雲取山と聞くと、日帰で行くのが難しい奥深い山というイメージがありますよね。
一番近い鴨沢の登山口からの往復で20kmほどになるので、一般的には山中で一泊入れるのが定番です。
ただ、卷き道フル活用していけば、鎖や梯子など無いので体力が持てば、日帰りも可能です。
そして、あまりお勧めはしませんが、暗くなるのを覚悟で臨めば、石尾根を降って奥多摩まで日帰り縦走することもできなくはないです。
今回は、まだ涼しいけれど日照時間が伸びてきた5月のタイミングに、雲取山から石尾根を降って奥多摩駅まで歩いてきた様子となります。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
雲取山
雲取山は東京都と埼玉県、山梨県の境目にある山で、標高は2,017mと東京都内では最高峰となる山です。
一番近いと言われている鴨沢からの登山ルートで、往復20kmの距離となるため日帰りで赴くのが難しい奥深い山となっています。このため山中で宿泊可能な施設が重要となってきますが、雲取山には収容人数100名を超える雲取山荘と温泉にも入れる三条の湯という2つの施設があるので安心です。
また、避難小屋のため食事や防寒具の準備など全て自前となりますが、山頂に雲取避難小屋というしっかりとした作りの小屋もありますので、万が一の場合はそちらで雨風凌ぐことも可能です。
ただ、無料で泊まれる山頂小屋という意識で赴くハイカーが多く、連休などには土間まで人が溢れかえることもあるようなので、利用する際は注意が必要です。避難小屋という性質上、緊急時以外の利用はできれば控えたいところですね。
山頂からの眺望は南面と東面に開けていて、雲取山頂から延びる石尾根や奥多摩三山(三頭山、御前山、大岳山)、富士山とその周辺の山々の眺めを楽しむことができます。
石尾根
雲取山山頂から奥多摩駅まで伸びる尾根です。
防火線の役割を持っているため、尾根の両脇の木々が伐採されていて眺望の良い場所が多いのが特徴です。
尾根筋には、七つ石山、鷹ノ巣山、六つ石山といった奥多摩でも人気の高いピークが連なっており、それぞれ単体で登山するだけでなく、複数のピークを繋げて縦走するなど、色々なバリエーションで登山を楽しめる尾根道となっています。
今回の山行ルート
地図上の位置と標高
地図上での位置や標高は次のとおりです。
歩いた軌跡
実際に歩いた軌跡は次のとおりです。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回のアプローチは、西東京バス停留所「留浦」からとなります。
「鴨沢からのほうが登山口に近いのでは?」
と思うでしょうが、これには致し方ない理由があります。
わたしは、ペーパードライバーなので山行には公共交通機関を使って移動しています。
都内から電車を使って奥多摩に赴いた場合、一番早くても7時18分着となるので7時には出発してしまう鴨沢西行きには間に合わないのです。そして、鴨沢に停車してくれる次のバスは1時間以上待たないといけなくなります。
そこで、それよりも前に出発する「留浦経由小菅の湯行」というバスに乗って一駅分歩くことで、スタート時間を早める工夫をしていると、こういう訳なのです。
一駅分といっても鴨沢まで30分もかからずにつきますし、留浦には公共トイレやベンチが併設されているので、見繕いするのに困ることはありません。雲取山に赴く際、参考にしてみてくださいね。
ギャラリー
バス停「留浦」~鴨沢~雲取山登山口
さて、見繕いも済んだのでまずは鴨沢の登山口に向けて車道歩きです。
奥多摩湖周辺の道路も、このあたりの奥地まで来ると歩道はありませんので追い越していく車やバイクに注意しつつ進みます。
鴨沢についたら、バスの待合所脇にある階段を上がって集落を上に抜けていきます。
更に、駐車場の脇を抜けて先に進むと登山口到着です。
通行禁止区間など、様々な情報が掲載されているので確認した後に入山すると良いでしょう。
ギャラリー
雲取山登山口~小雲取~雲取山
登山口から先は、日当たりの良い傾斜の穏やかな登山道が続きます。
途中、水場があるので、持参した水に不安ある場合は補給していくと良いですが、事前にインターネットなどで当日の水量は確認しておくと良いでしょう。
先に進んでいくと雲取山と七つ石山への分岐にぶつかるので、雲取山方面へ向かいます。
途中の長い木橋を渡って、もう一度、七つ石山への分岐を見送ったら、とても日当たりのよい広場に到着します。この場所がブナ坂で、ここから石尾根の尾根筋に入っていきます。
ここから雲取山山頂までの尾根道は、今回のコースでも屈指の展望エリアです。
歩調を緩めて眺めを楽しみながら歩くと良いです。
そのまま少し歩いていくと、ヘリポートにぶつかります。ここは五十人平と呼ばれる場所で、かつては都内から行ける富士山の見えるテント場として大人気の場所だったのですが、奥多摩小屋の営業終了に伴いテント禁止場所となってしまいました。
わたしのテントデビューの場所だっただけに非常に残念です。
五十人平を過ぎたら、ここからは少し傾斜がきつくなっていきますので、巻き道を活用して登っていくと良いでしょう。
途中に小雲取のピークがあります。わかりづらいので、ピークハントするときには注意が必要です。
小雲取を過ぎると、山頂に立つ雲取避難小屋が見えてきます。
なまじ見うほうが距離感を感じてしまいますが、逆にいうともうゴールが見える位置まで来ているということでもあります。最後の踏ん張りで登りきってしまいましょう。
ここでの注意点は、山頂は小屋を横切って右手に進んだ先にあるということです。
小屋脇のピークぽい高台は山頂ではありません。間違って、ピーク踏み忘れて下山してしまわないようにしましょう。
ギャラリー
雲取山~七つ石山~鷹ノ巣山
この後のルートは、ブナ坂の分岐まで戻り、七つ石山へ直進して奥多摩駅へ降っていくことになります。
ブナ坂からは、少々きつめの坂を登ることになりますが、距離が短いのでゆっくり歩けば問題無く登りきれるでしょう。
七つ石山山頂からは奥多摩方面の眺望が楽しめます。
七つ石山山頂からは奥多摩方面の眺望が楽しめますが、この日は曇っていたので先に進みます。
神社の前を横切り、七つ石小屋への分岐を2回スルーしたら鷹ノ巣山までは巻き道を使って巻いていきます。
このあたりは千本つつじと呼ばれるつつじの群生地となっているのですが、見頃は6月です。今回はまだ時期尚早なので足早に抜けていくことにします。
鷹ノ巣山直下まで来ると避難小屋がありトイレ併設されています。必要でしたら立ち寄ると良いでしょう。
七つ石山と同様に鷹ノ巣山山頂まで坂も短い急坂になっています。
登りきると北を除く三方向に視界が開けますので、ここで一休みするのも良いかもしれません。
ギャラリー
鷹ノ巣山~六つ石山~JR線「奥多摩駅」
鷹ノ巣山からは、徐々に展望が無くなっていきます。
加えて、この時点で15時を過ぎて徐々に日が傾いてきたので先を急ぎたいところですが、こういうときこそペースを上げずに確実に降っていくようにします。
最悪の場合は、ヘッドライト着ければ灯りは確保できます。
ほぼ降り一辺倒なので、転倒しないように注意しつつ降ります。
途中で、六つ石山山頂への分岐があるので山頂を踏んで3時間ほど降りていくと車道に出ます。
さらに、近道をたどって神社の後ろに出たら、あとは早いです。
民家の裏側を通るように降っていくことで奥多摩中心地に下山することができます。
そのあとは、駅への案内に沿って進んでいけば奥多摩駅へ到着できます。
今回は駅到着時点で18時となってしまったので、乾いた予備の服に着替えたら、どこにも立ち寄らずに帰路につきました。
まとめ
雲取山からの石尾根縦走の様子でした。
今回は久々に30kmを超えるロングトレイルとなり、とても充実した時間を過ごせました。
ただ、日暮れ後の下山になる可能性が高いので、あんまり人に勧められるコースでは無いかもしれません。
もし、チャレンジしてみたいという場合は、体力面だけでなく、装備面にも気を配るようにしてみてください。特に照明機器や予備の電池については十分に考慮しておくと日が落ちてきても焦らずに冷静に対処できるかと思います。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
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