山行の記録|雪の秀麗富嶽「奈良倉山」で天空に浮かぶ富士山を眺めて来ました

最近になってハマっていた大月市選定の富士山がよく見える名所「秀麗富嶽十二景」。

ほかの場所では、一発で富士山の眺めをゲットできていたのですが、唯一、一発目敗退してしまった奈良倉山へリベンジに行って来ました。

ここのところ、踏み固められていない新雪の中をつぼ足で歩いてばかりだったので、その点が不安でしたが、バテバテで動けなく事態に陥ることもなく、寧ろ、自分の歩く音しか聞こえないような物静かな山歩きができ、癒やされて帰ってくることができました。

また、エスケープルートの開拓ということで松姫峠から車道を降って小菅村まで徒歩で下山するルートを試してみたので、その時の様子も掲載しています。

もし、あなたが冬の奈良倉山登山を計画しているようでしたら、エスケープルートの設定も含めて参考になるはずです。

是非、最後まで読んでいってくださいね。

目次

基本情報

まずは、今回の山行についての基本情報です。

山行の基本情報

日付:2022/2/26

天候:晴れのち曇り

エリア:大月エリア

コース概要:西日本バス「余沢停留所」~オマキ平ハイキングコース入口〜向山〜向山分岐点〜鶴峠〜奈良倉山〜松姫峠〜西日本バス「小菅の湯」

難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆

交通機関:

(往) JR奥多摩線「奥多摩駅」から、西日本バスで「余沢停留所」へ

(帰)西日本バス「小菅の湯停留所」から、JR奥多摩線「奥多摩駅」へ

概要

秀麗富嶽十二景

秀麗富嶽十二景は、名前の通り「美しくすっきりと富嶽(富士山)が見える十二の場所」として、山梨県の大月市が選定した富士への眺望に優れた山々を指します。

詳しくは、別の山行記録にまとめてますので、そちらをお読みください。

ただ、すべての場所の映像が掲載されていないので、時間見つけてまとめ直しますね。

今回の山行上でのポイント

地図上の位置と標高

まずは、今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高を示します。

合計距離: 20737 m
最高点の標高: 1361 m
最低点の標高: 572 m
累積標高(上り): 1817 m
累積標高(下り): -1678 m
総所要時間: 07:13:55
Download file: climbing-record-20220226.gpx

歩いた軌跡

続いては、GPSデータを元にした軌跡です。

市販の地図

今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。

本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。

わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。

ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。

5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。

おすすめ展望ポイント

今回の山行ルート上の展望ポイントは2箇所です。

展望の楽しめたポイント2箇所
  • 奈良倉山の富士山展望所
  • 松姫峠
奈良倉山の富士山展望所

今回の山行ルート上の展望ポイント1つ目は「奈良倉山の富士山展望所」です。

奈良倉山は秀麗富嶽に選ばれるくらいなので、山頂からの眺めが秀逸なんだろうとのイメージを持たれるかと思います。

わたしも初見の時は、そう思っていました。

しかし、実際に山頂に到着してみると解るのですが、山頂からの眺望は360度全方位に対して全くありません。

富士山の眺めは、山頂から松姫峠方面に1分降った先にある「富士山展望所」から楽しむことができます。

ここで、秀麗富嶽に選ばれる名所たちの特徴、「十二単衣のように段々に重なった山々と、その先で存在感を放つ富士山への眺望」を楽しむことができます。

と言いますか、こっちに秀麗富嶽の案内を立ててくれた方が記念写真を撮るには良いように思うのですがどうなのでしょう。

寧ろ、風景だけを撮りたい写真家の方々からは邪魔な看板扱いされてしまうのかもしれませんね。

ギャラリー

秀麗富嶽の案内の立つ、奈良倉山山頂は眺望ゼロです。
松姫峠方面へ1分ほど降った所にある、この看板の奥に「富士山展望所」があり、そこから富士山への眺望を得ることができます。
こんな感じの場所です。腰掛けるのに都合良さそうな丸太が散在しているので、ここで富士山を眺めながら昼食をとるのも良いかもしれません。
iPhoneのカメラ、2倍ズームで撮影してみました。冠雪した富士山は綺麗ですね。
松姫峠

今回の山行ルート上の展望ポイント2つ目は「松姫峠」です。

この場所にある駐車場の奥からは、至近に横長に広がる大菩薩連嶺への眺望と、その山々の後ろにちょっとだけ頭を覗かせている富士山への眺めを楽しむことができます。

秀麗富嶽一番山頂「雁ヶ腹摺山」を中心に、一段奥にある大菩薩の山々を楽しむことができます。

お隣には、展望図が掲載されているので山座同定に活用するとより眺めを楽しめることでしょう。

ギャラリー

松姫峠に立つ小菅村の大看板とバス停です。この手前の駐車場から大菩薩連嶺への眺めが楽しめます。
北方面奥に、黒岳から牛ノ寝雁ヶ腹摺山、小金沢山と続く連嶺の様子が確認できます。
正面にあたる西方面は、秀麗富嶽一番山頂にあたる雁ヶ腹摺山の山容とその周辺の山々を眺めることができます。
ガスでうっすらですが、かろうじて富士山の頭も確認できますね。
南側の特徴的なトンガリ帽子さんは滝子山でしょう。
お隣の展望図。これで答え合わせも捗ります。

注意した方が良さそうな区間

今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、次の1箇所です。

注意した方が良さそうな区間
  • 向山分岐地点から鶴峠に向けて降下する区間
向山分岐地点から鶴峠に向けて降下する区間

今回の山行の中で注意した方が良さそうな区間は「向山分岐地点から鶴峠に向けて降下する区間」です。

通過するのに技術や経験が必要な場所ということではありませんが、落ち葉が大量に積もった傾斜のある巻道を通過するので滑りやすく、谷側が大きく落ち込んでいるので、降りで通過する時には、足元を確認しつつ慎重に歩いた方が良いです。

特に、降雪のある時期は元々落ち葉で足元不安定なところに雪が覆いかぶさって地面の状態が分かりづらいです。石や木の枝を踏んでしまい体勢を崩してしまわないようにご注意ください。

ギャラリー

ここから鶴峠へ向かう一画が注意区間になります。
元々大量の枯れ葉が積もって滑りやすい所に、降雪が重なって、より足元が分かりづらく、滑りやすくなっています。
この日は、足元がどうなっているかわからなくなるくらい降雪のある場所もあったりで、通過するのに緊張しました。
場所によっては、溶けた雪の塊が落ちてきて踊り場に溜まっていたりで、歩きづらいシーンもありました。
この案内が出て、南面の巻道に移ってからは安定して進めるようになるので、この案内が出てくるまでの辛抱と言ったところです。

今回の山行での服装

今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。

同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。

  • ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
  • ミドルレイヤー:厚手のフリース
  • アウター:ソフトシェル、レインウェア、ダウンジャケット
  • ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
  • その他:手ぬぐい、ネックゲーター、毛糸の手袋

今回、活動中には薄手の長袖Tシャツとソフトシェルの組み合わせで歩いていたのですが、出だしこそ寒さを感じましたが、30分も歩くと、暑さを感じるようになり、陽射しが入る高度になってくると背中に汗が染みるくらいの汗をかくこととなりました。

奈良倉山は標高1,348mとそれほど高さがある山では無かったので標高による気温の低下がそれほど無かった点と、2月も終わりに差し掛かって全体的に暖かくなって来たことが影響しているのだろうと思われます。

来週から3月に入ります。季節も春らしい陽気になって来ますので、そろそろ山での活動着も調整が必要な時期かもしれません。

そして、今回は山道を歩く距離が長くは無かったので、大きな休憩をとることなく最後まで歩いてしまったので、厚手のフリースなどを着込む機会もありませんでした。

交通機関利用時は、長袖Tシャツに厚手のフリース、ダウンジャケットのフル装備でしたが、早朝や夕暮れ後でも寒さを感じることはありませんでした。

以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。

あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。

山行の記録

ここからは、今回の山行について述べていきます。

アプローチ

今回の山行はJR奥多摩線の終点「奥多摩駅」から西日本バスを使って「余沢(よさわ)停留所」まで向かい、そこから、向山を経由して奈良倉山へ向かうプランとしました。

4月から12月の間であれば、山麓の「鶴峠停留所」に停まる富士急バスの路線便が上野原駅前から出ているのですが、2月は運休しているため、少し遠回りですが「余沢停留所」から登ります。

東京駅からだと、JR中央線を乗り継いで立川駅まで向かい、そこからJR奥多摩線に乗り換えて終点の奥多摩駅で下車することになります。

奥多摩駅に着いたら、改札出て左手にある綺麗なおトイレで御用を済ませてから、車道を渡った先にあるバス停から小菅の湯行きの路線便に乗り込みます。

これから向かう向山への登山口に公衆トイレがあるのですが、冬季は閉鎖されています。

バスの出発時間との兼ね合いもありますが、ここで必ず済ませておいてくださいね。

もし、あなたがワイルドな性分で、開放感あふれる場所で開放されたい願望をお持ちなら、道中で存分に開放感をお楽しみいただいても差し支えありません。

ただそのときは、人目を避けることだけはどうか忘れないでくださいね。捕まってしまうんで。

さて、話を戻します。

乗り込むこととなる「小菅の湯」行きの便ですが、これが結構混み合います。

鷹巣山、御前山、三頭山、雲取山と奥多摩の名峰たちの登山口へ繋がる停留所が目白押しなので、特に登山客が大量に乗り込んできます。

このため、早めに席を確保しておいた方が良いのですが、それでも30分ほどすると到着する「奥多摩湖停留所」で下車する人が大量に出てくるので、そこで空いた席に座ることができるだろうと思います。

たとえ最初は立ち乗りになったとしても、いずれ座れるようになりますので、焦らずに席が空くのを待つのが良いでしょう。

「余沢停留所」までの乗車時間は「留浦(とづら)停留所」を経由した場合で約1時間です。

恐らく「留浦(とづら)停留所」までの間に乗客のほとんどは下車してしまうと思うので、バスの中である程度の身支度を整えてしまうとスタートダッシュも捗るかと思います。

ただ、衣類や道具をところ構わず広げてしまうような、TPOを弁えない行為は御法度なのでご注意ください。

「余沢停留所」に到着したら、バスの進行方向の反対側に一段下の通路に向かうための階段があります。ここを降りることで、少しだけショートカットできるので活用ください。

その後は、道なりに進んでいくことで「オマキ平ハイキングコース入口」という看板が見えてきます。

そこが、向山へ向かう登山口となるので見落とさないようにしてください。

登山口にはベンチなどは設置されていないので、目の前の駐車場で身支度を整えてスタートを切ることにしましょう。

ギャラリー

東京駅から中央線で立川駅へ向かいます。立川駅からの乗り換えを考慮すると、ここでは3号車両に乗り込むと捗ります。立川駅で乗り換える時に使うエスカレーターは3号車両の前から1番目のドアが一番近いドアになりますので、参考にしてください。
立川駅で、青梅線に乗り換えです。青梅線は一番ホームとなります。青梅線も利用者が多いので、乗り換えで階段を上がってくる人々に接触しないようにご注意ください。
ここで青梅線に乗り換えて奥多摩駅まで向かいます。立川から乗り込むときは5号車両がよかった気がするのですが、ちょっと自信ありません。次に乗る機会ができたときに、改めてリサーチしておきますね。
青梅駅です。ここから奥多摩線沿線にある駅名の看板は、なんでか飾り付けが豪華なんですよね。アウトドア目的の観光客で潤っているのかな。因みに、ここでの乗り換えは、前よりの2番目の車両の、これまた前よりの1番ドアの近くを目指しましょう。青梅駅で改札に降りる時に捗ります。そうは言ってもここからは席取り合戦が熾烈なので、座って移動したいなら席の確保優先で行きましょう。
青梅駅到着です。極一部の一般客に混じって、大量の登山客が降りて行きます。
今回は「小菅の湯」方面へ向かうので、車道を渡った先のバスのりば2番に向かうことになりますが、先に左手のおトイレに立ち寄ってからが良いでしょう。
おトイレの位置です。電車到着の直後は混み合いますが、設備の数が多いので直ぐに捌けてくれます。
車道の向かい側にあるバスのりば2番です。この車道は、ちょいちょい路線バスが入ってくるので渡る時は右見て、左見て、また右見てから渡ってくださいね。
電車で揺られて1時間。登山口最寄りの「余沢停留所」に到着です。ここからは一旦、バスの進行方向と逆側に進みます。
だがしかし、1分も歩かないところに階段があるので、そこを降りることでショートカットできます。活用しましょう。
ここをおります。
降りたら右手へ。
ここからは道なりに進みます。分岐は全てスルーでお願いします。
余沢御番所跡となっていますが、周囲にそれらしき史跡は見つけられませんでした。番所というくらいだから、建物としては大きかったんだろうと思うので、見落としてはいないはずなんですけど。
今度は村営バスの停留所がありました。小菅村の村営バスは、事前予約制なのでちょっとクセがありますね。
もりもりと進んでいくと、登山口が見えてきました。右手「オマキ平ハイキングコース入口」が目印です、
こっちが、登山口至近の公衆トイレです。2月は閉鎖中ですね。
ここから山道に入って行きます。

オマキ平ハイキングコース入口〜向山

オマキ平ハイキングコース入口から登山道に入ったら、向山山頂までは非常に明瞭な山道が続きます。

九十九折りに折り重なった登り坂を登って、順調に高度を稼いでいきます。

標高も低く、気温がまだ高いので道中、地面が見えている区間の方が多いですが、日陰の一部にはまだまだ積雪が残っているので、念の為、チェーンスパイクを装着して進むことにします。

チェーンスパイクは、4本刃、6本刃の軽アイゼンよりも刃の高さが低いので、このような雪道と通常の道が交互に現れるような道ではとても有効です。

1時間ほど登ると三頭山・鶴峠へ向かう道の案内が立っている場所に出くわします。

このまま道案内に沿って進んで全く問題ないのですが、実は、この案内の裏手に向山山頂を示す、半壊中の展望台への道が伸びています。

登れた当初は、さぞや眺めがよかったであろう高さに組み造られた木製の展望台ですが、2022年2月の時点では、設備の至る所で床や階段が抜けており、いつ崩れてもおかしく無い状態のまま設置されていました。

展望台に登れないとなると、この場所からの展望は皆無なので、立ち寄る意味は全くありませんが、話のネタに初回だけは寄り道しても良いかもしれません。

ギャラリー

登山道の入り口からは、明瞭な山道が続いています。
正面には、余沢の集落が見えますね。
ここから本格的に山道に入ります。
階段を登ると
九十九折りの坂道が続いていました。
折り返しを繰り返して、高度を上げて行きます。
木々の間から展望が覗けるかと思ったのですが、高度が低いからか、それほどびっくりするような眺めは得られません。
こんな感じの展望が始終続きます。
高度を上げるにつれて、陽射しが入ってくるようになり雪の反射で眩しいです。
目を瞬かせて登っていくと、分岐点(あずま屋)なる案内が立っていました。
周囲を見渡すと、あずま屋のものと思われる屋根が落ちてました。
閉鎖された簡易トイレも落ちてました。落とし物が多いところです。
あずま屋跡地を通過していくと、積雪量が少し増えてきました。
まだ、靴が隠れるほどには積もっていないので大丈夫。大丈夫。
見上げてみると快晴の空が広がっていました。この天気だと山頂での富士山の眺めに期待してしまいますね。
明るい陽射しの中を進んでいくと道案内が立っている場所にたどり着きました。
案内に沿って通過してしまう前に、その奥にある向山山頂と思しき場所へ向かってみます。
1分ほど登ると、半壊している木造の展望台が見えてきました。
足元から見上げると所々、ところどころ階段が抜けてて危険な状態です。
入口の階段が壊れてしまっているので、登る人は居ないのでしょうが、このままの状態で置いておくのにはちょっと危ない感じがします。
高さは3階建ての家ぐらいの高さがあるので、メンテしないのなら速やかに畳んだほうが良いように思いますが、予算が降りないのかな。この建物以外に見るものは無いので、本道を進むことにします。

向山〜向山分岐点

向山山頂に立つ半壊した展望台を後に、本道を進みます。

ここからは、積雪量が増えて踏み跡を隠してしまい、一部の道が不明瞭になってきます。

GPS機器があるならば、頻繁に進んでいる方向を確認しておく方が良いでしょう。

そして、向山分岐点に近づくにつれて、徐々に勾配も急になって行きます。

分岐点至近までくると、急坂の階段が何度も続くようになってきて、それらを登り詰めることでようやく分岐点に立つことができます。

実はこの場所が今回の山行では一番高い場所となるのですが、本当に山道の途中地点でしかないので展望も何もありません。

速やかに、鶴峠方面へ降っていくことにしましょう。

ギャラリー

先ほどの道案内まで戻ったら、案内の通りに進みます。
そのつもりだったのですが、たどる踏み跡を読み間違えてあさっての方向に進んでしまいました。あたふたと正規のルートへ戻ります。
次の案内板を発見。本道に戻れたみたいです。
ここから、道案内の補佐として青いビニールロープが木々に巻かれている区間に入ります。
と思ったのですが、このビニールロープは道案内でもなんでもないみたい。見回すと至るところに巻かれていて、どこをたどればいいかわからない状況になっちゃいました。これには苦笑いです。
代わりにiPhoneに入れているGPS地図で方向を確認しながら進みます。GPSばかり使うと地図読みの感覚が養えないとも言われますが、持ってきたものは躊躇無く使うのがわたしのスタイルです。モバイル電池に接続して地図表示させっぱなしで進みます。
踏み跡のない尾根筋を躊躇無く進んでいきます。
どんどん進んでいくと、次の案内板が見えてきました。奥多摩周辺は人通りの少ないルートにも、ちゃん整備が入ってくれていることに頭が下がります。ありがたいことです。
案内に沿って、鶴峠方面へ歩みを進めます。
この辺りは、地面が露出してくれているので踏み跡の有無がわかりやすくて捗ります。
そう思ったのも束の間で、また、ゆきゆきな道に変貌です。
気配を感じて目をやると、富士山がこちらをチラ見してました。早く全貌が見える場所に行きたいですが、焦っても仕方無いので地道に高度を稼ぐことにします。
この辺りまで来ると、登山靴が埋まるくらいまでには積雪していることがわかります。それでも、まだ普通に歩けてるので大丈夫。大丈夫。
そして階段地帯に入ってきました。
ここの階段は一つずつの段差が大きくてべりー疲れます。
3つ、4つと急階段をパスしていき、ようやく最後の一登までたどり着きました。ここを登れば尾根筋に出られます。
分岐点の案内が見えてきました。ここからは気合と気合で登ります。
今回の最高地点に到着です。ベリー疲れました。でも、ちょっとした達成感がありました。それでは、鶴峠へ向けてサクサク降っていくことにしましょう。

向山分岐点〜鶴峠

分岐点から鶴峠に向けての降り区間は、先にも述べている通り通過するのには少々注意が必要です。

大量に積もった枯れ葉の上に、更に雪が積もっているので輪をかけて足元が不安定で、分かりづらい状況になっています。

このため、踏み固められているだろう巻道の上に足を乗せているのか、巻道から外れている危ない場所に足を乗せているのかが、足底から伝わってくる感触だけだと判断がつきづらく、一歩ずつ慎重に足を下ろす必要があり神経をすり減らすことになります。

谷側は深く落ち込んでいるので、足を踏み外して滑落してしまうと自力で戻って来れない高さまで転げ落ちてしまうので、仕方ありませんが少しずつ確実に歩みを進めるようにしてください。

1時間ほど降れば、尾根の南斜面側にスイッチする地点に到着するので、以降は楽に降りられるようになります。

南斜面にスイッチしてからは、雪も減って勢いよく降ることができるようになります。

先ほどまでのストレスを発散するつもりで、転倒しない範囲で軽快に降っていくことにしましょう。

ここの降り坂を降り切ることで、鶴峠のある車道との交差地点に到着です。

バス停のある位置が、奈良倉山への登山口となるので、そこから改めて登って行ってください。

ギャラリー

雪が積もって足元が分かりづらい道を、鶴峠方面に向かって降ります。
正面に目をやると大菩薩連嶺の山並みと思しき山脈が見えました。
ゆっくりと見ている余裕が無いので、足元に集中しつつ降りて行きます。
積雪量は脛が隠れるくらいです。先ほどまでのシャーベット状の雪質ではなく、パウダースノー状態になっているので、雪がまとわりついて靴が重くなることが無いのは救いです。ですが、大量の落ち葉の上に雪が積もっている二段構造なので、足元が落ち着かないこと、落ち着かないこと。
愚痴愚痴してても仕方無いので、足元をポスポス言わせながら降って行きます。
やっと緊張感を保ちつつ1時間ほど降っていくと、やっと傾斜が落ち着いてきました。
そして南斜面へのスイッチ地点に到着です。南斜面は陽射しが当たって雪解けが進んでいるので降りやすくなります。
薄く凍った雪をチェーンスパイクでザクザク言わせながら降ります。
軽快に降っていくと、踊り場のような分岐地点に到着しました。
この尾根みたいなところを乗り越えて反対側を降っていくのが正解です。右手を登っていく道は作業道(行止まり)と書いてありました。
ここからも降りやすい道が続きます。
また分岐地点に到着です。案内の通りに直進して行きます。
獣よけのネットの脇を降って行きます。
この辺りはトレランのコースにもなっているみたいで、平坦で歩きやすい道が続きます。
下の方に蛇行している車道が見えてきました。
以前は、トレランの案内を逆に行く形に左折しましたが、今回は直進してみます。
車道が見えてきました。
車道の反対側に奈良倉山への登山口と、前に立つバス停の案内が見えました。鶴峠、ようやく到着です。
鶴峠停留所の看板です。
季節運行と書いてあります。4月から12月までしか運行していないようです。あ、8月もダメみたいですね。気をつけなければ。
こちらは村営バスの案内。日曜運休、年末年始も運休、その他天候等により運休って、運休条件多すぎ。スーパーホワイト企業ですね。
それでは、ちょっとコワモテなリスさんに見送られながら、今回のメイン奈良倉山へ登って行きます。

鶴峠〜奈良倉山

それでは、鶴峠から奈良倉山へ登っていくことにします。

ここから山頂への道のりは、穏やかとは言い切れませんが、急登とも言い切れない、なんとも中途半端な登り坂を登って行きます。

尾根道を登るわけでもないので、目を見張るような展望を得られるわけでもありません。

そんなかな強いてメリットを挙げるとしたら、危険地帯のない初心者向けの山道だということになります。

そして、たどり着く山頂も展望が全くなく、初見だと本当にここが山頂なのか疑ってしまうほど特徴がありません。

それでも、山頂から1分の距離にある富士山展望所に到着すれば、印象はガラッと変わります。

南面に開けた空間には、大菩薩の山並みに三つ峠が、杓子岳が、それぞれに重なって、その先に富士山が鎮座するという重厚な眺めを楽しむことができます。

お天気に恵まれた日は、ここで昼食を広げてのんびり寛いでから下山するというのも悪くないでしょう。

この日は、この後長い車道歩きを残していたので、長時間の滞在はせずに記念写真を納めたら、すぐに松姫峠方面へ降ることとしました。

ギャラリー

鶴峠から、こわもてリスさんに見守られながら登り始めます。
登り始てすぐに積雪区間に入って行きました。
本道は左側の踏み跡なのですが、今回は右側真っ直ぐにある「JTの森小菅」のイベント広場となっている空間を経由して登ってみます。
まずはお立ち台みたいなところ。ここで催し物をやるのでしょうか。
あとは、ただ、ただ広い空間が広がってました。踏み跡無く綺麗なものです。
木々の説明文。下から生えている手を眺めていたら、ライダー版タロットカードにある小アルカナ4枚のエースカードを思い出しました。マニアックですみません。
こちらはお花たちの説明文。こういうのを使って林間学校とかやるのかしらね。
どんなものがあるのか把握できたので、本道に戻って山頂に向かいます。
案内に沿って登って行きます。
一度尾根っぽいところに出るので
この区間で唯一展望のあるポイントでの眺めを楽しんでおきます。これは東方面。
これが北方面。
そして、西方面。内緒ですが、実は奈良倉山山頂よりもここのほうが開放感があります。内緒ですけどね。
再び、林間の道へ戻って行きます。
大通りとの合流地点。ここを左折します。
真っ直ぐ進むと、大通りから分岐していく枝道が見えてきますので、そちらに入って行きます。
キツくもなく、ユルくもない坂を登っていくと
さっき分岐して行ったと尾もわる大通りとぶつかります。ここも対面の枝道みたいな道へ入って行きます。
暫く林間の細い道を登っていくと
広場のような場所に辿り着きました。踏み跡をトレースして登って行きます。
途中で、松姫峠への巻道がありますが、今回は登頂目的なのでスルーして先に進みます。
どんだけ間違う奴が居たのかと疑ってしまうほど、案内が出ている分岐を山頂に向けて折れて行きます。
ここからの緩やかな坂道を登り詰めると
奈良倉山山頂に到着です。ここからの展望は期待できないので、松姫峠方面に1分ほど進んだところにある富士山展望所へ向かいます。
松姫推しの案内の奥へ向かうと
南方面に開けた場所に到着します。
ここが富士山展望所。目の前に富士山への眺めが広がります。
この日は気温が高く、富士山の裾野がガスで隠れて、まるで空に浮かんでいるように見えました。これはこれで、いい感じですよね。
最後にiPhoneのカメラを10倍ズームにして撮ってみました。こっちもぷかぷかと空に浮かんでいる感じでした。

奈良倉山〜松姫峠

富士山への眺望を楽しんだら、松姫峠方面へ降って行きます。

この特徴的な名前の峠の由来ですが、武田信玄の娘である松姫が越えた峠だからというものらしいです。

この松姫、かなり身持ちが固い女の子だったようで、7歳の時に婚約した織田信長の長男、信忠を思い続けて、武田と織田が敵対関係になった後も、他の縁談を全て断って過ごしたそうです。

そして21歳の時に、苛烈を極めた織田軍からの攻勢から逃れるために、この峠を通って八王子に逃げ延びることとなり、そのことから松姫峠と名がつけられたというお話でした。

因みに、彼女の恋の行方ですが、武田家滅亡後に改めて信忠より迎えの使者がきたことで、ようやく想いを遂げられたかにみえたのですが、本能寺の変により信忠が自害。

とうとう想いは遂げられる事なく、松姫は出家して生涯を終えるという悲しい顛末を迎えるそうです。

このお話読んだときには、来世では報われてほしいなと思いましたが、現世では「松姫マッピー」なるゆるキャラとして転生できたようなので、案外、楽しく幸せに暮らせているのかもしれませんね。

さて、長々と脱線してしまいました。山行のお話に戻したいと思います。

松姫峠方面ですが、積もっている雪質が全面パウダースノーに変化しています。

加えて、稜線に出たことで陽射しが常にあたり雪自体溶けて無くなっている区間もあり、今までよりは歩きやすく進むことができました。

実際に、無積雪期でもここの区間は歩きやすく、まるで郊外の自然公園中をお散歩しているような、気持ちの良い散策を味わうことができてオススメです。

この日も、それほど苦労を感じることなく松姫峠まで到着することができました。

松姫峠からは、うっすらとではありましたが、大菩薩連嶺の山並みの奥から富士山の頭が顔を出してくれて、ちょっとしたサプライズをいただくことができました。

そして、まだまだ時間的にも体力的にも余力がありましたが、ルート開拓の一環として、この日は松姫峠から車道を降って小菅村まで歩いてみることとしました。

ギャラリー

それでは、松姫峠に向かって降ります。
最初は急坂の下りが続き
林道と合流します。
ここからは穏やかなアップダウンの続く歩きやすい道に入ります。この日は積雪があったので、いうほど歩きやすくはなかったですが、他の区間に比べたら、マシな感じでした。
子供みたいに、踏み跡がついていないところを好んで歩いてみたりして、楽しく進みます。
途中に色々な脇道への分岐がありますが、歩きやすい林道から外れずに進みます。
南面の眼下には、松姫湖か深城湖かどちらかわかりませんが、湖が見えます。
ダムの向きが北を向いているので、深城湖でしょうかね。
その後もちょっとしたアップダウンをパスして先に進んでいくと
松姫峠のゲートが見えてきました。
大月方面は相変わらず通行止めとなっています。轍も全く無いので、こちら方面からは作業車であれ、交通量は全くのゼロのようです。
反対側に向かうと小菅村の大看板と足元にバス停が見えます。こちらの方面は数本の轍ができており、少なからず交通量があるようです。ちょっと安心しました。
駐車場の奥には大菩薩連嶺の山並みが迫ってくるように見えます。
ガスが出てきてしまい、辛うじてといったレベルでしたが富士山の頭も見ることができました。
おトイレは冬季閉鎖中で使えません。あしからず。
ここから、鶴寝山を経て、牛ノ寝通りに乗り上げることができますが、今回はこちらには向かわずに車道を降って行きます。

松姫峠〜西日本バス「小菅の湯」

ここからは新たなルート開拓として、小菅村まで続く村道松姫峠線を降っていくルートを取ります。

2月のこの時点では、冬季閉鎖中で自動車が登ってくることは無いので、道のど真ん中を降りて行けるのは助かります。

距離は徒歩で降るとしたら若干長めとなる10km程度で、途中ショートカットできるような脇道は無く、大きく蛇行して進む道を全線歩き切る必要があるので、それなりに体力は必要になってきそうです。

実際に歩いた感覚だと、降り一辺倒の道なのでそれほど体力は必要無く、惰性で足を進めていたら、いつの間にか麓のゲートまで着いてしまったといったところでした。

凍結している区間が結構あったので、始終駆け降りるというわけにもいかず、所要時間としては2時間近くかかってしまいましたが、危険な箇所皆無なので、エスケープルートとしても、通常ルートとしても十分に使える道になっていました。

麓まで降り切った後は、GPSを頼りに小菅の湯まで向かい、バスの待ち時間を利用して温泉に浸かって、奥多摩駅経由で帰路に着くことができました。

ギャラリー

早速、松姫峠線を徒歩で降って行きます。
轍の他に、足跡もしっかり着いているので、わたし以外にもこの道を降った登山者の方がいらっしゃるようです。安心。安心。
陽が差している一画は、ばっちりアスファルト道路になっていました。
落石注意の案内のすぐ横に
落石と思われる、石が散乱していました。これは、ちょっと怖いですね。
暫し進んでいくと
途中、閉じているゲートがありました。この先がどこに繋がっているかは不明です。
本道に戻って、凍結した道をひたすら降ります。
木々の合間から、石尾根付近の様子を眺めることができました。
左奥に雲取山山頂が見えますね。
大寺山山頂の奥多摩仏舎利塔も見えました。
三頭山へ続く尾根筋。雄大です。
歩いている途中、無人の小屋もありました。
ソーラー充電で半永久機関となった電子掲示板が立っていました。
かなりを高度を下げてきましたが、まだまだ凍結路は続きます。
そう思っていたら、麓のゲートまで到着できました。ちょっとあっけない感じかな。
またぐには背が高すぎるので、下を潜るようにゲートを通過し、民家前の車道を降って行きます。
上野原丹波山線との合流地点まできました。ここを左折して更に進みます。
最寄りのバス停です。この時点で15時。この日の最終便となる14時台のバスは通過してしまった後なので、立ち止まらずに先に進みます。
「こすげ」まで2kmを信じて先を進みます。ひらがなで書いてあると、小菅村の公式サイトを思い出してしまいますね。「こ、こすげー」知らない人は調べて見てください。色々書いてあって面白いですよ。
途中、反対側に登山口らしき階段が見えてきました。
三ッ子山だそうです。今回は登らずに小菅の湯へ。
道なりに進んだら、ここでショートカットします。
民家の横を進んでいくと
小菅の湯の駐車場が見えてきました。この先の高台を超えたところがゴールです。あともう少し。
左手の坂を登って
坂の上に出ると、屋根の先っちょがとんがっている特徴的な建物が見えてきました。
やぎ牧場の前を通過して、少し進めば
小菅の湯に到着です。
西東京バスの停留所前でゴール。次のバスが到着するまで2時間あるので、お風呂でふやけてこようと思います。お疲れ様でした。

おまけ

今回は、ゴール地点にある小菅の湯で立ち寄り湯をいただきました。

何度も来ているお風呂ですが、いつ来てもいいお湯をいただけて大変助かる施設です。

2022年2月の時点で大人750円で時間無制限。

入浴施設は、内風呂、外風呂、打たせ湯にジェット風呂。サウナも再開してくれているようで至れり尽くせりです。

休憩室もいっぱいあるので、蜜蜜感が少なくてその点でも重宝するところでした。

そして、館内の自販機の価格が標準価格なのも嬉しいところです。

この日も時間一杯までお風呂でふやけて、休憩室でだらけてから帰路につきました。

いつも、いつも、ありがとうございます。

ギャラリー

今回のゴール地点。小菅の湯です。当然、こちらでお風呂をいただいて行きます。
料金表です。温泉施設ですが優しい価格設定なのが助かります。設備も充実しているんですよ。
時間一杯までお風呂を楽しんでから、奥多摩駅行きの最終バスで奥多摩駅へ向かいます。
駅に着いたら、すっかり暗くなっていました。夜の奥多摩駅も味があるなと眺めていたら、次の電車が停車中だったのに気がついて、急いで改札を抜けて乗り込みます。
青梅駅行でしたが、青梅で乗り継いで、立川で乗り継いで、無事に帰ることができました。お疲れ様でした。

まとめ

大月市選定、秀麗富嶽5番山頂「奈良倉山」での雪山ハイクの様子でした。

奈良倉山は、鶴峠からの道のりであれば、1時間30分程度の行程で登頂できてしまう、比較的初心者向けの里山です。

しかし、冬季は対象の路線便が運休していて、少し遠い場所から登り始めることになるので、少し難易度が上がります。

訪れる人も少なく、踏み跡も薄くなりがちなので、可能ならば4月から12月の間、バスが運行している時期を狙って登るのが楽かなと思います。

反面、冬場は訪れる登山客が激減し、物静かな、それこそ自分の登山靴が枯れ葉や降雪を踏みしめる足音しか聞こえないような、そんな山行が楽しめます。

街の喧騒に疲れたとき、何かの迷いが生じたとき、冬の奈良倉山を訪れてみてください。

少しだけかもしれませんが、癒しや気づきを得ることができることでしょう。

それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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