12月に入ると関東圏の低山たちは、紅葉も枯れ落ちて冬山の様相を呈してきます。
その中で、伊豆方面の低山については標高が低く気温も高めだからなのか、一部でまだ色づく山々を楽しめる場所が少なからず残っています。
今回は、数少ない12月上旬に紅葉が楽しめる伊豆三山の葛城山山頂公園と近隣の益山寺に足を運んでみました。
11月に紅葉を見逃して、今年の紅葉狩りは諦めてしまっているあなたでも、まだ間に合うかもしれません。
本記事を参考に、急ぎプランニングしてみてくださいね。
オマケとして金冠山まで繋げて歩けるかというのも試してみましたので、興味ありましたら、最後までお読みください。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2021/12/04
天候:晴れ
エリア:伊豆エリア
コース概要:伊豆箱根鉄道「大仁駅」〜城山登山口〜城山〜葛城山〜益山寺〜発端丈山~東海バス「長浜停留所」~東海バス「木負農協停留所」~金冠山〜戸田峠~東海バス「達磨山高原レストハウス停留所」
難易度:体力☆☆、技術☆☆、危険☆☆
交通機関:
(往) 伊豆箱根鉄道駿豆線「大仁駅」 からスタート
(帰)東海バス「達磨山高原レストハウス」停留所から、 伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」 へ
概要
伊豆三山
伊豆三山は静岡県伊豆の国市にある、葛城山を中心に東の城山、西の発端丈山を合わせた三山の総称です。
詳しい説明は、次の記事に書きましたので興味ありましたら合わせてお読みください。
ギャラリー
益山寺
益山寺は、静岡県伊豆市堀切にある真言宗のお寺です。
ここの境内にある大楓と大イチョウが12月初旬をピークに見事な紅葉を見せてくれます。
伊豆市観光ホームページに詳細な説明があるので以下に引用します。
境内にある大楓は県指定の天然記念物で、根回り5.46㍍、目通り4.05㍍、樹高27㍍、樹齢900年ほどで県下最大の楓です。木肌が美しく保存は良好で、瘤が多くあり盛り上がる力強さは、風雪に耐えた歴史を見せています。
市指定の大イチョウを従え、秋の紅葉は美しく、境内にある石仏群と調和してみごとな風物絵巻となります。
引用:伊豆市観光情報サイト「益山寺」
アクセス方法は以下の二つです。
- 発端丈山と葛城山の縦走路中間の益山寺分岐より向かう方法
- 東海バス「堀切新田」停留所から小山田川を遡って向かう方法
おすすめは、前者のアクセス方法で、この方法を使えば伊豆三山縦走の途中に寄り道すれば済むので、お手頃感があります。
楓もイチョウも高さも立派ですが、幹の太さのほうに目がいく巨木で、これなら多少のことには動じないだろうという安心感があります。ですが、台風をはじめとした自然のチカラを前にしたらどうなるかわかりません。どうか、末長くこの場で見事な紅葉を見せ続けてほしいなと思います。
ギャラリー
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 817 m
最低点の標高: -1 m
累積標高(上り): 2203 m
累積標高(下り): -1619 m
総所要時間: 08:35:47
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
- 葛城山背面登山口からパラグライダーのテイクオフ場までの区間:伊豆三山を繋ぐ縦走路から葛城山へ向かうルートの一つ背面登山口からの区間です。この界隈で屈指の急坂で、体感的には鷲頭山の急坂に近い勾配や距離をもつ山道です。転ばないように足元に注意しつつじっくり進むようにしてください。
- 発端丈山山頂から長浜登山口までの区間:登りに使うのであれば問題無いですが、降りに使った場合、滑りやすい湿った地面が多く緊張を強いられます。ふとしたきっかけに緊張が途切れると足を滑らせて怪我する恐れがあるので、適宜、立ち止まって一息入れながら降りていくと良いでしょう。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、手袋
今回は、午前中の伊豆三山縦走までは薄手の長袖Tシャツ、午後になって金冠山登山道に入ったところでソフトシェルを羽織り、金冠山山頂での停滞以降は、厚手のフリースも重ね着してバスに乗り込むまで過ごしました。
午前中はさほど気にならなかった海からの風も、午後に入ると強さを増して体温を奪いにかかってきたので、震えがくる前に対策しました。金冠山山頂以降は、ほぼ日没状態で日差しの暖かさも無くただただ寒かった状態です。
それでも、バスを待つ間は体が震えていたので、そろそろダウンジャケットを持ち出しても良い時期なのかもしれません。
今回のウェアの着合わせについて、具体的な製品名も含めて次の記事にまとめています。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、伊豆箱根鉄道「大仁駅」から城山に入り伊豆三山を縦走した後、長岡から海岸線に降って金冠山北側の登山路「大杉・堂山ルート」を辿って金冠山に登り詰めるプランとしました。
このため、東京からは沼津行きの東海道本線に乗車して「三島駅」から伊豆箱根鉄道に取り替える予定だったのですが、車両故障で乗車した便が「熱海駅」までとなってしまい、30分ほど遅れてのスタートとなりました。
以前に訪れたときには気が付かなかったのですが、大仁駅の自動改札の後ろに小さなおトイレがありましたので、三島駅で頑張ってトイレ待ちしなくても良いかもしれません。
また、城山の登山口には見繕いに使えそうなベンチや石などが無いので、可能なら駅から山の格好になって進んだ方が捗ります。
大仁駅の改札を出たら正面左手に曲がり、踏切を渡っていきます。
その後、大通りを左折して狩野川大橋を渡って城山方面に向かっていきますが、登山口までほぼ車道を歩くことになるので、車の行き来には注意してくださいね。
登山口には、大きな地図が掲げてあるので見落とすことはないでしょう。
特に止まる理由も無いので、そのまま登山開始してしまいましょう。
ギャラリー
城山登山口〜城山
城山登山口からは、竹林の間を進んでいきます。
10分も進むと、ハイキングルートとクライミングルートの分岐に出るので、ハイキングルートを進みます。
以降は、通過の難しい区間など無く穏やかな登り坂を淡々と登ることになります。
城山山頂への分岐に到着したら、折角なので山頂立ち寄っていきましょう。
山頂までの道は、粘土質の道と岩場が交互に現れるので、滑って転ばないようにそれなりに注意は必要です。
途中、クライミングルートからの合流地点を経て、さらに進むことで山頂に到着です。
山頂には、手作り感溢れる展望図が設置してあるので、天城山や箱根山への山座同定に活用すると良いでしょう。
ギャラリー
城山〜葛城山
城山山頂からの眺めを十分楽しんだら、伊豆三山の主峰「葛城山」に向かいます。
一度、分岐まで戻り葛城山への縦走路を西方面に歩いて行くと一度車道に出るので、左折して直ぐの山道への入り口から入り直して更に登って行くことになります。
旺文社の地図では、葛城山分岐という地点まで進むことになっていますが、その途中に「葛城山背面登山口」という案内が立っていることに気付くことでしょう。
この登山道、かなりの急坂で体力の消耗激しいですが、登り切った後に到着するパラグライダーのテイクオフ場からの眺めが秀逸なので、苦労してでもこちらのルートから登ることをオススメします。
逆に降りには使わないほうが良いかもしれません。それぐらいの勾配があります。
テイクオフ場を超えたら、最後は葛城山山頂公園「パノラマパーク」の「さえずりの丘展望台」麓に飛び出ます。
観光客に割り込まないように注意しながら、展望台からの天城山の様子、幸せの鐘からの富士山の様子を楽しんだら、ボードウォークを通って山頂エリアに向かい山頂を踏んでおきましょう。
パノラマパークの敷地内は、普通に観光地なのですれ違う人の洋服に泥をつけたりしないような配慮があると良いでしょう。
いろいろ回って気が済んだら伊豆三山残りのピーク「発端丈山」に向かいます。
ボードウォークの付け根あたりに山道に降る道があります。
観光客が間違って降りないように細いロープが張ってあるので、跨いで降っていきましょう。
ギャラリー
葛城山〜益山寺
それでは、発端丈山へ向かいます。
と思ったのですが、紅葉時期ということで途中にある益山寺分岐より益山寺に寄り道して、大楓と大イチョウを鑑賞していくことにします。
まずは、急坂の九十九坂を降り林道に出ます。
林道からは富士山の眺望が秀逸なので、富士山を眺めつつ歩くと飽きないで歩けます。
林道は長瀬バス停まで続いていきますが、途中に発端丈山への分岐が現れますので、見落とさずに分岐から山道に復帰します。
そのまま道なりに歩くと伊豆三山を繋ぐ縦走路に戻ってくるので、発端丈山方面へ折れて先に向かいます。
多少アップダウンを粉して発端丈山も近くになってきたあたりで十字路に到着します。
ここが益山寺分岐地点です。
益山寺は、この分岐から片道で10分と至近ですので、苦もなく到着できるでしょう。
お目当ての大楓と大イチョウはどちらも、お寺の本堂前に立っています。とても目立つ見事な巨木なので見落とすことはまず無いでしょう。あまり来る機会も無いでしょうから、十分に鑑賞しておくことにしましょう。
ギャラリー
益山寺〜発端丈山
益山寺の楓、イチョウ、十分に楽しんだら、発端丈山への山道に復帰します。
分岐まで戻って、山頂への案内に沿ってアップダウンを繰り返していきます。
最後の登りを通過すると、正面を富士山に360度の展望が広がる山頂広場に到着します。
富士山への眺望はもちろん絶景なのですが、負けずとも劣らないのが、西伊豆の海岸線から駿河湾に向けての海への眺望です。かなりの解放感を得られるのでオススメです。
その他にも、先まで歩いていた葛城山、天城山など伊豆内陸の山々への眺望も素晴らしいので、時間に余裕があるだけ楽しんでいくと良いでしょう。
ギャラリー
発端丈山~東海バス「長浜停留所」
発端丈山での展望を十分楽しんだら、長浜方面へ降っていきます。
この降りですが、結構な急坂です。
標準タイム1時間程度の距離ですが、滑りやすくもあり、緊張を強いられます。
慣れていれば駆け降りることもできるかもしれませんが、転倒のリスクもあります。
途中には、富士山をバックに内浦湾や淡島への眺めが楽しめるポイントが数箇所ありますので、眼下に展望が広がったら一息入れて眺めを楽しむつもりで、じっくり降りると安全かなと思います。
山道を降り切って、民家を通過し、海岸線まで到着したら左折して直ぐに「長浜停留所」があります。
一般的な伊豆三山縦走は「長浜停留所」がゴール地点となりますので、第一部はこれで終了です。
続いては、第二部の「金冠山登山」に入ります。
ギャラリー
東海バス「長浜停留所」~東海バス「木負農協停留所」~金冠山
長浜停留所から、金冠山に登るためには、「木負農協停留所」まで西に進み、山に向かって折れ進んでいく必要があります。
そこで、西伊豆の海岸線を走る沼津土肥線を西に向かって歩いていきます。
途中トンネルを通過し、道なりに進んでいくと1時間もかからずに「木負農協停留所」には到着できると思います。
そして、ここから長い舗道歩きが続くことになります。
河内川の脇を遡って、河内の公民館を通過、禅長寺と思われるお寺様を通過していくと、車道の途中に林道への分岐があるので、分岐道に入ります。
そのまま、道なりに林道を進んでいくと、河内の大杉を経て、沼津市民の森キャンプ場まで向かうことができます。
途中に2箇所、木組の展望台があるのも変化に富んでいて楽しい道です。
旺文社の地図には、道が不明瞭との記載がありましたが、特に迷わずに金冠山まで登ることができました。
金冠山山頂に到着した時間は、16時を回っており、あまり長居すると日が沈んでしまうので、一通りの眺めを写真に収めたら、戸田峠まで降りてしまうこととしました。
ギャラリー
金冠山〜戸田峠~東海バス「達磨山高原レストハウス停留所」
金冠山山頂に着いた時には、もう夕暮れ時で直ぐに暗くなる状況だったので、ひとまずはバス停のある戸田峠まで降ることにしました。
途中で、日没を迎えたものの、足元がまだ見えるうちに戸田峠までは降りることはできましたが、最終バスが到着するまで30分以上時間があります。
峠ということもあり、風も強くなってきたので体を動かしつつ風を避けようと、もう一つ低い位置にある「達磨山高原レストハウス」まで降ってバスを待つこととします。
もう一度山道に戻るのも面倒なので、車道を早足で降ってレストハウスに到着したのが17時。
これでも、20分近く余裕があったので、レストハウス脇の展望台から沼津の夜景を眺めて時間を潰します。結局、5分遅れの許容範囲内にバスが到着し、修繕寺駅まで戻ることができました。
ギャラリー
おまけ
最初のうちは、修繕寺温泉に寄り道して筥の湯で温まってから帰ろうかと思っていたのですが、7、8人の登山客が降りて行くところを見て、混雑してそうだったので、熱海で途中下車して駅前温泉に立ち寄ることにしました。
建物は古いものの、源泉掛け流しの温泉に450円で入れるという破格の入浴施設です。
備え付けの石鹸やシャンプーが無いのでそれぞれ50円で購入しないといけないのが難点ですが、それを差し引いてもコスパは非常に高いです。
駅前なので、湯冷めする前に電車で帰れるのも助かるので、かなりの回数ご厄介になっています。
この日も、80度の熱湯に近い源泉を水で薄めて、それでも熱くて肌を真っ赤にしつつ温まってから帰路につきました。
ありがとうございます。
ギャラリー
まとめ
伊豆三山縦走と益山寺の紅葉、おまけの金冠山の様子でした。
他の関東圏の山々の紅葉は11月中旬にはほぼ枯れ落ちてしまいます。
都内の主要な名所も12月に入ると見頃を過ぎてしまうところが多いので、今年紅葉を見逃したなと感じた時には、伊豆方面も視野に入れてプランニングすると、意外な穴場を見つけることができるかもしれません。
ひとまず、益山寺の大楓と大イチョウは規模は小さいですが満足度はかなりお高めだったので、この記事で興味が出てきたら、是非一度、足を運んでみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
コメント