日航亭・大湯は、2024年5月に閉業してしまったようです。歴史的な建造物でもあったので、建物はそのまま残すのかと思いきや更地にした上で、近隣ホテルの立体駐車場を建てることが決定しているとのことでした。近隣の大湯間歇泉の湯が噴き出すことを終え、老舗温泉は暖簾を畳んでしまう。なんとも寂しいことですね。今までありがとうございました。
伊豆の熱海と言えば、国内でも有数の温泉街として有名です。
昭和のバブル期には、大型ホテルが立ち並び、新婚旅行客や社員旅行客で大賑わいだった一代レジャー施設も、バブル崩壊と共に倒産・廃墟化が著しい状況に突入します。
しかし、平成に入り少しずつ回復の兆しを見せ始めて一時は年間宿泊客が300万人を突破、見事なV字回復を果たしたかと思われたところに、コロナ禍による大打撃で年間宿泊客も半減してしまいました。
このようにジェットコースターのような近代を辿る熱海温泉ですが、それ以前から変わらぬ営業を続ける温泉施設もあります。
今回紹介する「日航亭・大湯」(にっこうてい・おおゆ)もそんな温泉施設の一つで、昭和初期から続く老舗の温泉施設です。
元は温泉旅館でしたが、現在は日帰り温泉施設として営業しており、その手軽さから多くの観光客が訪れる場となっています。
今回は、そんな熱海を代表する日帰り温泉施設「日航亭・大湯」を紹介していきます。
熱海で、お手軽かつ趣ある温泉施設をお探しだったら、絶対に刺さる施設だと思いますので、是非、最後まで読んでいってくださいね。
- 熱い温泉で温まりたい人
- 趣ある建物で雰囲気に浸りたい人
- 温泉と合わせて観光も楽しみたい人
- 駅からあまり歩きたく無い人
- 今風のスーパー銭湯な設備が好きな人
- 混雑が嫌いな人
基本情報
まずは、基本情報です。
泉質情報
そして、一番気になる泉質情報です。
源泉名:熱海23号泉・安保湯
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(等張性・弱アルカリ性・高温泉)
水素イオン濃度(pH):8.0
湧出量(リットル/日):80,000
泉温(℃):94.7
飲用:×
泉質別適応症:きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病
泉質の特徴
「日航亭・大湯」のお湯は、無色透明で微かに硫黄臭がある感じです。
一番の特徴は、熱海温泉特有の熱湯に近い泉温で、湯船に注がれる口から流れ出る温泉は、直に触ると胡蝶抜きに火傷する暑さになっていました。
また、店先に掲載されていた案内文によると湧出量は1日8万リットルと膨大で、それを証明するかのように、内風呂も露天風呂も、常に新鮮なお湯が湯船に注がれていました。
成分分析表の泉質名は「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(等張性・弱アルカリ性・高温泉)」で、
弱アルカリ性の特徴となるお肌のクレンジング効果や、塩化物泉の特徴となる保湿効果により、お肌にとてもよい効果が期待できます。
このことから、まるっと特徴を表すとしたら以下のような温泉とみることができます。
「日航亭・大湯」の特徴
- 温まりの湯
- 傷の湯
- 美肌の湯
各成分の主な効果
- 硫黄泉:保湿効果、殺菌効果(温まりの湯、傷の湯)
- アルカリ性のお湯:クレンジング効果(美肌の湯)
湯船
「日航亭・大湯」の湯船には、内風呂、露天風呂の2つだけとシンプルです。
昔は、サウナやご家族用の貸切風呂もあったようですが、現在は施設老朽化により閉鎖されたようです。
また、内風呂外風呂共に二種類あり、男湯女湯を日替わりで入れ替えているとのことですが、十年前の記憶だとちょっと曖昧なので、直近で入った大露天風呂のある組の特徴を述べていきます。
内風呂
まずは内風呂の特徴です。
広さは大人10名が足を伸ばして入れるくらいの大きさです。
湯船中央に源泉の注ぎ口があり、触ると火傷しそうなくらいの熱湯が常に注ぎ込まれています。
湯船の深さは、座ると胸が隠れるくらいあるので、半身浴するには少し深いです。
また、三方を窓に囲まれているため、室内は程よく明るいのですが、お庭しか見えず展望の面ではあまりよくはありません。
このため、どうせ長湯するなら露天風呂の方が数倍良い感じなので、こちらの湯船はほぼ空いていました。
露天風呂
続いては露天風呂の特徴です。
こちらの広さは大人15人ぐらいが足を伸ばして入れるぐらいの大きさです。
そして、内風呂と同じく、中央に源泉の注ぎ口があってその周囲はかなりの高温になっています。
湯船の深さは、座って腹が隠れるくらいと少々浅い作りとなっており、半身浴するのに丁度良い深さです。
お湯が熱いので、これくらいの深さの方が長湯ができてとてもいい感じに楽しめました。
唯一の欠点が、露天からの展望で、申し訳ない程度の中庭に高い塀と、ほぼ楽しむ要素の無い残念な環境でした。
こちらの露天風呂の入り方はとしては、瞑想しながら湯船に浸かって、心身ともにリフレッシュするというのが良いんだろうと思います。
関連リンク
「日航亭・大湯」公式HPに、浴槽や館内の様子、泉質成分が掲載されていました。さらに詳しい情報が欲しい場合は、URLよりご確認ください。
料金
そして、次に気になる料金についてです。
大人(中学生〜):
入浴料1,100円
子供(〜小中学校):
入浴料550円
その他:
貸タオル100円、貸バスタオル200円、店名入り販売タオル二百円、個室休憩所(5名まで2時間)2,000円、コインロッカー(返却無)100円
※この料金表は2023/2/3時点のものとなります。最新情報は公式HPや直接お電話にてご確認ください。
昨今の物価向上による影響で、以前は1,000円丁度という価格だったのですが、とうとう1,000円オーバーとなってしまいました。
そして、ここのコインロッカーは返却が無いので、ぼっちの電車移動組は実質プラス100円されることになります。
熱海温泉を代表する源泉のお湯に、元老舗旅館の趣ある建物と、魅力はあるものの内風呂と外風呂だけの温泉施設に1,200円払って入るとなると、なかなかの贅沢に感じます。
熱海観光の一つとして長時間滞在するなら割り切れる気がしますが、例えば、登山帰りに汗を流すために1時間だけ立ち寄るといった使い方には向いていないかもしれません。
お得クーポン(なし)
お得なクーポン情報は見つけることできませんでした。
ご存じの方いらっしゃいましたら、わたしも使いたいので、是非、情報提供お願いします。
アクセス方法
「日航亭・大湯」へのアクセス方法です。
最寄の駅やバス停から公共交通機関を使ったアクセス方法、クルマでのアクセス方法の順に説明します。
最寄駅からのアクセス方法
「日航亭・大湯」の最寄駅はJR東海道線の熱海駅となります。
実際には、来宮駅の方が近いのですが停車する電車の本数が少なくて利便性が悪いので、熱海駅から向かった方が良いでしょう。
移動手段は、徒歩か路線バスとなります。
徒歩で向かう方法
「日航亭・大湯」へ徒歩で向かう場合は、熱海駅改札を出て右折して長い下り坂を降ったあと、登り返すような形になります。
概ね15分ぐらいの距離ですが、途中、初島や熱海港が見えたり、熱海七湯と呼ばれる源泉に出会したり、プチ観光しつつ行き来ができるので、それほど時間がかかったように感じないと思います。
反面、坂の登り降りが少々キツイので、山歩きで疲れ切ってしまっていたら路線バスで移動しても良いかもしれません。
アクセス方法
熱海駅からのアクセスマップ
関連リンク
最寄駅「熱海駅」へのルート検索用に「駅探」サイトを載せておきます。
また、プチ観光用に熱海市の観光案内HPを載せておきます。ご活用ください。
路線バスを使ったアクセス方法
「日航亭・大湯」へ路線バスで向かう場合は、熱海駅前ロータリーの0番のりばから発着する東海バス「湯~遊~バス」を利用すると便利です。
周回バスなので遠回りになってしまいますが、最寄のバス停となる「大湯間欠泉停留所」からは歩いて2分で目的地に向かえます。
アクセス方法
大湯間欠泉停留所からのアクセスマップ
関連リンク
時刻や運賃の確認用に「東海バス」サイトを載せておきます。ご活用ください。
クルマを使ったアクセス方法
「日航亭・大湯」へクルマでアクセスする場合、最寄インターチェンジは東名高速車道「厚木IC(インターチェンジ)」となります。
「厚木IC」を降りた後、約60分ほど走ると目的地となります。
アクセス方法
厚木ICからのアクセスマップ
「日航亭・大湯」を利用してよかった点3つ
「日航亭・大湯」がどんな施設なのか大体わかったところで、実際に利用してみてよかったなと感じた点3つを紹介します。
- これぞ熱海温泉という熱い温泉を楽しめる
- 趣のある建物でノスタルジーに浸れる
- 徒歩圏内に観光スポットがいっぱいある
これぞ熱海温泉という熱い温泉を楽しめる
「日航亭・大湯」を利用してよかった点の一つ目は「これぞ熱海温泉という熱い温泉を楽しめる」という点です。
熱海の温泉は高温なことが大きな特徴ですが、さすがは熱海でも最古にあたる源泉からお湯を引っ張っているだけあって、ここの湯船もかなり熱いお湯が楽しめます。
ぬるい温泉でまったり長湯するのも良いですが、熱海に来たらやっぱり熱湯風呂に入って体の芯からすっきりするのが良いですよね。
このあたりは好みが分かれてきてしまいますが、熱いお風呂が好きならばここのお風呂は一発でお気に入りになれると思います。
趣のある建物でノスタルジーに浸れる
「日航亭・大湯」を利用してよかった点の二つ目は「趣のある建物でノスタルジーに浸れる」という点です。
建物の外観はかなり年季の入った木造の建物で、明治の時代に温泉旅館として建てられた建物を使っているんだそうです。
このため、休憩所とお風呂場が離れていて、木の渡りを渡って脱衣所に向かう感じは、昔の温泉旅館の趣があって、とても懐かしさを感じました。
休憩室も畳敷の大広間となっていて、お風呂上がりには畳でお昼寝される方もいらっしゃいました。
残念ながら宿泊はできないので、その点はご注意ください。
徒歩圏内に観光スポットがいっぱいある
「日航亭・大湯」を利用してよかった点の三つ目は「徒歩圏内に観光スポットがいっぱいあるる」という点です。
施設のすぐ前に、「温前神社」(ゆぜんじんじゃ)があり、また、歩いて1分のところには熱海七湯の一つ「大湯間歇泉」(おおゆかんけつせん)があります。
どちらも歴史的名所で、観光目的に赴いてもなかなか面白い場所になっています。
「大湯間歇泉」の方は、残念ながら枯渇してますが、5分毎に人工的な湯気を吹き出させているようなので、タイミングがよければ見れるかもしれませんね。
そして、春には熱海梅園での梅まつりや、糸川遊歩道でのあたみ桜まつり、夏には熱海海岸での花火大会と、催し物いっぱいです。
お風呂上がりの湯さましにお散歩しながら、観光スポット巡りするのも楽しいと思います。
「日航亭・大湯」を利用してイマイチだった点3つ
続いて「日航亭・大湯」を実際に利用してみてイマイチだったなと感じた点3つを紹介します。
- 熱海駅から歩くと結構距離がある
- 湯船が2つしかない
- いつも観光客で混雑している
熱海駅から歩くと結構距離がある
「日航亭・大湯」を利用してイマイチだった点の一つ目は「熱海駅から歩くと結構距離がある」という点です。
市街地を巡る周遊バスに乗れれば、バス停から徒歩2分の楽ちんな距離になるのですが、肝心のバスが30分ごとにしか来てくれません。
しかも、遠回りに周遊するので30分は乗車していなければいけません。
このため、時間が押している時には歩いて向かった方が早いので、大抵は歩きになってしまうと思います。
そして、歩く場合は熱海市街地特有の急坂の登り降りを通過しないといけないため、足腰が疲れているときには、かなり堪えます。
立地の関係なので、どうしようも無い点ですが、やっぱりこの点はマイナスなポイントになってしまうかなと思います。
湯船が2つしかない
「日航亭・大湯」を利用してイマイチだった点の二つ目は「湯船が2つしかない」という点です。
純粋に泉質を楽しむとしたら内風呂と露天風呂があれば十分だろうというご意見もあるんだろうと思いますが、お値段が1,000円を超えてきたとなると、なかなかに割り切れないものが出てきます。
以前は使えていたであろうサウナが復活すれば、また印象も変わってきますが、たぶん、おそらく、復活は厳しいんだろうと思います。
いつも観光客で混雑している
「日航亭・大湯」を利用してイマイチだった点の三つ目は「いつも観光客で混雑している」という点です。
さすが、熱海の日帰り温泉でダントツの知名度なだけあります。
朝早くから夕方まで、多くの入浴客が出入りしてくるので、浴室も脱衣所も休憩所に至るまで人がいない場所が無い混雑っぷりな点に、圧迫感を感じました。
特に脱衣所では、老若問わず雑談しながら着替えるグループが多くて、大きく動いてこちらに接触することが何度かあり、その都度、不快指数が上がって仕方なかったです。
そのようなわけで、混雑を苦手とする性癖なら、この施設の利用は平日に限定しておいた方がよいかもしれません。
「日航亭・大湯」とセットで楽しめる山2選
最後に、この施設とセットで楽しめる山を紹介します。
- 十国峠
- 岩戸山
十国峠
「日航亭・大湯」とセットで楽しめる山の一座目は「十国峠」です。
「十国峠」は、静岡県田方郡函南町の位置する標高770mの展望地です。
昔、十の国を見通せた場所ということでこの名が付いたとのことで、360度の大パノラマを楽しめる絶景地になっています。
路線バスとロープウェイを使えば、ほぼ歩くことなく到達できるピークですが、石仏の道というハイキングコースが来宮神社方面に伸びており、この道を辿って、更に住宅地を降っていくことで「日航亭・大湯」まで下山してくることができます。
このため、往路はロープウェイで登って、復路は石仏の道を降り、来宮神社でお参りした後、「日航亭・大湯」で汗を流して帰路に着くというプランがおすすめです。
アクセス方法
来宮神社からのアクセスマップ
関連リンク
来宮神社の公式HPを載せておきます。上記プランを決行する際、見どころを先に押さえておくのに活用ください。
岩戸山
「日航亭・大湯」とセットで楽しめる山の二座目は「岩戸山」です。
「岩戸山」は、静岡県熱海市に位置する標高734mの里山です。
山頂からは、南方面への眺望に優れ、足下の熱海や来宮の市街地、港の様子をはじめ、伊豆七島や初島といった海の眺め、天城山や大室山といった山の眺めを楽しむことができます。
先に紹介した「十国峠」とは、徒歩1時間の距離ということもあって、「十国峠」のついでに立ち寄るには便利な場所になっています。
「日航亭・大湯」への道のりは、「十国峠」と同じく石仏の道を降り、来宮神社を経由するルートがおすすめです。
アクセス方法
来宮神社からのアクセスマップ
まとめ
- 熱い温泉で温まりたい人
- 趣ある建物で雰囲気に浸りたい人
- 温泉と合わせて観光も楽しみたい人
- 駅からあまり歩きたく無い人
- 今風のスーパー銭湯な設備が好きな人
- 混雑が嫌いな人
- 十国峠
- 岩戸山
熱海温泉の超有名な老舗日帰り温泉「日航亭・大湯」の紹介でした。
ここは、歴史ある温泉施設ではありますが、予約不要で入れる日帰り温泉として運営しており、とても使い勝手の良い温泉施設です。
泉質も熱海温泉の特色そのままの、熱くて透明なサラッとお湯でとても温まります。
その分、混雑しやすいのが玉に瑕ではありますが、熱海界隈の里山に登った帰りに、ゆっくりと立ち寄るのに適していますので、ご近所の来宮神社を経由して訪れてみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
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