雲取山から飛竜山を抜けて、下山後は丹波温泉で汗を流す。
都内から気軽に行ける一泊二日の山行プランとして有名なコースですが、調べてみると距離的には22kmくらいということで、今のコンディションなら行けるだろうとチャレンジしてきました。
満開になっているという千本ツツジ峰や七つ石山にも寄り道したので、ちょっと強行軍っぽい感じになってしまいましたが、今回はそんなセカセカした山行の様子となります。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
千本ツツジ峰
千本ツツジ郷についての詳しい説明は、他の山行の記録で紹介しています。以下を御覧ください。
七ツ石山
七ツ石山は、東京都と山梨県の境目にある山で、住所としては山梨県となります。
七ツ石という名前の由来は、平将門と一緒に逃亡していた七人の武者が山頂付近で石と化したという言い伝えから名付けられたようです。
標高は1,757.3mあり、鷹の巣山の1,737 mよりも高所となるのですが、雲取山に登るときの通過点とのイメージが強く、そんなに高い山とは思われない、ちょっと可愛そうな印象の山です。
七ツ石山へのアプローチ方法は次の2つです。
- 石尾根のブナ坂から、東方面へ向かって登るルート
- 石尾根の七ツ石神社から、西方面へ向かって登るルート
石尾根上にある山なので、いずれのルートも石尾根に乗り上げてから向う形となります。
一番よく使われるのは、西東京バス停「鴨沢」からブナ坂、七ツ石神社どちらかに乗り上げてから、尾根沿いに登り詰めるルートとなります。
山頂からの展望は、北方面と東方面に開けていて、それぞれ以下のような特徴となっています。
- 北方面からは、雲取山頂とそこに至る石尾根の様子を眺めることができる
- 東方面からは、石尾根の山々の連なりと、遠方に奥多摩三山の様子を眺めることができる
登山に適した時期としては、春先や秋口の涼しい時期がおすすめです。夏場は羽虫が多く湧くので煩く、冬場は積雪により難易度が増すのでおすすめはしません。特に、七ツ石小屋から山頂までの区間は日陰且つ水場があることから凍結することが多いので、冬場の登山に慣れていない場合は避けたほうが良いでしょう。
また、中腹には七ツ石小屋があり、人数は少ないですが小屋泊、テント泊ともに可能です。この小屋はテント場からの展望に優れていて、天候に恵まれれば正面に富士山と、その界隈の山々の連なりを楽しむことができます。
ギャラリー
山頂の様子を動画にも収めてきました。
雲取山
雲取山についての詳しい説明は、他の山行の記録で紹介しています。以下を御覧ください。
飛龍山
飛竜山は、山梨県と埼玉県の境目にある山で、住所としては山梨県となります。
飛竜という名前は、山頂手前に祀られている飛竜権現が由来のようです。
標高は2,077mあり奥秩父主脈に存在するピークの1つですが、公共交通機関を使った場合のアクセスが難しく、訪れるひとは少ない物静かな山となっています。
飛竜山へのアプローチ方法は次の3つがあります。
- 雲取山山頂から、奥秩父主脈縦走路を西方面に登っていくルート
- 将監峠方面から、奥秩父主脈縦走路を東西方面に登っていくルート
- 丹波山村落から、サオラ峠や熊倉山を経由して登っていくルート
よく使われるルートは、お隣の雲取山から奥秩父主脈縦走路を使って登るルートとなりますが、そもそも、訪れるひとが少ないのでいずれのルートも静かに登ることができます。
山頂は木々に囲まれていて全く展望は無く、眺めを楽しみたい場合は飛竜権現の近くにある禿岩や、丹波山村方面へ1時間くらい下ったところにある前飛竜まで向うことをおすすめします。
どちらも、南方面に大きく開けていて富士山を中心に東に奥多摩の山々、西に秩父の山々を楽しむことができます。
登山に適した時期としては、春先か秋口がおすすめです。夏場は縦走路に笹が生い茂って通行しづらく滑落の危険が増しますし、冬場は積雪、凍結が常態化し滑落したら大怪我必須な状態になるので辞めておいたほうが無難です。
最寄りの施設には、奥秩父主脈へ西へ向うと到着する将監峠にある将監小屋や、三条沢方面に下ったところにある三条の湯があります。後者の三条の湯は山中で温泉に入れることで有名なので名前を聞いたことがあるかもしれませんね。いずれの施設も、小屋泊、テント泊共に可能となっています。
ギャラリー
前飛竜からの眺めは、次のような感じです。
今回の山行ルート
地図上での位置や標高は次のとおりです。
なお、前飛竜から丹波山村への下山途中のGPSログが一部消失してしまっています。その区間は正確では無い点ご了承いただければ幸いです。
最高点の標高: 2021 m
最低点の標高: 602 m
累積標高(上り): 2547 m
累積標高(下り): -2510 m
総所要時間: 09:35:49
実際に歩いた軌跡は次のとおりです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回のアプローチは西東京バス停留所「峰谷(みねたに)」からです。
インターネットで登山計画を考えている中で、今週も千本ツツジは花が残っているという情報を見つけたので、どうせなら寄り道してしまおうと考えて、峰谷から赤指尾根を登っていくこととしました。
奥多摩駅から峰谷へ向う便は、2021年6月の時点では3便のみになっていますが、7時42分というちょうどいい塩梅の便がありましたので、この便で向うことにします。
この日は、天気が良いからかバス内は登山客で鮨詰め状態でしたが、9割の方々は鷹の巣山がお目当てのようで続々と浅間尾根方面へ向かっていきます。
赤指尾根方面は、わたしを含めて3組。ゆっくり静かなスタートとなりました。
ギャラリー
バス停「峰谷」~千本ツツジ郷
バス停から登山道に入るまでの間、峰谷の集落を北上していきます。
村道を辿って行けば迷うことは無いのですが、かなり遠回りになります。
以前、立ち寄ったときに出会ったおとうさんに聞いた近道を記憶をたどりながら登っていきます。
通るのは村民だけな道の数々は、蜘蛛の巣や芋虫の糸で遮られていて通行に難儀しましたが、かなりショートカットすることができた気がしてます。
山道に入ってからは、針葉樹林に囲まれた木々の合間を登っていきます。
日差しが入らないので涼しくて、傾斜も穏やかなのでどんどん距離を稼げます。
ただ、この快適な山行も、石尾根に乗っかる区間に差し替わると様子が急坂の連続に変わります。
距離はそれほど無いのですが、一辺倒に上り詰めることになるので、なかなか体力を持っていかれます。
石尾根に乗っかってしまえば、広くて展望に開けた歩きやすい道になります。
今回は、満開のツツジや富士山の眺望を楽しむことができ、初っ端から達成感を味わってしまいましたが、まだまだ序盤、少しだけ停滞したら先に進むことにします。
ギャラリー
動画で見るとこんな感じの風景でした。
千本ツツジ峰~七ツ石山
千本ツツジ峰か七ツ石山への道のりは、石尾根の縦走路を進むので快適で安全に進めます。
また、ところどころ南側に眺望が開けていて、富士山の他に、奥多摩湖を挟んだ反対側の三頭山の様子や、大寺山山頂の白い仏舎利塔なんかも眺めることができます。
この日は遭難者が居たのか、近い場所をヘリコプターが周回してたのでプロペラの爆音のなか進むことになりました。
七ツ石山山頂直下の七ツ石神社にご挨拶して、最後のひと登りを終えたら山頂に到着です。
まだおひるどきでは無いこともあり、山頂で安んでいるひとは少なかったですが、まだ疲れも溜まっていないし先も長いので、雲取山山頂までの道のりを眺めてたら、直ぐに出発することにしました。
七ツ石山~雲取山
七ツ石山から雲取山までの区間も、石尾根の尾根筋を向かいます。
この区間の道はとても広くて、オフロードカーが乗り入れて走ることができそうなくらいの幅があります。また、南側が広く開けているので眺めを楽しみつつ気持ちよく歩いていけます。
ヘリポートを過ぎたあたりから、傾斜がキツくなってきますが、何かに捕まらないと登れないというほどではなく、地道に歩みを進めていけば着実に山頂に近づけるので、一歩一歩ゆっくりと足を進めていきます。
見落としやすい小雲取のピークを踏んで、頂上直下の短い急坂を登って、小屋の前をすり抜けて行くと、雲取山山行に到着です。
東京都最高峰ということで、この日も多くの登山客が訪れていましたが、山頂自体は狭いので小屋の方に移動して、遅い昼食をとります。
そして、この時点で時計を確認すると時刻は13時を指しています。
丹波の最終バスは18時22分なので残り時間は5時間30分ほどとなります。
雲取山から飛龍山を経由して丹波山村まで向うにかかる標準タイムは7時間30分ほど。
最近の自分のペースは、標準タイムの0.7の割合で歩けているようので
7.5時間 × 0.7 = 5.25時間
となり、5時間15分で下山できる計算となります。
万が一、丹波の最終バスを逃しても、深山橋まで歩いてしまえば20時までバスが出ているという保険もあるので、飛竜方面に進むこととしました。
雲取山~前飛竜
雲取山から飛竜山へ向う区間は、奥秩父主脈縦走路を西方面に辿っていくことになります。
雲取山山頂直下の急坂を降り、三条ダルミという南方に開けた場所まで到着すると、その先は笹の生い茂った平坦な尾根道を進むことになります。
このあたりは、危険箇所も無く進むことができるのですが、三ッ山山頂を巻くように進む区間に入ってくると、様子が変わってきます。
傾斜はそれほどでも無いですが、長くダラダラとした登り坂が続くようになります。雲取山までの行程で疲労が溜まっている状況だったこともあり、これで結構ペースを落とす結果となりました。
加えて、南側が切れ落ちている場所が増えて、緊張を強いられる場面が多くなっていき、更にペースが落ちていきます。
そして、飛竜山山頂への近道の看板を発見したときの時刻が15時30分。
残り時間3時間を切っていることから、山頂踏むのは諦めて巻道を使って距離を稼ぐことにします。
立ち寄る予定だった禿岩もスルーして、飛竜権現から前飛竜に向けて若干焦りながら下っていくと南方に当たる正面の視界がいきなり開けます。
遅い時間でガスが晴れたのか、隠れていた富士山も姿を見せてくれます。
暫しの間、見惚れるように眺めて気分を落ち着かせたら、最後に残ったピークを越えるべく足を早めていきます。
前飛竜~熊倉山~西東京バス停「丹波山温泉」
前飛竜からの夕刻の絶景を堪能したら、急坂を下っていきます。
切り立っているような場所は無く、ただただ、下っていくだけなので結構距離が稼げる区間になります。
そして、今回最後のピークとなる熊倉山への登り返し。
通常時であれば、ひょいひょいとパスできるような傾斜と長さですが、今までの疲労の蓄積が足を鈍らせます。息を弾ませてなんとか上り切ったら、直ぐにサオラ峠まで下っていきます。
サオラ峠から先は、天平尾根を下ってバス停「丹波山温泉」まで下山することを考えていましたが、地図で確認すると丹波まで下っていくルートのほうが短めだったので、こちらのルートに切り替えて降りることにします。
ところが、このルートがなかなかの難関で、道が細い上に砂混じりで滑りやすく、オマケに片側は落ちたら大怪我するような切れ落ちた斜面。1時間近く緊張状態が続くこととなりました。
ただ、その甲斐があってか18時にはバス停前に到着することができました。
そのまま、街道を奥多摩方面に歩き、2つ先のバス停で当初ゴールと考えていた「丹波山温泉」まで進み、無事に最終バスに乗り込んで帰ることができました。
ギャラリー
まとめ
雲取山から飛竜方面へのデイハイクの様子でした。
本来は1泊してゆっくりと回るコースなので、始終時間に追われてバタバタとした山行となってしまいました。
ただ、危険な箇所は限定的ですし、展望楽しめる場所が多く存在する魅力あるコースです。
春先の新緑鮮やかな頃や、秋口の紅葉の美しい時期に、宿泊前提でゆっくりと歩いてみると気持ちの良い山行になるかと思います。ご検討くださいませ。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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