山梨県の大月市には、秀麗富嶽十二景と呼ばれる場所があります。
その名の通り、富士山への眺望に優れた高所のことを指しており、特に冬の時期は空気が澄んで抜群の眺めを楽しめるということで、今回はその中の3座、扇山、百蔵山、岩殿山の三座を繋げて歩いてみることにしました。
残念ながら、岩殿山に関しては勘違いしてしまって登頂途中に下山してしまったので、完全登頂は2座だけになってしまいましたが、それぞれの山頂から眺める富士山は流石の眺望で、それだけでも十分楽しめる山行となりました。
登山口が駅から少し離れているのが少々難儀しますが、道中は綺麗に整備されて道幅も十分に広く、危険箇所も少ないので登山初心者に向けてもおすすめできる山々となっています。
もしあなたが、澄んだ冬空の下に佇む雪を纏った綺麗な富士山を眺めたいと思っているとしたら、とてもおすすめの山々ですので、今回の記事を参考にプランニングしてみてくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/1/8
天候:晴れ
エリア:大月エリア
コース概要:JR「鳥沢駅」〜君恋温泉〜犬目丸〜扇山〜百蔵山〜福泉寺〜畑倉登山口〜岩殿城跡〜畑倉登山口〜JR「大月駅」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆☆
交通機関:
(往) JR中央線「鳥沢駅」 から、スタート
(帰)JR中央線「大月駅」から、帰路へ
概要
秀麗富嶽十二景
秀麗富嶽十二景は、名前の通り「美しくすっきりと富嶽(富士山)が見える十二の場所」として、山梨県の大月市が選定した富士への眺望に優れた山々を指します。
十二景となっては居ますが、2座合わせて一景としているものもあり、実際は12座以上あることになります。最近も1座増えたようで、2022年1月の時点で合計20座になるようです。
今後も増えていくのかもしれません。
標高としては、小金沢山の2,014mが最高峰で、一番低いお伊勢山の550mとの高低差は1,464mにもなります。このため、山々の難易度もまちまちになってるので、その点は注意が必要です。。
また、山頂によっては少し外れた場所からの眺望に優れていることもあり、山頂に到着して、秀麗富嶽の案内板を確認したものの、その場からは富士山が全く見えずに、少し降った場所から絶景を拝むことができたというシーンが何度かありましたので、富士山のビュースポットについては事前にしっかりと調べてから赴いた方が間違い無いでしょう。
以下、それぞれのピークと標高のリストです。
- 1番山頂:雁ヶ腹摺山(1,874m)、姥子山(1,503m)
- 2番山頂:牛奥ノ雁ヶ腹摺山(1,990m)、小金沢山(2,014m)
- 3番山頂:大蔵高丸(1781m)、ハマイバ(1752m)
- 4番山頂:滝子山(1610m)、笹子雁ヶ腹摺山(1,358m)
- 5番山頂:奈良倉山(1,349m)
- 6番山頂:扇山(1138m)
- 7番山頂:百蔵山(1003m)
- 8番山頂:岩殿山(634m)、お伊勢山(550m)
- 9番山頂:高畑山(982m)、倉岳山(990m)
- 10番山頂:九鬼山(970m)、御前山(730m)
- 11番山頂:高川山(976m)
- 12番山頂:本社ヶ丸(1,631m)、清八山(1,593m)
参考サイト
大月市の公式観光情報サイトの情報を掲載しておきますので、こちらもご確認いただくとより事前の情報収集が捗るかと思います。
ギャラリー
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1137 m
最低点の標高: 315 m
累積標高(上り): 2057 m
累積標高(下り): -2010 m
総所要時間: 08:17:05
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
- 大同山〜金毘羅宮の区間:百蔵山から福泉寺方面に下山するときに大同山という小ピークを越えていくのですが、その後に控えている急坂の下り坂がなかなかの難敵でした。滑りやすい砂地の上、補助となる木々やロープなどが少なく、慎重に足を下ろしていく必要があり、結構なタイムロスとなりました。転倒即遭難には至らないだろうレベルですが、降りに使うときには慎重に通過してください。
- 岩殿城跡〜畑倉登山口の区間:岩殿城跡から畑倉登山口方面に降るとき、城跡直下の降り坂も滑りやすい砂地の急坂で、結構、苦労しました。
- ここも転倒即遭難というレベルでは無いものの、降りるときには慎重に通過するようにご注意ください。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア、ダウンジャケット
- ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、毛糸の手袋
今回は、登山道に入るまでの長い車道歩きの間は、登山スタイルにはならずに長袖Tシャツに厚手フリース、ダウンジャケットのフル装備のまま歩きました。
日が昇る前ということもあり、手袋をしていても指先が痛くなるほどの寒さの中、運動量の少ない車道歩きを行うには、長袖Tシャツとソフトシェルだけでは寒すぎたので、このような格好でスタートしましたが、特に汗をかくこともなく登山道まで到着できたので、この判断は間違ってなかったようです。
君恋温泉施設脇の登山道に入るときには、日も登って体感温度も高まってきたので、いつも通りに長袖Tシャツとソフトシェルという組み合わせに着替えて活動しました。
この日は、風が少なく長袖Tシャツだけでも十分だったかもしれませんが、特に大量の汗をかくような状況では無かったので、適切だったと思っています。
交通機関利用時は、先に示したフル装備での移動しましたが、太ももの辺りが少し寒いなと感じる状況でした。
次回からは、ズボンももう一つ厚手のものを使ってみようかなと思います。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は鳥沢駅から、扇山、百蔵山、岩殿山と隣り合っている秀麗富嶽のピークたちを巡って、大月駅へ下山するプランとしました。
都内からだと中央線快速で終点の高尾駅まで向かい、そこから松本行きの電車に乗り換えて鳥沢駅へ向かうこととなります。
鳥沢駅は、無人駅で改札は自動改札のみです。
改札を抜けて直ぐに待合室があるので、ここで着替えてスタートするのが捗りそうでしたが、今回は日が昇る前だったからか刺すような寒さだったので、ダウンを着たままスタートとしました。
おトイレは、駅とは別建てで駅前の車止めの端っこにあります。正面に男性用1室、男女共用1室、裏に女性用があります。
登山道までの道のりは、駅正面から直ぐの甲州街道を右へ進み、中央自動車道への案内が出てきたら左折、中央自動車道を潜りゴルフ場の看板を目安に君恋温泉脇まで進む流れとなります。
なお、2022年1月の時点で君恋温泉施設は閉業になっているようです。
施設手前の広場で富士山も眺めることができたようですが、進行方向と反対だったようで気が付かずに立ち去ってしまいました。次回は眺めてみようかと思います。
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君恋温泉〜犬目丸
温泉施設の脇から登山道がスタートです。
穏やかな登り坂を進んでいくと、鉄パイプで組まれた降り階段が現れるので、そちらを降り進みます。
落差5mぐらいの滝を通過して、登り返しの階段を登り切ると大滝不動と思われる建屋があるので、その脇の小降りな坂道を上がっていくと尾根道に到達します。
そこからは左折して1時間も歩けば扇山山頂に到着できますが、片道5分程度のところにある犬目丸に寄り道してから進むことにします。
犬目丸は、扇山よりも標高が低いので、中央線沿線の街並みがよく見えます。大野貯水池なるダム湖もこの位置からなら見えるので、時間に余裕があったら是非、立ち寄ってもらいたい場所です。
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犬目丸〜扇山
犬目丸からの眺めを楽しんだら、元きた道を戻って扇山まで登り詰めて行きます。
所々、勾配が急な坂もありますが、手を使って通過しないといけないような箇所は無く、純粋に体力勝負で登り切れます。
扇山の山頂は、広めの広場になっていて、丸太のベンチも多数設置されています。
富士山への眺めは、秀麗富嶽の名に恥じないものではありますが、犬目丸からの眺めの方がわたし的には秀逸に感じました。
これは、周囲が混雑していたからそのように感じてしまった面もあるかもしれません。
この日も9時台で、既に6名の方々が撮影を楽しんでいて、そこに8名パーティが加わって、賑やかさを増す状況となっていましたので、数枚写真を撮ったら急ぎ次のピークに向かうこととしました。
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扇山〜百蔵山
扇山を後にして、百蔵山方面へ向かうと長い降り坂が待っています。
所々にロープの補助が垂れているので、必要により利用すると良いです。
膝への負担をなるべくかけないようにゆっくりと降ったら、猿橋への分岐が現れるまで平坦な道を通過、分岐以降は登り坂へと転じて行きます。
この登り坂については、極々一般的な登山道の登りで印象が薄いのが特徴です。
そんな、淡々とした登り坂を登りきれば、この日二つ目の秀麗富嶽となる百蔵山へ到着です。
百蔵山の山頂は東西に広い広場になっていて、南方面への眺望が開けています。
そして、山頂碑の立っている場所よりも西に少しズレた位置の方が、眺望には優れています。
どうせなら、富士山をバックに山頂碑を撮りたいところですが、ここは仕方ないんでしょうね。
また、山頂には一組だけベンチがありますが、あまり眺めが良い場所では無いみたいです。皆、思い思いの場所にレジャーシートを敷いて、のんびりと寛いでいました。
百蔵山に赴くときにはレジャーシート持参が良いかもしれませんね。
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百蔵山〜福泉寺〜畑倉登山口
続いては、岩殿山へ向かうことになるのですが、この2座は尾根では繋がっていません。
このため、福泉寺方面へ向かって下山してから、岩殿山登山口となる畑倉登山口まで車道歩きをすることとしました。
まずは、福泉寺までの降り道ですが、なかなかの難敵です。
お寺の奥の院や神社の奥宮と呼ばれる奥まった場所からピークに向けての登山道は、今までの経験上、急勾配であることが多かったのですが、ここも例に漏れずなかなかの勾配がありました。
合わせて、滑りやすい砂地ということで慎重にゆっくり降ることとなり、降り切るまでに標準タイムに近い時間がかかりました。
その後は、車道に出て集落の中を進み、畑倉登山口からこの日最後のピークに向けて登り始めることとしました。
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畑倉登山口〜岩殿城跡
畑倉登山口からの登りは、それほどキツくなく長さも短いので、黙々と登っているといつの間にか城跡まで着いてしまいます。
途中に、鬼の岩屋と呼ばれる洞窟入り口への分岐がありますので、時間に余裕があれば立ち寄っても良いでしょう。5分もあれば辿り着けるのでさして苦にはならないと思います。
さて、城跡まで登ったら、後少しで岩殿山の山頂に到着できるようですが、この日は、この城跡となっている広場を山頂と勘違いしてしまい、ここまでで下山してしまいました。
確かに山頂碑が無いことを訝しいと思ったものの、GPSは山頂を指しているし、富士山も雲に隠れてしまったしで、ここまででいいやと思ってしまいました。
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岩殿城跡〜畑倉登山口〜JR「大月駅」
岩殿城跡からは、稚児落としには向かわずに元きた道を下って畑倉登山口へ降ります。
ここで、稚児落としまで向かっていれば山頂にも立ち寄れたのですが、今更言っても詮の無いことなので、次回の楽しみということにしておきます。
畑倉登山口への降りですが、登りの時には気にならなかった、砂地の通過に少々手間取ります。
縦走で思ったよりも消耗していたのかもしれませんが、へっぴり越しになりつつ登ってきたのと同じくらい時間を使って登山口まで降りることとなりました。
登山口からは、大月駅までの車道歩きは底の固い登山靴には少々ツラい歩きでしたが、大月市街地への眺めや、周囲の山々への眺めを楽しめたので、退屈することはありませんでした。
ローカットな登山靴なんかだと、楽しいお散歩タイムになるんじゃ無いかなと思います。
大月駅に到着すると5分後に東京行きの快速が出ることがわかったので、寄り道はせずにそのまま直帰することとしました。
登山靴は汚れたままでしたが、汗もほとんどかいていなかったので、周囲の乗客への迷惑は最小限だったと思いたいですね。
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まとめ
山梨県大月市の秀麗富嶽2座縦走の様子でした。
大月周辺の山々は、標高も高くなくて1座ずつ登ってしまうと、例え登山初心者であっても物足りなさを感じるかもしれません。
そんな時には、複数の山を繋げて縦走スタイルで登頂していくと、満足感が上がります。
ただ、意外な難所を通過する必要が生じることもあるので、事前調査はしっかりとしておくようにしてくださいね。
そして、調査さえしっかりしておけば山頂を見誤ることも無く、満足感のある山行を楽しめることでしょう。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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