毎年1月から2月にかけての関東圏は、天候が安定していて空気が澄んでいることが多く、山頂からの眺めも遠くまではっきりと見通せる素敵な風景が期待できます。
標高も2,000mを超えるような山が少なく、スタート時点こそとても寒く感じますが、歩き始めてしまえば長袖Tシャツ一枚だけでも十分な日もあり、汗だくになる夏場に比べると、随分と山歩きしやすい期間とも言えますよね。
そんな知る人ぞ知る隠れた登山シーズンに、くっきりはっきりな富士山を眺めようと、今回は山梨県大月市の1,000m未満の低山を繋げて歩いてきてみました。
低山とは言え、頻繁に出くわすアップダウンに、両側が切れ落ちて高度感のある細尾根歩きなど、なかなか変化に富んでいて楽しいルートとなりました。
加えて、秀麗富嶽十二景の中の4座を繋げているので富士山をはじめ山頂付近から秀逸な眺めも楽しめます。
室内で過ごすことが多くなりやすいこの時期、週末ぐらいは手応えある登山ルートを歩いて体力維持に励みたいと考えているあなたにピッタリな内容になっているかと思います。
是非、最後まで読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/1/15
天候:晴れ
エリア:大月エリア
コース概要:JR「梁川駅」〜倉岳山〜高畑山〜九鬼山〜馬立山〜御前山〜神楽山〜JR「猿橋駅」
難易度:体力☆☆、技術☆☆、危険☆☆
交通機関:
(往) JR中央線「梁川駅」 から、スタート
(帰)JR中央線「猿橋駅」から、帰路へ
概要
秀麗富嶽十二景
秀麗富嶽十二景は、名前の通り「美しくすっきりと富嶽(富士山)が見える十二の場所」として、山梨県の大月市が選定した富士への眺望に優れた山々を指します。
詳しくは、以前の登山記録にまとめてますので、そちらを読んでみてくださいね。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 991 m
最低点の標高: 276 m
累積標高(上り): 2160 m
累積標高(下り): -2126 m
総所要時間: 09:24:02
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
- 九鬼山〜礼金峠の区間(山頂寄り):九鬼山から礼金峠方面に降るルートの中で、朝日小沢への分岐地点を越えたあたりから始まる、ザレ場地帯が今回のルートの中で一番手強い感じがしました。
- 尾根道中腹をトラバースする形の細い山道なのですが、ザレていてい滑りやすい上に、片側が急斜面でかなり深いところまで落ち込んでいて、転げ落ちたら、そのまま遭難だろうとなと思われる高さがありました。
- 危険地帯にはロープも貼ってあるので通過に高度な技術は不要ですが、高度感のある滑りやすい道は、常に緊張を強いられるので精神的に疲れます。
- 通過の際には、焦らず慎重に歩みを進めるようご注意ください。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア、ダウンジャケット
- ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、毛糸の手袋
今回は、風が少なかったこともあり駅をスタートするところから、長袖Tシャツとソフトシェルだけで歩き始めました。日が昇る前だったこともあり、耳や指先など身体の先端部分が痛いくらい凍えましたが、登山道に入って徐々に身体に負担が掛かってくると途端に解消されて、快適に活動することができました。
それでも、14時を過ぎてくると日差しも弱くなり、北風も出てきて、停滞すると肌寒さを感じるようになりましたので、ロングコースを歩くようなら、途中からもう一枚追加しても良いのかもしれません。
交通機関利用時は、長袖Tシャツに厚手のフリース、ダウンジャケットで移動しましたが、車窓開けっ放しの環境はやはり寒くて、なるべく風の当たらない席を選んで凌ぎました。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は梁川駅から直接スタート。そのまま、倉岳山に登頂し、高畑山、九鬼山、御前山と秀麗富嶽の4座を巡って猿橋駅へ下山するプランとしました。
都内からだと中央線快速で終点の高尾駅まで向かい、そこから松本行きの電車に乗り換えて梁川駅へ向かうこととなります。
梁川駅は無人駅となっていますが、他の大月方面の無人駅と作りが似ており、改札抜けて直ぐに待合室、そして少し離れた場所におトイレがあります。
今回は道中におトイレは無いので、ここでおトイレに立ち寄っておきます。その後、待合室で見繕いしてスタートとなります。
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JR「梁川駅」〜倉岳山
梁川駅から信号に向かって降ったら、信号を渡って右に折れます。
直ぐに、梁川大橋への分岐があるので左折したら、あとは道なりに南へ向かって進んでいきます。
途中のお寺やキャンプ場を通り過ぎると、前触れなく倉岳山への登山口が現れます。
案内は向かって左、入り口は右となっているので、見落とさないようにご注意ください。
登山口からは月尾根沢という沢筋を遡っていきます。
沢筋の道というと、踏み跡不明瞭でわかりづらい印象がありますが、この道ははっきりしていて、目印のピンクのテープもいっぱいあって迷うことはありませんでした。
2度、3度の渡渉を繰り返しつつ高度を上げていくと立野峠に到着します。
ここから尾根筋を歩くことになるので、日差しが入って暖かくなります。
木々の合間からも大月の街並みが見えたり、なかなか気持ちの良い道を登っていくと最初のピーク倉岳山に到着です。
山頂にはベンチが一つあって休憩するのに重宝します。
この倉岳山は秀麗富嶽の9番山頂に数えられていて、少し遠目ではありますが富士山への眺望は抜群です。この日は、冠雪した綺麗な白富士を眺めることができました。
また、反対側の北方面には大菩薩連嶺の山並みと、眼下に広がる大月の街並みも楽しむことができます。
駅からバスを乗り継がなくてもお手軽に登れるのに、この眺望が得られるのはかなりコスパが良いのでは無いでしょうか。
ぐるっと一回り眺望を楽しんだら、次の目的地高畑山へ向かいます。
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倉岳山〜高畑山
倉岳山から高畑山へ向かう道のりは、掛かっても1時間程度です。
かなりのご近所さんではありますが、途中で穴路峠まで降りてから登り返す必要があるので、相応に体力は必要です。
しかも、倉岳山山頂直下の長めの降り坂は膝に負担が掛かりやすいので、小股に丁寧に降りていくと良いでしょう。
峠からは鳥沢駅に向けての下山路が伸びているので、万が一の時はここからエスケープしてください。
峠からはいきなりの急坂で、まずは天神山まで一気に登り詰めます。
そこから、2度、3度に別れた登り坂を登っていくと高畑山山頂に到着します。
ここの山頂は、富士山の見える南方向への展望のみです。
ベンチも無いので、富士山を確認したら速やかに次の目的地九鬼山へ向かいましょう。
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高畑山〜九鬼山
高畑山を過ぎたら、次は九鬼山へ向かいます。
この区間は標準タイムで4時間と長丁場です。
細かいアップダウンが頻繁に現れるだけでなく、突坂峠から鈴ヶ音峠までの車道歩きもあるので、焦らず気長に歩くようにしてください。
また、この九鬼山の山中にはリニアの実験線が通っていて、トンネルへ出入りする時の音が頻繁に聞こえてきます。
最初は、航空機かと思っていたのですが、30分も経たないうちに次の通過音が聞こえてくるので、違うことに気がつきました。
結構耳に付く音量なので、静かな山行は期待しない方が良いでしょう。
このように書くと散々な山道とのイメージを持たれてしまうかもしれませんが、時折、富士山が顔を出したりもするので、それほど悪い道ではありません。
たまに現れる眺望を楽しみつつ、ゆっくりマイペースに歩いていくと良いかもしれません。
九鬼山山頂は、どちらかというと大菩薩連嶺の南部への眺めが秀逸です。
大月の街並みと、そのバックに聳える大菩薩の山々を楽しまれると良いでしょう。
富士山への眺望は反対側です。
辛うじて木々の間から眺めることができますが、これはこれで額縁の絵のように見えて面白いかもしれません。
ベンチも二つ備え付けられているので、大菩薩、富士山それぞれを眺めながら一服すると良いでしょう。
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九鬼山〜馬立山
九鬼山の山頂から馬立山へ進む区間は、今回の山行中での核心部になります。
まずは、朝日小沢方面と馬立山方面との分岐点まで続く区間にある両側が切り落ちた細尾根の通過です。ロープが張り巡らされているものの、結構弛んでいるので、あくまでも保険としての役割にしかなりません。
しっかりと腰を落として、木々や岩を掴みつつ通過してください。
分岐点を通過した後にも、砂地のトラバース区間が続きます。
ここは、谷側に傾斜した砂混じりの滑りやすい道を降って行く必要があります。
木々も少ないので滑り落ちたら、かなり下まで滑落することになるので、再び登ってくるのは困難です。
補助のロープも少し頼りない感じなので、この区間も慎重に、緊張を保ちつつ通過するようにしてください。
核心部を過ぎてしまえば、礼金峠までは穏やかな降り道です。
木々の間から展望もあるので、先ほどの緊張を和らげつつ降っていくと良いでしょう。
礼金峠からは、再び勾配のキツい急坂の登りが続きます。
この登りを登り詰めると馬立山の山頂に立つことができますが、この山頂も展望は皆無です。
停滞せずに、御前山へ向かってしまいましょう。
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馬立山〜御前山
馬立山を通過すると、今登った分だけ降っていくことになります。
そして、今度は降った分だけもう一度、登ることで沢井沢ノ頭に到着します。
ここも展望が無いので通過地点と割り切って良いでしょう。
その後、またまた降りることになりますが、ここでは登った分の半分くらいの降りで済みました。
そして、岩っぽい頭を持つピークに向けて登り詰めて行くことで御前山に到着します。
御前山の山頂は、今回辿ってきたピーク達の中では一番の展望に優れています。
岩場となった山頂からは、北面を除いた三方へ眺望が開けていて、富士山は勿論のこと周囲の山々を見通せて、とても開放感がありました。
特に南方は切り立った崖になっていて、低山ながら非常に高度感のある眺めを楽しめました。
ただ、展望が良いことイコール風もそのまま吹き付けてくるため、長時間の休憩には注意が必要です。
この日も夕方に差し掛かって北からの風が強くなってきたので、一回り撮影したらすぐに下山することにしました。
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御前山〜神楽山〜JR「猿橋駅」
御前山での眺めも堪能して、風も強くなってきたのですぐに下山していきます。
ここから猿橋駅までの下山ルートは、正面眼下に猿橋の街並みを眺めながら降りていくことになります。
特徴的な、中央自動車道の赤い橋が徐々に大きくなっていく様は、なかなか興味深いものがあります。
途中に神楽山という小ピークへの分岐もありますが、展望は皆無なので省略しても良いでしょう。
そして尾根道を降りて、林間の道を進むようになったら登山口は近いです。
そのまま林間の道を進み、人工的な階段を降れば登山口に到着です。
あとは、案内に沿って歩いて行けば猿橋駅の南口に到着できます。
大月駅前と同様に、猿橋駅前にも立ち寄れる入浴施設はありません。
途中下車も面倒なので、この日もこのまま帰ることとなりました。
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まとめ
山梨県大月市の秀麗富嶽4座縦走の様子でした。
今回赴いた山々は全て1,000m未満の山なので、楽勝と捉えがちですが、案外、こういった手合いの方が手強い時があります。
旺文社をはじめとした一般に出回っている山情報だけではカバーしきれない部分に、短いながらタフな区間が含まれている場合があるので、書籍や地図だけでなく、近日、対象の山域に赴いている方のブログやSNS情報もマメに拾ってプランニングする癖をつけておくと良いかもしれませんね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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