登山に行くと、老若男女たくさんの人が登山用の杖を使って登山を楽しんでいます。杖があると便利な反面、杖に頼りきってしまうこととなり逆に危険な場面に出くわすこともあります。
わたしも登山を始めて5年間くらいは杖を持って山に入っていましたが、杖で怪我をしてからは10年以上の間、杖を持たない山行を続けて今に至っています。
そこで、杖など持たずとも安全に登山を楽しむことができる理由をメリット、デメリットをあげながら説明します。
登山用の杖を持たないメリット
登山用の杖を持たない事で生じるメリットは3つあります。
杖に頼らない歩き方ができる
登山用の杖があると、腕力を推進力に足すことができたり、バランスを取りやすくなったり、足を下ろす際の衝撃を緩和できたりと、様々なメリットがあります。しかし、そのメリットに慣れてしまい杖に頼りきった歩き方に変わっていってしまうというデメリットも存在します。
このデメリットはかなり大きく、自分の背丈に合わない山行計画を組み立ててしまったり、バランスを崩した際に杖に頼りきってしまい逆に転倒してしまうなどのリスクを生じる恐れがありますし、一度ついた癖はそう簡単に矯正することができません。
最初から杖に頼らず自分の脚力だけを使った歩き方に慣れることで、このようなリスクを回避しつつ、熟練度をあげていくことができます。
登山を始めて5年ぐらいの間は、ダブルストックを使った登山をしていました。ある日の奥多摩で、バランスを崩した時にストックで踏ん張ろうとしてそのまま滑って転倒、握ったままのストックの下敷きになった右親指を骨折するというアクシデントに見舞われました。それ以来、杖の類を持たない登山に切り替えて、今では快適に安全に登山を楽しんでいます。
常に両手を空けていられる
杖を持っていると、いざという時に手をついたり、木や岩を掴むことができず、逆に危ない状況に陥るリスクが生じます。登山では何が起こるかわかりません。杖を手放すことで、常に両手の空いた状態でアクシデントに備えることができます。
杖の取り回しで苦労しない
登山用の杖は、平坦な場所やなだらかなアップダウンで効力を発揮します。逆に、よじ登る必要のある岩場などではむしろ邪魔となるため、岩場に出くわすたびに収納する手間が生じます。ザックによっては、使わない杖を装着するアタッチメントが装備されているものもありますが、それでもいちいち出し入れするために停滞する必要があり面倒です。
初めから杖を持たないことで、このような手間を無くし、登山に集中することができるようになります。
特に初めてのルートでは、この先にどれだけ岩場があるのか把握できていないため、適切に出し入れできずに気づかれしてしまいます。一番最初に北岳に登った時、頂上付近の岩場で何度もストックの出し入れをする羽目になり、後続の登山者の方々を気遣って疲れ切ってしまったなんてこともありました。人気ルートを登らなければ良いのかもしれませんが、登山に集中したいと思う方は杖など持たない方が良いです。
登山用の杖を持たないデメリット
登山用の杖を持たないメリットについてご理解いただけたと思います。ここでは、逆に杖を持たない場合のデメリットについて説明します。
疲れた時にも自分の脚力だけで凌がないといけない
杖があれば、疲れた時に杖を支えに歩くことができ、その分、楽に歩くことができますが、杖がないと自分の脚力だけで凌ぐ必要があるので、その時の山の状況や自分の体調によっては、シンドイ山行になってしまう恐れがあります。
ここ10年間は杖がなくとも、こまめに休憩を取りつつゆっくり小幅で歩くことで、遭難することなく対応できているので、杖は必須アイテムではないです。
足を痛めた時も自分の足だけで歩かないといけない
足を痛めた時、杖があれば、それを支えに進むこともできますが、杖がないと足を引きずって歩くことになるので、悪くするとそのまま動けなくて遭難ということもありえます。
それでも登山用の杖が欲しい場合の選び方
登山用の杖を持たない場合のメリット、デメリットについて説明してきましたが、それら踏まえた上で、自分は杖を持って登山をしたいという方もいると思います。ここでは、杖が欲しい人向けにその選び方について説明します。
登山用の杖を推進力に使いたい場合
登山用の杖を推進力増加に当てたい方は、ダブルストック型の杖をお勧めします。両手でリズムよく地面をつくことで、まるで4足歩行をしているかのようにグングン歩くことができるようになります。
登山用の杖をバランスを取ることに使いたい場合
登山用の杖をバランスを取ることに用いたい場合は、T字型のシングルストックをお勧めします。T字を持つことで、手が滑ってしまうことなく取り回せます。また、片手が空いている状態となるので、万が一転倒した際も片手を突いて体を支えることができます。
まとめ
- 登山用の杖を持たなければ、杖に頼らない安定した歩き方ができるようになる
- 登山用の杖を持たなければ、常に両手が空いた状態でアクシデントに対応できる
- 登山用の杖を持たなければ、杖の出し入れなどの取り回しで苦労することがなくなる
- 逆に杖を持たないことで、疲れた時でも、足を痛めた時でも自分の脚力でなんとかしなければならなくなる
- それでも杖が欲しい人は、状況によりダブルストック、T字型シングルストックを選んで使うと良い
登山用の杖は持たない方が寧ろ安全に登山を行うことができると考えています。杖があることでとても楽になる反面、道具に依存する山行しかできない体になってしまうかもしれません。
山では、何事も自己責任です。道具に頼らず自力で何にでも対処できるようにしていきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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