9月になると富士山も冬支度の様相を呈してきます。
山小屋は徐々に戸締まりをはじめていき、普段はうるさいなと感じる発電機の音やブルドーザーのエンジン音、登山客たちの談笑の声も途絶えて物静かで厳しい山に様変わりしていきます。
そんな中、一度は途中敗退していた御殿場ルートの日帰り登山にもう一度チャレンジしてきました。
普段から人気の少ないルートですが、この時期になると更に人気が減って、静かで落ち着いた山行を楽しめるかと期待していましたが、天候の悪化でなかなか忙しい山行となりました。
そうは言っても、物静かなルートであることには間違いありません。
ゆっくりと静かな富士山登山をしたいと考えているあなた向きのルートと思いますので、今回の内容を参考にプランニングいただければ幸いです。
目次
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
山行の基本情報
日付:2021/09/05
天候:曇りのち雨
エリア:富士山エリア
コース概要:富士急バス停留所「御殿場口新五合目」~七合五勺「砂走館」〜十合目「銀明水」~剣ヶ峰 〜十合目「銀明水」 ~大砂走り~ 富士急バス停留所「 御殿場口新五合目 」
難易度:体力☆☆、技術 ☆ 、危険☆
交通機関:
(往)JR「御殿場駅」から、富士急バスで「御殿場口新五合目」停留所へ
(帰)「御殿場口新五合目」停留所から、富士急バスでJR「御殿場駅」へ
概要
御殿場ルート
富士山主要4ルート(吉田、富士宮、御殿場、須走)の中で最長の登山コースです。
詳しくは、次の山行記事を御覧ください。
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今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
合計距離: 18161 m
最高点の標高: 3773 m
最低点の標高: 1442 m
累積標高(上り): 2375 m
累積標高(下り): -2401 m
総所要時間: 08:37:54
Download file:
climbing-record-20210905.gpx
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
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ポチップ
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
今回注意の必要を感じた区間
- 降雨時の七合目まで:御殿場ルートの七合目までは目印の少ない火山灰の山道です。雨が降って視界が遮られると、どこを歩いているのか把握できなくなることがあります。山道の両端にはロープが張り巡らされていますが、山行中は歩くことに集中してますので見落とさないとも限りません。億劫がらずに、こまめにGPSで現在位置を確認しておくと安心です。
- 降雨時の大砂走り:降雨時の大砂走りは、七合目までの山道よりも、更に輪をかけてホワイトアウトしやすいです。とても単調で幅広な火山灰地帯を降っていくことになるので、見通しが悪くなれば現在位置の把握に苦労することになります。定期的に建っているポールが唯一の道標になりますが、ブルドーザー道や登山路と交差する場所にはたくさんのポールが林立するため、間違った方向に向かいやすいです。ポールには方向を示す矢印が書いてありますので、都度、しっかり確認して降りるようにしましょう。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
都内から公共交通機関を使って御殿場ルートの登山口へアプローチする方法は次の2つがあります。
公共交通機関を使って御殿場口新五合目にアクセスする方法
- JR御殿場駅から、直通バスを使って「御殿場口新五合目」へ向かう(8:15着)
- JR三島駅から、一旦「水ヶ塚公園」へ向かい、そこからバスを乗り継いで「御殿場口新五合目」へ向かう(10:15着)
今回のように日帰り登山を考えているならば、到着時間は可能な限り早い時間に越したことはありません。
三島駅から向かった場合、2時間遅れてのスタートとなってしまうので、問答無用で却下。
JR御殿場駅からのアクセスすることにします。
東京から御殿場駅へ向かうには、途中の「国府津駅」で御殿場線に乗り換える必要があります。この「国府津駅」での乗り換えですが、時間が3分しかない上に、階段を渡った隣ホームまで向かわないといけないため、なかなかにシビアです。
降車した場所によっては、走ることを余儀なくされてしまいますので、東海道線に乗車するタイミングから階段に近い車両(1号車、5号車、7号車)を意識して選んでおくと安心です。
御殿場駅についてからも注意事項は続きます。
ここでの注意事項は、できるだけ早くバスのチケット売り場に向かうという点です。
御殿場駅からは、御殿場口行きのバスだけでなく、須走口行きのバスも発着しています。
このため、2つの登山口に向かう登山客がひしめきあう形となりかなり混雑することになります。
その割に、チケット売り場は窓口が一つだけしかなく、併設している自動販売機も始発の時間には動いていないので、いつも長蛇の列が出来上がっています。
バスの出発時間に焦らないように、なるべく早く列に並んでチケットを購入しておいたほうが良いでしょう。
ちなみにバス車内でもSuicaやPasmoを使って精算は可能ですが、往復チケットうは窓口でしか購入できません。
片道と往復で運賃が400円近く違うので、ピストン登山するつもりならば並んででも往復チケットを購入しておくことをお勧めします。
チケットがゲットできたら、あとはバスが到着するのを待つだけです。
その間におトイレを済ませたり、諸々準備を進めておきましょう。
バスに搭乗したら概ね30分で「新御殿場五合目」停留所に到着します。
到着した目の前が登山口となっています。登山口を少し降りると綺麗なおトイレがありますので、不安あるときには立ち寄ってから出立すると良いでしょう。
ギャラリー
富士急バス停留所「御殿場口新五合目」~ 七合五勺「砂走館」
登山口をくぐり抜けたら、八合目付近まで火山灰による砂地の道が続きます。
この砂地の道ですが、ずるずると踏ん張りが効かないため、かなり消耗します。
例えるならば、浅い砂浜を歩くような感じです。
そしてズルズルと安定しない足場に加えて、今回は雨による視界不良が甚だしく、10m先はホワイトアウトというような先が見通せない不安な状況の中を歩くこととなりました。
視界が良好だった先月に一度だけでも歩いていたのでなんとか歩き切ることができましたが、初見だったら大事を取って撤収していたかもしれません。
そんな中、幾度かのブルドーザー道との交差をクリアしつつ九十九折の登山路を登っていくと新六合目となる山小屋に到着します。
9月の時期ともなるとほとんどの山小屋は営業を終了しています。この新六合目の小屋も、今季の営業は終了しているようで戸締りがしっかりとされていました。
その後、七合目「日の出館」を通り過ぎて、「わらじ館」まできたところで営業中の山小屋に初めて出会います。
シーズンを終えたこの時期に御殿場ルートで営業している山小屋は、この「わらじ館」の他にはお隣の「砂走館」の2つのみということもあってか、10名近くの登山客が賑やかに寛いでいました。
それでも、9月10日の富士山閉山には、この2館も営業を終了し、御殿場ルートも冬山へ向けて加速していくこととなります。
ギャラリー
七合五勺「砂走館」〜十合目「銀明水」~剣ヶ峰
「わらじ館」「砂走館」と営業中の山小屋を通り抜けていくと、徐々に砂地の道が減り始め、代わりに花崗岩でできたガレ地の道に移り変わっていきます。
足元が硬くなって安定するので、この辺りまで登ってこれば徐々にペースも安定してくる反面、勾配が大きくなって、空気も薄くなるので、息が上がりやすくなってきます。できるだけステップを小さく刻んで歩くようにすると楽かもしれません。
そして、七合九勺「赤岩八合館」、八合目「見晴館」と無人の山小屋をパスした後、1時間30分ほどかけて最後の登り坂を登りあげると、山頂お鉢の一画「銀明水」に到着します。
「銀明水」は、枯れてしまった水場で今は神社跡地のような感じになっていますが、その奥には荒々しい火口が広がっていて、そんな火口を眺めつつ一息つくことができるので休憩するには良い場所です。
そんな休憩場所で少し休んだ後は、国内最高峰「剣ヶ峰」へ向かいます。
冬仕舞いした「浅間大社奥宮」を通り抜けて、最後の難関「馬の背」を登り詰めれば日本で一番高い場所「剣ヶ峰」に到着です。
シーズン中であれば、狭い山頂に登山客がひしめき合って、記念写真を取るための行列なんかも出来上がっているのですが、この日、剣ヶ峰で出会った登山客は2名のみ。
シーズンを終えた9月で、更に天候不順の日ともなれば、流石の週末でも訪れる人は限られた人数になることがわかりました。
そして視界不良の中、せめて火口のガスだけでも晴れてくれないかと10分ほど待機しましたが、好転することなくタイムアップとなってしまったので、「銀明水」まで戻り下山することとしました。
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十合目「銀明水」 ~大砂走り~ 富士急バス停留所「 御殿場口新五合目 」
「銀明水」まで戻ってきたら、鳥居を超えて下山していきます。
御殿場ルートの下山路は、七合目「日の出館」までは来た道を降っていく流れになります。
この区間はガレ地の道なので、極端にスピードをあげて下っていくには危険です。焦らずに慎重に降り、「大砂走り」に入ったら加速していくようにしましょう。
そうは言っても「大砂走り」も無造作に大股で駆け降りていくのは膝への負担が激増して怪我を負うリスクが大きくなってしまいます。
いつでもブレーキが掛けられるレベルのスピードに抑えて、膝への負担を減らしつつ下っていくのが良いでしょう。
「大砂走り」の後半は、ブルドーザー道を降りていくことになりますが、ここまでくると砂の層が浅くなってクッション性が落ちてきます。
できるだけ腰を落として、膝への衝撃を逃すようにしてください。
「大砂走り」を降り切ったら、あとは穏やかな勾配の道を降っていくのみです。
普通に歩けば躓くようなところはありませんが、疲労から足がもつれて転倒すると言ったこともあり得ますので、最後まで気を抜かずに歩き切りましょう。
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おまけ
今回の立ち寄り湯は、前回に引き続き「熱海駅前温泉浴場」です。
最近、この施設ばかり使わせてもらっている理由は、立地とコスパの良さからです。
建物自体が古くお世辞にも綺麗とは言えないし、石鹸やシャンプーの取置きがなく100円余計にお金がかかると言ったデメリットもありますが、駅降りて歩いて3分の距離は、下山時の疲れがピークのときにはとても助かりますし、熱海の温泉に500円で入浴できるのは、とってもお得感があります。
入浴客も地元の方が多いようで、無駄に長居せずにささっと入って、出て行ってしまうので、狭い脱衣所でも混雑することはほぼありません。
下山時間が遅くなり、早風呂して帰りたいときには、とても重宝する入浴施設です。
機会あったらぜひ立ち寄ってみてください。
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まとめ
富士山御殿場ルート日帰りピストン登山の様子でした。
御殿場ルートは、砂地が長く続く歩きづらい道です。
そして、道中の山小屋も少ないので利便性も悪く、他のルートと比べるとあまり人気はありません。
反面で、渋滞など皆無の静かな山行が楽しめるという利点があります。
その他にも、火山灰の広がる裾野からの風景や六合目付近から見られる宝永山のゴツゴツとした様子は、富士山が活火山なんだということを思い出させてくれる、国内でも珍しい風景を眺めることができるので、2度目、3度目の富士登山に使ってみると、また違った富士山の一面を見ることができて新鮮かもしれません。是非歩いてみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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