伊豆の温泉街といえば、熱海温泉と修善寺温泉が超有名です。
伊豆三山のお膝元である、伊豆の国市に古い温泉地「伊豆長岡温泉」というがあるのをご存知でしょうか。
1,300年の歴史を持つと伝えられる東の「古奈地区」と、明治末期に発見された西の「長岡地区」が合体してできた温泉街で、昭和のバブル期には歓楽街的な温泉地としてかなり発展したようですが、1998年に伊豆縦貫道が開通して修善寺温泉までマイカーでノンストップに行けるようになると、そちらに客足を取られてしまい、徐々に廃れて今のこじんまりとした感じの温泉街となったようです。
今回は、そんな昭和の雰囲気を醸し出す「伊豆長岡温泉」の公営浴場「長岡南浴場」に赴いたときの内容となります。
公営浴場ということで入浴料は激安、沼津アルプスや伊豆三山から寄り道しやすい立地ということで、周辺の里山巡りをした帰りに立ち寄るには、いろいろ融通が利きやすいので、知っておくと何かと便利だと思います。
是非、最後まで読んでいってくださいね。
- コスパ重視な人
- 田舎の銭湯な雰囲気が好きな人
- 混雑が苦手な人
- 一度ケチがついた温泉には不信感を持ってしまう人
- ドバドバとお湯をかけ流している温泉が好きな人
- こじんまりした場所が苦手な人
基本情報
まずは、基本情報です。
施設名:長岡南共同浴場
住所:〒410-2211 静岡県伊豆の国市長岡1082-2
電話:055-947-2260
営業時間:15:00~21:00(受付終了20:30)
定休日:毎週水曜日
湯船の種類:内風呂(大小2槽)
無料設備:ドライヤー、鍵付きロッカー
有料設備:タオル、石鹸
登山者向設備:大きなロッカー✖️、ザック置き場✖️、大きな靴入✖️、靴洗い場✖️
宿泊設備:✖️
駐車場:✖️(近くにある伊豆の国市役所の無料駐車場を利用可)
客層:単独
※最新情報、臨時休業については、公式HPをご確認ください。
泉質情報
そして、一番気になるお湯情報です。
源泉名:混合泉(第一貯湯槽、第二貯湯槽)
泉質:アルカリ性単純温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
水素イオン濃度(pH):9.1
湧出量(リットル/日):-
泉温(℃):59.6
飲用:×
泉質別適応症:-
※「単純温泉」には含有成分による適応症は期待できませんが、すべての温泉に期待できる一般的適応症として、以下の項目の改善には期待できます。
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回 復期、疲労回復、健康増進。
泉質の特徴
伊豆長岡温泉は、伊豆長岡町温泉事業協同組合が温泉を管理していて、たとえ自前の源泉を持っている入浴施設であっても、一旦、一つところに集められてから配湯されるスタイルをとっているそうです。
このスタイルは、温泉集中管理と呼ばれており、過去に温泉の乱開発により温泉枯渇の危機を迎え、それを回避するために取られた処置なんだそうです。
このため、周辺の泉質はほぼ等しく「アルカリ性単純温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)」となっています。
「単純温泉」ということで、含まれている成分が一定値に達しておらず、特定の適応症を持たない温泉となりますが、水素イオン濃度はpH9.1と高く、クレンジング効果の期待できる「美肌の湯」に相当します。
実際に湯船に肌を潜らせてみると、確かにつるんとした肌触りがあり、pH10を超える奥多摩のバケモノ級温泉達には劣るものの、無駄な角質や油分を落としてくれている感覚は十分にありました。
また、泉温が高くそのままでは入れないため、わざと加水して温度をさげているようで、さらに肌にやさしい温泉になっているようです。
このことから、「長岡南浴場」は以下のような特徴を持つ温泉とみなすことができます。
「長岡南浴場」の特徴
- 美肌の湯
各成分の主な効果
- アルカリ性のお湯:無駄な角質や油分を落とすクレンジング効果(美肌の湯)
湯船毎の特徴
「長岡南共同浴場」の湯船は、内風呂のみです。
形の違う大小2つの湯船がありますが、今回は内風呂としてまとめて特徴を述べて行きます。
内風呂
まず、それぞれの湯船の大きさですが、大きい湯船は足を伸ばした大人がギリギリ3人入れる程度の大きさで、小さい湯船はおひとり様専用といったサイズ感になっています。
湯船の深さは普通に座ると胸までの深さなので、肩まで浸かるには意識して潜る必要がありますが、泉温が高いので、どちらかというとそのまま半身浴なスタイルでゆっくり入浴するのが良さそうでした。
湯船の縁には段差があり、そちらに座った際の深さは腹にかかるぐらい、段差の上に座れば足湯スタイルもできるので、のぼせ気味の時には調整しやすい感じでした。
洗い場は4つで、湯船を背に設置されています。
このため、注意しないとシャワーなどの水が湯船に入り込んでしまうので、他の方が湯船に入っているときには後ろを気にして体を洗ったほうが良さそうでした。
関連リンク
小さいですが「長岡南浴場」の公式HPに、お風呂場の写真が掲載されていましたので、雰囲気はそちらで掴まれるとよいでしょう。
料金
そして、次に気になる料金についてです。
大人:
入館料(時間制限無)400円
子供(3歳以上小中学校以下):
入館料(時間制限無)160円
その他:タオル100円、石鹸50円
※この料金表は2023/4/1時点のものとなります。最新情報は公式HPや直接お電話にてご確認ください。
さすがの公共施設です。入浴料400円で時間制限無しというのは、熱海の駅前温泉浴場と同レベルの破格なお値段です。
しかも、鍵付きのロッカーも無料で使えるので更に割安感を感じます。
難点としては、石鹸は購入できるものの、洗髪のためのシャンプーやリンスは購入不可な点でしょうか。
このため、持参してこなかった場合は頭はお湯をかけるだけで済ませるか、キシキシするのを覚悟の上で石鹸を使うかするしか手立てがなかったのが少々厳しかったです。
お得クーポン
「長岡南浴場」のお得なクーポンは見つけることができませんでした。
その代わり、回数券が購入でき13枚綴りで大人4,000円と実質1,200円引きで入浴することができます。
何度も足を運ぶようなら、回数券の購入を検討するとよいでしょう。
アクセス方法
「長岡南浴場」へのアクセス方法です。
最寄の駅やバス停から公共交通機関を使ったアクセス方法、クルマでのアクセス方法の順に説明します。
公共交通機関でのアクセス方法
まずは、電車、バスを使ったアクセス方法です。
最寄りのバス停、駅それぞれからのアクセス方法について載せていきます。
また、近隣まで高速バスが出ているようなら、そちらについても載せておきます。
最寄りバス停からのアクセス方法
「長岡南浴場」の最寄りのバス停は、伊豆箱根バス「温泉駅停留所」になります。
バス停からの距離は、徒歩1分となります。
「温泉駅停留所」へは、JR沼津駅から伊豆箱根鉄道の伊豆長岡駅間を走る路線バスで向かうことができます。
最寄りバス停からのアクセス方法
最寄りバス停からのアクセスマップ
最寄り駅からのアクセス方法
「長岡南浴場」の最寄駅は伊豆急行線「伊豆長岡駅」になります。
駅からの距離は、徒歩で27分となります。
歩けない距離ではありませんが、1時間おきに20時台まで路線バスが出ていますので、こちらを使うほうが現実的だろうと思います。
最寄り駅からのアクセス方法
最寄り駅からのアクセスマップ
高速バスでのアクセス方法
「長岡南浴場」に直行できるような高速バスはありませんでしたので、この項目は空欄です。
関連リンク
公共交通期間の時刻、運行状況、運賃の確認に役立つリンクを掲載しておきます。プランニングの際にご活用ください。
車でのアクセス方法
続いては、車を使ったアクセス方法です。
わたしは非マイカー組なので、実際に車でアクセスしたことはありませんが、需要があるかもしれませんので、調べた内容を載せておきます。
「長岡南浴場」への最寄りインターチェンジは伊豆中央道「伊豆長岡インターチェンジ(以降IC)」とのことなので、以下のようなルートとなります。
最寄りICからのアクセス方法
最寄りICからのアクセスマップ
「長岡南温泉」を利用してよかった点3つ
「長岡南温泉」がどんな施設なのか大体わかったところで、実際に利用してみて、よかったなと感じた点3つを紹介します。
- 入浴料が安い
- 利用者のほとんどが地元民の素朴な雰囲気
- 長湯する人が皆無
入浴料が安い
「長岡南温泉」を利用してよかった点の一つ目は「入浴料が安い」という点です。
温泉なのに、大人一人ワンコインでお釣りが来るのは都内の人間としてはびっくりする安さです。
また、こういったところは脱衣所にあるコインロッカーが返却無しのことが多くて、合計すると対して安く無いなんてこともザラですが、「長岡南温泉」はすべてのロッカーが無料で使えます。
流石に40Lクラスの中型ザックは入りませんでしたが、20Lくらいの小型ザックなら丸っと入ってしまう大きさがあるので、普通の里山縦走装備だったら困ることはないでしょう。
加えて、時間制限も無いので1時間でも2時間でもゆっくりお風呂を楽しめるところも嬉しい点でした。
実際は、お湯が熱いのでそんなに長湯できないんですけどね。
利用者のほとんどが地元民の素朴な雰囲気
「長岡南温泉」を利用してよかった点の二つ目は「利用者のほとんどが地元民の素朴な雰囲気」という点です。
伊豆長岡温泉は、昔のイケイケな時代に比べれば落ち着いてしまったものの、まだまだ、温泉施設は豊富で日帰り温泉サービスを実施しているところも多いです。
このため、一般の観光客は綺麗で広くて設備の整った温泉旅館などをチョイスする方が多いようで、「長岡南温泉」のようなこじんまりした施設に来るお客さんは地元の方が多いように見受けられました。
実際に、番頭さんと世間話をして帰る方がほとんどで、ひとりアウェー感を感じたものですが、むしろそんなのんびりとした空間がとても心地よく、気楽な気分になれました。
ちょっと人間関係に疲れた時なんかには、この周囲との距離感が程よく感じることでしょう。
長湯する人が皆無
「長岡南温泉」を利用してよかった点の三つ目は「長湯する人が皆無」という点です。
伊豆長岡温泉は泉温がかなり熱く、水で薄めていても30分も入ればのぼせてしまうくらいです。
このため、体を洗った後に湯船に浸かったら、すぐに出て行っていってしまう方がほとんどで、狭い空間でも待たされるといったことはありませんでした。
日帰り登山だと、帰りの電車時間によってはささっと済ませてパパッと帰る必要があるシーンも出てくるので、これは助かる点かなと思いました。
「長岡南温泉」を利用してイマイチだった点3つ
どんな施設でも、よかった点もあれば、悪かった点も存在します。
ここでは、「長岡南温泉」を実際に利用してみてイマイチだったなと感じた点3つを紹介します。
- レジオネラ菌異常発生で休館していた期間がある
- 源泉掛け流しを謳ってるがチョロチョロとしかお湯が出てない
- 湯船も洗い場も脱衣所もすべてが狭い
レジオネラ菌異常発生で休館していた期間がある
「長岡南温泉」を利用してイマイチだった点の一つ目は「レジオネラ菌異常発生で休館していた期間がある」という点です。
2022年11月に、福岡県の老舗温泉旅館「大丸別荘」で基準値3700倍のレジオネラ菌が検出されたという時事ニュースがありましたが、「長岡南浴場」でも2023年2月に、基準値の2倍を超えるレジオネラ菌が検出されたということで、1ヶ月ほど休館していました。
このため、このあたりの風評が気になるようだと心穏やかに湯船に浸かれないかもしれません。
正直、私もこういった風評は気にしてしまう性分なので、訪れる前はどうしようかなと考えてしまったのですが、寧ろ、隅々まで清掃するようになっているだろうということで訪れることとしました。
結果的に、体調不良など発生せず、寧ろ、山行後の体の強張りが取れて、汗臭さも消すことが出来て、満足して帰路につけたのでその点はよかったのかもしれません。
ただ、原因は特定されていないとのことでしたので、訪れる前には伊豆の国市のインフォメーションなどを確認の上、訪れると良いかもしれません。
源泉掛け流しを謳ってるがチョロチョロとしかお湯が出てない
「長岡南温泉」を利用してイマイチだった点の二つ目は「源泉掛け流しを謳ってるがチョロチョロとしかお湯が出てない」という点です。
私の中の源泉掛け流しというと、熱海の駅前温泉浴場のように、お湯の注ぎ口からドバドバと勢いよく温泉が流し込まれて、湯船からザーザーにお湯がこぼれ落ちていくというイメージがあります。
このため、気持ち注がれているかなといった程度の泉量にはイマイチ魅力を感じないというのが正直な感想でした。
源泉掛け流しという定義は、案外に曖昧で、お湯を循環させない温泉であれば、そのように謳って良いとされているみたいなので、このようなチョロチョロな状態でも、条件は満たしているということなのでしょう。
ただ、レジオネラ菌異常検出が起こったことで敏感になっていて、水飛沫などが上がらないようにワザとお湯の量を絞っているのかもしれません。
レジオネラ菌への感染は、水飛沫や散布霧によりエアロゾル(微粒子)化された汚染水を吸い込むことで起こります。
これへの対処と考えたらやむ終えない状況なのかもしれませんね。
湯船も洗い場も脱衣所もすべてが狭い
「長岡南温泉」を利用してイマイチだった点の三つ目は「湯船も洗い場も脱衣所もすべてが狭い」という点です。
前出の通り「長岡南温泉」は湯船の大小どちらもこじんまりとしています。洗い場も湯船にとても近く、気をつけてないとシャワーが湯船に掛ってしまう狭さで、少々窮屈に感じられました。
脱衣所も大人3人で満員となり、4人目になると誰かが着替え終えて外に出るか、温泉に入りにいくかしないと、立ちん坊状態で待機しなければなりませんでした。
熱い湯船なので、入浴客の回転はすこぶる早いので、湯冷めするほど待たされはしませんでしたが、それでもマッパで待っているのは、心情的に多少のざわつきは感じてしまいました。
「長岡南温泉」とセットで楽しめる山
最後に、この施設とセットで楽しめる山を紹介します。
- 伊豆三山
- 沼津アルプス
伊豆三山
「長岡南温泉」とセットで楽しめる山の一座目は「伊豆三山(いずさんざん)」です。
「伊豆三山」は、単独の山というわけでは無く、伊豆の国市にある葛城山を中心とした、城山、発端丈山の3つの里山の集合体となります。
どの山も標高500mにも満たない低山の集合ですが、各山のピークからの眺めが素晴らしく、且つ、縦走路も整備されているので、なかなか人気のある山域となっています。
これら山々のうち、葛城山山頂へ直行するロープウェイの麓駅から徒歩7分の距離に「長岡南温泉」があり、気軽に立ち寄ることができます。
桜や紅葉の時期は、葛城山山頂にある伊豆パノラマパークでライトアップイベントが開催されています。
それに伴い、ロープウェイの運行時間も延長となるので、この時期に訪れることができれば、三山縦走したあと、葛城山で夜景を楽しんで、ロープウェイで下山した後に、ひと風呂浴びて帰路に着くといった、楽しいプランを計画することができます。
是非、ご検討くださいね。
下山口から入浴施設へのアクセス方法
下山口から入浴施設へのアクセスマップ
沼津アルプス
「長岡南温泉」とセットで楽しめる山も二座目は「沼津アルプス(ぬまづあるぷす)」です。
こちらも単独の山というわけでは無く、沼津市にある標高300〜400mの里山たちをまとめた縦走路となります。
なかなか歩きごたえのある中級者向けのルートなのですが、街からとても近い場所にあることで、沢山に登下山口がある融通のしやすいルートでもあります。
このうち、鷲頭山や大平山から多比方面へ下山した時の最寄バス停「多比停留所」から伊豆長岡駅行きの路線バス一本で訪れることができます。
沼津アルプスは、富士山に近いことから要所要所で富士山への展望の得られる気持ちの良い縦走路です。加えて、沼津の市街地や駿河湾、西伊豆の稜線への眺めも期待できるので、ちょっとアップダウンがきついですが、是非、チャレンジしてみてくださいね。
下山口から入浴施設へのアクセス方法
最寄バス停から入浴施設へのアクセスマップ
まとめ
- コスパ重視な人
- 田舎の銭湯な雰囲気が好きな人
- 混雑が苦手な人
- 一度ケチがついた温泉には不信感を持ってしまう人
- ドバドバとお湯をかけ流している温泉が好きな人
- こじんまりした場所が苦手な人
- 伊豆三山
- 沼津アルプス
伊豆の古き温泉街、伊豆長岡温泉にある公営日帰り施設「長岡南温泉」の紹介でした。
伊豆長岡温泉は、伊豆長岡町温泉事業協同組合が温泉を集中管理しており、施設によって泉質の違いがほとんど生じません。
このため、「長岡南温泉」は良質な温泉に格安で入れる、コストパフォーマンスに優れた優良施設と言えるでしょう。
一時期、サルモネラ菌の異常検出がありましたので、その点気になるようだと気が休まらないので無理に利用するのは良くないですが、逆にケチがついたことで念には念を入れる対応をしてくれていると思います。
実際に入浴してみましたが、つるんとするのはお湯だけで、湯船が滑っていたりすることはありませんでしたし、番頭さんからは必ず体を洗ってから湯船に入るようインフォメーションもありました。
ちょっと色々窮屈な点は諦めるとして、伊豆三山や沼津アルプス縦走の帰りに立ち寄る温泉として、是非、検討してみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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