伊豆稜線歩道の山々や愛鷹の山々から沼津方面を見ると、大抵の場合目につく山々として沼津アルプスというのがあります。
沼津の市街地の南に位置して、東西に広がる形で伸びる小さな山々の連なりなのですが、最高峰の鷲頭山の山容がてっぺんがとんがっている特徴的な姿で、一度これと確認できれば、2度目は直ぐに見つけることができる大変わかりやすい山々です。
そんな沼津アルプスですが、11月下旬になって紅葉が見頃との噂を聞いたので、天気の良い週末を狙って赴いてみました。
取り付き口となる香貫山は、沼津駅からバスで10分、徒歩でも30分と交通の便が良く、低山のわりに急勾配のアップダウンの続く骨太な登山が楽しめることが人気で、関東圏からも結構な登山客が訪れると聞きます。
関東圏の里山遊びにマンネリ感を感じ始めたあなたにも新しい刺激になると思います。
本記事を最後までお読みいただいて、次回以降のプランニングに役立ててもらえたら幸いです。
なお、今回は試験的にご近所の葛城山まで繋いで歩いてみましたが、残念ながら日暮れ過ぎの下山となってしまいました。そんな、失敗例も掲載してますので、反面教師としてお読みください。
基本情報

まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2021/11/27
天候:晴れ
エリア:伊豆エリア
コース概要:JR東海道本線「沼津駅」〜香陵台公園〜香貫山〜芝住展望台〜横山~徳倉山~鷲頭山~太平山〜多比~内浦〜発端丈山~葛城山〜伊豆箱根鉄道駿豆線「田京駅」
難易度:体力☆☆、技術☆☆、危険☆☆
交通機関:
(往) 伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」 からスタート
(帰)東海バス「修善寺虹の郷」停留所から、 伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」 へ
概要
沼津アルプス
沼津アルプスは、静岡県沼津市にある伊豆半島西の付け根に並ぶ静浦山地の6つのピークを繋げ、整備した登山道です。具体的には以下の山々で形成されています。
- 香貫山
- 横山
- 徳倉山
- 志下山
- 鷲頭山
- 太平山
整備されているのが地元の有志の方々というところに頭の下がる思いがします。
それぞれの山の標高はさほど高くはなく、最高峰の鷲頭山で392mと東京都の高尾山よりも100m近く低い連なりとなりますが、なかなか激しいアップダウンが続く玄人向けの山道で、全くの登山初心者には向きません。
それでも、各峠から市街地に降るエスケープルートが豊富にあるので、自分の体力、コンディションに合わせて道程を調整しやすい面もあります。気負わずに、挑戦してみることをおすすめします。
低山の連なりではありますが、点在するポイントからの展望は大変に素晴らしく富士山への眺望をはじめ、沼津の市街地や港、伊豆半島西側の山々の様子とバラエティーに富んだ眺めで楽しませてくれます。
代表的なビューポイントとしては以下のような箇所が点在しています。
- 芝住展望台(香貫山)
- 香陵台公園(香貫山)
- さざなみ展望台(志下山)
- 奥駿河パノラマ台(志下山)
- きらら展望台(志下山)
- 小鷲頭山山頂(鷲頭山)
- 鷲頭山山頂(鷲頭山)
個人的には、芝住展望台、奥駿河パノラマ台が秀逸で外せない場所かなと思います。
一般的なスタート地点となる香貫山登山道へのアクセス方法は、JR沼津駅から東海バスで10分の「黒瀬」停留所から赴くか、JR沼津駅から30分歩いて直接赴くか、どちらかになります。
なお、沼津アルプス南端の大平山から、更に西方向に進んだところにある大嵐山(日守山)、茶臼山まで繋いだルートとして「奥沼津アルプス」という登山道も設定されていますが、こちらは私有地を通過することになる為、原則通行禁止です。
たとえ、現地にコース案内などが出ていたとしても、土地所有者からは通行しないで欲しいという意向が示されていること念頭に、行動いただくのが良いのだろうと思います。
以前呟いたツイートに、当時の地元管轄の函南町役場からの回答メールを貼り付けていたのが残っていたので、エビデンスとして掲載しておきますね。
ギャラリー













一番おすすめのビュースポット「芝住展望台」からの眺めをインスタグラムに上げてます。こちらもお楽しみください。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 448 m
最低点の標高: 1 m
累積標高(上り): 2099 m
累積標高(下り): -2086 m
総所要時間: 09:29:39
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。

注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
- 多比峠~多比口峠の区間:この区間は両脇が切れ落ちていて、万が一バランスを崩して滑落すると大怪我に繋がるので通過の際には慎重さが必要です。しかし、岩場という岩場がセメントでがっちり固められているので、足元はとても安定しています。よそ見や上の空で通過しない限り大事故にはならないと思われますが、くれぐれも油断しないよう足元に集中して通過するようにしてください。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、手袋
今回は、歩きはじめから日暮れまでの間、薄手の長袖Tシャツで過ごしました。
今回は最高地点でも「葛城山」の452mだったので、道中で汗をかくことが多かったですが、日が暮れてからは、無風だったのが良かったのか丁度良い暖かさとなってくれて最後まで歩き切れました。
乗物移動のときは、フル装備でしたが足元がスースーしていたので、次回は着替えのズボンは中厚手にしてみようかと思います。
今回のウェアの着合わせについて、具体的な製品名も含めて次の記事にまとめています。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。

山行の記録

ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、沼津駅からバスに乗らずに直接、香貫山登山口に赴いてスタートすることにしました。
東京から沼津行きの東海道本線に乗車して、終点「沼津駅」まで向かいます。
沼津駅にて、念の為、おトイレを済ませたら、南口改札を抜けてバスターミナルを通過してすぐの十字路を東方向へ折れて直進して行きます。
一度、橋を渡り更に西へ向かうと、一般住居の隙間に香貫山への登山口の案内が立っています。
沼津駅から向かった場合、顔を横に向けないと読めない位置にあるので、通り過ぎないように注意しましょう。
なお、この辺りはGPSのアンテナがばっちり立っていますので、GPS頼りに進んだ方が捗るかもしれません。
見繕いは登山口を入って5分ほど登った先の「香陵台公園」で行うことをおすすめします。景色を眺めつつ見繕いすることで、登山への期待で気持ちも高まることでしょう。
ギャラリー































香陵台公園〜香貫山〜芝住展望台〜横山
香陵台公園から香貫山へのルートには、大きく次の二つがあります。
- 尾根筋から直接山頂を目指す登山道ルート
- 芝住展望台を経由する車道ルート
今回、調査不足により車道ルートがあることを把握できていなかったので、登山道ルートを進んで行きます。
香貫山山頂まで、様々な踏み跡がありますが、山頂方向の案内通りに進めば、どのルートでも最終的に山頂に到着できるようなので、気の向いた道を辿って登って行くで問題ありません。
ただ、香貫山山頂は展望には恵まれていないので、芝住展望台へ寄り道することをおすすめします。
山頂から芝住展望台に向かうには、一度車道まで降りてから逆方向に戻っていく形になります。
折角、進んだ道を戻るのはちょっと無駄に感じますが、展望台からの眺めはそれだけの価値がありますので、時間が許す限り寄り道していくと良いでしょう。
展望台での眺めを楽しんだら、車道を「新桜台」方向に進みます。途中で、山道に入ることになりますので、入り口を見落とさないように進んで下さい。
新桜台からは降りに転じて八重坂峠まで向かうこととなります。山道と車道を何度も行き来するので、初見では正しい道なのか不安になるところもありますが、要所要所に案内は出ていますので、ここも見落とさないように進んで下さい。
八重坂峠にある横山への登山口からは、勾配の急な登り坂を登って行きます。補助のロープが張ってあるので、うまく使いながら上り詰めれば横山山頂に到着です。
ここの山頂も、香貫山以上に展望に恵まれていない場所なので、記念撮影したらすぐに移動してしまいましょう。
ギャラリー














































横山~徳倉山
横山を通過したら、今度は勾配の急な降り坂に入ります。
登りの時も大変でしたが、降りは更に大変です。滑りやすい粘土質の道に、足を引っ掛けそうな木の根が多数足元を張っていますので、転ばないよう慎重に降ってください。
無事に降り坂を通過できると横山峠に到着し、それ以降はまた登りに転じます。
最初のうちは穏やかに登って行きますが、徐々に勾配が急になっていき、最終的には急坂の階段道に変化します。この階段を登り切って、横に2つ並んだ祠が見えてきたら徳倉山の山頂まであと少しです。
止まってしまうと動き出すのがキツくなるので、そのまま山頂まで上り詰めてしまいましょう。
徳倉山の山頂は北方面に一部開けており、丁度、富士山の山頂が見えるようになっています。うまく位置取りすれば、山頂の表札と富士山が一緒のフレームに収まるので頑張って記念撮影してみてください。
ギャラリー
















徳倉山~鷲頭山
徳倉山山頂からの降りは、横山からの降りに比べれば勾配穏やかですが、それでも、一般的な里山に比べると急です。ここも慎重さを求められるので、補助のロープなども活用して転ばないように注意しつつ降ってください。
志下坂峠を通過し、穏やかになった尾根道を進んでいくと前方が明るくなり、沼津の港への展望が広がります。
以降、志下峠に到着するまでの間、前方の鷲頭山、右手の沼津の港を眺めながら歩くことになります。この区間は沼津アルプスの中でも屈指のパノラマ区間になりますので、是非、天候の良い時に歩いてみてください。
志下峠を過ぎると、鷲頭山山頂までは登り一辺倒の急坂続きとなります。ここの勾配は横山の急坂よりも急なので、場所によってはよじのぼる感じになりますので、途中でバテないよう、スローダウンしてゆっくり登るようにしてください。
鷲頭山の山頂からは、駿河湾への眺望が素晴らしいです。
沼津アルプス最高峰ということもありますので、素敵な海への眺望を楽しみつつ一息入れると良いでしょう。
ギャラリー















































鷲頭山~太平山
沼津アルプス最高峰の鷲頭山山頂を踏んだら、最後のピーク太平山へ向かい降って行きます。
途中で、木々の間から沼津や三島の市街地の様子を眺めることができますが、他の山々と同じく、ここの下り坂も勾配が急で滑りやすいので、よそ見はほどほどにして進むようにしてください。
無事に多比峠まで降れたら、今度は両側が切り立った細尾根が続くようになります。周囲を木々が囲んでいるのであまり高度感を感じませんが、滑落したら大怪我につながりそうな高さはあります。ここでも、足元に集中して進むようにしてください。
無事に多比口峠まで到着できれば、太平山の山頂まではあと少しです。
残りの登り坂を気合いで登り切ってしまいましょう。
太平山の山頂は、展望はほとんどありません。ベンチの前から辛うじて伊豆の国市市街地への眺めが楽しめるくらいでしょうか。
そして、ここから大嵐山、茶臼山と西へ続く奥沼津アルプスというルートがある旨の案内が出ていますが、このルートは途中で私有地を通ることになります。
見ていると通過していく登山客が多くいますが、この区間を管轄している函南町役場からの解答は2021年3月現在で「通行禁止」です。
直接メールで問い合わせた結果なので間違いありません。
立ち入る際はそのつもりで対応してくださいね。
ギャラリー





















太平山〜多比~内浦
大平山まで登ったことで、沼津アルプスの主要なピークは踏破しました。
ここからは、試験的な山行に入ります。沼津アルプスの南に、有名な伊豆三山と呼ばれるエリアがあります。
この二つのエリアを繋げて日帰りできるかというのにチャレンジしてみます。
まずは、伊豆三山のうち沼津アルプスに一番近い発端丈山に向かうことにします。
多比の登山口から海岸線に降り、そこから海沿いを南下して内浦小学校隣接の登山口から登って行くことにします。
多比までの降り道は途中までは山道ですが、一定距離進むと車道に変わって行きます。
膝への衝撃が厳しくなる反面、地面が安定するので、トレランシューズなどを履いていると捗るかもしれません。
そのまま多比まで降って海岸線を南下し、内浦小学校まで進むことになりますが、この海岸線からの眺めもなかなかのもので、天候に恵まれれば、正面からは淡島、横には駿河湾、振り返ると沼津アルプスの山々に後ろに富士山とワクワクする眺めが楽しめます。
距離的に1時間30分ほどの長さになりますが、眺めを楽しみながらなら歩きることできるでしょう。
内浦小学校が見えてきたら、発端丈山登山口までは残り30分といったところです。
これからの急坂に備えて、体力維持しつつゆっくり向かうと良いでしょう。
ギャラリー












































内浦〜発端丈山
発端丈山登山口からは、最初から急坂が続きます。
ここまでの疲労も手伝って、なかなか登り切るまで難儀しますが、山道自体はしっかりと整備されていて歩きやすいです。
休み休みでも大丈夫ですので、ゆっくり確実に高度を上げて行きましょう。
発端丈山山頂まで登れたら、360度全方向見渡すことのできる展望が待っています。
急坂を登り切ったご褒美として、じっくりと堪能してから次のピークに向かうことにしましょう。
ギャラリー














発端丈山~葛城山
発端丈山の次は、伊豆三山最高峰の葛城山へ向かいます。
この区間は、葛城山山頂直下までは、穏やかなアップダウンが続く林間の道になります。
そして、葛城山への分岐を曲がると林道に突入します。
林道からは、木々の合間から富士山が見えたりするので、時々周囲の状況を確認しながら進むと良いでしょう。
再度、登山道に戻ってからは急坂が待っています。
ここも慌てず急がず、じっくりと登り詰めて行きましょう。
葛城山の山頂は、一言で言うと「観光地」です。
山頂までロープウェイで登れてしまうので、一般の観光客が多数行き来するエリアになっています。
山頂前の道のりも、公園のようにさまざまなルートに分かれていますので、現地に立つ案内マップを把握して、効率よく山頂まで向かっていければ良いですね。
山頂には展望台が立っていて、富士山を正面に、全方向への展望が楽しめます。
ただ、この展望台は手狭で5、6人も乗れば一杯です。
待っている人が居るようでしたら、あまり長い時間滞在しないように譲り合いの精神で行きましょう。
山頂からの眺めを確認したら、最後のピーク城山へと行きたいところですが、この時点で時計は16時30分。丁度、日が沈む時間です。
ここからは暗くなる一方なので、最短ルートで下山することとしました。
ギャラリー






































葛城山〜伊豆箱根鉄道駿豆線「田京駅」
葛城山から最短で下山できるルートは、ロープウェイで伊豆の国市に降りるルートなのですが、かなりの行列が出来ていたこともあり、次に早く下山できる田京駅へ降るルートで行くことにします。
頂上広場の南側にあるアスレチック遊具の真ん中を突っ切って、ロープウェイの真下を通過し、舗道に出る頃には足元もうっすら暗くなってきます。
その後、木々の間を抜けて舗道を足速に降りて行きますが、途中からは完全に足元が見えなくなってしまいました。
舗道歩きに移っていたので、足元は安定していて転ぶことはなかったですが、登山は日暮れまでに下山するセオリーは外してしまいました。
それでも、ハンドライトやヘッドライトを複数携帯していたので明かりには困りません。今回はお手軽なハンドライトを使って足元を照らしつつ街灯の灯る住宅地まで降りてきました。
住宅街まで降ってこれれば、後は交通の往来に注意しつつ駅まで向かうのは造作もありません。
暗闇の中うっすらと見える、葛城山を振り返りつつ田代駅まで向かい、三島駅を経由して帰路に着くことができました。
日帰りの山行であっても、何らかの明かりを携帯することは大事なこと再確認できた山行となりました。
ギャラリー























まとめ
日の短くなってきた秋口に歩いた、沼津アルプスから葛城山縦走の様子でした。
今回は、日暮れまでの下山に間に合いませんでしたが、普段からライトを複数持参していることが功を奏しました。
情報収集も大事ですが、日頃からザックに入れておく装備の精査も大事な点です。
あなたのザックの中身も、定期的に見直してみると良いかもしれません。
次の記事にわたしが普段持ち歩いている装備についての紹介をまとめてます。
もし、興味ありましたら覗いていってくださいね。

それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
コメント