昨年2021年8月から長期閉鎖されていた川苔橋からの渓谷ルート。
今年2022年7月に開通と聞いていたのですが、富士登山に忙しく後回しにしていました。
富士山開山シーズンも無事に終わったことなので、今回はこのルートを含めて川苔山登頂をしてきました。
これから奥多摩も紅葉シーズンに入っていきます。
ここも紅葉時期はとても素晴らしい景色となるようですので、予習を兼ねて読んでいってもらえたら騒いです。
また、後半は未踏だった赤杭尾根(あなぐなおね)を歩いてみたのですが、途中で迷走してしまい、なにかと反省の多い山行となりました。
人の失敗談なんて大して面白いものでは無いですけれど、何か得るものがあるかもしれません。
できれば、最後まで読んでいってもらえたら幸いです。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
川苔山(かわのりやま)
川苔山は、川乗山とも呼ばれる東京都西多摩郡奥多摩町にある里山です。
標高は1363.3mと大して高くはありませんが、初級から中級まで様々な登山ルートが整備されており、いつも誰かしら登っている奥多摩を代表する里山の一つです。
特に、西東京バス「川乗橋停留所」からスタートする渓谷ルートは、途中に奥多摩を代表する名爆「百尋ノ滝」があり、非常に人気の高いルートになっています。
主な登山ルートは以下の通りです。
- 西東京バス「川乗橋停留所」から細蔵橋、百尋ノ滝と渓谷を歩いて登るコース(中級)
- JR奥多摩線「鳩の巣駅」から舟井戸を経由して登るコース(初級)
- JR奥多摩線「奥多摩駅」から本仁田山を経由して登るコース(中級)
- JR奥多摩線「古里駅」から赤杭尾根を登る尾根筋コース(中級)
- JR奥多摩線「川井駅」から同じく赤杭尾根を登る尾根筋コース(中級)
- 日向沢ノ峰方面から縦走してくるコース(中級)
並べてみるとかなりのルートがありますね。
なお、昔は山頂直下に茶屋があったようですが、今では廃業となっています。
百尋ノ滝(ひゃくひろのたき)
百尋ノ滝は、川苔山と同じく東京都西多摩郡奥多摩町にある、奥多摩を代表する名爆の一つです。
落差は40mとなっていますが、滝壺直前から見上げるともっとありそうな迫力を感じることでしょう。
都内のビルに見立てると12から13階建てのマンションくらいの高さになるようです。
これで、大体の高さイメージできるでしょうか。
水量は豊富で、途中の岩場に当たり無数の筋に分岐して落ちていく様は細糸を無数に垂らしたような幻想的な美しい姿をしており、絶景スポットとして大人気の場所となっています。
厳冬期には、これらが完全に凍りついて氷瀑となり、更なる絶景を魅せてくれるようですが、アイスバーン必須の渓谷ルートを踏破するのにはそれなりに覚悟がいるため、ビビって未踏のままにしていますが、いつか覗きに行ってやろうと思います。
なお、百尋という名前の由来ですが、昔使っていた尺度になるみたいです。
一尋=1.818mということなので、百尋=181mとあり得ない高さになっていまいますが、まあ、それだけ高い落差があるということなんでしょうね。
ちなみに、くじらの小腸とは無関係のようです。
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1358 m
最低点の標高: 259 m
累積標高(上り): 1708 m
累積標高(下り): -1894 m
総所要時間: 06:53:44
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントは、次の通りです。
百尋ノ滝
今回の山行ルート上での展望ポイントの一つ目は「百尋ノ滝」です。
展望というか、見上げる滝の様子が本当に絶景な場所になります。
あなたが奥多摩へ日帰りできるところに住んでいて、且つ、山遊びをしているならば、一度は赴いたことがあると思います。
もし、万が一、本当に万が一にも、一度も赴いたことが無いようだったら、騙されたと思って直ぐに足を伸ばしてください。
足元シースルーな数々の木橋をクリアし、たどり着いた滝壺から、首が直角になるように見上げる瀑布はそれはそれは見応えがあって、不思議なパワーを感じることでしょう。
なお、人気の撮影スポットなので、最前列に長時間陣取るのはやめておきましょう。
ギャラリー
動画でも撮影してみました。こちらもついでに眺めてってください。
川苔山山頂
今回の山行ルート上での展望ポイントの二つ目は「川苔山山頂」です。
川苔山は、石尾根方面への眺望に優れていて、特に形に特徴のある雲取山などを見ることができます。
山頂にはベンチが多数あるので、腰を下ろしながらのんびりと眺めを楽しむことができますよ。
冬場に入り、木々の葉が枯れ落ちると、長沢背稜の蕎麦粒山や天目山、富士山も見えるようになってきます。
このため、訪れるのなら寒い時期が個人的にはおすすめです。
で、今回は展望を拝めたこちら側を上げさせてもらいました。
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注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は次の通りです。
細倉橋から百尋ノ滝に至る区間
今回の山行ルート上の注意した方が良い区間の一つ目は「細倉橋から百尋ノ滝に至る区間」になります。
このルートは渓谷の両脇を、木橋を何度も渡りながら高度を上げて歩いていき、最終的には「百尋ノ滝」まで到着することができるルートです。
非常に景観が良い反面、場所によっては、人一人交差するのも厳しいような狭い道を歩くことになります。
足を滑らせたら急流に飲み込まれて、そのまま命を落としかねない場所も結構あるので慎重に通過する必要があります。
当たり前のことですが、雨や雪が降った後に通過するのには全く適していないので、現地の天気が芳しく無い時には、足を踏み入れずに撤収することも視野に入れておいてください。
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ズマド山への尾根筋を進む区間
今回の山行ルート上の注意した方が良い区間の二つ目は「ズマド山への尾根筋を進む区間」になります。
赤杭山の山頂を過ぎたあたりでは、まだ明瞭だった道も、古里駅との分岐を過ぎてからは不明瞭な踏み跡にかわっていきます。
特にズマド山のピークを踏んでいく尾根筋を進んでしまうと、急坂の道なき道を登り降りすることになります。
踏み跡が皆無なだけの平坦な尾根道であればさして問題にもなりませんが、前方につんのめりそうになる急坂をじわじわと降っていくのは、精神力をゴリゴリに削られます。
巻き道の方も谷側に傾斜した砂利道を通過する必要があり難路ではありますが、尾根道を進むに比べたら進むべき道はわかりやすかったので、通過するだけであれば巻き道を進むことをお勧めします。
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今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス、スパッツ
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
今回の山行は、
- 天候:晴れのち曇りと良好
- 気温:下界の気温は30℃まではいかないまでも暑さは感じる程度
- 活動場所:標高2,000mクラスの低い場所
ということで、始終半袖Tシャツで問題無く過ごせました。
ただ、赤杭尾根の木々をかき分けて進む際には、素肌が露出していることで葉っぱが当たってチクチクとしてしまいましたので、薄手の長袖でも良かったかもしれません。
帰りの電車も、窓を開けている車両が多くて冷え過ぎずに過ごせました。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、「川乗橋停留所」から渓谷ルートを進むアプローチとしました。
「東京駅」からのルートは
- 中央線で「立川駅」へ向かい、青梅線に乗り換え
- 青梅線で終点「青梅駅」へ向かい、奥多摩線に乗り換え
- 奥多摩線で終点「奥多摩駅」へ向かい、西東京バスに乗り換えて「川苔停留所」で下車
となります。
途中で立ち寄れるおトイレは奥多摩駅になります。
細倉橋の登山口にもおトイレがあると聞くことがありますが、今回の山行では確認できませんでした。
場所は、改札を出て左折してすぐとなります。かなり綺麗なので、綺麗に使ってくださいね。
ちなみに、ここのおトイレの正面には、靴洗い場もあるので「奥多摩駅」に下山した時には立ち寄っていくと良いです。
おトイレをすませたら1番のりばより、東日原行きのバスに乗り込みます。
「川乗橋停留所」には、ちょっとした椅子が設置されています。
これらをお借りして身支度を整えて出発しましょう。
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西東京バス「川乗橋停留所」〜細倉橋
「川乗橋停留所」からはゲートを抜けて「川乗林道」を歩きます。
一本道なので迷わないですが、この林道はちょいちょい業者のトラックが通過していきます。
後ろからのエンジン音には注意して歩くようにすると良いでしょう。
遥か下方に流れる川の音を聞きながら1時間ほど車道歩きをこなしていくと、ベンチが3つほどならんだ先に「細倉橋」が見えてきます。
この橋を渡った反対側に水力発電小屋が立っており、その脇から渓谷ルートに入っていくことになります。
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細倉橋〜百尋ノ滝
「細倉橋」の脇から渓谷ルートのスタートです。
このルートでは、ところどころに見え隠れする名も無い滝や渓谷の景観を楽しみながら歩くことができます。
ただし、足元は細くて片側が切れ落ちた登山道です。
足を滑られて落ちると大怪我につながります。
場所によってはそのまま人生終了してしまう場所もありますので、景色に見惚れて足元が疎かにならないよう注意しながら進んでください。
いくつかの木橋を通過して、高度を上げていくと1時間ほどで「川苔山」と「百尋ノ滝」との分岐地点に到着します。
ここから、急坂を下って5分ほどで「百尋ノ滝」となります。
木々の間から垣間見える滝の様子は大変に美しいので、長く眺めていたくなりますが、滞在できるスペースが狭いので、後続が詰まっているようでしたら、長居はせずにある程度のところで譲ってあげてくださいね。
また、滝壺の直前まで進むには、沢の中を通過する必要があります。
慣れていないと、転倒して登山靴の中までずぶ濡れになるかもしれません。
くれぐれも無理しない範囲に留めてくださいね。
一通り楽しんだら、「川苔山」への分岐まで戻って、山頂方面へ向かいます。
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百尋ノ滝〜川苔山
「川苔山」山頂への分岐からは、急坂の岩場が続きます。
最近整備されたのか真新しい鎖が設置されています。
必要により補助に使いつつ、登っていくと良いでしょう。
30分ほど登ると、「足毛岩分岐」に到着です。
どちらからでも山頂まで到着できますが、今回は「足毛岩の肩」経由で進むことにします。
二度ほど沢を渡渉して山道を登ると、「芦毛岩の肩」と書かれた案内が見えてきて急坂区間に突入です。
結構、息の切れる傾斜になっていますが、手を使ってよじ登るような箇所はありません。
急坂を登り切れば、山頂に到着です。
山頂にはベンチが数基設置されていますので、空いている席に座って、石尾根への眺めを楽しみつつゆっくりしていってくださいね。
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川苔山〜赤杭山
「川苔山」の山頂で、展望を楽しんだら反対側へ降っていきます。
「鳩の巣駅」への分岐と「日向沢ノ峰」への分岐の分岐を通過して、そのまま尾根筋を降っていきます。
途中で、林道に降りて進むことになりますが、この道は車両通行止めになっているようなので、車が行き来することは無いようです。
程なくするとバリケードが見えてきて、その直後に「古里駅」と書いてある案内板があります。
この案内を見落とさないように分岐に入ってください。
この辺りまで道自体は明瞭で迷わないと思いますが、人通りが無いため夏場は蜘蛛の巣や蓑虫がすごいです。虫が苦手なようなら暖かいうちは訪れるのは控えた方が良いでしょう。
「赤杭山」山頂は山頂の案内板のみで展望はありません。
休憩に適したベンチや岩なども無いので、思うところが無いなら、そのまま通過してしまいましょう。
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赤杭山〜ズマド山
「赤杭山」を通過し、尾根筋を降っていくと「古里駅」と「川井駅」の分岐地点に到着します。
今回は「川井駅」方面へ向かって進みます。
分岐から少し進むと、尾根筋を進む道と巻道との分岐が見えてきます。
尾根筋には通行止めを示すように丸太が置いてあります。
旺文社「山と高原地図」アプリで見ると巻道が正しいルートを示しているように思います。
このため、一度は巻道を進んだのですが、どうも踏み心地がフカフカで歩き固められていないように感じてしまい、分岐まで戻ってしまいます。
そして今度はYamaRecoアプリでルートを調べてみると、尾根筋を行く道が正しいルートを示しているようだったので、丸太を跨いで尾根筋を進むことにしました。
しかし、これが誤りのもとだったようで、ここからは道なき道を進むことになります。
「ズマド山北峰」なる案内を過ぎたあたりから、徐々に獣道に近い踏み跡の薄い道になっていき、「ズマド山」なる案内のぶら下がった三角点を過ぎてからは、獣道も見失ってしまい。
林の中を巻道との合流地点に向かってまっすぐに降下していくことになりました。
崖では無いので、転げ落ちても命の危険はほぼ無いのですが、それでも大怪我を負ってしまい行動不能になる恐れはあります。
神経をすり減らしつつ、慎重に木々を掴みながら降りていくこと1時間。
ヘトヘトになりながらも、ようやく巻道と合流することができました。
その後は、明瞭となった山道を蜘蛛の巣をかき分け、顔にかかった蓑虫を払って進んでいき、二つの排水所を通過したところで、川井駅方面からの登山口に到着できました。
あとは、村落の道だけです。
安堵しながら「多摩大橋」の眺めを楽しみながら「川井駅」まで降り、奥多摩線で帰路につくことができました。
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おまけ
今回は汗だけでなく、蜘蛛の巣や蓑虫の糸で頭上が汚れてしまったので、どうしてもお風呂に入ってから帰りたいと思い、「河辺駅」で途中下車して「河辺温泉 梅の湯」に立ち寄っていくことにしました。
ここは、奥多摩から都内へ向かう途中駅となるので、御岳山、高水三山など、近場に入浴施設の無い山に登った後に立ち寄るには便利な施設のようです。
この日もザックを担いだ方々がたくさん途中下車していました。
ビルの5階6階にあるとのことで、どこからか温泉水を買ってきて沸かしているのかもしれませんが、体を綺麗に洗う分には十分ですし、温泉であることには変わらないので全然オッケーです。
施設内もとても綺麗で、ザック置き場所も用意してくれている登山者に優しいお店でした。
また再訪しようかな。
「梅の湯」については、次の記事に詳しくまとめています。一緒に見ていって下さいね。
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まとめ
川乗橋から百尋ノ滝を眺めて、川苔山へ登頂した様子でした。
山行の前半は、非常に気持ちの良い快適な山行だったのですが、後半に誤って「ズマド山」への尾根道に入り込んでしまってからは、道なき急坂を小まめに方向修正しながら降下していくこととなり、神経をすり減らす気疲れの多い山行となりました。
家に帰ってYamaRecoアプリで歩いた軌跡を見直してみると、背景に表示される国土地理院の地図には道は無く、どうもサイト利用者の歩行記録をもとに示されたルートだったようです。
これだと、実際には土地勘がある地元の方だけが歩けるような道なき道だったとしても、踏み跡明瞭な普通の登山道と勘違いしてしまいそうです。
GPSアプリは便利ですが、ちゃんと紙の地図も併用してプランニングしていかないとちょっと危ないかもしれませんね。
今後は注意していきたいと思います。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
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