富士山の麓、一合目から登れる登山道といえば吉田口登山道が有名ですが、精進湖を登山口とする精進口登山道というのも存在しています。
都内からのアクセスはあまり良くないので、早朝からガッツリと歩き始めたいわたしのスタイルには向いていないことから、今まで足が遠のいていました。
雨予報のこの日、大半が森林の中を歩く事になるこの登山道なら、空模様に左右されずにのんびり歩けるかなと思い、今回初めて赴いてきました。
苔生した緑豊かな森林歩きが好きなあなたにぴったりな林間の道なので、興味ありましたら、是非、読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2021/10/16
天候:曇りのち雨
エリア:富士山エリア
コース概要:「赤池」停留所~精進口登山道入口~日本風穴~大室洞穴〜一合目「天神峠」~二合目~「三合目」停留所~「スバルライン五合目」停留所
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)富士急行線「富士山駅」から、富士急バスで「赤池」停留所へ
(帰)「スバルライン五合目」停留所 から富士急バスで、富士急行線「富士山駅」 へ
概要
精進口登山道
精進口登山道は、山梨県の富士河口湖町にある精進湖の西端を起点として、青木ヶ原の樹海を通過してスバルライン五合目に至るまでの苔生した緑豊かな原生林を進むルートです。
青木ヶ原というとオカルトネタの宝庫として、足を踏み入れることに抵抗があるかもしれませんが、設置された遊歩道は非常に明瞭で、意識して道を外して奥地に踏み入れない限り、迷うことはまず無いでしょう。
青木ヶ原の原生林地帯は、頭上を覆う背の高い木々のために見晴らし皆無ではありますが、ルートの途中には、日本風穴という巨大な溶岩洞や、目に優しい緑豊かなブナの原生林など、見どころも十分ありますので、単調でつまらないといったことは無いでしょう。
樹海を越えると笹の生い茂る山道を登っていくことになります。
お隣の船津登山道とは異なり、倒木もしっかりと整備されて道幅の歩きやすい道が続きます。
三合目にはバス停が隣接しているので、ここをエスケープルートとして抑えておくために、事前にバスの発着時刻は押せておくようにしてください。
また、三合目から五合目まではエスケープできる場所はありません。体調に異変を感じたら三合目のバス停で下山してしまうことを勧めします。
本登山道の終点は、スバルライン五合目の第一駐車場南西部分に出ることになります。
バス停まで向かうには、2、3分アスファルトの道を登る必要があるので、その心づもりでいると、到着後に心折られることが少ないかと思います。
本登山道に赴くのにおすすめな季節は、新緑が気持ち良い春先か、紅葉の映える秋口が良いようです。
ギャラリー
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 2318 m
最低点の標高: 914 m
累積標高(上り): 1847 m
累積標高(下り): -458 m
総所要時間: 05:41:05
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
大室山界隈:青木ヶ原の樹海は、「自殺の名所」「一度入ったら抜け出せない」「方位地震が乱れる」といったオカルトネタの尽きない場所ですが、遊歩道がしっかりと整備されていて道から外れなければ遭難することはありません。しかし、遊歩道を外れてしまうと、生い茂った木々や悪路に行く手を遮られて思ったように進めない場面も出てきます。特に大室山界隈は、山頂に続くバリエーションルートが多く、変な風に進んでしまうと相応の装備をしていないと遊歩道への復帰にも手こずる可能性があります。GPS機器を持参して定期的に自分の場所を把握しつつ進むと良いでしょう。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、富士急バス「赤池」停留所よりスタートです。
東京駅からはJR中央線に乗車して「大月駅」まで向かいます。「大月駅」から富士急行線に乗り換えて「富士山駅」を下車、富士急バスの新富士駅行に乗って「赤池」停留所に向かうこととなります。
「赤池」停留所や精進口登山道の入り口付近には、公衆トイレはありませんので「富士山駅」で忘れずに済ませてから向かうと良いでしょう。
なお、朝一番の便を逃すと二便目以降は「河口湖駅」から出発となる便が多くなりますので、ご注意ください。
「赤池」停留所からは「ニューあかいけ」というお店を通過して「赤池交差点」を渡っていきます。
交差点を渡って右折する道順のほうが単純でわかりやすいですが、左折して向かうことも可能です。
登山道入り口付近、見繕いできるようなベンチはないので、地べたに広げて準備してスタートしましょう。
ギャラリー
精進口登山道入口~日本風穴
精進口登山道に入るといきなり山道というわけではありません。
30分くらいアスファルトの舗道を歩くことになります。枯れ葉や砂利混じりで少し滑りやすいかもしれないので注意が必要です。
この間、寧ろスニーカーとかのほうが歩きやすいかもしれませんが、5合目まで登るのであれば登山靴必須です。
木々から入る木漏れ日や苔生した森林の様子を楽しみながら進んでいくと車道と交差する場所に到達します。
この車道、地図上では「富士宮鳴沢線」となっていて、結構な交通量があります。横断するときには注意しましょう。
車道を渡るとゲートがありますので、横をすり抜けて中に入っていきます。
10分も歩くと、場違いなほど立派な大理石の案内が建っています。
ここが「富士風穴」への分岐です。5分ほどで到達できるので、是非、立ち寄って自然が作り出した不思議な光景を眺めていってくださいね。
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アップにしてみるとこんな感じでした。
富士風穴~大室洞穴〜一合目「天神峠」
富士風穴の不思議な光景を楽しんだら、本道に戻って先に進みます。
10分ほど歩いていくと、二股の分岐に到着します。
本道は左折して進むのですが、大室山の山頂を踏んでいきたいと思いからバリエーションルートとなる右側の道に足を進めます。
結果的には、事前の調査不足で山頂に行くのは取りやめましたが、途中の大室洞穴というポイントを踏んで、本道に戻りました。
このあたりには、本栖風穴やメガネ穴などのポイントもあって調べてみるとかなり面白そうです。
さて、本道に戻ってからは変わらず明瞭な山道を進みます。
長尾山方面へ向かうゲートを通り過ぎて少しすると、鳴沢林道との交差地点に到達します。
地図上、ここが一合目「天神峠」になるのだろうと思いますが、案内にはそのようなことは書かれていないので、違うのかもしれません。
先に進んでも、明瞭な案内が無かったので恐らくそういった類の表札は無いのでしょう。
それよりも、スバルライン五合目まで9.3km388分という分単位の指定には少々面食らいました。ここまで細かく指定する必要は無いように感じましたが、どうなんでしょうね。
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一合目「天神峠」~二合目~「三合目」停留所
一合目「天神峠」 と思われる林道との交差地点を過ぎると、少し山道にも変化が出てきます。
周囲の木々の背丈が低くなり明るさが増してきます。
明るくなった道を進み、富士林道との交差地点を通過すると廃屋が建っている場所まで到着します。
地図上だとここが二合目のようです。
廃屋以外には特に目立つものは無いので、通過していくと大きな車道の下を潜るポイントにたどり着きます。
反対側に潜って5分すると、大きな地図板の建つ場所が見えてきます。
横に目を向けるとスバルラインの太い車道があり至近に「三合目」停留所が確認できました。
ここより上はスバルライン5合目まで一本道になりますので、アクシデント発生時は、このバス停からバスで下山するのが得策です。抑えておいてくださいね。
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「三合目」停留所~「スバルライン五合目」停留所
「三合目」停留所を通過して20分もすると、広く開けた場所に到着します。ここが本来の三合目になります。
この広場は、船津口登山道との合流地点になっていて、御庭方面への道も続いています。
しっかり案内を確認して間違えないように進みましょう。
三合目からスバルライン五合目までは、なだらかな登り坂が続く一本道です。エスケープルートも存在しません。
標準コースタイムにして概ね2時間の道程。途中で休憩入れるとグダグダになってしまうので、気合のラストスパートで一気に登りつめてしまいましょう。
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おまけ
今回の立ち寄り湯は「ふじやま温泉」です。
ハイランドパークに併設している入浴施設で、大人一名の休日価格は1,800円と観光地価格となっていますが、お値段が高いこともあって、施設はとてもキレイで広く、入浴設備も内風呂、外風呂、サウナにジェットバス、炭酸風呂まであって、下手なスーパー銭湯よりも充実しています。
更衣室のロッカーが小さいタイプしかないのですが、フロントに相談すると入り口付近の大型ロッカーを貸してもらえます。混雑時は空いてないかもしれませんが、ダメ元で頼んでみるとよいでしょう。
そして、2021年10月現在、コロナ禍の影響で駅からの無料送迎バスが取りやめになっているようです。このため、スバルライン五合目からなら、「富士世界遺産センター」停留所で途中下車して向かうと時間短縮になります。活用してみてくださいね。
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まとめ
精進口登山道を辿り、スバルライン五合目まで歩いた様子でした。
樹海を抜けて行くということで、多少なりとも道迷いの不安がありましたが、全くの杞憂でした。
寧ろ、木漏れ日と木々の香りが気持ちの良い林間の道だったことがわかり大満足でした。
もし、あなたが森林浴など楽しめるタイプでしたら、わたしと同じく満足できると思います。
「三合目」停留所までと区間を絞れば、更に気軽に散策できるかと思いますので、今回の記事を参考に一度歩いてみると、幸せな気分になれるかもしれません。是非、お試しくださいね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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