山のアクシデント|高山病に対する7つの予防策と3つ対策

アクシデント

高い山に登るとき、息苦しかったり、眠くなったりした経験あるでしょうか。

それは、高山病の予兆かもしれません。

軽度であれば、軽い頭痛やめまいで済みますが、重度になると命を落とす可能性もある危険な病気なんですよ。

しかも、どれだけ注意していても、その時のコンディションによって誰でも発症しうるとても厄介な性質を持っています。

わたしも、以前の富士登山で発症してしまい、途中敗退を余儀なくされました。

その時の状況や反省を踏まえて、高山病への7つの予防策と、高山病になってしまった時の3つの対策についてまとめてみました。

もし、あなたも富士山をはじめとした高山に挑戦する予定があるようでしたら、役に立つ情報になっているかと思います。

ただ、わたしは医療の専門家では無いので、より正確性を求めるようでしたら、専門家の持つ情報ソースにてご確認いただければ幸いです。

それでは、最後まで読んでいってくださいね。

高山病とは

まずは高山病とはどのような病気か基本的なについて述べていきます。

本来、人間の身体というのは、その時に曝された環境に適時適応してくれるようにできています。

しかし、急激な環境変化やその時点の体調などにより、環境に適応することができずに、不具合を引き起こしてしまうといったケースが起こります。

中でも、登山などにより酸素の薄い高所に訪れた際、脳に十分な酸素が行き渡らずに起こる不具合を指して「急性高山病(きゅうせいこうざんびょう)」、略して「高山病」と呼ばれてます。

発症するタイミングは、2,500m以上の高所に達してから6〜12時間を経過した後と言われますが、年齢や体調などの個人差によって、もっと低い場所だったり、早いタイミングだったりします。

わたしが富士山で発症した時は、2 ,500m地点を通過してから3時間ほど経過した辺りでした。

もっと若いときにも発症していますが、詳細は忘れてしまいましたのでここでは割愛します。

発症の度合いは、登山における到達高度、到達速度に影響され、より高く、より速い山行で発症しやすい傾向があります。このため、老年層より若年層の方がより発症しやすいのだそうです。

また、一度発症してしまうと繰り返し発症しやすい傾向もあるので、自覚あるようでしたら以降の山行でも注意が必要です。

高山病の主な症状

続いて、高山病の主な症状についての説明です。「軽度な症状」「重度な症状」の順に述べていきます。

軽度な症状

高山病の中で軽度な症状についてです。

まず、必ずといっていいほど「頭痛」の症状が出ます。

これに加えて、以下のような照応を併発するようになります。

  • 胃腸症状:食欲不振、吐き気、嘔吐
  • 疲労・脱力:疲労感、全身の倦怠感
  • めまい・ふらつき:眩暈、朦朧感
  • 睡眠障害:眠気、欠伸、居眠り

また、これらの自覚症状に加えて、他者見解も含め高山病かの判断する「レイクルイーズスコア(Lake Louise Score)」と呼ばれるスコアシートも存在しています。

レイクルイーズスコア

高山病の可能性につながるだろう症状をスコア化し、集計をした結果によって、高山病の有無とその重症度合いを判断するためのスコアシートです。

本来であれば、医療従事者が判断基準として利用するシートのようですが、高山病になりつつあるのかどうか目安にするのに良い指標と思いましたので、参考書籍からの引用を掲載しておきます。

引用:書籍「中外医学社 高山病と関連疾患の診察ガイドライン」より抜粋

このスコアシートを使った判断基準は、次のとおりです。

「頭痛」のスコアが1点以上+他のスコアが一つでも1点以上なら「高山病の可能性あり」という判断になります。

そして、「頭痛」のすこあが1点以上+他のスコアの合計が3点以上になったら「高山病」という判断になります。もしくは、「頭痛」を除く他スコアの合計が4点以上になった場合も「高山病」と判断するようです。

ちょっと、文章だとわかりづらいですね。

フローチャート化してみましたので、こちらでイメージしてみてもらえたら幸いです。

重度な症状

高山病で重度な症状になってくると、生命の危機に直結するリスクも出てきます。

具体的には、「高地脳浮腫(こうちのうふしゅ)」「高地肺水腫(こうちはいすいしゅ)」の発症へと繋がるようです。

こうなってしまわないうちに、速やかに下山して安静にするか、近くに山岳診療所があるなら直ぐに駆け込んで診察を受けるようにするのが得策です。

なお、わたしはここまで重度の高山病は経験しておりません。

このため、ここからの情報は、参考とした書籍「中外医学社 高山病と関連疾患の診察ガイドライン」からの知識となります。

その点、ご承知おきください。

高地脳浮腫

高地脳浮腫は、高山病が重症化した病症の一つで、脳内に水が溜まって脳の機能障害を起こす病気です。

本来、脳には脳細胞を守るために血管から水分などの物質が移ってこないような仕組みが働いていますが、高山病によりこれら仕組みが狂わされてしまうことで、発症するのだそうです。

症状としては、高山病をパワーアップしたような、激しい頭痛や悪寒、嘔吐が現れる他、運動失調、正常な判断の欠如などが起こるようです。

高地脳浮腫が発症してしまった場合、命の危険性があるので、直ぐに下山して適切な治療を受ける必要があります。

高地肺水腫

高地肺水腫も、高山行が重症化した病床の一つで、肺に水が溜まって呼吸障害を引き起こす病気です。

高山病により血管の機能が阻害されて、肺の毛細血管より液体成分が滲み出てしまうことで発症するのだそうです。

症状としては、高山病の症状に加えて、呼吸困難、胸痛、喘鳴、意識障害、悪寒などが現れるようです。ピンク色の泡沫状の痰が出ることもあるみたいです。

高地脳浮腫が発症してしまった場合も、直ぐに下山して適切な治療を受ける必要があります。

参考書籍

編集:日本登山医学会 高山病と関連疾患の診療ガイドライン作成委員会
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高山病が発症しやすい人の特徴

ここでは、高山病が発症しやすい人の特徴について述べていきます。

あなたも当てはまる項目があったら、ご注意ください。

  • BMIや体重が高値
  • 50歳未満
  • 過去に高山病を発症した経験あり
  • 運動習慣の不足
  • 喫煙者
  • 前日就寝前の深酒、睡眠剤の服用
  • 標高2,800mを超える山への日帰り登山

高山病にならないための7つの予防策

高山病の症状について基本的なことがわかったところで、高山病にならないための予防策7つを示していきます。

高山病にならないための7つの予防策
  • 前日に十分な睡眠を取る
  • すぐに登り始めない
  • 息が乱れないようゆっくり歩く
  • 適度に休憩を入れる
  • 小まめに水分補給する
  • 食事は早食いしない、食べ過ぎない
  • 定期的に高山に登る

前日に十分な睡眠を取る

高山病にならないための予防策の一つ目は「前日に十分な睡眠を取る」です。

寝不足は、前日の疲労回復を阻害するだけでなく、酸欠による頭痛を促すといった症状もあります。

高山病の要因は、脳に十分な酸素が行き渡らない点にあるので、前日にしっかりと睡眠をとっておくことは、高山病の予防になり得ます。

登山の前日は、ワクワク、ドキドキなかなか寝付けないかとは思いますが、がんばって早い時間に就寝するようにしてください。

なお、直ぐに眠れるようにとアルコールを多量に摂取したり、睡眠剤を服用したりすると、眠りが浅くなって逆効果になります。ご注意ください。

すぐに登り始めない

高山病にならないための予防策の二つ目は「すぐに登り始めない」です。

人間の身体はよくできたもので、酸素が薄い環境であれば、その環境に適応できるよう自然に反応してくれます。

しかし、環境適応にはそれなりに時間がかかります。

登山口に着いたら、30分から1時間ほど高地順応させる時間をとっておくことも高山病への予防になります。

直ぐに登り始めたくなるところを少し抑えて、ゆっくりと準備をしてから落ち着いて登り始めると良いでしょう。

ただ、標高の低い登山口から登り始めるようなら、登りながら順応させていくということでも大丈夫です。その場合は、歩き始めのペースはゆっくり目に登っていくと良いでしょう。

息が乱れないようゆっくり歩く

高山病にならないための予防策の三つ目は「息が乱れないようゆっくり歩く」です。

息が乱れるペースで登ってしまうと、身体に上手く酸素を取り入れることができなくなります。

そうなると、脳にも酸素が十分に行き渡らない状態に陥りやすくなり、高山病発病のリスクが高まります。

これを防ぐために、登る時のペースはなるべく抑えて、息が乱れないペースで登ることをおすすめします。

ゆっくりと標高を上げていくということは、高度順応にも一役買うことにもなりますので、一粒で二度おいしい、グリコ効果が期待できるでしょう。

適度に休憩を入れる

高山病にならないための予防策の四つ目は「適度に休憩を入れる」です。

登山は身体への負担が激しい行為です。ペース配分を抑えて登っていても、疲労は徐々に溜まっていくことになります。

疲れた身体のまま、活動を続けると息が上がりやすくなり、上手く酸素を身体に取り込むことができなくなっていきます。

そうなる前に、適度に休憩を入れて身体を休めるようにすると高山病への予防になることでしょう。

小まめに水分補給する

高山病にならないための予防策の五つ目は「小まめに水分補給する」です。

脳へ酸素を運ぶのは血液の役目です。

サラサラの状態の血液であれば、酸素を運ぶ機能も正常に働きますが、ドロドロの状態の血液では、酸素を運ぶ機能も低下してしまいます。

登山は激しく発汗する行為なので、体内の水分が大量に体外に排出されてしまい、血液に含まれる水分も不足気味となり、ドロドロな状態になりやすいです。

そこで、こまめに水分補給して、血液の状態を正常に保つようにしておくことも高山病への予防に有効となります。

ただし、水のガブ飲みには注意です。

血中成分が薄まってしまい、逆に酸素を運ぶ機能に不具合が生じてしまうといった、逆効果に繋がる恐れがあります。

少量を短いスパンで摂取するようにしてください。

食事は早食いしない、食べ過ぎない

高山病にならないための予防策の六つ目は「食事は早食いしない、食べ過ぎない」です。

人間の身体は、物を消化するときにも酸素を使います。

歩き始める前にドカ食いしたり、昼ごはんを早食いしたりすると、歩いている最中に食べたものを消化することになるので、余計に酸素が必要な状況となります。

このような状況を防ぐために、食事はゆっくり腹八分目までに抑えて、不足分を行動食で補うなど、一気に消化しないといけない状況をなるべく作らないことも大事になってきます。

以前、わたしが富士登山で高山病になった原因も、おそらく食事を早食いしてしまったことでした。

ペースが上がらないことに焦りが生じて、昼食を早食いした上に、休憩せぬままに歩き始めてしまいました。

その後、30分ほど経過したあたりで強烈な睡魔に襲われて足元がおぼつかなくなり、結果、下山を余儀なくされました。

折角なので、山中での食事は風景を楽しみながらゆっくり摂取することをお勧めします。

定期的に高山に登る

高山病にならないための予防策の七つ目は「定期的に高山に登る」です。

前出ですが、人間の身体は酸素の薄い環境であれば、その環境に順応しようと働いてくれます。

標高の高い山麓に住んでしまえば、高山病には無縁な身体に作り替えられていくのでしょうが、誰でもそんな環境で暮らせるわけではありません

できるだけ、高所に身を置く機会を増やして、身体が順応しやすくしておくというのも有効打になり得るかと思います。

そもそも高い山登るのは楽しいですからね。楽しみながら高度順応なんて、最高じゃないですか。

是非、時間を作っていっぱい高い山に登ってくださいね。

高山病になってしまった時の3つの対応策

高山病に対する予防策を上げていきましたが、これら予防策を講じたとしても、その時の身体のコンディションや環境によって高山病を発症してしまうこともあります。

ここからは、高山病になってしまったときに有効な3つの対応策について述べていきます。

高山病になってしまった時の3つの対応策
  • 速やかに下山する
  • その場で休憩する
  • 酸素缶や頭痛薬を服用してみる

速やかに下山する

高山病になってしまった時の対応策の一つ目は「速やかに下山する」です。

高山病を発症してしまった時の決定打です。

変に策を弄せずに、速やかに下山してしまうことが一番の対応策になります。

せっかく登ったのに、途中ハンパに敗退するのは心に不満が残るかもしれません。

しかし、高山病が悪化すると、自力ではその場から動けなくなるといった事態に陥る可能性があります。

そうなってしまっては、立派な遭難です。

遭難する前に、未練はキッパリ断ち切って下山してしまうことをおすすめします。

下山していく中で、高度が下がり症状も落ち着いていくかと思いますが、治ったから再開というのはお勧めしません。

後日、万全の体制を整えて再挑戦する方が良いでしょう。

その場で休憩する

高山病になってしまった時の対応策の二つ目は「その場で休憩する」です。

高山病は、標高が上がり空気中の酸素濃度が薄くなることで悪化します。

めまいやだるさ、頭痛などの症状が出てきたら、まずはその場に留まって、体を慣らすようにしてみてください。

軽度の高山病であれば、これで回復することもあります。

ただ、それでも回復しなかったり、登り始めた途端に症状が再発するようでしたら、動けるうちに速やかに下山してしまいましょう。

酸素缶や頭痛薬を服用してみる

高山病になってしまった時の対応策の三つ目は「酸素缶や頭痛薬を服用してみる」です。

これは、わたしが実際に試していないので、正確なところは分かりませんが、酸素缶による酸素の吸入や、ロキソニン等の頭痛薬の服用で症状が改善することもあるようです。

ただ、一過性な物のようなので、ひどいときには、やはり下山してしまうことをおすすめします。

まとめ

高山病にならないための7つの予防策
  • 前日に十分な睡眠を取る
  • すぐに登り始めない
  • 息が乱れないようゆっくり歩く
  • 適度に休憩を入れる
  • 小まめに水分補給する
  • 食事は早食いしない、食べ過ぎない
  • 定期的に高山に登る
高山病になってしまった時の3つの対応策
  • 速やかに下山する
  • その場で休憩する
  • 酸素缶や頭痛薬を服用してみる

高山病への7つの予防策と、高山病になってしまった時の3つの対策についてお話ししてきました。

高山病は、登山経験に関わらず、いつでも誰にでも発症するリスクがあります。

毎年、夏山シーズンには富士山や日本アルプスの山々に登っていたとしても、体調やタイミングが重なれば、発症してしまうこともあります。

今回ご紹介した7つの予防策を参考に、高山病とは無縁の山行をお楽しみいただければ幸いです。

ただ、万が一、発症してしまった時には、変に足掻かずにキッパリと気持ちを切り替えて下山してしまうのが最適解だと思いますので、その点もご留意くださいね。

最後に、わたしが高山病にかかってしまった富士登山の記録を載せておきます。

何かの参考になるかもしれませんので、興味ありましたらこちらも覗いていってくださいね。

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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