山梨県大月市選定の秀麗富嶽十二景。
続けて何座が登っているうちに、全座コンプリートしたくなってきました。
そこで、今回は以前山頂と間違えて途中で帰ってしまった岩殿山へのリベンジに合わせて、姥子山、雁ヶ腹摺山まで繋げて歩いてきました。
岩殿山以外は初めて登る山々となりますが、前調査では危険箇所は多く無いとのこと、無理しない範囲でプランニングしてみました。
雪山登山に赴くには、まだ敷居が高いのだけど、冬場もガッツリと山遊びしたいと考えているあなたにとって、ぐっとくるルートになるかと思いますので、ぜひ、最後まで読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
秀麗富嶽十二景
秀麗富嶽十二景は、名前の通り「美しくすっきりと富嶽(富士山)が見える十二の場所」として、山梨県の大月市が選定した富士への眺望に優れた山々を指します。
詳しくは、以前の登山記録にまとめてますので、そちらを読んでみてくださいね。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1874 m
最低点の標高: 355 m
累積標高(上り): 2968 m
累積標高(下り): -2597 m
総所要時間: 11:07:17
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア、ダウンジャケット
- ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、毛糸の手袋
岩殿山の登山口となる畑倉登山口までは、30分くらい車道歩きが続きます。この間は、急坂など無く運動で暖かくするのが厳しい感じだったので、登山口までは長袖Tシャツに厚手フリース、ダウンジャケットとフル装備のまま歩いて向かいました。
登山口からは、長袖Tシャツとソフトシェルという登山スタイルに着替えて登山道に入りましたが、標高600m前後の超低山だったからか、汗をかいてしまう暑さでした。
その後、岩殿山山頂を越えて、高度が上がっていくにつれて活動しやすい丁度良い暖かさになっていった感じです。
また、今回は林道を降って下山している最中に日が暮れてしまったので、その時は寒さ対策に厚手フリースを追加して凌ぎました。
交通機関利用時は、長袖Tシャツに厚手のフリース、ダウンジャケットのフル装備です。窓全開の車内はこれでも少し肌寒い感じでした。
山でのウェアは小まめに調整すると快適さが違います。この辺りは個人差が結構出てくるので、色々参考にして、自分のスタイルを確立してみて下さいね。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は大月駅から直接スタート。そのまま、駅とは反対側にある畑倉登山口から山頂へ向かい、稚児落としを経由して、姥子山、雁ヶ腹摺山へ上り詰める、長い登りのルートをチョイスしてみました。
都内からは中央線快速で終点の高尾駅まで向かい、そこから松本行きの電車に乗り換えて大月駅へ向かうこととなります。
大月駅は富士急行線との乗り換え駅で、人の行き来が多い駅です。
その分、増築、改築が進んで綺麗なおトイレや待合室があり、山行の準備をするにはとても助かる駅です。なるべく綺麗にお借りして、快適に準備を進めてスタートを切りましょう。
ちなみに、今回のコースは下山先の大峠に到着するまで、道中におトイレが無いので、ここでおトイレに立ち寄っておくのが良いですね。
大月駅を出たらロータリーを左折して踏切を渡ります。
そのまま、常に視界に入っている岩殿山の外周を時計と反対周りにするように歩いて行きます。
途中にある強瀬登山口、七社権限への登り口から山頂に向かうことはできませんのでご注意ください。
山の周囲を概ね半周して反対側まで行くと、山頂に至ることができる畑倉登山口が見えてきます。
周囲は駐車場で広くスペースがあるので、ここで見繕いして改めてスタートを切ることとします。
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畑倉登山口〜岩殿山
畑倉登山口からは階段が続きますが、直ぐに鬼の岩屋への脇道が見えてきます。5分で往復できるので立ち寄って行きましょう。
なんでも、桃太郎に追われた鬼が隠れ住んでいたとかいないとか、そんな逸話の残った場所のようです。
本道を進むと、今度は畑倉大神のお社がありますので、ご挨拶をして道中の安全をお願いしてから山頂に向かいます。
砂混じりの滑りやすい坂なので転ばないように少しずつ高度を上げていくと、まずは本丸跡という電波塔の立つ広場に到着します。
以前は、ここを山頂と間違えて引き返してしまいましたが、今回はちゃんと山頂の案内のあるところまで向かいます。
一度、軽く降下して展望の良い広場を通過した後、東家が見えてきたら本当の山頂に到着です。
山頂には、大きい石碑が立っています。残念ながら読むことができず後から調べたところ乃木将軍にまつわる石碑なんだそうです。
他にも、岩殿城に関する説明文などが立っていて、なかなか興味深い場所でした。
そして、山頂からの眺めは一言でいうと「楽しい」です。
標高634mで駅郊外から1時間もあれば登れる場所ということで、綺麗な富士山をバックに道を行き交う車や人を眺められるので、精巧なミニチュアを眺めているようでとても楽しく感じました。
ここだけ単独で登って1時間ぐらいぼんやりと下界を眺めて寛ぎたいという気持ちにさせてくれる場所でした。
今回は、道半ばの為、一通り眺めたら先に進むことにします。
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岩殿山〜稚児落とし
岩殿山からの眺めを堪能したら、次は稚児落としに向かいます。
稚児落としとは、なかなかのパワーワードですが由来はこうです。
岩殿城落城の際、夜間に雁ヶ腹摺山方面へ抜ける抜け道を通っている最中に、泣き出してしまった子供たちの声が敵兵を呼び込んでしまうことを恐れた婦人たちが、自分達の幼子をこの谷底に落としたという逸話からきているようです。
一族郎党の命と引き換えとは言え、我が子を谷底に投げ捨てるとか、この母親はどれだけ追い詰められていたのでしょうね。そして、その後どれだけ苦しんだのでしょうか。
さて、話を山行に戻しましょう。
まずは、大きな岩場の間を縫うように通る急階段を降りて行きます。
途中に、岩瀬登山口からの合流地点がありますが、ロープで雁字搦めになっていて通行止めとされていました。
その後、大きく2箇所の鎖場を通過すると、本来は足場の細い岩場を進むこととなりますが、この岩場が崩落しており2022年1月時点で通行止めとなっています。
ここを回避するため林間方面へ迂回することになるのですが、この迂回路も結構な悪路で通過には注意が必要です。
無事に通過できて仕舞えば、あとは簡単なアップダウンをこなすだけで稚児落としに到着です。
最新の注意をしつつ、断崖絶壁からの眺めを堪能してください。
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稚児落とし〜トズラ峠〜高ノ丸
断崖絶壁の様子を眺めたら、雁ヶ腹摺山方面へ向かって歩きます。
普通に尾根道に沿って歩いて行ったつもりなのですが、どこかで鉄塔への作業道と間違えて進んだみたいで、滑ったら滑落しそうな急斜面や枝ぼうぼうな道をかき分けて進んだ結果、トズラ峠まで到着できました。
ここ最近、GPSに頼り切ってしまう山行が多かったので、感覚が衰えてしまったのかもしれません。
トズラ峠は、林道と交差している場所で、林道を辿って金山民宿村へ降りることもできるようです。
そして、民宿村を通過して沢伝いに金山峠まで登っていくルートというのもあるようなのですが、整備があまりされておらず不明瞭な道とのことだったので、今回は尾根伝いに登るルートを取ることにします。
まずは、高ノ丸まで登ってしまいます。
取り付きの急坂をこなして尾根に戻り、広めの尾根道を登って行きます。途中に鉄塔が立っていますので、その足元を通過し、さらに登りつめると高ノ丸山頂に到着です。
何もない狭い山頂なので、止まらずに通過して行きます。
続いては、名前が特徴的なセーメーバンです。
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高ノ丸〜セーメーバン
高ノ丸の降りは破線ルートになっています。
横に広がった尾根道で、確かにどこをどう降るのか迷いやすいのですが、ポイントポイントにピンクのテープが貼ってあるので、よく目を凝らしていれば降りのルートが見えてくるはずです。
距離も短いので、ルートファインディングの練習には良い場所かもしれません。
そして、サクラ沢峠まで降り切ってしまえば、そこから先は明瞭な登山道になります。
途中、木々が伐採された場所を通過します。ここからも富士山の眺めが素晴らしいので、一度振り返って一息入れるのも良いでしょう。
その後、単調な登り坂を登り詰めればセーメーバンに到着です。
名前が特徴的なので、何かあるのかなと思っていたのですが、全く何も無く、ただ狭い広場なだけなので、この山頂も通過して行きます。
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セーメーバン〜大岱山〜金山峠
大岱山までの道のりは長い尾根道歩きになります。
多少のアップダウンはあるものの、ほぼ尾根筋を登っていく形になります。
大岱山も今まで通りに何もない標札だけの場所なので、そのままスルーして先に進みます。
そして、しばらく進んでいくと三叉路の案内板が見えてきて、金山峠山頂に到着します。
峠で山頂というのも変な響きですが、現地の案内にそのように書かれていたので正しいのでしょう。
ここまでで、雁ヶ腹摺山まで道のりの6割を踏破した形になります。まだ先は長いですね。
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金山峠〜姥子山
金山峠からは、百間干場まで降った後に、登り尾根を辿って登って行きます。
大きな枯れ葉の積もった道を降ると、林道とぶつかります。
その場所が、百間干場という場所のようです。
そこから、10分ほど林道を登っていくと雁ヶ腹摺山・姥子山への取り付き口が見えてきます。
ここから、登り尾根という名前からして急坂な響きのある尾根を登っていくのですが、名前の通り急坂の登り一辺倒です。
途中、踊り場的な平地もありますが、基本登りっぱなしに登るので気合を入れ直しておきましょう。
尾根を登り切ると、百間干場の林道とは全く別の林道とぶつかりまする。
こちらは、とても整備が行き届いているので夏場は車の往来もあるのでしょう。
すぐ近くに雁ヶ腹摺山への登り口もありますが、今回は林道を辿って姥子山へ向かいます。
この林道からの景色もなかなかなもので、今まで辿ってきた尾根道や、すっかり遠ざかった大月の街並みまで眺めることができます。
姥子山は、西峰、東峰と二つのピークを持つ双子の山で、最高地点は西峰の1503mとなっていますが、展望は東峰の方が良く、秀麗富嶽の標札も東峰に立っています。
確かに素晴らしい眺めで、富士山はもとより、お隣に聳える雁ヶ腹擦山やその奥に並ぶ大菩薩連嶺の他、眼下に広がる大月や富士急行線沿線の街並みなどが楽しめます。
この日は風も弱く陽射しが暖かだったので、ここで遅めの昼食をいただきました。
少し体力も回復できたところで、最後のピーク雁ヶ腹摺山へ向かうこととします。
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姥子山〜雁ヶ腹摺山
この日のオーラス雁ヶ腹摺山へ向かって行きます。
まずは今来た道を林道まで戻り、反対側の取り付き口から登って行きます。
ここからは1時間程度の登りですが、一部には脛まで埋まる積雪の場所もあり、踏み抜いたりすると結構体力を奪われます。
なるべく、人が歩いた形跡のあるところを辿って歩くようにするのが良いのですが、こちら側のルートは人通りがほとんど無いのか、踏み跡が少なくてなかなか難儀しました。
途中から面倒になって、直登気味にガシガシ登ってしまいましたが、それでも無事に到着できたので、パワープレイもたまには良いかもしれません。
山頂は、南方面にだけ開けていて、他三方面への展望はありません。
そう聞くとガッカリな感じですが、たった一方面だけからの眺望が実は絶景なのです。
滝子山、三つ峠、富士山と三層に連なった山々の眺めがとてもステキで、旧五百円札の裏面に採用されたというのも頷けます。
実際にお小遣いを五百円札で貰っていた時代の人間からすると、なんだか郷愁を誘う眺めでもありました。
周囲には座るのに最適な大きな石が点在していたので、腰掛けてゆっくりしたいところでしたが、この時点ですでに15時30分で時間が押していたので、速やかに下山することとしました。
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雁ヶ腹摺山〜大峠
最初のうちは、この後大菩薩連嶺に乗り上げて白谷丸を経て天目温泉に降ろうとも考えていたのですが、時間的にも体力的にも余裕が無くなってしまったので、エスケープルートの一つとして考えていた、大峠から林道を降って麓まで下山するルートで戻ることとしました。
大峠までの降りは、砂地の滑りやすい道が続きますが、要所要所には鎖やロープで補助が張られていて、危険を感じるような場所はありません。
唯一、怖いなと感じたのは木の橋で、少しグラついていたからそう感じた程度です。
道も明瞭なので30分もあれば降れるはずです。
大峠は、5台、6台車が停められるスペースと、簡易トイレのある開けた場所で、ここから富士山を眺めることもできます。
この時期は、ゲートが封鎖されているので停車している車は皆無でしたが、普段は賑わいそうな感じがします。
そして、林道の路面が凍結していたのでチェーンスパイクを履いて下山ルートを降ることとしました。
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大峠〜富士急バス「ハマイバ前停留所」
大峠からバスの出ている「ハマイバ前」までは標準タイムで2時間50分。距離にすると概ね10kmということで、疲労が溜まっている状態を考慮すると2時間ぐらいかかるかなと目算を立てます。
「ハマイバ前」の最終便は18時30分。
大峠にいる現時点の時間が16時なので、まあまあ間に合いそうです。
そうは言っても、余裕はなさそうなので早足に降っていくことにします。
所々にある凍結部分もチェーンスパイクが効いてガリガリ進むことができましたが、途中で日が落ちてしまい真っ暗闇となってしまったので、ヘッドライトを取り出して、ついでにフリースも重ね着してから再度降って行きます。
暗闇の中、初めての道を進むのは少々不安がありましたが、道はとても整備されていて凹凸も無く、スムーズに降ることができました。
そのまま何事もなく「ハマイバ前」停留所に到着してみれば、目算と大差ない時間18時10分を指していて、無事に最終便に乗ることができました。
そして、バスを待つ間、都内とはまた違った星空を眺めることができて、最後までサプライズづくしの山行となりました。
やっぱり、山は楽しいですね。
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まとめ
山梨県大月市の秀麗富嶽3座縦走の様子でした。
冬のこの時期、3,000m級の白銀の山々に繰り出せるようならそれが一番魅力的なのかもしれませんが、技術面、経済面、余暇の面と様々な理由から、断念しないといけない場面が出てきます。
そんな時は、近場の低山を繋げてみると、思いのほかタフで楽しいルートに様変わりすることがあります。
普段と違った道を辿ると脳みそが活性化するとも聞きます。
事前の徹底調査は大前提ですが、普段のルートに一区間だけでも真新しい道を混ぜてみると、新しい発見のある楽しい山行になるかと思いますので、たまには、そんな山行もプランニングしてみてくださいね。
その際、大月界隈の山々は変化があっておすすめです。
特に、岩殿山は駅近なのに好展望、道中も断崖あり鎖場ありと変化に富んでいてとても楽しい山なので、未踏の方は是非一度、足を運んでみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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