関東圏低山の木々たちも、紅葉から落ち葉に変わって、山中が寂しくなってきました。
そんな中、まだ歩いたことのなかった富士山西側の長者ヶ岳から天子ヶ岳を縦走してきてみました。
この日はお天気にも恵まれて、それぞれの山頂だけで無く、田貫湖湖畔、行き帰りの道中と、さまざまな場所で、富士山を眺めることができました。
西側から眺める富士山は大沢崩れの大きく抉られた山肌が特徴的で、他の方向から眺めるよりも荒々しい雰囲気がありました。
そんな、男性的な富士山も大変魅力的なので、まだ眺めたことが無いようでしたら、この記事を参考に長者ヶ岳、天子ヶ岳、登ってみてくださいね。
おまけとして、下山後に立ち寄った白糸の滝の様子も載せておきました。
名爆の名に恥じない、素晴らしい滝でしたので、こちらも一緒に最後まで読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/12/10
天候:晴れ
エリア:田貫湖エリア
コース概要:休暇村富士停留所〜田貫湖畔広場〜休暇村分岐〜長者ヶ岳〜天子ヶ岳〜白山神社〜白糸の滝停留所
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR見延線「富士宮駅」から富士急静岡バスで「休暇村富士停留所」へ向かい、そこからスタート
(帰)「白糸の滝駅」から富士急静岡バスでJR見延線「富士宮駅」へ向かい、そこから帰路へ
概要
田貫湖(たぬきこ)
田貫湖は、静岡県富士宮市にある人工湖です。
元々は田貫沼と呼ばれる小さな沼地だったのですが、関東大震災をきっかけに濃厚用水確保のため人工的に湖に拡張されたものなんだそうです。
湖畔には、休暇村やバンガロー、キャンプ場があり、富士を見上げながらの宿泊することも可能です。
また、4月20日と8月20日の早朝、休暇村のある位置からダイヤモンド富士が拝めるようで、カメラマンにも人気あるエリアのようです。
この日も、大きなカメラを持ったお父さんが数名が草むらから富士山と鴨のコラボか何かを撮影していました。
わたしなんかだと、草むらは野生動物が居そうで敬遠しちゃいますが、逞しいものですね。
長者ヶ岳(ちょうじゃがたけ)
長者ヶ岳は、静岡県の富士宮市と山梨県の南巨摩郡南部町の境目にある、標高1335.8mの低山です。
休暇村富士や田貫湖畔公園にある登山口から登れるので、非常に交通の便がよく、また、山頂まで2時間ほどで登れてしまうお手軽な山なので、なかなか人気があります。
山頂は、東西の視界が開けていて富士山と、南アルプスへの眺望が望めます。
そして、ここからは大沢崩れが真正面に見えるため、他の方角から眺めたときの女性的な富士山ではなく、荒々しく格好の良い男性的な富士山の様子を垣間見ることができます。
関東圏からは、マイカーが無いとなかなか来る機会を得られない場所ですが、一度は登ってみて、ここからの富士山を眺めてみてほしいなと思います。
天子ヶ岳(てんしがたけ)
天子ヶ岳は、静岡県富士宮市にある、標高1330mの低山です。
お隣の長者ヶ岳から1時間弱で来れる位置にあるので、長者ヶ岳とセットで登る方が多いんだろうと思わせる山です。
山頂に展望は無く、南に10分ほど下ったところにある富士見台から富士山を眺めることができます。
そして、富士見台の手前にはツツジの群生地があり、小さな石祠が祀られています。
ここは、昔、この地に嫁いできたお姫様のお墓なんだそうで、周囲のツツジの枝を折ると決まって嵐が起こったという伝承があるんだそうです。
立ち寄った際には、何かを引っ掛けて折らないようにご注意くださいね。
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1337 m
最低点の標高: 489 m
累積標高(上り): 1134 m
累積標高(下り): -1315 m
総所要時間: 04:52:22
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントは、次の通りです。
- 休暇村富士展望デッキ
- 田貫湖西側湖畔
- 休暇村分岐地点
- 長者ヶ岳山頂
休暇村富士展望デッキ
今回の山行ルート上の展望ポイントの一つ目は「休暇村富士展望デッキ」です。
休暇村の建物を通過して、湖畔に出た位置にあるウッドデッキの展望所です。
ここは、ダイヤモンド富士の展望場所ともなっていて、真正面に富士山が位置する格好の撮影ポイントとなっています。
波風のたたない時には、湖面に逆さ富士が映りこんで、すこぶる見栄えが良いのだそうです。
デッキ自体はなかなか広いですが、人気の場所ということもあり、次から次へ観光客が訪れます。
あまり長居せずにサッと写真を撮ったら、後続に場所を譲る配慮があると良いでしょう。
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田貫湖西側湖畔
今回の山行ルート上の展望ポイントの二つ目は「田貫湖西側湖畔」です。
今回、湖畔を一周していないので、今回歩いた西側に限定しています。
こちらからは、湖面の先に常に富士山が控えている中を散策でき、かなりテンションがあがる区間となっていました。
おそらく、こちら側からならどこからとっても、逆さ富士が取れるんじゃ無いでしょうか。
鴨や白鳥が浮かんでいることもあるので、それら渡り鳥を眺めてのんびりするのもいいかもしれません。
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休暇村分岐地点
今回の山行ルート上の展望ポイントの三つ目は「休暇村分岐地点」です。
ここは「長者ヶ岳」への登山道の途中にある、「田貫湖畔公園」と「休暇村」への分岐地点となります。
湖畔に比べて視線が高くなり、湖面を見下ろす形に富士山を眺めることができます。
ベンチも設置されているので、一息休憩を入れつつ富士山への眺めを楽しむのが正しい使い方なんだろうと思います。
是非、活用してくださいね。
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長者ヶ岳山頂
今回の山行ルート上の展望ポイントの四つ目は「長者ヶ岳山頂」です。
長者ヶ岳の山頂は全方位に展望が開けているわけでは無く、東方面と西方面のそれぞれに部分的な展望が開けています。
- 東方面:正面に富士山。眼下に田貫湖を眺めることができます。
- 西方面:手前に天子山地の山々、奥に南アルプスの山々を望むことができます。
特にここからの富士山は、ど真ん中に大沢崩れの深い亀裂が観えるので、いつか富士山も真っ二つに割れてしまうんだろうかと感じてしまう眺めとなっていました。
その他、剣ヶ峰がある面なので、山頂が普段よりもとんがってみえていたのもの、大変興味深かったです。
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注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、特にありませんでした。
- 特になし
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:ソフトシェル、レインウェア、薄手フリース
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
今回の山行のコンディションは次の通りでした。
- 天候:曇り時々晴れ
- 気温:登り始めから14℃前後の暖かい気温。下山時も同じくらいの気温を維持してました。
- 活動場所:標高1,000m未満
今回も日中の格好は半袖Tシャツのままとなりました。
12月も中旬に入ってきましたが、この日は天候に恵まれて、風も少なく登りでは半袖でも汗が滲む感じでした。
ただし、湖畔で見かけた一般観光客はコートやダウンを羽織っており、山行中も半袖Tシャツ姿はわたしだけだったので、寒がりな方はソフトシェルなどを重ね着したほうが良いかもしれません。
下山後も日が暮れるまでは半袖のままでも震えることはなかったですが、夕暮れ以降は流石に肌寒く、薄手の長袖Tシャツとフリースを重ね着して過ごしました。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
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山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、田貫湖の湖畔にある「休暇村富士停留所」からスタートして「長者ヶ岳」、「天子ヶ岳」と巡り、反対方面に下山して、「白糸の滝」を眺めて帰るプランとしました。
「休暇村富士停留所」までのアプローチは、次のとおりです。
- 東京駅から、JR東海道線で「三島駅」へ
- 「三島駅」から、更にJR東海道線の静岡行きに乗り換えて「富士駅」へ
- 「富士駅」から、JR見延線に乗り換えて「富士宮駅」へ
- 「富士宮駅」から富士急静岡バスに乗り換えて「休暇村富士停留所」へ
途中のおトイレは、「富士駅」「富士宮駅」それぞれにありますし、休暇村富士に到着した後にも、休暇村富士の建物内や「田貫湖畔公園」の周辺にもあります。
それぞれのタイミングで、必要によりお借りするとよいでしょう。
身支度する場所は、休暇村富士の建物内の椅子もしくは「田貫湖畔公園」まで進んでしまい、そちらに設置されているベンチで行うと捗るかと思います。
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休暇村富士停留所〜田貫湖畔広場
「休暇村富士停留所」からは休暇村富士の建物内を反対側へ突っ切って、湖畔にある展望デッキへ降りていきます。
展望デッキからの富士山への眺めは秀逸なので、永遠と眺めていたくなりますが、スタート地点から動かないまま終了というのは、流石に勿体無いので、適当なところで切り上げて歩きはじめて下さい。
湖畔の散策路は、サイクリングロードにもなっているので平地でとても歩きやすいかと思います。
少しの間、林間の道を通過すると、その後は、田貫湖の先に富士山を見上げる大展望の中を気持ちよく歩くことができます。
そのまま富士山を右手に見上げながら15分から20分ほど歩いて行くと、駐車場が見えてきて、その先に「田貫湖畔広場」があります。
ベンチのほかに、おトイレも併設されているので、身支度はここで整えるのが一番捗るかもしれません。
「田貫湖畔広場」から上に抜ける形に遊歩道が伸びているので、諸々準備ができたらそちらの方へ登っていきましょう。
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田貫湖畔広場〜休暇村分岐
「田貫湖畔広場」から上に抜けるように10分ほど登ると、田貫神社方面からの登山道と合流して、本格的な登山道となっていきます。
傾斜も登山道らしいレベルに変わるので、ここから気合を入れ直して登りはじめてください。
丸太を用いた階段をじっくりと攻略していくと、机付きのベンチがある休憩所がみえてきます。ここから富士山の眺めを楽しめるので、一息つくのも良いでしょう。
そこから更に丸太の階段を処理して行くと、今度は丸太のベンチのある分岐地点に到着します。
ここが「休暇村分岐」と呼ばれる分岐地点になります。
南方面に裾野を広げた富士山を眺めることができるポイントで、駿河湾までは見えないものの愛鷹の山々は確認することができました。
ここから、もう一段傾斜がキツくなるので、富士山を眺めて一息入れてから再開するといいかもしれませんね。
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休暇村分岐〜長者ヶ岳
「休暇村分岐」からは、引き続き丸太の階段や木の根の段差を登っていきます。
標高が上がってきたからか、この辺りから、富士山とは反対側の木々の隙間から天子山地の北方面の尾根が見えてきます。
おそらく落葉後の今の時期限定の眺めでしょう。
そんなお得な眺めを楽しみつつ登って行くと、1組だけのベンチがあり、更に30分ほど登ると「長者ヶ岳」の山頂に到着します。
山頂は机付きのベンチが2組、その他に小さな丸太の椅子が設置されていて、座って正面に観える富士山を鑑賞できます。
また、少し奥に向かうことで、天子山地や南アルプスを眺めることができる展望場所があるので、こちらも見落とさないようにご注意ください。
時間的にここでお昼休憩がいい感じだったのですが、全然歩いていないので何か口に入れたい気分にはなれずに、「天子ヶ岳」の方へ進んでしまうこととしました。
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長者ヶ岳〜天子ヶ岳
「長者ヶ岳」と「天子ヶ岳」への縦走路に入ると、まずは穏やかな下り坂を消化して行く形となります。
そのまま、平坦な道が続くと楽で良いのですが、10分ほど進むとググッと急坂の下りとなり、少々慎重さを求められる道に入ります。
まあ、そうは言っても、転げ落ちても一回転して尻餅着く程度の傾斜なので、それほど身構える必要はないかもしれません。
その後、登り返しの急坂を登り切ると、何も無い山道にいきなり「天子ヶ岳」山頂の案内が見えてきます。
展望が全く無い場所なのでちょっとがっかりですが、10分程度反対側に降ると、富士見台と呼ばれる展望台があり、富士山を少し眺めることができます。
こちらで鬱憤を晴らしてから、「白糸の滝」まで下って行くことにしましょう。
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天子ヶ岳〜白山神社
「天子ヶ岳」山頂から富士見台へ降り、富士山への眺めをちょっとだけ楽しんだら、「白糸の滝」まで降りていきます。
ここからは、登り返し一切無しの降り一辺倒となるので、膝を痛めないように注意して降ります。
30分くらい木の根の段差を降ると、踊り場のような平坦な道となり、改めて急坂降りとなります。
そして、車道との交差を通過して更に30分降ることで、車道に出ることができます。
車道に出てすぐの場所には「白山神社」という名前の小ぶりな神社があります。
特になにかある場所ではないですが、余裕あったらご挨拶に立ち寄ってみてもいいかもしれません。
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白山神社〜白糸の滝停留所
「白山神社」を通過したら、あとは路線バスの通過する車道を永遠と降ります。
歩いていると至る所から、大きな富士山を見ることができるので、長い車道歩きでもあまり苦にはならないはずです。
30分ほど車道を歩き切れば「白糸の滝停留所」に到着です。
ここから「白糸の滝」までは10分程度です。
バスの時間に余裕があるようだったら寄り道して行くのが良いでしょう。
というよりは、素通りするには勿体なさすぎる名爆なので、帰宅時間を後ろにズラしてでも寄り道していってくださいね。
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おまけ
ここからは、おまけの「白糸の滝」観光の内容です。
「白糸の滝」は、天下の名爆と呼ばれるほど有名な、富士宮にある滝です。
水を通す地層と通さない地層の隙間から流れ落ちる無数の滝が、絹糸を垂らしたようにみえることから「白糸の滝」と呼ばれるようになったとのことで、主流の太い一本の滝を除き、何も無いところからサラサラと水が落ちる様は、なんとも不思議な眺めです。
少し進んだ先に「音止めの滝(おととめのたき)」という名の非常に水量の多い落差25mの滝もあり、こちらは名前とは裏腹な爆音を轟かせていて、「白糸の滝」との良い対比となっていました。
歩いて5分ほどで行き来できるので、どちらも楽しんでから帰路につくようにしてくださいね。
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おまけ2
「白糸の滝」も楽しんだので、あとはお風呂にでも入って帰ろうと思ったのですが、この界隈はマイカーが無いと立ち寄れる入浴施設がなさそうだったので、いつものように「熱海駅」で途中下車して「熱海駅前温泉浴場」に寄り道してから帰ることにしました。
入浴料500円、石鹸&シャンプーリンス代で追加の100円。相変わらずリーズナブルです。
すでに何名か入られた後のようで、湯船がかなりぬるかったので源泉の蛇口を開いてドバドバに熱くしてから入りました。
そして、入れ違いで入ってこられた方、水道水ドバドバに入れてぬるくして入られていました。
熱海温泉といったら「熱いお湯」というイメージだったのですが、最近はヌルめのお湯の方が人気なのかもしれませんね。
「熱海駅前温泉浴場」については別に記事にもまとめています。詳しくは、そちらをご覧ください。
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まとめ
富士山西側の未踏だった低山、長者ヶ岳と天子ヶ岳を縦走して白糸の滝を眺めて帰ってきた様子でした。
長者ヶ岳や天子ヶ岳は、登山口から2時間程度で登れるお手軽な山でしたが、富士山への展望が抜群に良く、一発でお気に入りの山に加わりました。
特に、大沢崩れや剣ヶ峰への眺めは、普段関東側から眺める時には観えることが無いので、非常に新鮮で、また何度か訪れたくなるものでした。
東京からは乗り継ぎに時間がかかるので、公共交通機関で向かうのには、なかなか敷居は高いですが、また機会作って遊びにこようと思います。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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