今季の富士山も閉山間際となってきたので、御殿場口新五合目からのロングルートにチャレンジしてきました。
結果はものの見事に途中敗退。七合五勺「砂走館」まで登ったもの疲労でモチベーションが維持できなくなったので、速やかに下山を決めて降ることにしました。
その際に、良い機会だったので未踏のまま放置していた宝永第二火口縁から富士宮五合目に続く区間を確認してから帰ることとしました。
この区間、2022年7月に道迷い遭難があった場所でもあり、少々気になっていたので、無事に踏破できて安心しました。
単純な道の多い富士山登山道の中で、珍しく道迷いが発生した区間、どのような感じなのか興味ありましたら、確認していってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/8/27
天候:晴れのち曇り
エリア:富士山エリア
コース概要:富士急バス「御殿場口新五合目停留所」〜御殿場新六合目〜御殿場七合五勺〜宝永山馬の背〜宝永第一火口〜宝永第一火口縁〜宝永第二火口縁〜富士宮五合目〜富士急バス「富士宮五合目停留所」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR東海道線「御殿場駅」から富士急バスで、「御殿場口新五合目停留所」へ
(帰)「富士宮口五合目停留所」から富士急バスで、JR東海道線「富士宮駅」へ
概要
御殿場ルート(ごてんばるーと)
御殿場ルートは、4つある富士山登頂ルートの中でも最長のルートで、その分難易度が高いです。
特に最初の山小屋「大石茶屋」から、新六合「半蔵坊」までの区間は、砂丘のような砂地が続き、体力の消耗が激しい区間となっています。
その後も、登り一辺倒の道が十合目まで永遠と続くため、健脚者以外は好んでは使わず、人の少ない静かな山行を楽しめるルートになっています。
興味ありましたら、一度チャレンジしてみてくださいね。
本ルートを含めて、主要登頂ルート4つについては、次の記事にまとめています。詳細はそちらをご覧ください。
宝永第二火口縁
宝永4年(1707)に富士山に起こった宝永大噴火では、大きな噴火口が3つできました。
その真ん中に当たる宝永第二火口の縁にあたる地点です。
この地点は三叉路となっていて、次の方向に進むことができます。
- 宝永第一火口縁への登山ルート
- 水ヶ塚公園への下山ルート
- 富士宮五合目への下山ルート
見晴らしの良い場所である反面、霧や暗闇の中で通過すると、案内板を見落としやすい場所にもなっています。
宝永第一火口縁から宝永第二火口縁を経由して富士宮五合目に下山しようとした場合、視界が悪いと謝って水ヶ塚公園方面へ永遠と降っていってしまう恐れがありますので、慣れなうちは視界が良好な時に通過するようにしてみてください。
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 3114 m
最低点の標高: 1440 m
累積標高(上り): 1895 m
累積標高(下り): -962 m
総所要時間: 06:24:49
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントは、次の通りです。
- 御殿場口七合五勺・砂走
御殿場口七合五勺・砂走館
今回の山行ルート上での展望ポイントは「御殿場口七合五勺・砂走館」です。
富士山は森林限界を越えてしまうと、どこからでも下界の絶景を見下ろすことができます。
このため、どこもかしこも展望ポイントになっちゃうんですが、標高が高い方が見渡せる範囲が広くなるので、同じ眺めでもパワーアップ感が強まります。
今回到着した最高地点は七合五勺でしたので、同地点からの眺めを特に展望の良い場所として紹介します。
この場所は、山小屋「砂走館」が設置してくれたベンチが多数あり、眺めを楽しみながら休憩するのにはもってこいの場所です。
特に海への眺望に優れていて、正面の相模湾を中心に、南に駿河湾、東に東京湾と広大な太平洋の広がりを堪能できます。
位置的に宝永山の真上に当たるので、宝永火口を見下ろす面白い構図も一緒に楽しめますので、山頂までの旅の休憩地点として是非、活用してみてくださいね。
なお、おトイレの前は少々匂いが気になりますので、この場でお食事を摂るなら、おトイレ前は避けておきましょう。
ギャラリー
注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は次の通りです。
- 宝永第二火口縁
宝永第二火口縁
今回の山行ルート上の注意した方が良い区間は「宝永第二火口縁」になります。
お天気が良ければ、何も心配は無く、寧ろ、宝永山への絶好の展望スポットになるのですが、天候不順の中で通過する際は案内を見落とす可能性があり注意が必要です。
特に富士宮五合目へ向かうつもりのところを、誤って水ヶ塚公園へ降ってしまうと、樹林帯の中を2時間ほど降ることになってしまいます。
初見だと「一体どこまで降るんだろう」とかなり不安な状態になると思います。
視界が悪い時にはGPS地図などを活用して、道を間違えないように進んでくださいね。
ギャラリー
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス、スパッツ
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
今回の山行は、前半からお天気が良く気温も上がって、歩いていると汗が滲む暑さの中スタートしました。
標高3,000mまでは到達していましたが、気温がガラッと変わる八合目には至っておらず、始終、半袖Tシャツで快適に過ごすことができました。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回の富士登山は、「御殿場新五合目停留所」からのアプローチです。
最寄駅は「御殿場駅」で、「東京駅」からの乗り継ぎは次の流れになります。
- 「東京駅」からJR東海道線沼津行きに乗り込んで「国府津駅(こうづえき)」で下車
- 「国府津駅」から御殿場線に乗り換えて「御殿場駅」で下車
「東京駅」で沼津行きの始発に乗って向かうと、「国府津駅」での乗り換え時間がタイトです。
乗り換えホームも別になるので、階段の上り下り含め3分で移動するのは早足で向かってギリギリの線になります。
スムーズに乗り換えできるように、東京駅では先頭車両側に乗り込んでおくと良いでしょう。
「御殿場駅」に到着してからも、時間はシビアです。
バスの立ち乗りは避けたいので、速やかに富士山口にあるバス乗り場へ向かい、自動販売機で往復チケットを購入、御殿場行きバスのりばに並んでバスを待つのが良いでしょう。
おトイレは御殿場線車内で済ませておくと、よりスムーズに移動できるはずです。
たまに混み合ってることもありますが、苛ついてドア連打したりせずに、落ち着いて順番待ちしてくださいね。
バスでの移動は約40分です。
「御殿場新五合目停留所」についたら協力金の支払いを済ませ、鳥居を潜って出発しましょう。
関連リンク
富士急バスの公式サイトから、富士山を発着するバスの時刻表ページのURLを載せておきます。
山行計画を立てる際にお役立てください。
ちなみに、それぞれの登山口は往復チケットで購入しましょう。3割近く安くなるので、かなり幸せになれますよ。
ギャラリー
富士急バス「御殿場口新五合目停留所」〜御殿場新六合目
御殿場口の鳥居を潜ったら、細かい小石が敷き詰められた砂丘のような道を進みます。
御殿場ルートは、ズルズルと足元が滑りやすく、慣れないと無駄に体力を消耗します。
なるべく、小石が盛られていない固い面か、大きな石の上に足を落とすようにすると多少、疲れも軽減されます。
最初の山小屋「大石茶屋」を過ぎると、登山道と下山道が別々に別れます。
下山道をまっすぐ登っても良いですが、相応に傾斜があるので登山道を辿った方が無難です。
ジグザクに続く砂丘の道を1時間ほど登っていくと、下山道との交差地点に到着します。
「次郎坊」と呼ばれる場所で、山頂への眺めが良いからかここで小休止する方が多い印象がありますが、まだまだ序盤ですので、足を止めずに先に進みましょう。
また、登山道と下山道が交差する場所でもあるので、下山道側に紛れ込まないようにご注意ください。
個人的に、ここから七合目までの長い九十九坂が御殿場ルートの核心部だと思っています。
単調な登り一辺倒な、滑りやすい山道がポキポキと心を折にきます。
なまじ到着地点にある山小屋たちが見えているのも困ったものです。
いつまでも近づかない山小屋達を見上げているだけでも、精神的に追い詰められていつも以上に疲れが溜まります。
なるべく、足元に意識を集中して淡々と登り切るように心がけてください。
2時間ほど登れば、二つ目の山小屋となる新六合目「半蔵坊」に到着です。
ここからも長いので、一度小休止して気持ちを入れ直すと良いでしょう。
ギャラリー
御殿場新六合目〜御殿場七合五勺
御殿場新六合目「半蔵坊」を通過してからも、滑りやすい砂地の九十九坂が続きます。
ここから少し風景に変化が出てきて、大きな溶岩石が顔を出し始めます。
永遠と砂地を登っていた時と比べると、だいぶ精神的に救われるのですが、それでも山道自体のキツさは変わりません。
地道に高度を稼いでいきましょう。
途中、六合目跡地から「鉄のワラジ」のある高台に登れます。
座れる岩が近くにあり、眺めも良い場所なので、体力に余裕があれば寄り道してみてください。
正規ルートに戻って1時間ほど登っていくと、休業中の山小屋、七合目「日の出館」が見えてきます。
そして、ここから御殿場ルートのメインストリートに突入です。
七合四勺「わらじ館」、七合五勺「須走館」と山小屋が続き、そこから1時間ほど登ると、気象台中継所跡、七合九勺「赤岩八合館」と建物ラッシュが続きます。
残念ながら、今回は体力が続かずに七合五勺「須走館」まで下山することとしましたが、このあたりまで登れる体力があれば、他の登頂ルートなら普通に登頂を果たせることでしょう。
御殿場ルートを登ってみて、まだ厳しいなと感じたら、後日、別ルートを試してみると案外すんなり登頂できるかもしれません。お試しくださいね。
ギャラリー
御殿場七合五勺〜宝永山馬の背〜宝永第一火口〜宝永第一火口縁
七合五勺「砂走館」で下山を決めた後、下界を眺めながら下山ルートについて見直します。
当初の予定は御殿場新五合目に下山するつもりでしたが、良い機会なので、歩きそびれていた「宝永第二火口縁」から「富士宮五合目」に抜けるルートを辿れないか検討してみます。
バスの往復料金を捨ててしまうのは勿体なかったですが、時間的には全然余裕あるようなので進路変更することにしました。
大砂走りを降り、「宝永山馬の背」方面に分岐したら、「宝永第一火口」へ向けて降下します。
お泊まり組と思われる団体三組とすれ違った後、火口に到着してみると、こちらにも団体が一組滞在していました。
8月も終盤というのに、今日の富士山も大盛況のようです。
談笑しつつ楽しそうに休んでいる一行の隣をそっと通過して「宝永第一火口縁」まで登り返すと、ガスが湧いてきたようで視界がボヤけています。
あんまり良いコンディションでは無いですが、時間的には全然余裕だったので、「宝永第二火口縁」に向けて降っていくこととしました。
ギャラリー
宝永第一火口縁〜宝永第二火口縁〜富士宮五合目〜富士急バス「富士宮五合目停留所」
「宝永第一火口縁」から「宝永第二火口縁」へは、火山石が敷き詰められた急坂の下りとなります。火口の縁なので、背の高い植物は生えておらず一定区間目印になるようなものがありません。
広い河川敷の一角のように、特徴の無い道を降っていくと、うっすらと「宝永第二火口縁」の案内板が見えてきました。
お天気に恵まれていれば、この場所も絶景地なのですが雲の中とあって何も見えません。
仕方が無いので、そのまま「富士宮五合目」方面の分岐に入ります。
この分岐からは、樹林帯を進むこととなります。
この樹林帯の道ですが、歩いてみて改めて感じましたが、迷ってしまうような道ではありません。
ガイドロープや案内が至る所に設置されてますし、踏み跡も明瞭なので明るいうちであればまず間違えることは無いでしょう。
どうも、迷った方はここから「水ヶ塚公園」の方に降ってしまったと聞きました。
そうなると次のいずれかの方向に向かってしまったことが考えられます。
- 「宝永第二火口縁」の案内を見落として、「水ヶ塚公園」に降る「須山登山道」に入ってしまった
- 樹林帯の道と「村山古道」が交差する地点で、「村山古道」に入ってしまった
- 道を外れて「富士宮口五合目」方面へ直進してしまった
最初のやつが一番ありえる話ですが、他のやつも絶対違うとは言い切れません。
いずれにおいても暗闇の中を手探りでテンパりながら進めば、遭難確率は跳ね上がります。
そうならないよう、以下の点を心がけるようにしましょう。
- 身の丈にあった計画を立てる
- ヘッドライトを忘れない
- 不安に感じたらきた道を戻る
基礎的な内容ばかりになりましたが、わたしもやらかさないように、心に留めておこうと思います。
ギャラリー
おまけ
「富士宮五合目」に到着してみると、予定していた一本前の「富士宮駅」行きのバスが到着していました。
「富士宮駅」行きバスの途中に「花の湯」という温泉施設があることをインターネットで知ったので、今回はそちらに寄り道してから帰ることとしました。
「花の湯」というそのままズバリなネーミングの停留所で途中下車したら、大型バスの駐車場を横切り施設に向かいます。
同施設は、ちょっと年季の入ったスーパー銭湯で、内湯、外湯のほか、サウナや壺湯、炭酸風呂なんかもありました。
面白いところでは、外風呂の半数が入浴剤入りのお風呂で一昔前の入浴施設を思い起こさせてくれます。
代わりに天然温泉を謳った湯船が一つだけと少々寂しいですが、アメニティは充実しており、手拭い、歯ブラシ、髭剃り、櫛、ドライヤーが各無料で使えて、ボディーソープやシャンプーも普通に備え付けられており、至れり尽くせりな感じでした。
ただ、イマイチだった点もあって
- 帰りの路線バスが早くに終わってしまう(土日祝は16時6分が最終、平日は17時46分が最終)
- 1,000円の立ち寄りプランだと、滞在可能な時間が80分しかない
といったマイナス要因は、再訪を躊躇させてしまう一因になりそうです。
ただ、あくまでも2022年8月現在はこんな感じということで、今後大改善されるかもしれません。
期待しつつ待ってみようかと思います。
ギャラリー
まとめ
御殿場ルートを途中敗退して、道迷い遭難のあったルートを辿ってみたお話でした。
30代の頃、山の先輩たちに「50歳過ぎると、極端に体力が落ちる」と言われてました。
最近、あの人たちの言葉が身に染みてきています。
自分を過信して、ギリギリを攻めて疲労困憊してしまい、道迷い遭難や疲労遭難などを起こさないように、余裕ある山行を楽しみましょうね。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
コメント