シーズン中の富士山は、非常に多くの人が訪れます。
世界遺産に登録されてからは、海外の方にも知名度が上がって更に多くの方々が登られるようになりました。
中でも山梨県側のスバルライン5合目から吉田ルートに合流していく道筋は、富士山に登るならこのルートと言われるほどの定番ルートで、主要4ルートのうちで一番人気があるコースです。
15年に渡って登山活動をしてきたわたしですが、実はこの吉田コースは一度も登ったことがありません。8月終盤ちょうど天気が良いこともあり、初挑戦してきてみました。
今回も山小屋泊を避けての日帰り登山となりましたので、日頃から忙しく富士登山を日帰りしてみようかと考えているあなたのプランニングの助けになれば幸いです。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2021/08/29
天候:晴れ
エリア:富士山エリア
コース概要:富士急バス停留所「スバルライン五合目」~六合目~本八合目「トモエ館」〜十合目「久須志神社」~「剣ヶ峰」 〜十合目「久須志神社」~六合目~富士急バス停留所「スバルライン五合目」
難易度:体力☆☆、技術 ☆ 、危険☆
交通機関:
(往)富士急線「富士山駅」から、富士急バスで「スバルライン五合目」停留所へ
(帰)「スバルライン五合目」停留所から、富士急バスで富士急線「富士山駅」へ
概要
吉田ルート
吉田ルートは、主要4ルート(吉田、富士宮、御殿場、須走)の中で唯一、山梨県に登山口がある北面から登る登山道です。
歩きはじめの標高は、富士宮五合目より100m低い2,305m。山頂との標高差は1,400mぐらいになります。この100mの標高差ですが、平地の歩道を行くのならば訳も無いですが、山道を登る高さとしては思いのほか体力を使います。背負っている荷物の重さ、不安定な足場、様々な要因で結構な時間を要しますのでプランニングするときには注意が必要です。
道中の様子は、意外と岩場が多く大きく足を上げて通過する必要がある場面もあります。それでも、要所要所セメントでガチガチに固めてあったり、石段が積んであったりと、どうやって通過すれば良いかわからなくなるような場所はありませんので、体力さえあれば、登りきることができるでしょう。
ただ、富士山に来る人が全員がタフガイという訳ではありませんので、所々で渋滞が発生します。
焦れて強引に割り込んで進むと事故のもとになりますので、相手を気遣いつつ声を掛け合って登るようにできればいいですね。
登山に適した時期は、富士山の他の主要ルートと同じく7月の山開きから9月初旬までの夏場になります。この時期を外すと実質冬山ですので、7月から9月以外のタイミングに興味本位で登るのは辞めておきましょう。
本ルートは、大人気の登山道ということもあり非常に整備されて歩きやすく、初めて富士山に登るのにもおすすめなルートです。周辺の山々や湖を振り返りつつ、自分のペースで登ってみてくださいね。
ギャラリー
ここからはInstagramにアップした7合目から眼下を眺める動画です。
こちらはもう一段上の8合目5勺から。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 3770 m
最低点の標高: 2279 m
累積標高(上り): 1932 m
累積標高(下り): -1935 m
総所要時間: 07:12:13
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
剣ヶ峰直下の急坂:サラサラの砂地で非常に滑りやすく感じる急坂です。登り、降りともに踏ん張りがききづらく、ズルっと滑るたびに気力と体力を削られます。片側にある手摺を有効に使って通過するとよいです。
下山路全般:吉田ルートは下山路が登山路と別々になっています。そして、この下山路は大砂走や砂走と似ていて、深めのザレ場が続く道になっています。このため、慣れてこれば駆け下りることができて爽快なのですが、人気ルートということで、常に人が溢れかえっている状況です。衝突などしないように、追い越しするときにはなるべく大きく避けるようにするのがよいでしょう。逆に、追い越しされる場合は、いきなり立ち止まったり、方向転換をしたりすることは極力さけて、適宜、後ろに注意を向けるようにできるとよいですね。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
公共交通機関を使って「スバルライン五合目」へ向かう手段は、新宿をはじめとした都市からの直通バスもしくは、富士急線「富士山駅」「河口湖駅」からの季節運行の路線バスになります。
直通バスの始発は早い段階から満席になってしまうので、思い立った時に使うには難しく「富士山駅」からの路線バスで向かうことにします。路線バスは「河口湖駅」からも乗れますが、確実に座って向かいたい場合は、始発駅となっている「富士山駅」の停留所から乗りましょう。
そして、富士山駅周辺のトイレですが駅構内のトイレを逃すと、バスのチケット売り場建物内にしかありません。チケット売り場は8時ぐらいにならないと開かないので、緊張してるときは改札出る前におトイレ済ませてからにした方が良いでしょう。
どうしようも無い場合は、徒歩10分のところにセブンイレブンがあったはずなので、そこまでおトイレを借りいく旅に出てください。
また、ピストン登山する場合は往復きっぷがお得です。窓口が空いたら購入してから列に並ぶようにしましょう。
ギャラリー
富士急バス停留所「スバルライン五合目」~六合目~本八合目「トモエ館」
では、六合目まで進んだのち吉田ルートを登っていきます。
まずはなだらかな降り道を進んでいきます。30分ほど進むと吉田ルートの五合目「佐藤小屋」と六合目へ向かう分岐に到達します。今回は六合目へ直進する方向へ進みます。
ザレ場を越えて落石用のシェルターを抜けていくと六合目です。
ここには、警察の出張所がありますので、万が一の場合に備えて覚えておきましょう。
そして、六合目からが山道の本番です。
七合目までのザレ場をすぎると、急勾配の花崗岩地帯が続きます。
危なそうなところはコンクリートでガッチリ固めてあるので、落石の心配はほぼ不要で登っていけますが、この急勾配は登山慣れしてないとちょっと厄介かもしれません。
足を高く上げるとそれだけ筋肉の疲労が進むので、なるべく足を高く上げずに済むコース取りで進んでいきましょう。
七合目からは山小屋ラッシュです。須走ルートと合流する本八合目までの間に10軒を越える山小屋がひしめき合っていて、ちょっとした集落みたいになってます。これら山小屋集落ですが、休憩している方、山小屋スタッフの方、様々な人が行きつ戻りつしています。
吉田ルートは登山道と下山道が分かれているので、基本的に他の登山客とのすれ違いは発生しないのですが、この区間は別物で、結構な割合で人とのすれ違いや追い越しが発生します。接触したりすると、怪我やトラブルの元になってしまうので、通過の際には注意しましょう。
須走ルートと合流する本八合目に入ると、今まで以上に人がひしめき合う区間に突入します。
ここからは、渋滞が多発することになるので、気持ちを落ち着けて無理な追い越しをすること無く進んで下さい。
ギャラリー
本八合目「トモエ館」〜十合目「久須志神社」~「剣ヶ峰」
本八合目から上は、須走ルートからの人が合流してかなり混雑します。
加えて、勾配もなかなか急なので登山慣れしていない方々がローペースになり渋滞しやすい状況になります。このような方々はルートの真ん中を進みがちなので、接触にはくれぐれも気をつけつつ、端っこからパスしていくと割とスムーズに登れたりもしますが、くれぐれも無理はしないように焦らずに行きましょう。
十合目「久須志神社」まで登ってしまえば、あとはスムーズです。
神社でご挨拶したら「剣ヶ峰」に向かって左右どちらかのコースを進んでいきましょう。
今回は時計回りに左へ折れて進みます。
山頂の山小屋「扇屋」を越えて、もう一つの十合目「浅間神社富士奥宮」を越えたら、山頂直下の急勾配が現れます。
最後の一登、気合入れて登りきれば剣ヶ峰の山頂です。
流石、日本一髙い場所です。かなりの人が滞在していますので、記念写真を撮ったらなるべく早く降りてしまいましょう。
そして、この時点で時刻は14時30分。最終バスの時間が17時40分なので残すところ3時間となりました。これならばお鉢巡りしても間に合いそうなので、残り半周も消化してしまうことにします。
ギャラリー
「剣ヶ峰」 〜十合目「久須志神社」
てっぺんも踏んだので、お鉢の反対側を通って下山していきます。
まずは気象台跡地の高台を降りて、北方面へ向かっていきます。
西安ノ河原を過ぎて、大沢崩れ上部から下界を覗いたら、更に北へ向かっていきます。
小内院や金明水を通り過ぎて、なだらかな登り坂を登れば「久須志神社」までは直ぐそこです。
神社前を通り過ぎて、下山路の分岐まで戻ったら下山していきます。
Instagramにアップした、お鉢巡りの様子も載せておきます。
強風に煽られてブレまくっていて、眺めていると酔っ払うかもですが、雰囲気は掴めるかなと思います。
十合目「久須志神社」~六合目~富士急バス停留所「スバルライン五合目」
お鉢巡りも終わって、あとは下山するのみとなりました。
この時点で時計は15時30分を指しています。
最終バスが出発するまで、あと2時間10分といったところです。
ここからの標準タイムでの下山時間は3時間10分なので、バッチリ乗り遅れる計算になりますが、殆どの山行では標準タイムの半分で下山しているので、まあ、間に合うでしょう。
そんなわけで、ゆっくり急いで降りていくことにします。
吉田ルートの下山路は、大砂走りや砂走りに似た深めのザレ場になっているので、コツさえつかめばかなりハイペースで降りることができます。
ただし、降り一辺倒なのでスピードを出しすぎると膝への負担が増してしまいます。
なるべくブレーキをかけるような筋肉の使い方を抑えて、ズルズルと滑り落ちるように降りていくことで膝への負担が軽減できます。
ただし、この方法は靴底が悲しいくらいに摩耗するので新品の靴ではやらないほうが賢明でしょう。
それと、吉田ルートは下山路にも人がいっぱい居るので、ぶつかることの無いようにできるだけ遠回りに避けるようにしていくと良いですね。
下山路を降り切ると、今度は六合目に向けて並行道を進んでいくことになります。
傾斜が穏やかになり歩きやすくなった反面、速度が出せなくなるので標準タイムに近い時間が必要となります。
それでも、危険箇所は皆無に等しい道です。
気がつけば16時には六合目に到着。その後も順調に歩き切って無事に最終バスに乗り込むことができました。
ギャラリー
まとめ
富士山吉田ルートの様子でした。
途中に急勾配の岩場が続きますが、しっかりと固められて安全ですし、山小屋も沢山建っていて不安要素がほとんどないルートで、人気が出るのもわかる気がしました。
わたし的には、御殿場ルートが静かで好きなのですが、富士山にはじめて挑戦するならばこの吉田ルートにしておけば間違いは無いと思います。
もし、富士山登る野望をお持ちでしたら、今回の記事を参考にしてもらって吉田ルートから登るプランを計画してみるのも楽しいと思いますよ。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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