東伊豆の稲取細野高原といえば、広大な緑の草原と青い海のコントラストが印象的な高原ですが、秋口には高原全体がすすきで覆われて、黄金色の草原になることでも有名です。
この他所ではあまり見ることのない、黄金のすすきと青い海を組み合わせた眺望は「海すすき」と呼ばれるそうで、近年の東伊豆観光案内などで盛んに名前が出ているので、あなたも目にしたことがあるかもしれません。
今回は、そんな「海すすき」を鑑賞するために三筋山へ訪れてみました。
山と海への眺望が大好物なあなたにぴったりの場所かと思います。
今回の記事を読んで、是非、足を運んでみてくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
稲取細野高原
稲取細野高原は、静岡県の東伊豆町にある高地です。
広大な緑の草原と、同じく広大な相模湾への展望、そして、海に浮かぶ伊豆諸島の島々に向かう船舶たちのゆったりとした姿を眺めることができる伊豆の誇る絶景地の一つです。
遊歩道を登った先には三筋山山頂があり、山頂まで登り切ると相模湾への眺望の他、天城山への眺めも堪能できます。
また、この山頂はパラグライダーの滑空場も兼ねていて、運が良ければパラグライダーが天空に飛び立つ瞬間を目にすることができるかもしれません。
もう一つ変わったところとして、三筋山から八丁池に続く尾根に林立する風力発電機器があります。
一部の方には景観を損なうと不評ですが、大きな風車がくるくる回る様はなかなかに面白く、無機質な太陽光パネルに比べたらいくらかマシと、わたし個人は思っていますが、いかがでしょうか。
稲取細野高原に訪れる適期はなんと言っても秋。高原全体にひろがる黄金色のススキ野原と相模湾への眺望は、時間を忘れて見入ってしまうことでしょう。この時期を特に「海すすき」と言うそうです。そのうち流行るかもしれないので、覚えておくと幸せになれるかもしれません。
おすすめできない時期は2月。毎年山焼きのある月で、焼き上がって痛々しい姿はあまり見ていてたのしいものでもありません。周囲に充満する焦げ臭さと相まって、わたし的には一回みたらあとはいいかなと思ってしまう時期でした。
周辺の施設で有名なのは、麓にある「細野高原ツリーハウス村 キャンプ場」。
ヤギやウサギが飼われていて、ご家族連れのレジャー客が多数訪れていました。
唯一の難点はアクセス方法で、秋のすすきシーズンには最寄駅「稲取温泉駅」からの臨時バスが運行れますが、それ以外の時期は徒歩で1時間から1時間30分ほどかけて訪れることになります。しかも、道中はすべて車道、抜け道もありませんのでなかなかの苦行になること覚悟してください。
むしろ、どうせ歩くなら、八丁池方面から山道を降ってくるプランで考えたほうが良いかもしれません。プランニングの一案としてご検討くださいね。
最後に、参考情報として、今回のすすきイベントも掲載している東伊豆観光協会の公式HPを貼っておきます。ご活用ください。
ギャラリー
高原の中腹を歩いた様子、Instagramにあげてみました。短いですが雰囲気つかめたら幸いです。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1128 m
最低点の標高: 399 m
累積標高(上り): 1335 m
累積標高(下り): -1610 m
総所要時間: 06:24:57
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせでした。
同じ時期に赴かれるときの参考にしてください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:薄手のフリース、ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、手袋
もっと詳しく知りたい場合は、次の記事も読んでみてくださいね。より具体的なウェアのメーカーや名前も載せています。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、三筋山から稲取細野高原にかけての散策がメインだったのですが、それだけだと歩く距離が短くて物足りなく感じていたので、未踏地となっていた「登り尾」に寄り道してから向かうこととしました。
このため、伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」から、東海バスで「寒天橋」停留所へ向かう形でアプローチすることとなります。
いつもどおり、東京駅から東海道本線の沼津行き始発で「三島駅」まで向かい、そこから伊豆箱根鉄道に乗換えて終点の「修善寺駅」で下車。バスのりば5番から出る「八丁池口」行きのバスに乗って向かいます。
「八丁池口」行きのバスは本数が少なく、東京から始発で乗り換えていくと接続があまりよくなく、30分ほど待つことになりました。
折角の待ち時間、おトイレを済ませて、諸々見繕いまで整えてバスに乗り込みます。
バスの乗車時間は概ね1時間。乗客の殆どが八丁池口まで向かうようなので、全員同じ目的なのかもしれません。
唯一人、手前の「寒天橋」停留所で下車。
安全を考えて先にバスを通してしまって、後ろから出発することとしました。
ギャラリー
「寒天橋」停留所~登り尾~「八丁池口」停留所
寒天橋停留所から登り尾の登山口までは、苔でぬるぬるする寒天林道を進みます。
高い木々に囲まれて、隣を沢が流れているのでヒンヤリと肌寒く気持ちが良い道を進むと、右側に「八丁池」と書いてある案内が2枚建っている場所に到着します。とても分かりづらいのですが、其の場所が登り尾に向かう登山口になります。
恐らく、寒天橋方面から登ってくることを想定していないのでしょう。登り尾への案内は逆を向いて設置されていました。
取っ掛かりは、苔のついた滑りやすい木の階段を降り、同じく苔のついた滑りやすい木橋を通過していきます。
危なく感じたのはこの箇所だけでしょうか。その後は、代わり映えのない林間歩きが山頂まで続きます。
ただし、歩く登山者が少ない道なのでしょう、踏み跡が明瞭では無い場所が多々存在していて、なんどもルートを外れて進むこととなりました。
迷ったら尾根を進み、明るい場所でGPSを使って現在地を確認するという作業を定期的に行うと安心できるかと思います。
登り尾の山頂は、二等三角点と山頂を表す標識が掲げてあるだけで、展望は全くありません。
楽しむべき点を何も見出すことができなかったので、記念写真を撮ったら1分も停滞することなく、とんぼ返りです。
戻りの道も、迷いまくりで全行程の8割近くは直登直進のちから技で抜け出してしまいました。
寒天林道に戻ったら、「八丁池口」停留所までは、緩やかな傾斜の林道です。
ヒンヤリとした気持ちのよい空気を吸い込みながら、ハイキング気分で登りきってしまいましょう。
なお、「八丁池口」からも、あと少しだけ林道歩きが続くこととなります。
ギャラリー
「八丁池口」停留所~東猿山~三筋山
「八丁池口」停留所から10分ほど進み、三筋山方面への分岐を曲がると徐々に林道から登山道へと変わってきます。
春先に来た時には、アゼビの花で満開だったこの道も秋口は緑の葉っぱが生い茂った道に変化しています。
時折、木々の合間から、三筋遊歩道に林立する風力発電機たちや相模湖方面の海への眺望が楽しめます。タイムアタックしているわけでも無いので、ところどころ立ち止まって風景を楽しみながら進むことにします。
今回最高峰となる「東猿山」を越えて更に進んでいくと、巨大な風力発電が目の前に現れます。
わたしもそうだったのですが、初見で見るとそのデカさにちょっと脳みそがバクります。ご注意下さい。
そして、ここからは風力発電機の合間を縫うように、車道と山道を交互に進んでいきます。
メインは車道、近道に山道という割合でしょうか。
途中に、展望台といわれる非常に展望に優れていてベンチも併設されている場所があります。
三筋山山頂は人気スポットで人が多いので、昼食はこっちの展望台を使ったほうが捗るかもしれません。
三筋山山頂は、天候に恵まれていると本当に絶景です。
山頂から稲取細野高原を抜けて海岸線に至る草原の緑と、青く広がる相模湾のコントラストが絶妙で、いつまでも眺めていたくなる展望です。正面の伊豆大島から神津島までの伊豆諸島の眺めが秀逸なのは勿論なのですが、南に見えるゴツゴツとした海岸線への眺めもなかなか面白いので、全方位満遍なく眺めてみることをオススメします。
それでは、次は最終局面。メインディッシュの稲取細野高原の散策に移っていきます。
ギャラリー
Instagramに上げた、山頂グルグル動画です。この日はほんとお天気が良くていい感じでした。
三筋山〜「細野高原」臨時バス停留所
三筋山から「細野高原」臨時バス停留所までの道は、最初こそ芝生の道ですが、徐々にアスファルトの舗道に変わっていきます。
結構、傾斜のある舗道もあるので、降りに使うときは靴紐キツめに結び直しておくと、豆をつくったり爪を痛めたりすることも無いでしょう。
この高原地帯ですが様々な周回コースが用意されていて、案内版が多数出ているので興味を引きますが、三筋山頂を絡めたコースは一番長い140分コースのみのようです。
右回り、左回りどちらかのルートを取って降っていくことになります。
そして、高原の中の至るところに「フォトビュースポット」なる看板が立っていて、展望の良さそうな場所を示してくれます。見かけたら、是非、一枚写真に納めていくと幸せになれそうです。
そして高原地帯の終着点「細野高原第一駐車場」にはきれいなおトイレが併設されています。
長い山歩きで緊張しているようだったら、ありがたくお借りしましょう。
「細野高原第一駐車場」 の過ぎて10分ほど歩くと「細野高原ツリーハウス村キャンプ場」という施設が見えてきます。
秋の海すすきのイベント開催中は土日限定で、この場所から「稲取温泉」駅までの臨時バスが出ています。通常であればここから駅まで1時間強の車道歩きを強いられるのですが、今回は楽チンで駅界隈まで向かうことができました。
イベントごとに乗っかるのも、たまには良いかもしれませんね。
ギャラリー
風が安定しないのか、2,3度リトライしてましたが、無事、テイクオフ。気持ちよさそうに滑空していきました。いやはや、これは真似できないですね。
おまけ
今回、立ち寄ったお風呂は「稲取温泉石花海(せのうみ)」です。
徒歩で向かうと、駅から外れた場所にあるので難儀ですが、今回は歩いて5分の最寄りバス停「稲取文化公園前」で下車できたので、こちらもラクラクで入浴することができました。
海岸線に建つ建物の最上階5階に設置された露天風呂からの展望がウリで、正面に伊豆諸島を眺めながら気持ちのよい入浴が楽しめます。
注意事項としては、すぐ下を一般遊歩道が通っているので、柵に近い位置で仁王立ちになると、通行人にバッチリ露出します。いろいろ自信の無い方はご注意下さい。
その他の設備は、シャンプーリンスは常設、内風呂、サウナ、水風呂も完備と、宿泊メインの施設にしては、非常に充実しています。
それが理由だからなのか、お値段設定はお高めの1,500円。
時間制限が無いので、もし立ち寄る機会があるなら、できるだけ早めに赴いてゆっくり長々と入浴を楽しむ使い方がよいのかもしれません。
公式サイトのURL貼っておきますので、詳しくはそちらをご確認下さいね。
ギャラリー
おまけ2
この日は、熱海で海上花火大会が開催されるということで、時間をあわせて立ち寄りました。
海岸線ギリギリに陣取って、概ね1時間の光の祭典を楽しませてもらいました。
花火の音の合間に聞こえる波の音が耳に心地よくあっという間に最後まで見入ってしまいました。
やっぱり、花火は現物で見るのが一番ですね。
ギャラリー
音付きのやつは、Instagramに上げたやつをご参照ください。
まとめ
海すすきを眺めに、三筋山に登ったときの様子でした。
オードブルの登り尾は、イマイチだったのですが、メインの三筋山、稲取細野高原ともに天候に恵まれて楽しい散策となりました。
伊豆は都心からは少し距離がありますし、高い山も少ないので、あまり訪れる人が居ない印象ですが、今回訪れた三筋山界隈と同じく、山と海両方の展望が臨めるステキな場所が多数揃っています。
良いお湯を出す温泉地もいっぱいあって、下山後のお風呂にも不自由しないことを考えると、実は登山にも向いている場所なのかもしれません。
まずは、試しにお手軽な三筋山に登ってみて、ご自身で体験して確かめてみるのはいかがでしょうか。
なかなか楽しい試みになると思いますよ。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
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