富士山にまつわる古い言葉に「一度も登らぬ馬鹿、2度登る馬鹿」なんてものがあります。
日本一と呼ばれるこの雄大な山に、一生に一度も登らないのは馬鹿だ。でも、このキツさ2度も登るほどではない。そんな意味らしいです。
しかし、実際にはどうでしょうか。
今回やっと山頂に足跡を残してきましたが、その経験を踏まえても、わたし的には何回でも登りたくなるような、そんなステキな山だと感じました。
そんなわけで、今回は初めて日本で一番高い場所に立つことができた須走コースからのピストン登山の様子をお伝えします。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2021/07/17
天候:晴れ
エリア:富士山エリア
コース概要:富士登山バス停留所「須走口五合目」~10合目「久須志神社」〜お鉢巡り(剣ヶ峰)~10合目「久須志神社」~富士登山バス停留所「須走口五合目」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR御殿場線「御殿場駅」から、富士登山バス停留所「須走口五合目」へ
(帰)富士登山バス停留所「須走口五合目」から、JR御殿場線「御殿場駅」へ
概要
富士山
言わすと知れた日本一の山です。
詳しい説明は、以前のブログで書いたのでそちらを参考にしてもらえると嬉しいです。
今回は山頂からの眺めを少しだけ載せておきます。
ギャラリー
須走ルート
4つある富士山の登山ルートの中で二番目に距離が長いルートです。
吉田ルートや富士宮ルートに比べると、登山客は少ないと言われていますが、ツアー客が少ないだけで、それほど人手が少ないわけではなさそうです。
わたしが登った際も、単独登山者がひっきりなしに登っていく人の行き来の多いコースとなっていました。
道中は、最初の1 時間程度林間地帯を通りますが、その区間を過ぎてしまえば、あとは遮ることのない展望の中を気持ちよく登っていくことができます。
道の状態は、7合目あたりまでは普通の登山道で登りやすいですが、7合目から上になってくると下山コースと合流する区間が現れて、砂利砂混じりの道を登らないといけない箇所が出てくるので少し難儀するかも知れません。
また、道中には定期的に山小屋が立っていて、どの山小屋でも入り口にベンチを置いてくれています。これらベンチをお借りつつ小休憩を挟みながらゆっくりと登っていけば高山病予防にもなります。
須走ルートは方向的に箱根を背に登っていくことになりますので、展望に恵まれれば、どの山小屋のベンチからも特徴的な形の芦ノ湖や、箱根山を眼下に眺めることができます。中でも外輪山の一画「金時山」は山頂だけ丸く飛び出ていて分かりやすいので、休憩の合間に探してみてくださいね。
須走ルートを10合目まで登り切ると、富士山最高地点「剣ヶ峰」の反対側のお鉢の縁に出ます。
お鉢巡りを楽しみながら向かうことができるのでお得感がありますが、お鉢一周に概ね1時間は掛かってきますので、その時間も加味した計画を立てておく必要がありますのでご注意ください。
下山コースは、砂走りと呼ばれる砂利道を降って行きます。
この砂利たちがクッションとなり膝への負担を軽減しつつ駆け降りることができるのですが、御殿場ルートの大砂走りと比べると砂の量がかなり少な目です。
あのフカフカ感を期待して下ると衝撃がそのまま膝に入ってガクガクになりますので、少しスピードは抑え気味に下るのが良いかも知れません。
登山口まで降りると、茶屋のおかあさん達が登山を労ってお茶を勧めてくださいます。
折角なので立ち寄らせてもらって、バスの待ち時間ベンチで過ごすのも良いかも知れません。
ギャラリー
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1502 m
最低点の標高: 718 m
累積標高(上り): 1023 m
累積標高(下り): -874 m
総所要時間: 04:49:37
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回は、危険とまではいきませんが、注意したほうがよさそうな区間について述べてみます。
- 砂走り:靴が緩いと、駆け下りた際に靴内が擦れてマメの原因になりやすい。御殿場ルートの大砂走りより砂利が浅いので、膝への衝撃が軽減され切らない時がある。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回のアプローチは富士登山バス停留所「須走口五合目」からです。
JR御殿場線「御殿場駅」を富士山口に向かい左側の階段を降りていくことで、須走口五合目行きのバスのりばに到着できます。
ピストン登山の予定で来ているなら窓口で往復チケットを購入すると割安になりますが、結構人が並びます。併設している自販機でも購入できるようなので、こちらも活用してなるべく早く済ませると良いでしょう。別の登山口から降りるのならばSuicaで支払うことになるので、のりばの行列に直接並んでしまいましょう。
シーズン中は、須走口へのバスはかなり並びますので、早め早めの行動するようにしましょう。
ただ、須走の登山口はトイレが全て有料です。これは4つある登山ルートで唯一のようです。2021年7月の時点で一回200円でしたので、バスに乗り込む前におトイレも済ませておきたいところです。
バスが立ち乗りになるリスクを承知で駅で済ませるか、移動中の電車内のトイレで済ませるか、はたまた200円なら払ってしまうか悩ましいところです。わたしは、移動中の電車内のトイレで済ませておきました。
1時間ほどバスに揺られると須走口五合目に到着です。
須走口には「御殿場駅」からのバス以外に「新松田駅」や道の駅「すばしり」からのシャトルバスも入ってくるので、大型バスの行き来が頻繁ですので、速やかに茶屋の方へ進んでしまったほうが良さそうです。
茶屋街を通り過ぎて、石畳の道をしばらく進むと、検温と入山料支払い口が見えてきますので諸々済ませます。
さらに先に進むことで、ちゃんとした登山道がスタートします。
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富士登山バス停留所「須走口五合目」~10合目「久須志神社」
登山道は、最初のうちは林間区間になるので展望は全然ありません。
傾斜も穏やかなので、展望が出てくる六合目までササっと通過してしまいましょう。
六合目からは、遮るものない展望の中を登っていきます。
日光も遮られずに直接降り注いでくるので、かなり暑いのですが、高度2,000mに吹く涼しい風や、雲を見下ろす素晴らしい展望に助けられて、それほどキツくは感じないと思います。
そんな感じに数々の山小屋を通過して7合目あたりまで進むと、下山ルートと兼用の砂利道を登るシーンが増えます。これがやっぱり厄介で、かなり体力持っていかれます。
ここまで登って空気が薄くなってきているのも拍車をかけるのでしょう、わたしもこの辺りからかなり息が弾むようになりました。
そして本八合目の山小屋隣接地帯を抜けると吉田ルートと合流するため、人手が一気に増えてきます。
この日は天候に恵まれた週末だったこともあり、グループ、カップル、ご家族とさまざまな方々が登って来られていました。
この渋滞区間を通り過ぎると、念願の10合目に到着ですが登山客が盛り沢山です。
なんだか高尾山山頂を彷彿とさせる賑わいで、ちょっと人酔いしてきてしまいましたので、速やかにお鉢巡りに切り替えて剣ヶ峰を目指すことにします。
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お鉢巡り(剣ヶ峰)
今回のお鉢巡りは時計とは反対周りに巡っていきます。
神社の前のメインストリートを右に向かうと、火山岩でゴツゴツの登山道に出ます。
お鉢巡りは全ての道にロープが張ってあるので道を外すことはまず無いと思います。
凹凸の多い道に躓かないように注意して進みましょう。
そして、お鉢巡りとはいえ、富士山のお鉢は一周1時間は掛かる大きさです。
登り降りもそれなりに発生します。
火口の縁をたらたら巡るだけのイメージだと、げっそりするので、普通の稜線歩きがあと1時間残ってるつもりで歩くと心折られないかも知れません。
そうは言っても日本で一番高い山です。眼下に広がる景色は圧巻の一言。
時間と体力に余裕があるなら、一周することオススメします。
ただ、火口は大内院と呼ばれ浅間神社から禁足地に定められていますので興味本位に降りるようなことは、辞めておきましょう。
景色を楽しみつつ半周すると山頂碑の建つ剣ヶ峰に到着です。
山頂での撮影は大人気で数名の行列が出来てます。様子を見てると、次の人が前の人のシャッター役をするみたいなので、喜んでシャッター押してあげましょう。
剣が峰からは火口の様子が一望できます。火口は八合目まで到達する深さがあるようで、内側の風景もスケール大きくてびっくりしますね。
日本一高い場所に踏み跡を残したら、あと半周回って10合目「久須志神社」まで戻ります。
途中に富士宮ルートからの登り口があり多くの人で賑わっていますが、「久須志神社」周辺ほどではありありません。
神社にご挨拶したら石に腰掛けてのんびり南方面を眺めて休憩するのも悪くないかもです。
そして、「久須志神社」付近まで戻ってきた時点で時計は14時30分を指してました。
下山の標準タイムで3時間の距離なので、あとは展望を楽しみながら下山することにします。
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10合目「久須志神社」〜富士登山バス停留所「須走口五合目」
神社に戻ってきたら後は下山していくだけです。
時間にも余裕があるので、眼下の眺めを楽しみつつゆっくりと降っていくことにします。
と、そのつもりだったのですが、砂走りコースはゆっくり降りるほうが疲れることが分かりました。
砂利に足がズブズブ埋まってしまうので、余計に足の揚げ下ろしが必要で徐々に疲労が蓄積してきてしまいます。そこで、疲れ切る前に駆け降りてしまうことにしました。
本八合目までは、人が多いので慎重に降って、人が疎らになってきたらガンガンと降りていきます。
砂の量は御殿場ルートの大砂走りに比べて浅いように感じるのですが、傾斜は須走ルートの方が大きいようです。
足を下ろす歩幅が大股になりやすくスピードが上がっていくのが分かります。
途中、登りコースとの合流も何度かあるので、永遠と高速道路を下るようには行きませんでしたが降り切った時の時刻は16時だったので、もう少し山中で遊んでても余裕があったようです。
次は、もっとゆっくりとお鉢巡り楽しみたいと思います。
そして、バスが来るまでの待ち時間は、茶屋のお母さんに入れてもらった椎茸茶を飲みながら、のんびりとした時間を過ごすことができました。
最近の山行は、バス時間ギリギリの攻めてるものが多かったですが、山行の後にゆっくりほっこりするのも良いですね。
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おまけ
今回の立ち寄り湯は、御殿場高原にあるレジャー施設「時之栖」にある「茶目湯殿」にしてみました。
御殿場駅の早乙女口から無料のシャトルバスが出ているので、駅からバスに乗り換えて向かうことになります。
露天風呂からの富士山の眺望が秀逸ということで訪れてみたのですが、天空の湯なる施設は19時まで。施設に到着したのが18時30分と30分しか余裕がありません。しかも、同施設は大浴場からは離れているので、一旦、備え付けの浴衣に着替えてから赴く必要があるそうです。
今回は時間が無理っぽそうなので、大浴場の内湯と外湯のみ入ってきましたが、外湯からでも正面に富士山がでーんと見えたので、これはこれで十分楽しめました。
日が暮れて黒富士となった山容の各所に、山小屋のあかり少しずつ灯り始める様はなかなか洒落てて、ひとり外湯に浸かりながら、はしゃいでました。
長湯してすっかり暗くなった外に出ると、レジャー施設内で夏のイルミネーションイベントを開催してました。
カップルだらけの中に、40リットルの登山ザックに山靴のガチな出立ちなおっさんは、大変浮いてましたが、しっかりと楽しませてもらってから帰路につきました。
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まとめ
登山シーズンの始まった富士山須走ルートの様子でした。
実はわたしは、登山をガチでやる前の20代の頃に富士山だけは登っていました。
当時は勤めてた会社が結構ブラックで社内宿泊が続いていましたが、会社の先輩が0泊2日の弾丸登山を思いつき「はい」か「YES」の選択肢しか無いわたしも必然的に同行することとなり、見事に高山病にかかりながら富士宮ルートを浅間大社奥社まで登って帰ってくるという経験をしていました。
後日、神社手前の鳥居が頂上ではないということが分かり、リベンジの話も出てましたが当時の会社が空中分解したことで、2度目に駆り出されることなく今に至っていました。
なので、今回は数十年ぶりの宿題となっていた課題が解決できたようなスッキリとした気持ちになれた山行でもありました。
まあ、そんな自己満足な不幸自慢的お話はおいといて。
山に興味が出来てくると真っ先に登ってみたい山として思い浮かぶのは富士山だと思います。
観ていても登っても非常に魅力ある日本一の山ですので、是非、登山経験を踏んで無事に登頂してもらえたら幸いです。
それではここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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