12月も中旬に入り、関東圏の低山でも降雪を記録するようになってきました。
雪が降ると気温が下がり、大気中の水蒸気が少なくなるので空気が澄んできます。
そんな日の富士山はとてもきれいに見えることが多いので、どうせなら秀麗富嶽に名を連ねている山々から眺めようと、大菩薩連嶺の南の一画を歩いてきてみました。
富士山が綺麗に見える山々をお探しのあなたにピッタリの内容になっていると思います。
是非、最後まで読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2021/12/11
天候:晴れ
エリア:大菩薩連嶺エリア
コース概要:JR中央本線「初狩駅」〜滝子山登山口〜滝子山〜大谷ヶ丸〜ハマイバ丸〜大蔵高丸〜湯ノ沢峠〜白谷小丸~白谷丸~湯ノ沢峠~甲州市民バス「やまと天目山温泉停留所」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆☆
交通機関:
(往) JR中央本線「初狩駅」 からスタート
(帰)甲州市民バス「やまと天目山温泉停留所」から、JR中央本線「甲斐大和駅」 へ
概要
大菩薩連嶺
大菩薩連嶺は、山梨県の甲州市から大月市に跨る南北に伸びる山々の連なりで、北端は鶏冠山、南端は笹子雁ヶ腹摺山まで概ね35〜40kmの長さとなります。
標高は主峰「大菩薩嶺」の2,057mを最高地点として1,500〜2,000m前後の山々が続きます。
特に、大菩薩嶺から大菩薩峠までの区間が人気が高く、交通機関や宿泊施設もその区間に集中しています。
逆にその他の区間にアクセスするには、少し難がありますので、事前にしっかりと下調べした上で山行に臨むと良いでしょう。
連嶺の山々からは、南アルプスや秩父の山並み、富士山への眺望に優れており、山梨県の定める富士山への眺望に優れた山を示す「秀麗富嶽十二景」の半数は、この連嶺に属する山達となります。
大菩薩連嶺の主なピーク
- 鶏冠山
- 大菩薩嶺
- 小金沢山
- 牛奥ノ雁ヶ腹摺山
- 黒岳
- 白谷丸
- 大蔵高丸
- ハマイバ丸
- 大谷ヶ丸
- 滝子山
- 笹子雁ヶ腹摺山
ギャラリー
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1924 m
最低点の標高: 452 m
累積標高(上り): 2464 m
累積標高(下り): -1933 m
総所要時間: 09:22:34
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
- 白谷丸から湯ノ沢峠までの区間:勾配がキツい上に、砂混じりの滑りやすい急坂なので、特に降りに使う場合に注意が必要です。加えて、周囲が笹林となっているのでバランスを崩してササ藪の中に手をついてしまうと、鋭いササで手を切る可能性があります。手袋などで保護しておくと安心です。それと、この区間を通過するときにストックに頼り切って全体体重を乗せて前傾姿勢で降りていくスタイルの方をたまに見かけます。滑ったら大怪我するかもしれませんので、ストックは補助的なものとしてご利用くださいね。
- 焼山沢を通過する区間:湯ノ沢峠登山口から林道までの間は、焼山沢という沢筋を通過することになります。そのときに沢を何度となく渡渉することになります。渡るポイントも分かりづらいところがあり、ピンクのテープの撒かれた枝が折れて足元に転がっていたりするので、しっかりと先々のルートを確認しながら進むようにしてください。なお、登山口から林道が続いてますが、こちらは歩いたことが無いので紹介することは控えます。今度、実際に歩いてみた後に紹介しますね。
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:厚手のフリース
- アウター:ソフトシェル、レインウェア、ダウンジャケット
- ボトムス:中厚手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、手袋、毛糸の手袋
今回から、移動中の服装にダウンジャケットと毛糸の手袋をプラスしました。
前週の山行で、日没後のバス待ちの際にフルに着込んでも寒かったので今回から追加です。
開けっぱなしの車窓から吹付ける冷たい風を浴び続けても我慢できたので、当面はこの組み合わせで大丈夫そうです。
山行中のレイアリングは、歩き始めから長袖Tシャツにソフトシェルという組み合わせ。
急坂を登るときに暑いなと感じましたが、それ以外はこの組み合わせで丁度良い感じでした。
ただ、今回は日没前には下山できているので、日が落ちてからはこれでも寒いかもしれません。
今回のウェアの着合わせには少し足りていませんが、冬場の低山で活動するときの服装について、具体的な製品名も含めて次の記事にまとめています。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、J R中央本線「初狩駅」から滝子山に登り、大菩薩連嶺を大菩薩峠まで北上、その後は裂石へ下山してお風呂に入って帰るというプランにしてみました。
ただ、この時期は日没が16時台と早いので、中間地点となる「湯ノ沢峠」に到着した時点で時間的、体力的にキツいようならエスケープすることとしました。
まずは東京駅から中央本線を乗り継いで「初狩駅」に向かいます。
駅でおトイレ、見繕いを済ませたら甲州街道まで進み笹子方面に折れて行きます。
途中の「滝子山」への案内を見落とさないように分岐を進み、中央自動車道の下を潜って進んでいきます。
途中に、大きな地図が掲げてある分岐に出くわしますが、フェイクなので騙されないように注意してください。
フェイクの分岐を過ぎて5分もすれば、正規の登山口に到着です。
見繕いは済んでいるのでこのままスタートしていきます。
ギャラリー
滝子山登山口〜滝子山
登山口からは、藤沢川の脇を遡行していきます。
途中で何度か渡渉することになりますので滑らないように注意しながら渡ってください。
ベンチが見えてきたら、以降は山道に移っていきます。
道は明瞭なので、踏み跡の通り、案内の通りに進んでいけば問題ないでしょう。
檜平を通過して、大谷ヶ丸への分岐を山頂方面に向かうと滝子山の山頂に到着です。
山頂は東西に細長い形をしています。
秀麗富嶽に選ばれるだけあって、富士山をはじめ展望に優れた場所なので多くの方が滞在していますので長居はしないで、先に進むこととします。
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滝子山〜大谷ヶ丸
滝子山から大谷ヶ丸に向かうには、きた道を戻り「鎮西ヶ池」への分岐に入ります。
池なのに山頂という不思議な案内「鎮西ヶ池山頂」を通過したら、基本的には尾根道を進んでいきます。
一部の区間で踏み跡が不鮮明で悩ましいところがありましたが、ピンクのテープや案内が頻繁に現れますので、それらを頼りに進むと良いでしょう。
大谷ヶ丸の山頂は、今回のコースからは少しずれていて、直近の三叉路から5分ほど逆方向に登ると到着できます。
展望も皆無なので、再度の訪問では、スルーして時間短縮した方が良さそうです。
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大谷ヶ丸〜ハマイバ丸
大谷ヶ丸からは、主脈に乗るので木々の隙間からの展望も増えてきます。
時たま現れる、秩父の山々や南アルプスの冠雪している白い頂を横目に見ながら進んでいきます。
徐々にササ藪が増えてきて、坂の勾配もキツくなってきますが、それらを越えればハマイバ丸の山頂に到着です。
ここも秀麗富嶽に選ばれた場所ではありますが、山頂からは富士山は見えません。
少し南に戻ると、木々が開けて富士山が顔を出してくれます。
この辺りまで来ると、歩いている登山者も疎らになってくるので、富士山を眺めながら一息つきたくなりますのが、この先の大蔵高丸の方が展望に優れていますので、どうせならそちらで休憩入れたほうが良いでしょう。
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ハマイバ丸〜大蔵高丸
ハマイバ丸から大蔵高丸は非常に近くて30分も歩けば到着できます。
しかも、道中は展望の良い稜線歩きになるので、ここだけ歩くのに訪れても良いかなと思うような区間になってます。
特に西方面に見える南アルプスへの展望が絶景で、山麓の甲府盆地と合わせて、是非、天気の良いときに眺めに来て欲しい場所です。
また、このあたりから高山植物を守るための柵を頻繁に通過することになります。
これだけの景色を見させてもらいました。少しでもお返しできるよう開け閉めにはしっかり協力して進みましょう。
大蔵高丸は、南と西への展望が特に優れます。富士山と合わせて甲府方面の眺望を楽しみつつ一息入れると良いでしょう。
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大蔵高丸〜湯ノ沢峠〜白谷小丸
大蔵高丸からは、一度、湯ノ沢峠まで降下します。
このとき、数回大きく蛇行して進むことになるので、初見だと方向感覚が少し乱されます。道は明瞭なので道迷いすることは無いですが、ちょっと頭の中で整合性が取れないような気持ち悪い感覚に陥るかもしれません。
湯ノ沢峠まで降りると、十字路になっています。
それぞれ、北方面が大菩薩峠へ至る大菩薩連嶺北部へ向かう道、南方面が今まで歩いてきた連嶺南部へ向かう道、東西の道は林道まで降る下山道となります。
ここで、状況を判断してエスケープするか先に進むか決めることにしていましたが、体力的には余力があるものの、時間的には少し厳しく、ここでエスケープすることを決めます。
ただ、お隣の白谷丸をピストンするくらいの余力はあるだろうということで、もう少しだけ先に進みます。
滑りやすい急坂を登っていくと白谷小丸への分岐が現れます。
夏場は笹藪の歩きづらい道を進まないと到着できませんが、冬のこの時期は笹も枯れて歩きやすくなっていますので、そちらにも向かっておきます。
白谷小丸は完全な行き止まりで、この先に進む道は無いのですが、白谷丸と同様に東西、南の三方へ開けていてとても気持ちの良い場所です。
寝転がれるくらい大きな石がゴロゴロしているので、寝転がってゆっくりするのもいいかもしれません。
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白谷小丸〜白谷丸~湯ノ沢峠
白谷小丸から白谷丸へ至るのも、夏場に比べて楽です。
邪魔になるササ藪が無いので、直登で登ってしまえばOKです。
白谷丸は、南面に岩の点在した広場のある山頂で、南面の富士山を眺めつつ休憩するには良い場所です。
眺め的には先ほど滞在していた白谷小丸と同じく、南に大きな富士山が見えて、その手前に御坂山地の山々、大菩薩連嶺の山々が折り重なって段々模様を作っている様子を眺めることができます。そして、東には大月の市街地、西には甲府盆地の市街地がそれぞれ見渡すことができ、開放感はなかなかのものがあります。高度が上がっている分、こちらの方が開放感は高いかもしれません。
ただ、稜線にあたる場所なので風が強く、長く停滞するなら防寒着を出しておいた方が良いように感じます。
十分に休憩が取れたら、下山するために湯ノ沢峠に戻ります。
先ほどの急登が、今度は急降下になります。
滑りやすいのには変わりませんので、登ってくるより更に慎重に降るようにしてください。
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湯ノ沢峠~甲州市民バス「やまと天目山温泉停留所」
湯ノ沢峠まで到着したら、西側の湯ノ沢峠登山口の方向へ降りていくことにします。
こちら側は、先に進むと「やまと天目山温泉」という入浴施設があり、バス停も至近のため、下山後すぐにお風呂を楽しむことができます。
まずは、避難小屋のある湯ノ沢峠登山口まで降下します。
ここは直ぐに到着できるので問題ありませんが、ここから焼山沢という山なのか沢なのか不明な名前の沢を降っていくことになります。
この沢筋の通過が、初見だと迷う可能性があります。
沢の中を通過するということで、踏み跡が不鮮明な場所が何箇所かあります。
以前は、ピンクのテープで目印がついていた場所も、枝が折れて足元に転がってしまっていたりするので、気がついたら沢の反対側に道が続いていた、なんていうことも多々起こります。
沢に落ちないように足元に注力するのは大事ですが、それに合わせて進む先についても意識を向けるようにしてください。
沢筋を降り切ると、今度は長い林道を進むことになります。
時間にして1時間は歩くことになるので、林道に到着するまでの間に少し体力に余力を残しておけるくらいのペース配分で進んでください。
冬季閉鎖用のゲートを通過して、大量の赤旗がはためく「八大龍王神社」通り過ぎるとやまと天目山温泉までは、後少しです。
最後のスパートで歩き切って温泉に入ってゆっくりすることとしましょう。
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おまけ
今回、立ち寄った入浴施設は「やまと天目山温泉」です。
日川渓谷にある日帰り専用の入浴施設です。
入浴料3時間大人520円と良心的なお値段で、ボディーソープやシャンプーも常設されているので、タオルさえ持参すれば、ゆっくり温泉に使って汗を流すことができます。
お風呂は内風呂、露天風呂のほかに寝湯を兼たジャグジー風呂があるので、寝転がってお風呂で温まることもできます。
変わったところでは、更衣室が小ぶりなため、登山ザックを大広間に置きっぱなしで入浴するように促されます。
貴重品ロッカーがあるので、お財布や時計などは良いですが、衣類とかギアは入るスペースが無く、持ち物を放置すること自体が心配になるタイプだと。ちょっとストレスになるかもしれません。
ただ、従業員の方々は気さくで穏やかな対応をしてくれる方ばかりなので、そんなときには一度相談してみるのも良いかもしれませんね。
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まとめ
大菩薩連嶺の南側を歩いた様子でした。
大菩薩連嶺は最高峰大菩薩嶺の一画を除けば2,000mに満たない山々の連なりなので、初心者や年配の方に人気があり、特に大菩薩嶺から大菩薩峠に至る区間は、30名規模の大規模ツアーが組まれたりと、かなり賑やかな区間になっています。
ただし、その区間を除けば、訪れる登山客は疎らで静かな山行が楽しめます。
実際に、今回の山行でのすれ違いは五組といったところでした。
秀麗富嶽に選ばれるような好展望が得られて、人も疎らというなら行かない手は無いだろうと思います。
今回の内容を参考に、是非、天気の良い週末を狙って足を運んでみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
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