富士山の南に位置する9つの山の集合体「愛鷹山塊」。
その中の最高峰、越前岳に登るルートの一つに「十里木ルート」というのがあります。
越前岳に登るのに一番距離が短いことから初心者向けとして紹介されることが多いルートですが、今回の山行で下山路に使ってみたところ、わりと骨のある道であることがわかりました。
今回は、そんなちょっとだけ意外な結果だった越前岳登山の様子です。
もしあなたが、越前岳に登ってみようかなと思っているようでしたら、ちょっとだけ参考になるかもしれません。ちょっとだけでも読んでいって下さいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
愛鷹山塊
愛鷹山塊の概要は、過去の山行記事でまとめています。気になったら、こちらの記事をお読み下さい。
十里木ルート
十里木ルートは、越前岳の北面の尾根を登っていく登山路です。
標準コースタイムが、登り2時間35分、降り1時間40分と、越前岳に至る道の中では一番短時間で往復できることから、初心者向け登山路として通年多くの登山者が訪れる人気のルートになっています。
道中の様子は、麓はススキ広がる高原地帯、中腹は緑豊かな森林地帯、そして山頂に近づくにつれて赤土の滑りやすい急坂となり山頂に至るといった道程となります。
途中には、十里木高原展望台、馬の背見晴台、平坦地といった展望スポットがあり、天候に恵まれれば、富士山や南アルプス、富士宮市街地への眺めなどを楽しむことができます。
ギャラリー
Instagramにも動画を上げてますので、現場の雰囲気楽しんでもらえたら幸いです。
まずは、十里木高原展望台からの様子ですが、残念ながらこの日の富士山は雲の中。それでも、十里木の別荘地やゴルフコースの様子を見ることができました。
続いては、もう1段標高が高い馬ノ背見晴台からの様子です。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1502 m
最低点の標高: 718 m
累積標高(上り): 1023 m
累積標高(下り): -874 m
総所要時間: 04:49:37
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、のっけからやらかしてしまいます。
この日は三島方面が晴れの予報だったので、十里木ルートから登って、越前岳、位牌岳と南下しながら、三島方面の眺めを楽しむつもりだったのですが、JR東海道本線で寝過ごしてしまい、三島駅付近まできてしまいました。
十里木登山口の最寄り「十里木」停留所に向かうのであれば、国府津駅で御殿場線に乗り換えて御殿場駅から富士急バスで十里木行きに乗り込むのが正しいルートです。
仕方がないので、三島駅から富士急バスで「愛鷹登山口」停留所に向かい、そこから北上することにしました。
三島駅構内でおトイレを済ませて、のりば2番でバスを待ちます。
到着したバスに乗って一時間ほどすると「愛鷹登山口」停留所に到着です。
この登山口から先、ベンチなどは存在しないので停留所の前で見繕いして出発することになります。
ギャラリー
「愛鷹登山口」停留所~山の神駐車場〜石割峠
登山口から山の神駐車場までは林道を歩きます。
平坦で歩きやすいのですが、車やバイクがちょくちょく通過しますので注意しつつ進みます。
山の神駐車場にも簡易トイレはありますので、万が一のときにはお借りしましょう。
駐車場を過ぎて、直ぐに黒岳方面への分岐があります。
黒岳は愛鷹山塊の中で一番、富士山に近いピークで、山頂から迫力ある富士山を眺めることができます。山の神駐車場からなら片道1時間ほどで登れるので、初めてこの山塊に赴いたならば是非、立ち寄ると良いです。
黒岳に興味持たれたら、過去の山行記事も読んでみてくださいね。
https://yamanoblog.com/climbing-record-2021023/今回の山行では、直進し大沢を遡って石割峠に至るルートに向かいます。
暫し山道を進むと、大沢の渡河地点に到着します。
なるべく靴をぬらさないように通過したら、登山道も本番です。
沢筋特有のガレた山道を登っていくと、前岳への分岐手前で丸太が道を通せんぼしているシーンに出くわしました。
半年前に通過したときには無かった気がしたので、周囲を見渡してみると、真新しい赤テープが見つかります。
迂回路の印だろうと、そちらの方へ進んでみると正解でした。
先の山道が崩落していたらしく、その場所を迂回するための道を示すテープだったようです。
少し遠回りになりますが、迂回路をたどり正規ルートに戻って更に進んでいきます。
何度か、石橋を渡り蛇行しつつ大沢をたどり、最後のガレ場を登り切ると石割峠に到着です。
名前の由来となっている大石の隙間から覗く駿河湾方面の眺めを楽しんだのち、呼子岳への急坂に向かうことにします。
ギャラリー
石割峠 ~呼子岳~越前岳
石割峠から呼子岳までの区間は、意外と急坂です。
ところどころに補助となるロープが貼ってあり、1mほどの小ぶりなハシゴなんかも掛かっています。滑りやすい赤土でもあるので、少し注意しつつ慎重に進むと良いでしょう。
呼子岳山頂からは、駿河湾方面の眺望が楽しめますが、2、3名が休めるぐらいのスペースしかありませんので、長居はしないで先に進みます。
呼子岳から越前岳までの区間も最初のうちは滑りやすい降り坂が続きます。
補助のロープを活用しつつ、転倒しないように少し慎重に進みましょう。
呼子岳から越前岳までの区間、中間まで進んでくると、展望ある尾根歩きを楽しめるようになります。
この日は残念ながら雲の中の山行となってしまいましたが、天候に恵まれれば、愛鷹山塊でも指折りの好展望が楽しめますので、お天気良いときに歩いてみることおすすめします。
越前岳山頂まで到着すると相変わらずの賑わいです。
ごはん時だったこともあり、多くの登山客がバーナー持参で調理していました。
この山頂は南西方面に大きく展望が開けており、天候に恵まれれば駿河湾沿岸や富士宮市街地を眼下に眺めることができます。
前述の通り、この日は雲の中で大した眺めが得られなかったので、停滞すること無く素通りでした。
ギャラリー
越前岳~十里木高原~「十里木」停留所
さて、ここからは山頂北側の道を降って行くのですが、踏み跡が網の目のように続いていてちょっと面食らってしまいました。
道の状況も風化が進み深くえぐれた滑りやすい状態で、ルート取りを間違えると木々を掴みながら段差を降りる必要もあります。
何度か歩いて慣れてこれば、スムーズに通過できると思うのですが、初見だったからか行ったり来たりしてしまい、最終的には赤土の崩落地点に降下してきてしまいました。
ズルズル滑る赤土の坂をそのまま降下してしまうと十里木では無い方向に向かってしまいそうだったので、一旦、横移動して本道だろうと思われる山道に戻り、改めて降っていくことにします。
ここからも滑りやすく深く抉れた山道を進んでいくと、ようやく「平坦地」に出ることができました。
ここもビュースポットのようだったのですが、雲の中ということで素通りです。
そのまま、似たような道を降っていくと、今度はベンチ着きの開けた空間に到着です。
案内を見ると「馬ノ背展望台」と書いてあります。
欧文社の地図には無い地名でしたが、雲を抜けて展望も広がっていたので、ここで小休止を入れた後に、更に降下していきます。
「馬ノ背展望台」 から下は、一変して歩きやすいなだらかな山道に変わっていきます。
ススキの合間から十里木高原の様子を見ながら降下していくと、通信塔や反射板が見えてきて、これらを通過すると、木の枠組みで出来た「十里木高原展望台」に到着です。
ここからの眺めも素晴らしく、十里木高原の別荘地帯、ゴルフ場といった眺めを楽しむことができました。また、時期が良かったのかススキの穂が垂れて、サワサワと気持ちよく揺れていました。
展望台から十里木登山口はもう目と鼻の先、10分ほど降下したら十里木高原登山口に到着です。
おトイレの前にあった靴洗い場で泥を落として「十里木」停留所まで移動して帰路につきました。
ギャラリー
おまけ
今回の立ち寄り湯は、小田急線「東海大学前駅」より向かう「さざんかの湯」です。
塔の岳をはじめとした丹沢山行のときに好んで立ち寄っている入浴施設ですが、今回は午後早い時間に下山できたので、御殿場線から小田急線と足を延ばして立ち寄ってみました。
大きな内風呂に露天風呂、20人くらいは入れるサウナなど、どちらかというとスーパー銭湯的な施設なのですが、お湯は源泉かけ流し、時間制限無しで、850円という良心的な価格設定。(2021年9月現在)
駅からの道が急勾配なのが唯一の欠点ですが、それを差し引いても非常におすすめできるお風呂場です。
丹沢登山の帰りにはもちろんのこと、近くを通った際にも立ち寄ってさっぱりしてってくださいね。
まとめ
愛鷹山塊の最高峰、越前岳から十里木へ降るルートの様子でした。
越前岳は山頂からは北側への展望が薄く、富士山への眺望を得るには東に20分ほど下った展望地に赴く必要がありましたが、十里木ルート使うことで、十里木高原展望台、馬ノ背見晴台、平坦地とほぼすべてのビュースポットで富士山への眺望を得ることができるようになります。
また、歩行距離が短く初心者向けルートの位置づけではありますが、山頂付近には急勾配な坂道も出てきて、他の初心者向け登山道よりは、少し骨のある山行を楽しめます。
登山デビューして数回の山行をこなしたあたりに挑戦してみると、いい塩梅の刺激なると思いますので、一度、試してみて下さいね。
それではここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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