愛鷹山塊の南東部、長泉町管轄の地域に池ノ平という公園があります。
駿河湾や沼津湾への眺望に優れているだけでなく、春には群生しているアセビの花も楽しめる魅力的な公園ですが、訪れる機会が無く今まで未踏となっていました。
今回、雨上がり休日を狙って訪れることができましたので、そのときの様子をお伝えしていきます。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
位牌岳については別の山行の記録で概要を述べているので、今回は池ノ平とつるべ落としの滝についての概要を述べていきます。
池ノ平(池ノ平展望公園)
池の平は、位牌岳から南東に伸びる尾根の中腹に位置しています。
標高にすると846mで同じ山塊内の他のピークに比べると一段低い高さではありますが、南と西に視界が開けていて天候に恵まれれば駿河湾や沼津湾を一望にできる、とても眺望に優れたビュースポットとなっています。
加えて、アセビの群生地ともなっていて3月にはたくさんのアセビの花が咲き、眺望以外の面でも楽しむことができます。
また、この場所は池ノ平展望公園という名前の公園となっており、望遠鏡や展望台の他、多数の椅子や机が設置されており、眺望を楽しみつつゆっくりと過ごせる場所となっています。
アプローチには3つのルートあり、位牌岳から南東方面に尾根道を降ってくるルート、つるべ落としの滝から東方面へほぼ平行に山腹をたどってくるルート、南に位置する長泉町森林公園から登ってくるルートがあります。一番ラクなのは長泉森林公園から登ってくるルートで、自家用車で来ることができれば長泉森林公園駐車場に車を止めて徒歩1時間程度で訪れることができます。
つるべ落としの滝
つるべ落としの滝は位牌岳から長泉町市街地まで流れる桃沢川の源流部にある落差20mほどの大滝です。
つるべ落としというユニークな名前の由来は、水が真っ直ぐに落ちる様が、井戸底につるべ(井戸から水を汲み上げる桶)がまっすぐ落ちていく様に似ているからということらしいです。
また、渇水期には水が無くなるようで、幻の滝と呼ばれることもあるようです。
わたしが出向いたときはちょうど雨上がりだったこともあり水量豊富でとてもこの水が枯れるとは思えない感じでした。今度は渇水期に訪れて見たいものです。
アプローチには3つのルートがあり、位牌岳から南東方面へ沢沿いを降ってくるルート、東に位置する池ノ平より西方面へ山腹をたどってくるルート、南に位置する桃沢橋から北上して登ってくるルートがあります。一番ラクなのは桃沢橋から登ってくるルートのようですが、まだ歩いていないルートのため詳細は省かせていただきます。
今回の山行ルート
地図上の位置と標高
地図上での位置や標高は次のとおりです。
歩いた軌跡
実際に歩いた軌跡は次のとおりです。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回の目的地「池ノ平」への一番ラクなアプローチは、前述したとおり長泉森林公園から登ってくるコースとなりますが、わたしは自家用車は持っていません。
このため、南方面から向かうには更に1時間南に降りたところにある「桃沢野外活動センター」というバス停からのアプローチとなるのですが、そうなると工程のほとんどが車道歩きとなり興を削がれてしまいます。
そこで、今回は登山口に使っていなかった「田向登山口」から位牌岳まで登り、そこから南下して向かうコースを取ることとしました。
「田向登山口」へのアプローチには、JR三島駅南口から富士急シティバス・準急イエティ線を使います。車窓から見える富士山や愛鷹の山々を眺めながら45分ほどで到着する「須山」バス停から歩いて向かうことになります。
普通便であれば「田向」というバス停の方が最寄りとなるようなのですが、早朝の時間帯は準急便しか出ていないので「須山」が最寄りとなるようです。
注意事項は、「田向登山口」「須山」バス停、どちらの周辺にもトイレが無い点です。この記事を書いている2021年3月時点では、周囲にコンビニもないので三島駅で済ませてこないと、山中でお籠りする羽目にもなりかねないので、ちゃんと済ませてからバスに乗るようにしましょう。
ギャラリー
田向登山口~前岳~位牌岳
田向登山口からは、長い森林歩きです。
日差しが入らず展望にも恵まれずで、出足から面白みのない山道歩きとなります。
前岳を過ぎれば、眺望にも恵まれてくるので、それを励みに進みましょう。
前岳から位牌岳の尾根道に入ると、富士山や越前岳、鋸岳への眺望も増えてきて楽しい気分になってきますが、尾根道も細くなってきます。よそ見しすぎて滑落などしないよう注意が必要です。
位牌岳山頂は開けた広場となっており、レジャーシートなどを広げて休憩するには適しています。
今回の山行でも、ご年配の夫婦がシートを広げて昼食の準備をしながら寛いだ様子で休憩していました。
ただ、山頂での展望は期待できません。唯一、鋸岳コースに続く北方面への山道から富士山を覗き見ることができますが、どうせならば南方面に10分ほど降ったところにある南西方面に開けた場所まで降りてしまうことをおすすめします。
天候に恵まれれば、富士市市街地だけでなく、遠く御前崎の先端まで見渡すことができ山頂よりも満足感が高いと思います。
ギャラリー
位牌岳~つるべ落としの滝
位牌岳から池ノ平へは、尾根筋を降っていくルート、沢伝いに降った後、山腹を並行に移動するルートという2つが存在しています。
後者の方が、コースタイムが1時間ほど長くよりハードになりますが、途中につるべ落としの滝というりっぱな滝に立ち寄ることができるので、今回は沢伝いのルートを取ることにします。
このルート、沢と並走したり交差したりと、道を見失いそうになる場所もちらほらあります。
しかし、要所要所には目印となるロープやテープが張り巡らされているので深刻な自体に陥ることはほぼない印象でした。
もし、目印を見失ったまま10分以上経過しているようだと道を外している可能性があります。
誤った沢筋を降ってしまうと、身動きの取れない場所に降りてしまい大事に発展してしまう可能性もあるので、よく周囲を観察して、場合によっては来た道を戻って目印を見つけてから歩き始めるといった対処をしたほうが良いでしょう。
つるべ落としの滝付近までくると、傾斜の急な木の階段が増えてきます。これら階段は濡れていると滑りやすいので、ここも慎重に降っていくようにしましょう。
階段を降りきって、表札に沿って向かうと2から3分で滝壺に到着です。
滝壺の周辺は4~5名程度が滞在して鑑賞できるくらいスペースはあるので、岩などに腰掛けてつつ一休みするのも良いかもしれません。
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つるべ落としの滝~池ノ平
つるべ落としの滝から池ノ平までの道は、東方面へ沢を横切りつつ山腹を並行に歩いていくルートとなります。
多少のアップダウンは発生しますが、ほぼ並行に進む道なので体力的にはさほどレベルは高くありません。ただし、濡れてすべりやすい区間や落石注意の区間などがあるので慎重さは必要です。
分岐もほとんど無く、あったとしてもしっかりと表札が立っているので迷うこともないでしょう。
池ノ平は、南西に視界の開けた気持ちのよい公園となっています。
道中に眺望がなかったこともあり、開放感は抜群です。
休憩用の椅子や机も沢山設置されているので、ゆっくりと眼下に広がる駿河湾、沼津湾の様子を楽しみつつ休憩すると良いでしょう。
また、この公園はアセビの群衆地にもなっていますので、3月ごろに立ち寄れば満開のアセビも一緒に楽しめるかもしれません。
展望台も設置されていますが、こちらはあまりおすすめしません。直近の木々に視界を遮られてむしろ眺望はよろしくありません。なぜ、この位置に立てたのか疑問が残るほどですが、当初は木々もそれほど育っていなかったのかもしれませんね。
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池ノ平~水神社~「桃沢郷」バス停
池ノ平を出てからは、少し南にある長泉町森林公園を経由して、水神社に寄り道してから帰ることにします。
森林公園までの道は、正面に沼津の町並みが観える明るく気持ちの良い道です。傾斜もそれほどきつく無いので、お散歩気分で降っていくことができます。
森林公園につくと、ここにも展望台が設置されています。
池ノ平にあった展望台と比べるとこちらは非常に眺めが良いので登っておくことをおすすめします。
森林公園を過ぎてからは林道を水神社方面へ降りていけば、1時間ぐらいで神社に到着します。
パワースポットとしても有名らしいので、お参りしておくとご利益があるかもしれません。
水神社から「桃沢郷」バス停までは1時間の車道歩きです。
交通量も増えてくるので、車に注意しつつ端っこを歩くようにしましょう。
そして、非常に注意しておかないといけない点として、このバス停は休日専用で月~金に発着するバスの便が無いことが挙げられます。
このため、人の居ない平日を狙ってきてしまうと、帰りはタクシーを使うことになりますので、事前に懐具合と相談した上で予定を決めるようにしてくださいね。
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立ち寄り湯(閉館)
今回は、「桃沢郷」バス停の近隣に経つ「長泉山荘」で日帰り湯をいただこうと思っていたのですが、既に閉館していて、もぬけの殻状態。
仕方がないので、今回はお風呂には立ち寄らずに三島駅経由で帰路につきました。
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まとめ
今回は、愛鷹山塊の南東に位置する、池ノ平とその周辺の様子についてお話してきました。
最寄りの「桃沢郷」バス停を行き来するバスの本数が少なく、土日と祝日には一本も無い状況で、アクセスするには不便ですが、近隣の長泉町森林公園と合わせて、海への眺めは抜群です。
また、3月前半を狙って赴けば群生地となっているアセビの花も満開で、一粒で二度美味しい結果になると思います。
春先を狙って、是非、足を運んでみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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