春先や秋口での登山も十分楽しいですが、この季節だけだと物足りないと感じ始めたら、初冬の低山に挑戦するというのはいかがでしょうか。
比較的気候の安定している関東圏の2,000m未満の低山でも、12月から1月にかけての初冬期は、空気が澄んでいて他の季節とはまた違った風景を楽しむことができるので、レベルの上がってきたあなたでも満足できるものになると思います。
ただ、春先や秋口よりも強めの寒さ対策、降雪時の対策が必要となりますので、今回の記事を参考に基本を抑えてもらえたら幸いです。
初冬の低山での基本装備
それでは最初に、基本装備についての解説です。
まずは、必要な装備の一覧を示した後、カテゴリ毎に詳しく述べていきます。
ザック
まずは、ザックですが中型ザックを使います。
初冬の時期は、春先や秋口に比べて寒いので、予備の防寒着を持っていく必要があります。
このため、10L前後の小型ザックだとザックの外にぶら下げる形にならざるを得ません。
これが枝や岩に引っかかって、山中を歩行するときの妨げになってしまうことがあります。
最悪どこかの枝に引っかかったまま紛失してしまうことも考えられます。
登山用の防寒具は高額なので、紛失してしまったときのショックは結構大きいと思います。
また、寒さを感じて防寒着を着ようと思ったら手元に無いとなったら、最悪の場合、低体温症を発症して動けなくなってしまいます。
このようなことが起きないように、防寒着もしっかりと格納できるサイズのザックで望むのがよいでしょう。
足回り
続いては、足回りの装備についてです。
ここでは、チェーンスパイクを追加で持っていく必要があります。
初冬の時期は、低山でも積雪する場合があります。
積雪までいかなくとも、降雨によって凍結している場所も出てきます。
このような場所を通過するときに必要となります。
慣れれば登山靴だけでも通過できなくは無いですが、やはり危険は伴いますので、いつでも使えるようザックに常備しておきましょう。
また、4本刃や6本刃の軽アイゼンで代用も可能ですが、この時期の関東圏の低山は、日陰は凍結しているが日向は通常の登山道というコンディションが常態です。
試してみるとわかるのですが、軽アイゼンで通常の登山道を歩くと思いの外、足元が不安定になります。
わたしとしては、軽アイゼンよりも刃が短くて通常の登山道も安定して歩けるチェーンスパイクの方をおすすめします。
水筒
この時期の水筒は、凍結対策にテルモスなど魔法瓶タイプのものを持っていくほうが良いです。
ナルゲンやペットボトルをそのままザックの外にぶら下げていると、外気によって凍ってしまう可能性がありますし、凍るまでいかずともキンキンに冷えた状態になってしまいます。
ただでさえ寒いのに、冷え切った冷水を飲むというのもなかなかのストレスとなりますので、飲料水への対策もしておくのがよいでしょう。
小物
小物については、サングラスを追加で持参すると良いでしょう。
降雪のあった日の稜線などでは、スキー場と同じく雪による照り返しがありますので、雪目になる恐れがあります。
山中で目が開けられなくなってしまうと、即行動不能です。
そんなことにならないように保険に持っていくことをおすすめします。
電子機器
電子機器に関しては、春先や秋口の装備と変わりません。
非常用にヘッドライトを忘れずに持っていくようにしましょう。
また、いざという時に電池切れで使えないとなると目もあてられないので、普段のメンテナンス、予備電池の準備も怠らないようにしましょう。
医療品・非常用品
医療品や非常用品に関しても、春先や秋口の装備と変わりません。
怪我や急な体調不良に備えて、胃腸薬や風邪薬、傷薬、絆創膏などを救急パックとして持参しましょう。
また、エマージェンシーシートやホイッスル、細引きなどの非常用品はザックに入れっぱなしにしていることが多いと思います。
いざというときに使えない状態になっていると困るので、定期的にザックから取り出して確認するようにしてください。
初冬の低山でのレイヤリング
続いては、初冬の低山でのレイヤリングです。
冒頭でも述べましたが、初冬の時期は低山であってもしっかり寒いですので、寒さへの対策が必須です。
一覧にすると次のような組み合わせになります。
特記事項として、厚さの異なるネックゲイターを2種持っていくようにしています。
薄手のものを山行中のマスクの代用として、厚手のものを停滞時の防寒用として別々の用途で使っているので、このような組み合わせになっています。
詳しい詳細は、次の記事に記載してますのでそちらをお読みください。
初冬の低山で注意すること
最後に、初冬の低山での登山で注意しておく点についても述べておきます。
交通ダイヤが冬季用になっている地域がある
初冬の低山で注意が必要な点の1つ目は「交通ダイヤが冬季用になっている地域がある」点です。
路線バスに多いですが、冬季とそのほかの期間で本数が激減する地域があります。
また、山地では気象状況によっては急なダイヤ変更も起こります。
バス停までついてみたら運休でバスが出ずに、疲れた体で最寄り駅まで数時間かけて歩かないといけなくなったりしたらツライですよね。
そういったことに陥らないように、特にこの時期、交通事情については常に最新情報を収集する癖をつけておくと良いです。
麓と山頂で状況が全く違う場合がある
初冬の低山で注意が必要な点の2つ目は「麓と山頂で状況が全く違う場合がある」点です。
この点は全シーズンいつでも起こりえるのですが、この時期は寒さがプラスされるので特に注意が必要です。
麓では快晴だったからと、途中の気象変化を甘くみて突っ込んでいった結果、行動不能になったりしないように、ちょっとでも不安を感じたら下山する気持ちで臨むのが良いです。
暗くなる時間が思っている以上に早い
初冬の低山で注意が必要な点の3つ目は「暗くなる時間が思っている以上に早い」点です。
この記事では関東圏低山を対象としているので東京を例にあげますが、一年を通して一番日の入りの早い12月20日前後の東京の日没時間は、大体16時30分ぐらいです。
それぐらいの時間であれば麓で薄暗い程度、街中に至ってはまだまだ明るいイメージがあるかと思います。
しかし、山中となると話は変わってきます。
2,000m以下の低山は森林限界を超えないので、ほとんどの場所が森林地帯となります。このため、木々に日の光が遮られて日没前でも結構暗くなります。
わたしの体感ではありますが、15時30分あたりから薄暗さを感じるようになります。初冬の時期は寒さも加わるので夏のころよりも心細く、少々焦りが生じるようになってきます。
こうなってくると、焦りによる判断ミスを起こすリスクが増えてしまうので、この時期は余計に下山時間には気をつけるようにするのが良いです。
まとめ
関東圏の低山を対象に、初冬期の登山に必要な装備や服装、注意点について解説してきました。
この時期の登山となると、難易度が上がり二の足を踏んでしまうかもしれませんが、しっかりと対策を講じて取り組めば、マンネリ化している現状を突き抜けることができます。
更に、雪山へのアプローチも視野に入れることができるようになるので、もっと新しい世界に飛び込むことができる可能性が広がります。
ここでの知識を参考に、しっかりと対策を講じつつ、もう一つ上のレベルの山行に挑戦していただければ幸いです。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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