須走五合目までのルートに車道を使ってみました。
以前から登りは山道を使っていたので、一度は、車道も見ておこうということで歩いてみたのですが、これはちょっと失敗でした。
車道脇の歩道は道幅がほとんど無く、車やバイクが通過する度に、大きく避けてもらうことになってしまいました。
なるべくエンジン音が聞こえてきたら歩道の反対側へ移動していたものの、あまり頻繁に車道を行き来するのは疲れてしまいますし、対抗車両も気にしなければいけません。
よほどの理由が無い限り、馬返しからは登山道を歩いた方が良さそうでした。
ただ、登山道は小富士遊歩道へ乗り入れてしまうので、「まぼろしの滝」に向かうとしたら遠回りになります。
この点だけは車道側から登る方が便利でした。
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須走五合目〜まぼろしの滝
須走五合目までついたら、「第三駐車場」まで登り、その先にある「まぼろしの滝」への遊歩道に入ります。
途中でちょっとした丘を昇り降りしますが、後は比較的平坦な道です。
足腰にかかる負担は少なく済むでしょう。
その代わり、風を遮ってくれる木々は少なく、強風の時には体温を下げないよう防風対策をしておくことが大事になります。
「第三駐車場」に到着した時点で、予めレインウェアやウィンドブレーカー、ソフトシェルなどを羽織って置くと、途中で止まらずに済んで捗ることでしょう。
常時張ってあるガイドロープ沿いに進むと、溶岩流で出来た枯れた沢に突き当たります。
案内などはありませんが、そこが「まぼろしの滝」と呼ばれる場所となります。
雪解けの時期以外は本当に何も無く、ただ溶岩流が見れるだけの場所となりますが、この時期は水が流れて滝を作ってくれています。
滝の観れるシーズン中は、観光客でごった返しているので見落とすことは無いですが、オフシーズンはほぼ無人の場所となるので注意が必要です。
また、上流に向けては道なき道を登っていくことになります。
登れば登るほどルートファインディングの力が必要となっていきます。自分の体力や経過時間に気をつけて、余裕を持って元の場所まで戻って来れるところまでで引き返すようにしてください。
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まぼろしの滝〜須走五合目〜馬返し
まぼろしの滝で、水流の音に十分に癒されたらピストン下山です。
登ってきた道を辿って、まずは須走五合目まで戻ります。
そして、少し車道を降ったら、途中から登山道に乗り入れて降って行きます。
意外なことに、ここが結構難関で、気がつくと「グランドキャニオン」の入り口に出てきてしまいます。
大した誤差では無いので、大勢に影響は無いのですがちょっと気持ち悪い点ではあります。
「グランドキャニオン」入り口から「馬返し」までは降りで5、6分の距離です。
一気に降ってしまいましょう。
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馬返し〜富士急バス「須走浅間神社停留所」
馬返しからは、車道一本道を降って行きます。
天気が良ければ、麓の様子を遠目で見ながら降っていけますが、曇りの日はそういうご褒美も無く、修行のように淡々と歩いて降ることになります。
追い越しの車やバイクの音を気にしつつ降っていってください。
バスの時間に余裕があるようだったら道の駅「すばしり」に立ち寄るのも良いかも知れません。
そして、須走浅間神社の裏門についたら神社に下山の報告をして停留所にてバスを待ちましょう。
概ね、一時間に一本ペースでバスが来てくれるはずです。
ただ、河口湖からの路線なので、結構遅れることが多いので根気良く待つのが良いです。
わたしの経験では、最長で30分待ちました。
「御殿場駅」まで戻ったら、逆側の「早乙女口」から新宿行きの高速バスが出ています。
時間を調べて余裕があったら、駅から徒歩10分の位置にある大衆銭湯「人参湯」で汗を流すのも良いでしょう。
温泉では無いので安価にさっぱりできるのでお勧めです。
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まとめ
富士山須走五合目の「まぼろしの滝」散策の様子でした。
出だしからやらかしてしまいましたが、常に始発移動していることが功を奏して無事に滝の様子を眺めることができました。
この滝は6月中旬まで出現しているようなので、今度は晴れた日に訪れて支流まで遡ってみたいと思います。
もし、機会があるようでしたら、溶岩流の上を流れる不思議な滝を眺めに赴いてみてくださいね。
なかなか趣のある眺めが楽しめますよ。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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