登山靴を新調したので試し履きを兼ねて、ゆるく歩ける山を探していたところ、富士山新御殿場口五合目の近郊に双子山があったことを思い出しました。
新御殿場口五合目から向かえば1時間なので、空身でテクテクと登れてしまうような2つの丘なのですが、水ヶ塚公園から行き来すれば高尾山を登るぐらいの行程にはなります。
前回の宝永山登山のときに立ち寄れなかったので、この機会にということでのんびりと歩いてきました。
富士山の裾野という好立地が幸いして、労力の割にはステキな展望が期待できるお得な山なので、興味ありましたら、この記事を参考に赴いてみてくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
概要
双子山
双子山は、富士山主要ルートの一つ御殿場ルートの登山口「新御殿場口五合目」から徒歩1時間に位置する、2つの丘の総称で二ツ塚と呼ばれることもあります。
この2つの丘は、2,000年前の噴火でできた双子の側火山で、山頂がすり鉢状になっているのはその名残のようです。
標高は、高い方の上塚が1,929m、低い方の下塚が1,804mと2,000mに届かない低山級ではありますが、富士山の裾野という見晴らしの良い立地により、ステキな下界の風景を見せてくれます。
加えて、見上げて直ぐに目に入る宝永山やその奥の富士山山頂の迫力ある姿も素晴らしく、到着するまでの労力に比べてとてもコスパの良い山となっています。
双子山へのアクセスルートは、大きく以下の3つになります。
1番容易なルートは、新御殿場口五合目から向かうルートです。
火山灰の降り積もった砂利道を進むので少し歩きづらくはありますが、1時間程度でたどり着くことができます。
5歳ぐらいの小さな子どもや、ウォーキングスタイルのご年配の方々もゆっくり登られているので、普段から体を動かしているようなら、特に問題も無く登頂できるでしょう。
次に容易なルートは、水ヶ塚公園から向かうルートです。
こちらは、宝永山に向かう「須山登山道」を途中まで登り、御殿場口方面へ分岐していくことでたどり着くことができます。
先のルートと違い、わりとしっかりした登山道を進むことになるので、登山に適した装備で向かいましょう。
最後に残ったルートは、大砂走りから分岐するルートです。
こちらは、破線ルートを通過するということもあり、降下地点をよく見極めておく必要があります。
天候の良い日であれば、目的地となる双子山を眼下に捉えつつ、その方向に降っていけばよいのですが、天候不順でホワイトアウトしているときなどはそうもいきません。
目印にできるようなポールも定期的に建っているわけではないので、そのような場合は「大石茶屋」まで降ってしまったほうが安全かもしれません。
ただ、ホワイトアウトしているときに登ってもあまり面白みのある場所ではないので、そのような場合は、そのまま下山してしまうことをおすすめします。
ギャラリー
それぞれの山頂からの展望はInstagramに上げた動画で確認下さい。
まずは、上塚からの展望です。
続いて、下塚です。
今回の山行ルートと注意が必要と感じた区間
地図上の位置と標高
今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高です。
「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 1988 m
最低点の標高: 1364 m
累積標高(上り): 1221 m
累積標高(下り): -1229 m
総所要時間: 05:36:26
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
注意した方が良さそうな区間
今回の注意したほうがよさそうな区間については次の点でした。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
先に述べたように、双子山への1番優しいルートは、新御殿場口五合目から向かうルートなのですが、同登山口への公共交通機関はシーズン中しか運行していません。
このため、「水ヶ塚公園」から「須山登山道」を登って向かうこととします。
JR三島駅から南口改札をでて「のりば2番」から出ている「水ヶ塚公園」行きのバスに乗車します。
「水ヶ塚公園」の敷地内に公衆トイレは設置されていますが、バスの乗車時間が1時間30分と長旅です。駅構内もしくは近郊でおトイレを済ませてから乗車することをおすすめします。
「水ヶ塚公園」についたらバスの待合ベンチで見繕いして、登山口に向かいます。
登山口は富士スカイラインを隔てた反対側にあります。
車道を渡るための歩道などはありませんので、通過する車に注意しつつ登山口に向かうようにしましょう。
ギャラリー
富士急バス停留所「水ヶ塚公園」~二合五勺「御殿庭下」〜四辻
登山道からは、森林地帯を進みます。
まずは、宝永山方面に高度を上げていきます。
最初は平坦、そのうち勾配がキツくなっていきますが、息が上がる前に二合五勺「御殿庭下」に到着できるでしょう。
ここからは「新御殿場五合目」方面に向けて、御中道さながらの起伏の少ない山道を進んでいきます。
「御殿場入口」を通過して針葉樹地帯を抜けていくと、徐々に麓方面の展望が開けてきます。
「小天狗塚」を越えると、火山灰の降り積もった砂丘のような地形となり、更に展望が開けます。
そして、前方に双子山の双丘が見えるようになってきたら「四辻」に到着です。
ここから双子山はもう目と鼻の先、のんびり下界の眺めを堪能しつつ向かうことにしましょう。
ギャラリー
四辻~上塚 〜下塚
「四辻」から展望を楽しみつつ歩いていくと、双子山の谷間にたどり着きます。
どちらの山道も山頂までまっすぐ直登になっているのでキツそうにみえるのですが、思っているよりも距離が短いので、キツイと思った頃には到着できます。
今回は上塚から登ってみたので、そちらの様子から解説していくと、まず、山頂には山頂を示す案内などは建っておらず、石の積み上げられたケルンが2つあるだけとなっています。
南寄りにあるケルンに三角点が埋め込まれていることから、こちらが正確な山頂になると思いますが、定かではありません。
山頂からは、西方面を見上げて直ぐに宝永山の荒々しい火口岩を眺めることができ、その奥に富士山山頂を望むことができます。
振り返って東方面に目を向けると御殿場の市街地と箱根の山々、南方面からは愛鷹山の山塊とその奥に広がる伊豆半島と駿河湾、北方面には山中湖と外環の山々を望むことができます。
下塚のお鉢全体を見下ろす風景というのも、他にあまり見ることのない珍しい眺めかなと思います。
そして、下塚の方はというと、しっかりとした山頂碑の他に伊耶那岐命と伊耶那美命の國造の神を祀った石碑、小ぶりな鉄鳥居と、なんだか優遇されています。
展望的には、上塚と大差ないのであまり登る意味は無いかもしれませんが、大した労力でも無いので、石碑にご挨拶していくとよいでしょう。
ギャラリー
下塚 ~幕岩~下り一合「御胎内」~御胎内入口~水ヶ塚公園
上塚、下塚と制覇して満足したら、後は下山していくことになります。
もと来た道をピストンするのも芸が無いので、途中で溶岩が積み重なってできた「幕岩」を見てから帰ることにします。
「四辻」から南方面へ降っていき「幕岩下降点」から砂状の急坂を降っていきます。
この急坂滑りやすいので、張ってあるロープや木々をうまく使って降りていきましょう。
「幕岩」は、木々の開けた広間になっていますが、羽虫が結構湧いていますので、あまり停滞には向かない場所かもしれません。
一通り眺めたら「幕岩下降点」まで戻り、下り一合「御胎内」まで向かいます。
ここの降り道は、若干ザレ気味なのでズルっといかないように注意しながら降っていきましょう。
「御胎内」まで着たら、「水ヶ塚公園」までは平坦な山道を向かうことになるのですが、 変化を求めて今回は富士スカイランまで降下していくことにします。
苔生すなだらかな山道を降りていくと「御胎内入り口」に到着、そこから富士スカイラインを歩いていきます。
ちなみに「御胎内入り口」にはバス停がありますがオフシーズンに停車するバスは無いのでご注意下さい。
そして富士スカイランですが、人が歩くのを想定していないからか歩道の間隔がかなり狭いですので、素通りする車には注意しながら進む必要があります。たまに木々の間から宝永山が見えたりしますが、基本は展望無しの車道歩きとなるので、ここまで降りる必要はまったくないありません。「御胎内」からでしたら、素直に山道を使って「水ヶ塚公園」まで進んだほうがよさそうです。
「裾野市」の案内が見えてきたら「水ヶ塚公園」まではもう少しです。
公園手前がT字路となっていますので、車の往来に気をつけて向かいましょう。
ギャラリー
水ヶ塚公園~腰切塚~富士急バス停留所「水ヶ塚公園」
水ヶ塚公園に到着した時点で、時間は14時。
三島駅行きの次のバスは16時なので2時間近く時間が余ってしまいました。
暇つぶしを兼ねて公園隣接の「腰切塚」に登ってみることにします。
この塚ですが、山頂に展望台が組まれていて、周囲の展望に優れているようです。
30分もあれば、上り下りできるので、手軽に眺めを楽しみたい場合に便利かもしれません。
実際に展望台まで上がってみたところ、かなり立派な展望台でなかなか気持ちの良い展望が得られました。
バスの待ち時間がかなりあるときに立ち寄ると良い暇つぶしになりますよ。
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おまけ
今回も、立ち寄り遊は「熱海駅前温泉浴場」です。
ここ数ヶ月、毎週のように顔だしていますので、オペレーションも手慣れてきました。
入浴料500円に、ボディソープとシャンプーをつけて600円で時間制限無く入浴できます。
設備はかなり古びていますが、汗を洗い落として、疲れた筋肉をほぐすだけと考えればとてもコスパの良い入浴施設です。
お風呂の見てくれに拘りが無いのであれば、利用してみてくださいね。
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まとめ
双子山散策の様子でした。
富士登山のシーズン中であれば、新御殿場口五合目から、それこそお散歩感覚で登れる丘ですが、水ヶ塚公園から向かうことで、多少は山歩きっぽさが出てきて満足感も上がります。
労力の割には、とても気持ちの良い展望が期待できるので、今日はゆるめの山行が良いなと思ったときには最適なコースです。是非、一度足を運んでみてくださいね。
もし、あなたが健脚であれば、宝永山に登った後の寄り道ルートに組み入れるというのも面白いかもしれませんね。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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