未だに感染拡大の続くコロナウィルス。
新たに出てきた必須マナーの一つにマスクの着用というのがありますよね。
国内の感染率が低いのはマスクの着用が効いているという意見もあり、すっかり定着してきた感がありますが、登山のときにも着用すべきものなのでしょうか?
今回はそのあたりに焦点を当てて検証していきます。
登山でもマスクの着用は必要か
それでは、ウィズコロナ時代の登山でマスク着用の必要性について検証していきたいと思います。
さまざまな声を集めた結果、以下のような見解となりました。
「周囲に人が居るシーンでは、移動中でもマスク着用は必須」
以下、関係各所から発表されている内容です。
公共機関からの声
最初の公共機関からの声となります。
山岳地帯の割合が多い地域を重点的に調べてみました。
長野県山岳総合センター
最初は、日本有数の山岳地帯を有する長野県内に開設された長野県山岳総合センターからの声です。
「登山者への5つのお願い」というパンフレットの中にマスクの携帯が必須であること記載があります。そして、利用に関するルールは山小屋が定めたものに従うよう記載されています。
以下、引用です。
感染予防グッズを携行し、ゴミは持ち帰ること。
●消毒液、体温計、マスク、シェラフ、使い捨て手袋、多めの水、密閉ゴミ袋が必要です。
●山小屋がルールを定めている場合は従いましょう。
引用:長野県山岳総合センター「登山者への5つのお願い」
動画でも作成しているようなので、合わせて掲載しておきます。
なかなか手が掛かってますね。それだけ大事な点という認識なのでしょう。
富山県
続いては、長野県に負けず劣らず秀麗な山岳地帯を有する富山県からの声です。
同県HPにて、移動中に関する記載はありませんが、山小屋やキャンプ場ではマスクを着用するよう記載があります。
以下、引用です。
山小屋やキャンプ場でのマスク着用、手洗い・手指消毒の徹底、人と人との距離の確保など、それぞれのルールに従い、各自でできる感染防止対策の取組みをお願いします。
引用:富山県HP「登山者の皆様へ富山県からのお願い」
環境省・北海道地方環境事務所
日本最大の国立公園、大雪山国立公園を有する北海道はどうでしょうか。
こちらは、環境省の北海道地方環境事務所のHPにて、「大雪山国立公園で登山するときの新型コロナウィルス対策」として、登山者に向けて次のように訴えています。
3密になる場所は極力使わない。避難小屋を緊急時以外に使わない。緊急時に使うときは、マスク着用など対策を。
引用:北海道地方環境事務所「大雪山国立公園で登山をするときの新型コロナウィルス対策」
環境省・九州地方環境事務所
南に目を向けるとどうでしょう。「屋久島国立公園における登山について」と題して、環境省の九州地方環境事務所のHPにて、マスク着用に関する記載があります。
以下、引用です。
山小屋等の施設内や交通機関での移動中など、屋内の環境ではマスクの着用をお願いいたします。
身体的負荷が高まる運動中のマスクの着用は、熱中症や高度障害を誘発する可能性があります。歩行中はマスクを外す、通気性のよい機能性フェイスカバーを着用するなど、体調を崩さないように柔軟な対応をお願いします。また、登山者が集中している空間を通過する場合など、マスクを着用せざるを得ない状況では、歩行ペースを落とすなどして、ご自身の体調管理に努めてください。
引用:九州地方環境事業所「屋久島国立公園における登山について」
他の公共機関の声明と若干異なっているのは、気温の高い地域ということで熱中症を考慮し、運動中はマスクを外すように促している点です。ただし、他のシーンではマスク着用を促してますので、基本姿勢は他の公共機関と同等というところかと思います。
専門家からの声
ここからは専門家からの声ということで、山に関わる3団体「日本山岳会」「日本山岳ガイド協会」「登山医学会」からの声をみていきます。
日本山岳会
日本山岳会からは、公益社団法人日本山岳、スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟、公益社団法人日本山岳会、公益社団法人日本山岳ガイド協会の山岳四団体の共同声明ということで、同会HPに「政府の緊急事態宣言全面解除を受けて」というお知らせを掲載しています。
そこでは、登山中でもマスクの着用を推奨しており、合わせて熱中症防止ということでこまめな水分摂取を取り入れるよう記載があります。
以下、引用です。
登山中でもマスクを着用しましょう。マスク着用時は、熱中症及び脱水には十分留意し、こまめに水分摂取を心がけましょう。
引用:日本山岳会HP「政府の緊急事態宣言全面解除を受けて」
日本山岳ガイド協会
日本山岳ガイド協会からは、「これからの山登り」という動画のなかで、次のように推奨しています。
- 運動中はマスクを外す
- 外したマスクはジップロックなどへ収納する
- 人が多いところに来たらマスク着用する
マスクに関する点の他にもコロナ対策に有効な様々な内容を上げてくれています。
以下に動画のリンクを載せておくので、視聴しておくことをおすすめします。
登山医学会
山岳医学会からは、登山者向け、山小屋関係者向けとそれぞれに分けた案内が出ています。
今回は登山者向けの案内「新型コロナウイルス感染防止と登山について」を見ていきます。
様々な注意点について述べられていますが、マスクに関する記載をまとめると次のような内容となっています。
移動中もマスクを着用し、マスクを正しく着けていない方(次々項5.を参照)とは2m以上離れているようにしましょう。
休憩中はマスクを着用し、マスクを正しく着けていない方(次項5.を参照)とは2m以上離れているようにしましょう。
暑い環境下でのマスク着用は熱中症の観点からも注意が必要です。水分をこまめに補給し、他の人と2m以上の距離が確保できれば、休憩中も適宜マスクを外しましょう。
山小屋内では必ずマスクを着用しましょう。マスクを着けていない登山者、着けていても話す時にマスクを除ける人へは2m以内に近づかないようにしましょう。
引用:山岳医学会HP「新型コロナウィルス感染防止と登山について」
運動中の着用については特に触れていませんが、その代わりとしてマスクを着けていない人から十分距離を置くよう何度も注意を促しているのが印象的ですね。
山小屋からの声
そして山小屋からの声です。
山小屋は閉じた空間で有る上に、多数の見知らぬ人がごった返す場所ということで、ほぼすべての場所で従業員含めて宿泊者にもマスクの持参と、屋内での着用を案内しています。
利用者の比較的多い山小屋を中心にみていきます。
涸沢ヒュッテ
日本一の紅葉なんて言われる涸沢カールに建つ涸沢ヒュッテの案内です。
マスクの携帯および、室内での着用をお願いしています。
以下、引用です。
宿泊案内
「マスク、消毒液、体温計」必携でお願いします。
部屋内でも、マスクをご着用頂き大声でのご歓談はお控えください。
引用:涸沢ヒュッテHP「宿泊案内」
剱澤小屋
続いては剱岳を正面から眺めることができることが人気の劔澤小屋の案内です。
こちらは、ブログの中で小屋内でのマスク着用をお願いしています。
以下、引用です。
お客様にして頂きたい事
小屋でのマスク着用をお願い致します。
引用:剱澤小屋ブログ
白馬小屋
国内でも最大規模の収容人数を誇る白馬山荘ではどうでしょう。
ここでも、予防策としてマスクの持参を促しています。
以下、引用です。
感染予防のためにご持参ください⇒マスク
引用:白馬山荘HP「山小屋のご案内」
ウィズコロナ時代の登山でマスク以外に注意が必要な点
ここまで登山時のマスク着用の必要性ということで検証してきました。
そして、マスク着用という行為はウィズコロナ時代には必須のマナーだということが解りました。
しかし、マスクの着用だけが重要というわけではありません。その他にも注意する点がありますので、ここからはマスク以外の注意点について說明していきます。
すべての行程で三密を避ける
マスク以外での注意事項の1つ目は「すべての行程で三密を避ける」です。
すべての行程ということは、自宅を出てから自宅に帰ってくるまでの間を指します。山行中含めたこの間で密閉、密集、密接の三密を避けるように注意しましょう。
登山中、休憩中の不必要な会話を避ける
マスク以外での注意事項の2つ目は「登山中、休憩中の不必要な会話を避ける」です。
コロナウィルスの主な感染経路は飛沫感染です。
このため、極力、飛沫が飛ばない状況となるよう山行中の不必要な会話はさけるようにしましょう。加えて、会話が必要な場面では必ずマスク着用を心がけましょう。
また、他の登山者とのすれ違い時の挨拶は、会釈のみに抑えるというのも良い判断になるかと思います。
他の登山者との間に十分な距離を空ける
マスク以外での注意事項の3つ目は「他の登山者との間に十分な距離を空ける」です。
これも飛沫感染予防のためです。互いに2mの距離を取ることが勧められています。歩いている最中は前の人の飛沫を浴びやすい状況となるので可能だったら倍以上の距離を保つようにしたほうが安全です。
向かい合っての食事、話ながらの食事を避ける
マスク以外での注意事項の4つ目は「向かい合っての食事、話ながらの食事を避ける」です。
食事の際は、マスクを外すことになります。
この状態で向かい合って会話しながら食事するとなると感染のリスクが跳ね上がります。
特に山小屋の食堂など他の登山者が多く滞在しているところでは注意が必要です。
なるべく素早く食事を済ませて、食後の談笑はマスク着用で行うよう心がけください。
可能な限り手洗いをする
マスク以外での注意事項の5つ目は「可能な限り手洗いをする」です。
山中では水場が限られてしまいますが、手洗いできる場面では極力手を洗うようにしましょう。
アルコール入りのウェットティッシュを持参するのも良い手かもしれません。
体調に異変を感じたらすぐに下山する
マスク以外での注意事項の6つ目は「体調に異変を感じたらすぐに下山する」です。
山行中に体調不良を感じたら速やかに下山するようにしましょう。もし、下山が難しく山小屋などに宿泊する際は、かならず山小屋のスタッフに体調が思わしくない点を伝えるようにしましょう。
そして、山から帰ったら医療機関で診断してもらうことも忘れないようにしましょう。
救助活動も従来どおりではないことを理解する
マスク以外での注意事項の7つ目は「救助活動も従来どおりではないことを理解する」です。
山中で、コロナ感染者かそれ以外なのか判断する術はありません。
もし救援が必要な状況になってしまった場合、状況によっては救助要員からコロナ感染を疑われるかもしれませんが、甘んじて受けるよう最初から心構えをしておきましょう。
ここで、自分は感染者じゃないと不機嫌になったり怒りを顕にするようだと、救助要員の大きな負担となり救助活動に支障をきたすかもしれません。速やかに救助してもらうためにもそこはグッと堪えて大人の対応をするように心がけましょう。
登山向きのオススメマスクの紹介
最後に登山向きのオススメマスクについて紹介します。
スポーツ用マスク
登山向きのオススメマスク1つ目は「スポーツ用マスク」です。
コロナ禍の影響からか、アウトドアメーカーやスポーツメーカーから運動時の暑苦しさ、息苦しさを軽減する素材でつくられたマスクが発売されています。
有名なところでは、モンベルのウィックロンマスクや、ミズノのマウスカバーなどがあります。
ネックゲイター
登山向きのオススメマスク2つ目は「ネックゲイター」です。
これは正式にはマスクというわけではありませんが、スポーツ用のネックゲイターを口元まで引き上げて利用する方法です。
スポーツ用ということで通気性が良く、通常はクビに巻いておけば息苦しさも感じない点からトレイルランナーの方が好んで使っているようです。
ただし、通常のマスクの作りが布を複数枚重ねて飛沫防止の効果を上げているのに対し、ネックゲイターは布が1層だけの場合が多く、飛沫防止という点では効果が薄いという意見もあります。
代表的なところでは、Buffのネックゲイターがあります。
わたしも、山行中はBuffのネックゲイターを使っています。
首に巻いておくと夏場暑いという話もありますが、UVカット加工が施されているので思ったほど暑苦しくは感じません。デザインも多種多様なものが揃っていて、おすすめです。
実際に使用した感想をまとめた記事もありますので、気になる方はこちらも合わせてご覧ください。
不織布マスク
登山向きのオススメマスク3つ目は「不織布マスク」です。
これはドラッグストアなどに置かれている普通の不織布マスクになります。
運動中に着用すると、さすがに暑苦しくて息苦しいですが、登山口までの移動用や休憩時、山小屋滞在時に限定する使い方であれば、不便は感じません。
わたしも、電車やバス内で利用するため、この普通の不織布マスクも持参していってます。
注意事項としては、濡らさないようにするという点です。
この手のマスクは水を含んでしまうと通気性が限りなく低くなります。そうなると鼻だけ出してというような使い方となり、飛沫防止の効力が弱まってしまいます。山行中はジップロックの袋へ入れるなどして濡れないように注意することが大事です。
まとめ
マスクの着用は飛沫感染防止という自衛の役割がありますが、周囲への配慮という意味合いもあります。
登山は自然相手ということもあり、いつトラブルが起こるかわかりません。そんなとき周囲と協力してスムーズな対処ができるように、常日頃から相手を気遣う気持ちを持って接することが重要です。
そのようなわけで、登山の際にはマスクを持参し、人とすれ違う際にはしっかり着用するなどして、周りを気遣う姿勢で望むようにしましょう。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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