なにかを越えるときって、なんであんなにワクワクするんでしょうね。
山は地形的に市区町村の境界線になっていることが多いので、境界線を跨ぐ機会も頻繁に出てきます。
その度に、新しい領域に思いを馳せながらワクワクな一歩を踏み出しているのですが、今回もそんな安上がりな探検気分を味わおうと、東京都奥多摩三山の一つ「三頭山」から、ここ最近マイブームになっている山梨県大月市の秀麗富嶽の一つ「奈良倉山」へと繋がるルートを辿っての越境登山を楽しんできました。
ここ最近、マンネリな日常が続いているあなた。
お金をかけずにワクワクできる冒険プランに興味ありましたら、是非、最後まで読んでいってくださいね。
一点だけ、相応の体力は必要になります。そこのところはご考慮ください。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
奥多摩三山
奥多摩三山は、東京都の奥多摩地区にある人気の三山、三頭山、御前山、大岳山の3座に対する呼び名です。詳しくは、以前の山行記録にまとめていますので、そちらをお読みください。
秀麗富嶽十二景
秀麗富嶽十二景は、名前の通り「美しくすっきりと富嶽(富士山)が見える十二の場所」として、山梨県の大月市が選定した富士への眺望に優れた山々を指します。
詳しくは、別の山行記録にまとめてますので、そちらをお読みください。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上での位置や標高は次のとおりです。
最高点の標高: 1533 m
最低点の標高: 693 m
累積標高(上り): 2189 m
累積標高(下り): -2180 m
総所要時間: 08:17:30
実際に歩いた軌跡は次のとおりです。
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア、ダウンジャケット
- ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、毛糸の手袋
スタート地点「数馬停留所」のある集落は、笹尾根、浅間尾根に囲まれた風の無い山麓ということもあり、停留所に到着してすぐ、長袖Tシャツ、ソフトシェルという登山スタイルに着替えてのスタートとしました。
この日は、降雪や降雨もなく、穏やかな気候だったこともあり、下山までこのスタイルで快適に活動することができました。
鶴寝山の山頂で昼食を摂るため休憩した時には、流石に風が冷たくて、厚手のフリースを合わせました。
交通機関利用時は、長袖Tシャツに厚手のフリース、ダウンジャケットのフル装備です。
日が落ちて気温が氷点下になった奥多摩線の窓全開車両では、フル装備でも少し肌寒い感じでした。
そろそろ2月になりますが、まだまだ寒さは続きそうですね。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は数馬停留所からのスタートということで、数馬行きのバスの出ているJR武蔵五日市駅へ向かいます。
東京からだと中央線で立川駅に向かい、そこから奥多摩線に乗り換えて拝島駅で下車します。
拝島駅からは五日市線に乗り継いで終点まで向かえば、武蔵五日市駅に到着です。
数馬行きのバスが出る「のりば1番」は、南口を出てすぐのローターリーを左手に向かうと直ぐです。
数馬までのバス乗車時間は概ね1時間になるので、スタートから消耗しないように座席に座っての移動が理想ですが、この路線は三頭山に向かう登山客で混雑しやすいです。
電車を降りたら寄り道は必要最低限にして、速やかに待ち行列に並んでしまった方が良いでしょう。
なお、駅のおトイレは改札の内側にあります。構外にもあるようですが、少し離れた場所になるようです。駅内のトイレは新しくて綺麗でもありますので、改札出る前に忘れずに立ち寄るようにしてくださいね。
ギャラリー
西東京バス「数馬停留所」〜槇寄山
バスの遅延もなく「数馬停留所」まで到着したら、停留所の待合所のベンチをお借りして身支度を整えます。
少し年季の入った待合所なので、ベンチの端っこの方、結構埃が溜まってますのでご注意ください。
諸々支度が整ったら、三頭山登山口のある都民の森方面に向かって車道脇の歩道を歩いて進みます。
今回は、富士山への眺望に秀でていると定評のスポット「槇寄山」に立ち寄って笹尾根伝いに「三頭山」へ登り詰めて行くルートを取ります。
都民の森方面へ歩き、九頭龍神社を通過して、暫く進んだ位置に槇寄山への登山口があります。
この登山口からの取り付きですが、短いながらも結構な急坂になっています。
砂地で滑りやすいので、転げ落ちないよう気をつけながら登ってください。
取り付き部分を通過したら、笹尾根に乗っかり30分ほどすすめば「槙寄山」に到着です。
「槇寄山」の山頂は東西に長く広がっていて、南方面への視界が開けています。ここから、富士山への素敵な眺望が得られます。
ベンチも3組ほどあるので、座りながら富士山の素敵な眺めを楽しむのも良いでしょう。
今回は最初のピーク、まだまだ元気なので休憩挟まずに次に向かうことにします。
ギャラリー
槇寄山〜大沢山〜三頭山(西峰)
「槇寄山」山頂を通過したら、ここからは笹尾根の尾根道を辿って三頭山まで登り詰めていきます。
1時間ほどは、アップダウンも穏やかな林間の道を進みますが、三頭山エリアに入ってくると、徐々に勾配も厳しくなっていきます。
三頭大滝からの登山道と合流して、深山の路に入ると、更に勾配が激しくなりますので、なるべく小さいステップで足への負担を減らしながら登っていきましょう。
途中にあるピーク「大沢山」から見える富士山を横目に、岩混じりの急坂を登り詰めていくと「三頭山」の西峰に到着します。
道中は疎らだった登山客も山頂に着くと一気に増えて、沢山あるベンチもほぼ全て埋まった状態になっていました。
富士山や山頂碑の写真を撮るにも待たされるような混雑ぶりで、ちょっと目がまわってきたので、中央峰や東峰には立ち寄らずに、鶴峠方面へ向かうこととしました。
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三頭山(西峰)〜鶴峠
三頭山から鶴峠に向かうルートに入ると、途端に無人の快適な空間になります。
展望には恵まれていない細尾根ですが、危険箇所は少なく立ち往生してしまうようなことはありません。
万が一、そのような状況に陥った場合は道を間違っているので、GPSを小まめに確認しつつ、元来た道を引き返し本道に戻ることをお勧めします。
また、鶴峠までの尾根道には「神楽入ノ峰」「小焼山」という2つの小ピークがありますが、「小焼山」のピークは巻道が存在しています。
今回は初めて通るルートなのでピークを全て踏んで行きましたが、体力温存したい場合は、巻道を進んでみるのが良いかもしれません。
そして、向山への分岐を過ぎて直ぐから、枯れ葉の積もった巻道降りが始まります。
枯れ葉で足元が見えづらくなり、滑りやすくもなるので、駆け降りたりせずに丁寧に降りるようにしてください。
鶴峠は、国道18号との交差地点です。
上野原から小菅の湯に向かうバスの路線にもなっていて、「鶴峠停留所」も存在しています。
万が一の場合は、ここからエスケープするようプランニングしておくと良いでしょう。むしろ、JR上野原駅から「鶴峠停留所」までバスで向かってしまうというのでも良いかもしれません。
バス停の一段下には、公衆トイレもあったので催してしまったらお借りすると良いかもしれません。
関連リンク
鶴峠バス停留所の発着時刻情報は以下のリンクをご確認ください。
「上野原・藤野地区」の「松姫峠~小菅の湯~鶴峠~飯尾~新井~本町三丁目~上野原駅」線です。
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鶴峠〜奈良倉山
鶴峠から奈良倉山に向かう一角は、小菅村がJT(日本たばこ産業株式会社)と連携して、森林保全を行う区画「JTの森小菅」という活動域に指定されています。
このため、鹿や猪避けのネットが張り巡らされていたり、イベント会場への分岐が入り組んでいたりと、普段歩いている山道とは少々毛色の違った道を進むことになります。
案内は豊富に立っているので、迷うことは無いはずですが、初見で訪れた時にはGPSなどで小まめにチェックしておいた方が良いかもしれません。
また、奈良倉山へ向かう山道は途中で南側に大回りに回り込んでから山頂に向かって登り詰めて行くルートとなっています。
途中まで山頂に向かって直登してたのに、いきなり山頂から外れて行くような違和感に苛まれますが、それは正しい感覚なので、踏み跡に沿って登り詰めてください。
奈良倉山の山頂に着くと、山梨県大月市選定の秀麗富嶽十二景5番目の山頂を示す案内が立っていますが、その場からは富士山への眺望はありません。
「松姫峠」方面に1分ほどズレたところに「富士山展望所」があります。
天候に恵まれれば、ここから秀逸な富士山への展望が得られることでしょう。
今回、この場所での富士山には見事にフラれてしまいましたので、また次回、想いを伝えに足を運びたいと思います。
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奈良倉山〜松姫峠〜鶴寝山
奈良倉山から松姫峠へ向かう区間は、この山行で一番気持ちの良かった林道歩きの区間となりました。
この区間は、陽の光が沢山入る背の高い針葉樹林帯を抜けるルートで、南側眼下には松姫湖が微かに見えて、飽きのこない素敵なハイキングを楽しめることでしょう。
松姫峠では、大菩薩連嶺の南部の山並みを確認することができます。
近くに案内板も立っているので、どのピークがどの山か山座同定を楽しむ場としても優れています。
注意点としては、ここのバス停は降車専用だということ。
この場所からバスでのエスケープ下山はできませんので、プランニングの際には別の場所からのエスケープルートを確認しておいてください。
ここから鶴寝山まで30分程度です。
勾配も急では無いので、それほど苦もなく山頂に立つことができるでしょう。
山頂には、ベンチが2つあり、松姫峠で眺めた大菩薩連嶺への眺めをもっと高い位置から楽しむことができます。
峠で見た時との違いを楽しみつつ、一息入れるのも良いかもしれませんね。
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鶴寝山〜西東京バス「小菅の湯停留所」
鶴寝山からは1時間ほどで「牛ノ寝通り」に乗り上げることもできますが、今回は通ったことの無かった「山沢川」のわさび田を抜けてみようと、途中から沢筋に向かって降下してみました。
分岐地点となる「山沢入りのヌタ」まで進みますが、冬季で凍っているからなのか、沼という感じではなくとても乾いた感じの下山路を進み、尾根を巻く細い巻道に入っていくことになります。
最初の方こそ、足元確認しながら降っていけましたが、旺文社の地図の示す「トチノキの巨樹」の辺りまで来ると、降り積もった落ち葉の量が半端ない量となっていて、場所によって膝下までのラッセル状態で進む状態となました。
落ち葉のラッセルなんて、そうそう経験できるものでも無いので楽しい気持ちにもなりましたが、足元が全く確認できないまま進むこととなり、足元の枝や石に足を取られて谷側に滑落しないよう緊張を強いられもしました。
落ち葉の増える冬季だったからかもしれませんが、通過する場合は時間を掛けて丁寧に進むようにした方が良さそうです。
落ち葉地帯を過ぎてしまえば、その後はスムーズです。
沢筋まで降下して、わさび田の脇を歩いていけば、1時間ほどで鋪道に出ることができます。
途中、1箇所だけ分岐を枝道の方に入る箇所がありますが、基本は一本道です。GPSを確認しながら進めば難無く、「小菅の湯」に到着できることでしょう。
「小菅の湯」の玄関前は小さなロータリーとなっており、施設玄関に向かって右手に、大月や上野原に向かう富士急バスの停留所と、奥多摩に向かう西東京バスの停留所が並んで立っています。
それぞれの到着時間を確認してから、お風呂に入って汗を流すと良いでしょう。
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おまけ
今回は、小菅の湯に立ち寄ってお風呂いただいてきました。
こちらの温泉施設は、地元民以外では大人一人750円で時間無制限にお風呂を楽しめます。
お風呂の種類は、内風呂、外風呂はもちろん、ジャグジーに打たせ湯、寝湯にサウナとスーパー銭湯並みに充実しています。
しかも、休憩室が多数準備されていて、椅子に座ってくつろぐ部屋があったり、雑魚寝できる部屋があったり、コタツに入ってぬくぬくできる部屋があったりと、こちらも変化に富んでいます。
この値段設定で、これだけ設備が充実している温泉施設はそうそう見ることは無いので、周辺の山に登ることになったら下山場所はここ「小菅の湯」に設定して、お風呂を楽しんでから帰路に着くことおすすめします。
難点は、玄関前から出るバスの最終便が17時40分と早くに終わってしまう点でしょうか。
プランニングするときには、この点も留意してくださいね。
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まとめ
東京都の三頭山から山梨県の奈良倉山に向けての越境登山の様子でした。
山の中では、市区町村の境を越えてから山道の様子や登っている方々の雰囲気など、さまざまな面で違いを感じるシーンが出てくるかと思います。
一番わかりやすいところでは、道中に掲げてある案内板でしょうか。
地方に行くほど、手作り感の強いユニークなものが増えてきて、その地独特の法則性みたいなものも見えてくることあったりもします。
そんな自分だけ発見を楽しむ、搦手からの探索行ができる越境登山。
たまには、そんな登山も楽しんでみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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