伊豆の天城峠というと、百名山の一つに選ばれた名峰「天城山」への登山口というイメージの他に、川端康成の伊豆の踊り子や石川さゆりの天城越えといった文芸作品の舞台としても有名な土地です。
そんな天城峠の修善寺側玄関口に、湯ヶ島温泉という温泉地があるのをご存知でしょうか。
川端康成が気に入り長期滞在した温泉宿「湯本館」を代表とした有名な温泉地で、同館にて伊豆の踊り子を執筆したと言われています。
この温泉宿、今も現役で営業していて、宿泊はもちろん、文豪の滞在したお部屋の様子を見学できるんだそうです。
今回は、そんな有名な老舗温泉宿の真横に建つ、格安共同浴場「河鹿の湯」に入ってきたので紹介していきます。
大人が二人入ったら満員のとっても小さな湯船に、ダバダバと大量の温泉が掛け流しに注がれている、めちゃめちゃ贅沢なお風呂ですので、100%源泉掛け流しが大好物ということでしたら、とても唆られる施設だと思います。
是非、最後まで読んでいってくださいね。
- コスパ重視な人
- 時間に縛られたく無い人
- 混雑が嫌いな人
- 至れり尽せりなサービスを望む人
- いろんな湯船を楽しみたい人
- 潔癖症な人
基本情報
まずは、基本情報です。
施設名:河鹿の湯
住所:〒410-3206 静岡県伊豆市湯ヶ島1650-3
電話:0558-85-1056(伊豆市観光協会天城支部)
営業時間:13:00~22:30、水曜のみ13:00〜22:00
定休日:-
湯船の種類:内風呂
無料設備:-
有料設備:-
登山者向設備:大きなロッカー✖️、ザック置き場✖️、大きな靴入✖️、靴洗い場✖️
宿泊設備:✖️
駐車場:○(5台)
客層:単独
※最新情報、臨時休業については、公式HPもしくは、直接お電話にてご確認ください。
泉質情報
続いては、泉質情報です。
源泉名:西平泉 湯ヶ島29号
泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
水素イオン濃度(pH):8.0
湧出量(リットル/分):791
泉温(℃):45.4
飲用:×
泉質別適応症:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
泉質の特徴
冒頭に述べたとおり「河鹿の湯」は泉量が非常に多く、小さな湯船から常にお湯が掛け流しになっている、とても鮮度の高い温泉です。
なお、大人一名が新鮮な温泉を一日たっぷり楽しむために必要なお湯の量は、1リットル/分と言われています。
「河鹿の湯」にお湯を引っ張っている源泉の湧出量は791リットル/分あるので、毎日791名へ新鮮なお風呂を供給できることとなります。
同じ源泉から複数の温泉宿にお湯を供給しているとはいえ、これだけの泉量があれば、いつでも新鮮な温泉を楽しめることになるでしょう。
お湯に浸かった感じは無色無臭、40℃ぐらいの少し熱めのお湯といったところ。
含有成分に硫酸イオンが多いことから、傷や火傷への治癒効果、肌の蘇生効果が期待できます。
加えて、水素イオン濃度が弱アルカリ性を指しているため、肌の不用物を溶かすクレンジング効果も期待できます。
このことから、「河鹿の湯」の特徴をまるっと表現すると次のような温泉と言うことができます。
「河鹿の湯」の特徴
- 傷の湯
- 脳卒中の湯
- 若返りの湯
- 美肌の湯
各成分の主な効果
- 硫酸塩:傷・火傷の治癒効果、肌の蘇生効果(傷の湯、脳卒中の湯、若返りの湯)
- 弱アルカリ性:クレンジング効果(美肌の湯)
湯船毎の特徴
「河鹿の湯」の湯船には、小さな内風呂が一つだけで、地元民の利用を想定した入浴施設となっています。
特徴は以下の通りです。
内風呂
大人が二人入ったら満員という、かなりこじんまりとした湯船が真ん中にあり、その四方に洗い場となる蛇口が設置されています。
湯船の深さは、大人一人しゃがむと胸元までお湯が来るぐらいなので、極々一般的な深さなのですが、湯船の底には段差のようなものは無く、足腰が弱っている高齢な方々は出入りに少々苦労しているシーンを見ることが何度かありました。
また、洗い場にはシャワーの類は存在しておらず、洗髪したいときは桶いっぱいにお湯を満たして頭の上からひっかぶるか、蛇口の下の狭い空間に頭を入れてお湯を垂れ流しにするか、いずれかの方法になります。
なお、石鹸やシャンプーの類は備え付けられておらず、受付にも売ってないので、持参してこないと湯浴みしただけで帰る羽目になるので、ご注意ください。
その他、みるべき点として正面のガラス窓から見える狩野川渓流が素敵な点でしょうか。
ただし、湯船に浸かりながらだと見ることができないので、渓流を楽しむときは、男らしく窓際でマッパ仁王立ちになってお楽しみください。
料金
気になる料金は、次のとおりです。
時間制限無しに大人一人350円は破格です。
時間制限もありませんので、好きなだけお風呂に入っていられます。
ただ、湯船が狭いので、一人で長時間占有してしまうのは避けたほうが良いです。
あくまでも、ここのメインは地元民ということで、短い時間で出入りをすることで調整してみてくださいね。
お得クーポン
「河鹿の湯」のお得なクーポンは見つけることができませんでした。
その代わり、回数券が購入でき11枚綴りで大人3,500円と実質一回分無料で入浴を楽しむことができます。
何度も足を運ぶようなら、回数券を購入しておくのが賢いでしょう。
アクセス方法
「河鹿の湯」へのアクセス方法です。
最寄の駅やバス停から公共交通機関を使ったアクセス方法、クルマでのアクセス方法の順に説明します。
公共交通機関でのアクセス方法
まずは、電車、バスを使ったアクセス方法です。
最寄りのバス停、駅それぞれからのアクセス方法について載せていきます。
また、近隣まで高速バスが出ているようなら、それらも載せておきます。
最寄りバス停からのアクセス方法
「河鹿の湯」に一番近いバス停は、東海バス「西平橋停留所」です。
民家の間の狭い路地を進んで1分で行き来することができます。
湯ヶ島温泉〜修善寺温泉、持越温泉〜修善寺温泉のいずれかの路線バスが停車します。
最寄りバス停からのアクセス方法
最寄りバス停からのアクセスマップ
最寄り駅からのアクセス方法
「河鹿の湯」の最寄駅は伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」になります。
流石に、「修善寺駅」から徒歩で向かうとなると二時間以上の距離となるため現実的ではありません。
修善寺駅南口にあるバスロータリーより、湯ヶ島温泉もしくは、持越温泉行きの路線バスに乗っていく方法となります。
距離感としては片道40分ほどになります。
最寄り駅からのアクセス方法
最寄り駅からのアクセスマップ
ギャラリー
高速バスでのアクセス方法
「河鹿の湯」に高速バスで向かう方法は、2023年6月17日現在ではありません。
以前は、東海バスが修善寺温泉ライナーという高速バスを1日2便ペースで運行していたのですが、残念ながら運休のまま廃止となるようです。
関連リンク
公共交通期間の時刻、運行状況、運賃の確認に役立つリンクを掲載しておきます。プランニングの際にご活用ください。
車でのアクセス方法
続いては、車を使ったアクセス方法です。
わたしは非マイカー組なので、実際に車でアクセスしたことはありませんが、需要があるかもしれませんので、調べた内容を載せておきます。
「河鹿の湯」への最寄りインターチェンジは東名高速道路「沼津インターチェンジ(以降IC)」とのことなので、以下のようなルートとなります。
最寄りICからのアクセス方法
最寄りICからのアクセスマップ
「河鹿の湯」を利用してよかった点3つ
「河鹿の湯」がどんな施設なのか大体わかったところで、実際に利用してみて、よかったなと感じた点3つを紹介します。
- 入浴料が安い
- 制限時間がない
- 利用者のほとんどが地元民の素朴な雰囲気
入浴料が安い
「河鹿の湯」を利用してよかった点の一つ目は「入浴料が安い」という点です。
少々湯船が窮屈で、備え付けの設備がほぼ何も無い状況とはいえ、源泉掛け流しの天然温泉に350円で入れるのは、コスパが良すぎます。
たとえ毎日入ったとしても月々10,500円。回数券を購入すれば、これよりも安く済んでしまうことになります。
これは、地元の方がとっても羨ましいところではありますが、周囲にコンビニも無い立地という点を考えると、住み込むには少々不便です。
登山の帰りに立ち寄る程度の方が、実際には良いのかもしれませんね。
制限時間がない
「河鹿の湯」を利用してよかった点の二つ目は「制限時間がない」という点です。
大抵の温泉施設は、回転率を上げるために時間制限が設けられていますが、この施設にはそのような制限は無いようで、350円でそれこそ何時間も施設の中でくつろいでいることができます。
熱めのお湯なので、永遠と湯船に浸かっているわけにはいきませんが、頻繁に湯船を出入りしたり、足だけを入れて足湯的に楽しんだりしていれば、結構な時間楽しんでいることができます。
浴室から出た後も、脱衣室に設置されている長椅子に座って涼んでいることもできるので、この点は大いにメリットに感じることでしょう。
ただし、地元の方々で混み合ってきたら、彼らを優先してあげてくださいね。
利用者のほとんどが地元民の素朴な雰囲気
「河鹿の湯」を利用してよかった点の三つ目は「利用者のほとんどが地元民の素朴な雰囲気」という点です。
夜の時間になるとわかりませんが、わたしが利用させてもらった時は、単独でポツポツと利用客が現れるのみで、騒がしくも無く、窮屈でも無く、のんびりゆったりお風呂を楽しむことができました。
おそらく、ファミリー層はご自宅のお風呂に入るからなんでしょう。
連れ立って入りに来るような入浴客には会うことがありませんでした。
人付き合いが苦手な私には、この点もなかなか大きいメリットとなりました。
「河鹿の湯」を利用してイマイチだった点3つ
どんな施設でも、よかった点もあれば、悪かった点も存在します。
ここでは、「河鹿の湯」を実際に利用してみてイマイチだったなと感じた点3つを紹介します。
- 備え付けの設備がほぼ皆無
- 小ぶりな湯船一つしかない
- 掛け湯しないで入る方が居る
備え付けの設備がほぼ皆無
「さくらの湯」を利用してイマイチだった点の一つ目は「備え付けの設備がほぼ皆無」という点です。
シャンプーや石鹸の備え付けが無いというのは、共同浴場ではよくある話なので気になりませんでしたが、シャワーが無い、ドライヤーが無い、極め付けは鍵付きロッカーも無いとなってくると、なかなか不便な状況に陥るなという印象でした。
番頭さんが居れば、貴重品をお預けすることができるかもしれませんし、訪れる方が全員地元の方であれば、盗まれる心配はほぼ無いんだろうと思いますが、誰にでも開放している時点で、少なからず盗難のリスクは発生してしまうため、この点はマイナス要因になるかなと感じました。
小ぶりな湯船一つしかない
「河鹿の湯」を利用してイマイチだった点の二つ目は「小ぶりな湯船一つしかない」という点です。
ここの源泉は、温度が高いので長湯向きではないものの、湯船が空くのを待たないといけないシーンが何度かありました。
これは、足腰が弱まってしまったご高齢の方々が湯船を出入りする時に発生しており、その都度、もう一つ湯船があったらなと残念に思ってしまいました。
午後の早い時間帯に訪れていたら、もう少し違ったイメージになったかもしれません。
掛け湯しないで入る方が居る
「河鹿の湯」を利用してイマイチだった点の三つ目は「掛け湯しないで入る方が居る」という点です。
わたしの場合は、お風呂に入る前には必ず体を洗うタイプなのですが、場所や年代によっては、掛け湯だけで入られる方もいらっしゃいます。
体の油分などを落とし切ってしまうと、温泉成分が直接肌に当たって、湯当たりを起こしやすくなるといった理由のようです。
ただ、そういった方々でも掛け湯だけはするものだと思い込んでいたのですが、今回ご一緒したお父さん方3名ともに掛け湯も無く、そのままドボンと湯船に直行していました。
泉量が多く、すぐに湯船のお湯も新しく入れ替わるので、気にしない場所なのかもしれません。
ただ、まあ、どうでしょう。あくまでも、私の個人的な心情ではありますが、「大した手間にもならないんだし、局部ぐらい流してから入ろうよ」という気持ちになっていたので、マイナス要因として挙げさせてもらいました。
「河鹿の湯」とセットで楽しめる山
最後に、この施設とセットで楽しめる山を紹介します。
- 天城山
- 伊豆山稜線歩道
- 鉢窪山
天城山(あまぎさん)
「河鹿の湯」とセットで楽しめる山の一座目は「天城山」です。
伊豆半島の真ん中を東西に連なる山々の総称で、最高峰1,405mの万三郎岳を筆頭に、伊豆で最も高い山岳地帯です。
一帯のほとんどが樹林帯となっているため、新緑の瑞々しい春先や、紅葉の綺麗な秋口に登るのに適しています。
また、木々の開けた場所からは、東西と南に海岸線を眺めることができ、北には富士山への眺望が期待できます。
さまざまな登山ルートが設定されていますが、人気あるルートには次のようなものがあります。
- 天城縦走路コース:天城高原ゴルフ場から万二郎岳、万三郎岳、小岳、八丁池と主稜を辿って、天城峠へ降るルート。
- シャクナゲコース:天城高原ゴルフ場から万二郎岳、万三郎岳と稜線を歩き、天城高原ゴルフ場に戻ってくる周回ルート。
- 八丁池コース:天城峠から八丁池まで登り、天城峠へ降るルート。
この中で、天城縦走路を天城峠へと下山したときの立ち寄り湯として「河鹿の湯」をプランニングすると使いやすいでしょう。
具体的には、ゴール地点となる「天城峠停留所」から修善寺行きの路線バスに乗って「湯ヶ島温泉入口停留所」下車、徒歩30分ほどで到着することができます。
下山口から入浴施設へのアクセス方法
下山口から入浴施設へのアクセスマップ
伊豆山稜線歩道(いずさんりょうせんほどう)
「河鹿の湯」とセットで楽しめる山の二座目は「伊豆山稜線歩道」です。
こちらも単独の山というわけでは無く、西伊豆の稜線を辿るトレッキングルートとなります。
ルート上からは、駿河湾が一望でき、笹の生い茂る稜線の先には富士山も見えることがあり、非常に開放感のある気持ちの良いハイキングが楽しめるコースとなっています。
難点としては全長が43kmにもわたるため、一度にすべてを踏破するのは厳しい点でしょう。
このため、途中のエスケープルートを使って、数回に分けて歩くことになるかと思いますが、この中で土肥峠から持越温泉方面へエスケープした時に、寄り道しやすい温泉施設となります。
なお、以前は持越温泉にも日帰り入浴サービスを行なっている宿泊施設もあったようですが、今はお泊まり前提のところしか無いみたいです。
具体的には、土肥峠から一時間ほど山道を降って、持越温泉停留所から路線バスに乗って西平橋停留所で下車、徒歩1分で到着することができます。
最寄駅から入浴施設へのアクセス方法
最寄駅から入浴施設へのアクセスマップ
鉢窪山(はちくぼやま)
「河鹿の湯」とセットで楽しめる山の三座目は「鉢窪山」です。
伊豆有数の知名度を誇る浄蓮の滝より、踊子歩道を一時間ほど南下したところにある標高674mの里山です。
1万7000年ほど昔に噴火した火山とのことで、小さいながらも山頂には火口が存在していてお鉢巡りができます。
以前は登山に訪れる人が皆無の山だったところ、2018年より地元有志の方々により山道整備が進み、現在では非常に歩きやすい山になっています。
特に、山頂手前にある展望所からの眺めは秀逸で、目の前に西伊豆の稜線、眼下に修善寺の街並み、少し外れて富士山を眺めることができます。
山頂に至るルートは、
- 車の通れる林道をジグザグに登る、林道コース
- 整備された登山道を山頂に向けて直登していく、はちくぼ遊歩道コース
の2つがあります。
いずれのルートを使う場合も、最寄りのバス停が浄蓮の滝停留所となり、そこから路線バス一本で寄り道できる「河鹿の湯」は大変使いやすい入浴施設となっています。
具体的には、浄蓮の滝停留所から修善寺行きのバスに乗って、湯ヶ島入口停留所で下車。そこから、徒歩30分で到着することができます。
最寄駅から入浴施設へのアクセス方法
最寄駅から入浴施設へのアクセスマップ
まとめ
- コスパ重視な人
- 時間に縛られたく無い人
- 混雑が嫌いな人
- 至れり尽せりなサービスを望む人
- いろんな湯船を楽しみたい人
- 潔癖症な人
- 天城山
- 伊豆山稜線歩道
- 鉢窪山
伊豆の天城峠麓の温泉地、湯河原温泉にある共同浴場「河鹿の湯」の紹介でした。
石鹸、シャンプー、シャワーすら無い、小ぢんまりとした内風呂が一つだけの少々不便な施設ではありますが、天然温泉100%の源泉掛け流しのお風呂をワンコイン以下で楽しめる、とてもコストパフォーマンスの良い温泉施設です。
少々熱いお湯なので、長湯しすぎてのぼせないように、サッと入って汗を流すような使い方が良いかと思います。
天城エリアでアウトドアを楽しんだ後、途中下車して立ち寄ってみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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