山行の記録|川乗橋から徒歩5分の蕎麦粒山案内板から「鳥屋戸尾根」を歩いてきました

山行

川苔山へ向かう人気の登山ルートに、百尋ノ滝を経由する渓谷ルートというのがありますが、スタートして5分ほどの位置に「蕎麦粒山」と手書きで書いた案内板が立っているのをご存知でしょうか。

ここから鳥屋戸尾根(とやどおね)という尾根筋を進めるようなのですが、草木がボーボーの破線ルートと聞いていたので敬遠していました。

しかし、冬場なら草木も枯れて歩きやすいのではと、試しに歩いてきてみました。

案の定、木々は枯れて歩きやすく蕎麦粒山まですんなり進めたので、帰路は凍った百尋ノ滝をちょい見して帰ってきました。

川乗橋バス停にほど近い位置にある「蕎麦粒山」の案内板、その先の道がどんな風になってるか気になるようでしたら、この記事で色々わかるかと思います。

是非、最後まで読んでいってくださいね。

基本情報

まずは、今回の山行についての基本情報です。

山行の基本情報

日付:2023/1/28

天候:晴れのち曇り

エリア:奥多摩エリア

コース概要:

西東京バス「川乗橋停留所」〜笙ノ岩山〜蕎麦粒山〜日向沢ノ峰〜川苔山〜百尋ノ滝〜西東京バス「川乗橋停留所」

難易度:体力☆☆、技術☆☆、危険☆☆

交通機関:

(往)JR奥多摩線「奥多摩駅」から西東京バスで「川乗橋停留所」へ向い、そこからスタート

(帰)「川乗橋停留所」から西東京バスでJR奥多摩線「奥多摩駅」へ向い、帰路へ

概要

鳥屋戸尾根(とやどおね)

「鳥屋戸尾根」は、東京都と埼玉県の境に位置する蕎麦粒山(そばつぶやま)へ通じる小ぶりな尾根筋です。

登山口は、「川苔山」の渓谷ルート登山口として有名な西東京バス「川乗橋」の至近にありますが、とても奥ゆかしく設置されているので、気にしていなければスルーして進んでしまうだろうと思います。

旺文社の山と高原地図には、破線ルート(バリエーションルート)と書かれており、経験者向けの登山路になっていますが、踏み跡もしっかりと付いているので、雪や枯れ葉で隠されてしまう時期を外せば、道を外れることはほぼ無い印象でした。

ただしこれは、「川乗橋」から「蕎麦粒山」へ向かう登りルートで使うならの話です。

「蕎麦粒山」からの下山ルートとして使った場合は、滑りやすい急坂の降りや、道迷いを誘発する細かな作業道への分岐など、難易度が高くおすすめルートとはならないようです。

また、展望には期待できないルートですが、木々の葉が枯れ落ちる冬場であれば、多少は周囲の様子を眺めることもできるようでした。

一般向けのルートでは無いので、しっかりとした事前準備が必要ですが、難易度はそれほど高くは無かったので、物静かな山行を望むのならチャレンジしてみるのもアリだと思います。

蕎麦粒山(そばつぶやま)

「蕎麦粒山」は、東京都の奥多摩町と埼玉県の秩父市の境にある標高1,472.9mの低山です。

川苔方面から眺めた時に、綺麗な三角錐を真っ二つに割くように山道が付いているピークがあったら、それが「蕎麦粒山」です。

奥多摩でも奥まった場所に位置しており、山頂に至るルートとしては次のようなものがあります。

  • 奥多摩の日原停留所から、一杯水避難小屋(いっぱいみずそうなんごや)を経由するルート
  • 奥多摩駅や鳩の巣駅から、「川苔山」を経由するルート
  • 奥多摩の川乗橋から、「鳥屋戸尾根」を辿るルート
  • 秩父の浦山大日堂(うらやまだいにちどう)から、仙元尾根を辿るルート

メジャーなルートは一つ目と二つ目でしょうか。

どちらも、展望に優れた県境線を辿ることになるので、気持ちの良い山行が期待できます。

山頂からの眺めは南方面に開けており、「川苔山」の肩越しに関東平野の広がりを眺めることができます。

空気の澄んだ時期に訪れると、スカイツリーはもちろん、横浜ランドマークタワーも視認できるので、試してみてくださいね。

日向沢ノ峰(ひなたざわのうら)

「日向沢ノ峰」は、東京都奥多摩町と埼玉県飯能市の堺にある標高1,356mの低山です。

このピークも、奥多摩でも奥まった場所に位置しているので、訪れるには難儀する山になるでしょう。

一番短いルートは、「川苔山」を越えてくるルートですが、それでも5〜6時間はかかります。

山頂からは、南西方面に視界が開けており、御岳山や石尾根の様子を眺めることができます。

お隣の川苔山は、木々に阻まれて残念ながら確認は難しそうです。

また、天候に恵まれれば富士山が綺麗にみえるスポットでもあります。

「川苔山」から向かうと、途中に壁のように聳え立つ急坂が現れ心を折りにきますが、少々キツめの筋トレと思って、チャレンジしてみてくださいね。

川苔山(かわのりやま)

「川苔山」は、東京都西多摩郡奥多摩町にある標高1,363mの低山です。

多種多様な登山ルートが整備されているため、非常に多くの登山者の訪れる人気の山になっています。

特に、「川乗橋停留所」からスタートする渓谷ルートは人気が高く、天気が良い日のバスは立ち乗りになることが多いです。

山頂からは、西方面に視界が開けており、石尾根に連なる山々を正面に、北方面に伸びる県境線の山々までも眺めることができます。

また、木々の間から富士山がみえることもあるので、訪れたときには探してみてくださいね。

百尋ノ滝(ひゃくひろのたき)

百尋ノ滝は、川苔山へ向かう登山道の中で渓谷ルートの途中にある落差40mの滝です。

奥多摩エリアでは、超有名かつ超人気の滝で、春夏秋冬を通して多くの登山客が訪れる場所です。

渓谷ルートが閉鎖されていた期間、訪れる人は激減しましたが、2022年7月から無事に開通されたことにより、また訪れる人が増えてきた印象です。

同じ奥多摩エリアには、日本の滝百選に選ばれている「払拭ノ滝」(ほっさわのたき)がありますが、それに負けず劣らずの落差や水量、美しさを備えた名瀑です。

むしろ、道のりの難易度は、百尋ノ滝の方が遥かに上なので、レア度はこっちの方が上だと思います。

滝好きには堪らない眺めだと思いますので、一度は訪れてみてくださいね。

別のタイミングで訪れた百尋ノ滝の様子を書いた記事もあります。

興味ありましたら、一緒に読んでいってもらえたら嬉しいです。

今回の山行上でのポイント

地図上の位置と標高

今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。

「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。

ご自由にご活用ください。

合計距離: 18664 m
最高点の標高: 1478 m
最低点の標高: 430 m
累積標高(上り): 2268 m
累積標高(下り): -2282 m
総所要時間: 09:37:47
Download file: climbing-record-20230128.gpx

歩いた軌跡

続いては、GPSデータを元にした軌跡です。

注意した方が良さそうな区間

今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、次の通りです。

注意した方が良さそうな区間
  • 「川乗橋」から「笙ノ岩山」(しょうのいわやま)に向かうまでの急坂区間
  • 「川苔山」から「百尋ノ滝」へ降りるまでの区間
「川乗橋」から「笙ノ岩山」に向かうまでの急坂区間

今回の山行ルート上の注意した方が良さそうな区間の一つ目は「川乗橋から笙ノ岩山に向かうまでの急坂区間」です。

この区間、登り始めはちょっとキツイかなと感じる程度の急坂なのですが、歩みを進めるにつれて補助のロープが張り巡らされた直登区間に入ってきます。

ロープを使わなくても登れなくは無いですが、足元のコンディションが砂地に枯れ葉が敷き詰められた大変滑りやすい状態で、緊張状態が続くことになります。

後ろにひっくり返ると、後転しながらかなりの距離転げ落ちることになりそうなので、少し前屈みに登っていくと良いかもしれません。

ギャラリー

該当区間は、長い虎柄のロープが貼ってあります。
足元は、こんな感じに枯葉で覆い隠されていますが、地面はジャリジャリの砂地でよく滑ります。
こんな太いロープのところもありますが
基本は、細い虎柄のロープなので、こちらも滑って持ちづらいんですよね。
この案内が見えたら、注意区間は終了です。

「川苔山」から「百尋ノ滝」へ降りるまでの区間

今回の山行ルート上の注意した方が良さそうな区間の二つ目は「川苔山から百尋ノ滝へ降りるまでの区間」です。

特に「百尋ノ滝」に降りる手間の岩場の急坂は、足元が岩場で滑りやすく注意が必要です。

鎖やロープが設置されているので、うまく活用しながらゆっくり降ってください。

ギャラリー

該当箇所は、滑落注意の案内が頻繁に立っています。
鉄の階段から始まり
虎柄の細いロープ
真新しい鎖と多様な補助の設置があるので、適宜利用して慎重に降ってください。
百尋ノ滝が見えてきたら注意区間は終了です。

おすすめ展望ポイント

今回の山行ルート上の展望ポイントは、次の通りです。

展望の楽しめたポイント
  • 蕎麦粒山山頂
  • 日向沢ノ峰山頂
  • 川苔山山頂
  • 百尋ノ滝
蕎麦粒山山頂

今回の山行ルート上の展望ポイントの一つ目は「蕎麦粒山山頂」です。

「蕎麦粒山」の山頂からは南方面の展望が得られます。

正面に見える川苔山の左手奥に、関東平野の街並みが一望できるのはちょっと感動ものです。

目が良ければ、スカイツリーや都内の高層ビル群、少し離れた場所に横浜ランドマークタワーと特徴的な建物が確認できますので、探してみてください。

加えて、川苔山の右手奥には、丹沢の山々もうっすらと見えてました。

山頂は、三人詰めれば満員という狭さなので、混雑時には長居せずに移動してしまった方が良いでしょう。

ギャラリー

蕎麦粒山山頂からの眺めです。こんな感じに南方面への展望に優れています。
2倍ズームすると奥多摩の山々の更に奥に丹沢らしき山の塊があります。
川苔山の奥には、関東平野。その更に奥は海ですね。ここから海が見えるのは新鮮です。
こちらは都心方面。関東平野ってほんとに大きいですよね。
最大望遠にすると、スカイツリーが写りました。
手前の丸いのが西武ドーム。奥のビル軍は新宿副都心ですね。
少し離れたところにポツンと立っているのは、横浜ランドマークタワー。この建物70階まであるのですね。池袋のサンシャインビルと同じく60階だと思ってました。
ちょっと方向が違いますが、北には湖もみえてました。方向的に浦山ダムかと思います。そんで、堰き止められてできた湖は秩父さくら湖という名前みたい。ちなみに浦山ダムにある食堂では、浦山ダムカレーが食べられるんだそうです。ダムにカレーはもはや定番なんですね。
日向沢ノ峰山頂

今回の山行ルート上の展望ポイントの二つ目は「日向沢ノ峰山頂」です。

「日向沢ノ峰」の山頂からは南西方面の展望が得られます。

近いところでは御岳山、中間は石尾根、遠くは富士山まで確認することができます。

この山頂も非常に狭く、一人滞在してたら満員です。

先客がいらっしゃったら、写真だけ撮って移動してしまいましょう。

ギャラリー

「日向沢ノ峰」山頂です。新しく設置された案内板は、もうすでに外れ掛かっていました。ロープで括っただけなのは、ちょっと手抜きが過ぎたのかもですね。
この鉄棒の先に富士山が見えるはずですが、この日は雲に隠れてしまいました。
ズームしてみると右側の裾野がチラ見してますね。
こちらは、石尾根最高峰の雲取山と長沢背稜の芋木ノドッケです。
川苔山山頂

今回の山行ルート上の展望ポイントの三つ目は「川苔山山頂」です。

この山頂からは、西方面への展望が得られます。

特に、石尾根の山並みが必見で、山頂碑の奥に広がる連なりを眺めて山座同定するのが楽しいです。

北方面に目を向けると木々の隙間から長沢背稜の山々も見えるので、一緒に楽しんでしまいましょう。

ギャラリー

「川苔山」山頂です。山頂碑の裏に石尾根とか長沢背稜とかの山々を眺めることができます。
代表的なところで、石尾根の雲取山、鷹ノ巣山です。
木々に隠れてしまってますが、この日登ってきた「蕎麦粒山」も見えていました。
百尋ノ滝

今回の山行ルート上の展望ポイントの三つ目は「百尋ノ滝」です。

40mの高さから落ちてくる滝の様子は迫力ありますが、寒波到来のこの日は、滝壺が凍りついてさらに近くまで近寄ることができました。

滝の様子も、完全凍結とは至りませんでしたが、脇を固める巨大な氷柱群に滝壺に積み上がった大量の氷たちが素晴らしく見応えありました。

冬場の渓谷ルートは、難易度がさらに一段上がってしまいますが、訪れる価値は十分あるので、チェーンスパイク等の冬装備を揃えて訪れてみてくださいね。

ギャラリー

「百尋ノ滝」を遠目に見た様子です。
滝壺が凍っていたので、近くまで寄って見上げてみました。かなりの迫力です。
滝の中心は滔々と流れ落ちてましたが、両脇は大量の氷柱ができてました。
足元はこんな感じです。念の為、乗っかる前にチェーンスパイクでガシガシやってみましたが、びくともしないほど凍っていました。

今回の山行での服装

今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。

同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。

山行中のコンディション

  • 天候晴れのち曇り
  • 気温:0〜6℃
  • 活動場所:標高1,200〜1,300m

行動時の組み合わせ

  • ベースレイヤー:中厚手の長袖Tシャツ
  • ミドルレイヤー:なし
  • アウター:ソフトシェル
  • ボトムス:厚手の長ズボン、厚手のソックス
  • その他:手ぬぐい、ネックゲーター、中厚手の手袋、チェーンスパイク

公共機関移動時の組み合わせ

  • ベースレイヤー:中厚手の長袖Tシャツ
  • ミドルレイヤー:厚手のフリース
  • アウター:薄手のダウンジャケット
  • ボトムス:厚手の長ズボン、厚手のソックス
  • その他:薄手手袋

今回は、森林地帯を歩いている分には暖かい部類でしたが、稜線に出てからは冷たい風が吹き付けてくる山行となりました。

このため、歩き始めは中厚手の長袖Tシャツで丁度良い感じでしたが、途中からソフトシェルを風除け代わりに羽織っての活動となりました。それでも、停滞していた時には二の腕あたりに吹き付ける風に冷たさを感じたので、ミドルウェアも着込んでおいた方が安全だったかもしれません。

この日は、下山途中の林道歩きの途中で日が暮れて寒さが更に増してきたので、帰路に着くバスを待つ間に、フリースとダウンジャケットも着込んで完全防備で帰路につきました。

日が落ちた奥多摩の山中でも、ここまで着込んでおけば顔以外は寒くは無かったです。

公共機関での移動の際も、同じくフル装備に着込んでいましたが、電車の長椅子から登ってくるヒーターの熱気が強くて、始終おしりがムズムズしてたのは困った点でした。

それでも、当分は厚手のズボンを使う予定です。

以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。

あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。

ギャラリー

スタート地点「川乗橋」での気温は0℃。山での気温だと暖かい部類です。
今回の最高地点「蕎麦粒山」での気温は-6℃。風があってソフトシェル着てても、停滞中は寒く感じました。
下山途中の細倉橋の気温で-1℃かな。この時点で17時過ぎていましたが、日が完全に落ちてはいなかったので、これぐらいの温度で済んだようです。

山行の記録

ここからは、今回の山行について述べていきます。

アプローチ

今回は、JR奥多摩線「奥多摩駅」から、西東京バス東日原行きに乗り込み「川乗橋停留所」で下車してスタートすることとしました。

「奥多摩駅」までのアプローチは、次のとおりです。

  • 「東京駅」から、JR中央線で「立川駅」へ
  • 「立川駅」から、JR青梅線青梅行きに乗り換えて終点「青梅駅」へ
  • 「青梅駅」から、JR奥多摩線に乗り換えて終点「奥多摩駅」へ

途中のおトイレは「奥多摩駅」構外のものをお借りするのが、タイミング的にも良いでしょう。

「立川駅」にもありますが、青梅線は席が埋まりやすく、終点まで向かうことを考えると座席確保の方を優先させたいところです。

「青梅駅」での乗り換えは同じホームの隣に乗り換え車両が止まっている状態なので、おトイレのためだけに便を見送って改札方面に降りていくのは、ちょっとナンセンスに感じます。

注意点は、東日原行きのバスに間に合うように寄り道する点でしょうか。

身支度は「川乗橋停留所」に設置されている椅子の一つをお借りして整えましょう。

関連リンク

今回使った西東京バスと駅探の公式HPを載せておきます。プラン立案時の参考にしてくださいね。

ギャラリー

東京駅からJR中央線で立川駅へ。ここでは、立川駅での乗り換えに備えて前より3番目の車両に乗っておきましょう。
立川駅からは、青梅線に乗り換えて青梅駅へ向かいます。なお、この階段から青梅線を下車した大勢の人が駆け上がってくるので、接触事故をおこさないようご注意ください。
終点の青梅駅到着です。お隣ホームに止まっている奥多摩線に乗り換えます。
奥多摩線は単線なので、上り電車の待ち合わせでチョイチョイ停車します。ここ、御岳駅もその一つで、5分ほど停車します。折角なので、御岳山が赤く染まる様子を眺めてました。
奥多摩駅に到着です。正面入り口を出てすぐ右に東日原行きのバス停があります。すでにバスは止まってましたが、おトイレに立ち寄りたいので反対側へ。
青梅駅のおトイレです。以前はばっちい感じだったのですが、建て替えてからとても綺麗になりました。手前には靴の洗い場もあるんです。さすが、ですね。
奥多摩駅正面です。左下に停車しているのが、東日原行きのバスです。おトイレに行っている間に座席は満杯になってました。みんなおトイレどうしてるんだろうか。電車内には無かったはずなんだけどなー。
立ち乗りのまま30分ほどバスに揺られると、「川乗橋停留所」に到着です。据え置きの椅子をお借りして身支度整えます。
渓谷ルートに進む人たちが出発し終わったところで、ゆったりとスタート。ゲートの左端の隙間から林道を進みます。

西東京バス「川乗橋停留所」〜笙ノ岩山

川乗橋停留所で身支度を整えたら、閉鎖しているゲートの隙間を通り抜けて林道を進みます。

5分も進むと、進行方向左手の石垣の中に「蕎麦粒山」と手書きされた案内板が立っているので、石垣に乗っかり、そちらに進みます。

「細倉橋」へ向かう林道を足下に見つつ九十九折りの急坂を登っていくと徐々に尾根っぽい林間の道になっていきます。

このあたりは、踏み跡もしっかりとついていますし、尾根筋を進むので迷うことはないだろうと思います。

順調に高度を上げていくと、虎柄の長いロープが設置された急坂区間に入ります。

ここがなかなか厄介で、ざらざらの砂地の上に枯葉がこんもりと盛られて大変滑りやすいです。

ズルッとなるたびに、結構体力を消耗するので、しっかりと埋まっている石や木の根に足を載せるようにして、足元安定させながら進むと少しはマシかと思います。

何度かロープを変えて、厄介な区間をパスしたら、あとは細かなアップダウンを処理して行けば「笙ノ岩山」に到着です。

木々に囲まれた場所なので、スカッとした展望は期待できませんが、葉の落ちた枯れ木の合間からは、石尾根や長沢背稜、そこから東に続く都県境の山々の連なりをぐるっと確認できました。

意外と好立地なのかもしれませんね。

ギャラリー

入り口のお地蔵さまにご挨拶してスタートです。
ゲートを潜って林道を歩きます。
最初の左カーブに差し掛かったら
石垣の上に案内板が出ているので、そちらに登っていきます。
九十九折りの坂道を登っていきます。
足元には、「細倉橋」へ向かう林道が見えてます。
道中は、ガイドのテープがいっぱい次いているのでそいつを頼りに進みます。
しばらく進むと、植林地帯に入り
更に進むと自然林に戻ってきます。
30分ほど進むと、長いロープが張られた急坂区間に入ります。
ロープの太さはこんなもんです。細いし滑るので、頼り切るにはちょっと厳しいかな。
急坂区間を抜けたら、しばらく穏やかな尾根歩きとなります。
陽の光が完全にシャットアウトされるわけでは無いので、そこそこ明るいですが、足元の雪が溶けるほどの日差しは入らない感じでした。
随所にある案内板。逆方向への案内ばかりなので、降りで使うと、きっと迷いやすいんでしょう。
林の中を淡々と1時間30分ほど歩けば
まず最初のピーク笙ノ岩山に到着です。展望はあまり良く無いので、ざっと眺めたら先に進みます。

笙ノ岩山〜蕎麦粒山

笙ノ岩山を通過したあとは、しばらく降り坂を降ります。

そして、傾斜の穏やかな細尾根に入りますが、このあたりは南側の木々がまばらで、意外と眺めが良いです。

川苔山や大岳山、関東平野も少しだけ眺めることができました。

その後は、アップダウンを繰り返して蕎麦粒山と思われるピークに向かって淡々と林の中を進む形になります。

日差しがほとんど入らないからか、この日は多くの区間で積雪を確認できました。

どれもサラサラのパウダースノー状態でチェーンスパイクは不要で進めましたが、時期によっては雪が腐っていたり、凍りついていたりするかもしれません。

多少重量が増すとしても、万全の装備で訪れた方がよいでしょう。

そして、「蕎麦粒山」直下の急騰区間に入っていくことになりますが、ここもなかなかの難所でした。

乾いた時期であれば、ただの急坂区間ですが、パウダースノーが積もった急坂で何度か足を取られて地面に手をついてしまうシーンがありました。

急坂を登り詰めると「蕎麦粒山」を巻いていくトラバース道との十字路に辿り着きます。

そこから更に急坂を10分ほど登れば「蕎麦粒山」山頂に到着です。

狭い山頂ではありますが、周囲から一つ飛び出たピークなだけあって、なかなかの眺めを楽しむことができます。

滞在中の人が少ないようだったら、是非、ここで一服入れていくのが良いでしょう。

ギャラリー

笙ノ岩山から先は、細かいアップダウンの続く尾根道を進みます。
たまに、南側の視界が開ける場所があって、関東平野をちょっとだけ眺めることができます。
写真中央から左よりに大岳山が見えますね。左肩が持ち上がっているピークなんですが、わかりますかね。
標高が上がってきたからか、溶けてない雪が増えてきました。
基本的に、ガイドのテープに沿って進めば良いはずですが、GPS地図で確認しながらの方が安心です。めんどくさがらずに都度都度確認しましょう。
古いワイヤーがありました。何につかってたのかな。
このあたりは人がほとんど入らないみたいで、新雪状態ばかりでした。新雪に足跡つけるのって、たのしーですよね。
そして、ググッと急坂を登ると案内がみえてきます。
「蕎麦粒山」を巻く道との交差地点でした。巻道はどちらも通行禁止のようです。今回は関係無いのでまっすぐ進みます。
傾斜のある直登を登っていくと
ピークと思われるとんがりが見えてきて
「蕎麦粒山」に到着です。ピーカンとはいきませんでしたが、それでも素晴らしい眺めが楽しめました。

蕎麦粒山〜日向沢ノ峰

「蕎麦粒山」山頂での滞在を満喫できたら展望の開けた南方向へ降ります。

遠目には直登に見えるこの区間ですが、実際には、細かな九十九坂でできています。

それでも、きつめの傾斜になっているので滑って転げ落ちないようにしつつ慎重に下ってください。

急坂を降り切ったら、登り返しの急坂がありますので、淡々とパスしていきます。

この登り返しを通過した後は、穏やか且つ、日差しの入る明るい稜線歩きとなります。

今回の山行の中で随一の明るい山道で気分も上がりますが、風をもろに浴びる区間なので防風着を羽織っておいた方が良いかもしれません。

30分ほど気持ちの良い稜線歩きをこなしていくと、有間山への分岐、棒ノ折山への分岐と立て続けに枝道が現れますが、共にスルーして稜線を進みます。

そして、ちょっとした登り坂を登ると「日向沢ノ峰」山頂に到着です。

「川苔山」から向かうと、途中に岩壁みたいな急坂があって絶望的になるのですが、反対側はすんなり登れてしまうようです。

「日向沢ノ峰」山頂は人一人分のスペースしか無いので滞在向きではありません。

富士山が見えないようだったら、ささっと通過してしまいましょう。

ギャラリー

「蕎麦粒山」からの眺めを堪能したら、眼下に伸びる白い尾根道に降りていきます。
最後に山頂を振り返った様子です。結構狭くて、三人ぐらいしか滞在できないんですよね。
山頂直下の急坂を降ります。日が当たる南面なので降雪は気にならないのですが、泥濘で滑りやすいのに難儀しました。
急坂を降り切って一度振り返ってみて、やっぱり急坂だなあと確認したら
目の前の登り返しの急坂に取り掛かります。
急坂を登り切りましたが、案内板が立っているだけなので、ささっと通過してきます。
そして、ここから明るくなだらかな稜線歩きに入るので、ちょっと楽しくなってきます。
途中、こんな岩場もありますが
基本的に平坦な道が続きます。
なんかちょっと石尾根の稜線に雰囲気が似てると思うんですけど、他人の空似かなー。どうかなー。
そんな考え事をしながら30分ほど歩くと、棒ノ折山への分岐地点が見えてきました。
ここから「日向沢ノ峰」直下の急坂かーと身構えながら登ってみると
5分程度で山頂に到着してしまいました。南側から登るとエラい坂道を登ってくることになるのですが、北側は割とすんなり登れてしまうのですね、勉強になりました。

日向沢ノ峰〜川苔山

「日向沢ノ峰」を通過したら、今回の山行では最後となるピーク「川苔山」へ向かいます。

10分ほど穏やかな稜線を降ると、ガクッと落ち込んで行く急坂の降りにはります。

正面に「川苔山」の見事な山容が見えますが、あまり見惚れていると転げ落ちてしまうので、ある程度で我慢しておきましょう。

急坂を降り切ったら、今度は細かいアップダウンを数回こなして行くことになります。

このあたりから、疲労蓄積が気になってくるかもしれません。

ゆっくり一歩ずつ地道に歩みを進めてくださいね。

何度目かの登り坂をクリアして、2基の長椅子が設置された広場を通過したら「川苔山」山頂に到着です。

いつもは賑わいをみせる山頂ですが、14時30分を回った時間だとガラガラです。

山での定番ルール「15時までには下山」を考えたら当然の状態といったところでしょうか。

そのようなわけで、ここでも停滞はせずに「百尋ノ滝」へ向かって早足で降りて行くことにします。

ギャラリー

「日向沢ノ峰」山頂を後にして、今回最後のピーク「川苔山」へ向かいます。
5分ほど穏やかな稜線を進みます。
西方面に目を向けると、午前中歩いてきた「鳥屋戸尾根」が確認できます。
尾根を北へずーっと辿っていくと「蕎麦粒山」に至るのがわかりますね。
しばし、眺めを楽しみながら進んでいくと、徐々に傾斜が急になっていき
下からみると絶壁にみえる岩場の上部に辿り着きました。
覗き込むと、足下に道が続いていますが、ここから降りるのは少々めんどくさそうなので、脇っちょにある九十九折の坂を下ることにします。
道成に降ろうとしたところ
途中から林の中に入ってしまい、足元が積雪で不安定な急坂を下ることになったので、チェーンスパイクを装着して凌ぐことにします。
チェーンスパイク考えた人、神だよなーと感心しながら無事に急坂地帯を通過して、岩場を見上げます。まっすぐ降りなくてよかった。
ここからは、細かなアップダウンを繰り返して進んでいきます。
途中、川乗橋へ続く林道への分岐がありました。
除いてみると、林を抜けた先に林道の起点が見えました。この道を辿っていくと「百尋ノ滝」の上流を見ることができるようなので、次来る時は、この道を進んでみようかなと思います。
その後、淡々と稜線を進み
閉鎖中の獅子口への分岐を通過
巻道に入って
腐り気味の雪道を進んでいきます。
そして、眺めの上り坂を登り切ったところで
古里駅と「川苔山」への分岐地点に到着です。当然、「川苔山」へ向かって右折です。
「川苔山」の山頂を眺めながら進んでいくと
長椅子のせっちされた広場にでます。ここは三つに分岐していて「川苔山」以外に「百尋ノ滝」、鳩ノ巣駅へ向かうことができます。ここは予定通りまっすぐ「川苔山」山頂に向かいます。
最後の急坂を上り詰めると
「川苔山」山頂に到着です。お昼時には混雑する山頂ですが、14時過ぎてからの訪問だとガラガラです。誰に気兼ねすることなく写真を撮ったら「百尋ノ滝」へと降下していきます。

川苔山〜百尋ノ滝

「川苔山」から「百尋ノ滝」に降るルートは大きく2つあります。

  • 足毛岩を経由して降って行くルート
  • 山頂の北面を降って行くルート

どちらも時間的には変わらないのですが、気分的にトラバース箇所の少ない前者で降って行くこととしました。

登りで使う時には息の弾む急坂も降りだとスイスイと思うかもしれませんが、登山は降りの方が筋肉を使うのであまり変わりません。

重力を味方につけられるのでスピードは稼げますが、疲労度合いはあんまり変わらないです。

特に急坂の降りは、適宜ブレーキを掛けながら進む必要があるので余計に疲れます。

そのようなわけで、額にじんわり汗をかきながら階段、鎖、木橋と処理していくと「百尋ノ滝」に到着です。

この日かなり冷えてましたが、落差40mの大滝を完全凍結させるまでは至らず、周囲の巨大な氷柱を拵えるまでとなっていました。

いつか完全凍結した姿を見たいものです。

ギャラリー

ちょっと時間的に厳しくなってきたので、山頂直下の急坂を早足で降ります。
足毛岩の肩まで降りてきました。ここからはトラバース道になるので、少しペースを落として進みます。
陽の入らないトラバースルートなので、積雪が残っているので素のままの登山靴だとかなり怖いです。ここまでチェーンスパイク脱がないできたのは正解でした。
凍った沢を二つほど通過し
新しくなっていた木橋を通過します。
もう一つ沢をこえたところで
足毛岩の分岐まで到着です。少なくとも薄暗くなる前に渓谷を抜けたいので、ここも足速に通過していきます。
沢を渡って
砂混じりの雪道を進むと
最後の急坂区間に到着です。
ここも止まることなく降っていきます。
滑落注意の案内が至る所に立っていて、少し緊張します。
鉄の階段を下る時にちょっとズルっといきかけましたが、踏みとどまって進みます。こういうスパイクが突き刺さらないところだと、チェーンスパイクは逆に不安定になりますね。
鎖場を通過して
階段を降りると「百尋ノ滝」が見えてきました。
写真だとわからないですが、この日の百尋ノ滝は、夕日を浴びて虹を作っていて、とっても幻想的でした。

百尋ノ滝〜西東京バス「川乗橋停留所」

「百尋ノ滝」での記念撮影が終わったら、少し早足で渓谷を降ります。

途中に凍結箇所があるだろうことを見込んでチェーンスパイクは装着したまま降っていきます。

チェーンスパイクは、固くなった雪道やアイスバーンには強い反面、パサパサのパウダースノーや深雪、そして岩場には弱いという特徴があります。

この渓谷ルートは、岩や大石が敷き詰められた場所を何ヶ所か通過するので、最初から最後までハイペースで降ることはできませんでしたが、完全に日が落ちる前に細倉橋まで降りてくることはできました。

その後の林道歩きでは、途中から暗闇の中を駆け降りることになりましたが、17時台のバスには間に合うことができ、無事に奥多摩駅まで戻ることができました。

ギャラリー

「百尋ノ滝」での滞在を終えたら、渓谷ルートの入り口「細倉橋」に向かいます。
対岸を見上げると、林道の一部がみえていました。次回はあそこを通ってみたいところです。
あんまり見上げていると滑落してしまうので、ここからは前方に集中して進んでいきます。
九十九折の岩場を降り
沢の近くまで降りてきました。
ちょっと揺れる橋を渡って
対岸の道を進みます。
しばらく進むと、橋が掛かっているので対岸に渡って進んでいきます。
そんな感じに何度か対岸に渡りつつ進んでいきます。
途中、完全に凍った小滝などを眺めつつ進みます。
流石に、本流は凍る気配も無く、滔々と流れていました。
所々にある凍結した道。チェーンスパイク外してなくてよかったパート2ですね。
順調に1時間ほど降ると
前方に林道が見えてきて
細倉橋に到着です。ひとまず、明るいうちに渓谷を通過できてよかったです。
徐々に陽の暮れていく中、林道を進みます。
見上げると、夕日に染まった薄紅色の雲が綺麗でした。
すっかり暗くなってしまった林道を進みます。ちょっと怖いので駆け足です。
パタパタと進んでいくと、今朝のスタート地点が見えてきました。ゴールまであと少しです。
前方に目をやると、街灯の明かりがみえてきて
「川乗橋」のゲートに到着です。
バスの到着時間まで10分。人も車も全く通らない山の中でポツンと待ちます。たかが10分だけれども、ちょーおっかねー。
5分遅れでバスが到着です。この程度の遅れで助かりました。
そして、「奥多摩駅」に到着です。
帰る前に、もえぎの湯に寄り道しようと向かってみたのですが、12月〜3月の期間は受付終了時間が1時間繰り上がりになるようで、間に合いませんでした。残念です。もえぎの湯については別記事にまとめているので、こちらもご覧くださいね。
仕方が無いので、氷川キャンプ場の灯りを眺めて奥多摩駅へ戻ります。たのしそーだなー。
そんなわけで、この日はお風呂はお預けで帰路に着くことになりました。お疲れ様でした。

まとめ

奥多摩「蕎麦粒山」への登山ルート「鳥屋戸尾根」を歩いてきた様子でした。

「鳥屋戸尾根」は、破線ルートではありますが、人は頻繁に入っているようで、踏み跡やガイドテープの類はしっかりとしていました。

下山路として使った場合に枝道に迷い込む恐れがあるとのことですが、随所に行き止まりのロープが貼ってあったので、そのあたりも考慮したメンテナンスをしてくれているようです。

この状態ならば、普通の山道を歩くのと変わらないかなと思います。

正規ルートでは無いのに、ありがたいことですね。

ただ、それに甘えて情報収集を怠ったり、適当な装備で赴いてしまうと危険度は跳ね上がります。

簡単そうに見えて破線ルートです。

人の往来は皆無とみなして、何かあった時は全て自分で面倒見るつもりで装備を整えてから訪れるのが良いように感じました。

もし、歩いてみたいようでしたら、この点を踏まえてチャレンジいただくのが良いかと思います。

それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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