Twitterのタイムラインに気になるツイートが流れてきました。
なんでも、富士山御殿場六合目付近に「鉄のワラジ」が置いてあるのだそうです。
御殿場六合目は何度か通過してますが、そんなものは見たことがなかったので、開山前のトレーニングにも良いだろうと探しに行ってみました。
正規ルートを歩いているだけだと見つけづらい場所にあるので、ちょっと見つけるのに時間かかりましたが、宝探しに近い楽しさがあって、見つけたときは「ドヤァ」な気持ちになれました。
御殿場ルートは、単調な登りが続くので飽きっぽいですが、今回の記事を参考に「鉄わらじ探し」イベントも盛り込んでみると、ちょっと楽しい気分になれるかもしれませんよ。
それでは、最後まで楽しんでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/6/25
天候:晴れ
エリア:富士山エリア
コース概要:富士急バス「御殿場新五合目停留所」〜御殿場新六合目〜鉄のワラジ〜御殿場七合五芍〜大砂走り〜富士急バス「御殿場新五合目停留所」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR御殿場線「御殿場駅」から富士急バスで、「御殿場新五合目停留所」へ
(帰)「御殿場新五合目停留所」から富士急バスで、JR御殿場線「御殿場駅」へ
概要
御殿場ルート(ごてんばるーと)
御殿場ルートは、富士山五合目から山頂に続く主要4ルート中、登頂難易度が一番高いと言われるルートです。
詳しくは、主要4ルートをまとめた記事に書きましたので、以下リンクよりご確認ください。
鉄のワラジ
御殿場六合目の山小屋跡地を見下ろす位置に置かれた鉄製の草鞋です。
ワラジ鉄の塊なので動かすことは困難だと思うのですが、更に岩に打ち付けられた鉄棒に繋がれて固定されています。
そこまで厳重に固定化する理由はわかりませんが、ほぼ動かすことができない点から、目印としてはとても有効です。
ただし、正規の登山ルートからは少し外れているので、意識しないで登っていると見つけることは難しいです。
目安としては、周囲に何も無いところに鉄棒が一本だけ立っているというもので、一度認識できて仕舞えば、逆にわかりやすいかもしれません。
ワラジの正面には、大正元年八月吉日、横浜市の金物商「齋藤廣吉」奉納と彫られています。
なぜ、横浜の方がこのようなものを奉納したかの情報は探し出せませんでしたが、草鞋のスタイルを取ったのは、昔の御殿場は有名なワラジの産地だったからなのかな、なんて勝手に妄想しています。
永遠とザレ場の続く御殿場ルート。ともすれば、平坦で飽き飽きしてしまうかもしれません。
そんな時、ちょっとした気分転換にお宝探し感覚で探索してみると面白いかもしれませんね。
ギャラリー
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
まずは、今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高を示します。
また、「Download file」のリンクからGPXデータとしてダウンロードできます。
ご自由にご活用ください。
最高点の標高: 3116 m
最低点の標高: 1437 m
累積標高(上り): 1857 m
累積標高(下り): -1859 m
総所要時間: 07:07:34
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントは、次の通りです。
- 御殿場七合五芍
御殿場七合五芍
今回の山行ルート上での展望ポイントは「御殿場七合五芍」です。
富士山登山ルートは、周囲に同等の大きさの山脈が無く、天候に恵まれればどこ通っても展望抜群な場所に出くわしますが、やはり高度が高ければ高いほど眺めが良くなる傾向があります。
今回登った最高地点は「御殿場七合五芍」に建つ「須走館」だったので、展望ポイントには同山小屋前からの眺めを上げさせてもらいました。
この山小屋は標高3,000mを越えて建っているのですが、この高さまでくると、遠くに東京湾や房総半島まで視界に捉えることができます。
残念ながら、この日は雲の中に入ってしまって紹介はできませんので、実際に天気の良いタイミングに登って確かめてみてください。
そして、宝永山の山頂を真下に眺める位置にあるため、普段はあまり見ることのできない面白い風景も楽しむことができます。
普段から宝永山に行かれるようだったら、特に足を止めて眺めてみてくださいね。
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注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、次の通りです。
- 御殿場七合目から六合目の下り区間
御殿場七合目から六合目の下り区間
今回の山行ルート上で、注意した方がよさそうな区間は「御殿場七合目から六合目の下り区間」です。
以前にも、注意区間として掲載したことがありますが、雨風で陥没している箇所が数箇所あり、足を取られると転倒しやすいので、通過の際にはご注意ください。
御殿場ルートの下山道は「大砂走り」を代表としたザレ場のスピードコースが続きます。
尖った火山石が転がっていることもありますので、勢いが乗ったまま足を取られて転倒すると大怪我につながるリスクがあります。
対象区間を通過するときは心持ちスピード控えめにすると良いでしょう。
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今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
この日は、関東、東海と多くの場所で30℃を越える猛暑となりました。
富士山山中も日差しの強い真夏日で、始終半袖Tシャツでの行動となりました。
ザレ場続きの御殿場ルートは、足腰への負担が強く始終発汗が凄かったのですが、強い日差しと強風ですぐに乾いてしまい、ドライな山行を楽しめました。
流石に標高3,000mを越えてくると風が冷たく、休憩時の際にはソフトシェルを羽織りましたが、下山路となる「大砂走り」に入ってしまうと、ほぼ駆け降り状態で汗が滲んできたので直ぐに脱いでしまいました。
交通機関での移動中も、この日に限ってはクーラー入っていても底冷えせずに、半袖Tシャツで問題無しでした。
7月も近いのでそろそろ梅雨が上げて半袖Tシャツしか使わない日が続くようになってきそうですね。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、「御殿場新五合目停留所」からのアクセスです。
5月末から6月末までの土日祝祭日限定で、「御殿場新五合目」では春季ハイキングバスが運行されていますので、それを活用することとしました。
出発駅は「御殿場駅」となるので、「東京駅」からは、JR東海線で「国府津駅」へ向かい、そこからJR御殿場線に乗り換えて向かうこととなります。
「御殿場駅」についたら、まずはおトイレです。
「御殿場新五合目」にも綺麗な公衆トイレがあるのですが、御殿場駅から向かうとバスで30分の距離があります。バス停での待ち時間を含めるとかなりの長丁場となりますので、バスに乗り込む前に立ち寄っておいた方が無難でしょう。
「御殿場新五合目」についたら、バス停手前の待合所もしくは、おトイレ前のベンチで身支度して出発です。
因みに、6月は山開き前なので登山口はがっちり閉鎖されていますので、静かに横っちょからすり抜けて進むことになります。
当然、全て自己責任で対処する必要がありますので、不安と思うようでしたら7月の山開きまで入山はお控えくださいね。
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富士急バス「御殿場新五合目停留所」〜御殿場新六合目
それでは、御殿場ルートの登山道を登って行きます。
周囲の人の目を気にしつつ、閉鎖されている横っちょからコソコソと失礼して登山道に入ります。
足慣らしのザレ場をゆっくりと歩いて最初の山小屋「大石茶屋」まで進みます。
当然、開店はしていませんので、スルーして先に進みます。
「大石茶屋」から「双子山」に抜ける分岐を通過したら、御殿場ルートも本番です。
スコリアと呼ばれる軽石状の火山石が大量に堆積した広大なザレ場を登っていくことになります。
ルートは大きく3つです。
- 登山道:登るときの負担を軽減させるために、傾斜を緩くするため九十九折に設定されたルート。
- 下山道:大量の火山石をクッションとして駆け降りられるように、急斜面に直線的に設定されたルート。
- ブルドーザー道:山小屋へ荷物を配達するためのブルドーザーが行き来するため、火山石の少ない箇所を通るよう急斜面に設定されたルート。
全てのルート昇り降り可能ではありますが、楽に登るのは「登山道」を使うのが一番です。
今回も「登山道」から登って行きます。
楽とは言いつつも、火山石の降り積もったザレ場は踏ん張りが効か無いので、体力の消耗は当然激しいです。
加えて、なまじ山頂への見晴らしが良いので、永遠に埋まらない距離感の中を歩いていくことになります。これも、なかなか精神的に堪えます。
御殿場ルートの難易度が高いのは、歩行距離が長いだけでなく、これら要因も大きく影響していると個人的には思っています。
そんな、心体両面から責められつつ淡々と歩みを進めていくと、二番目の山小屋となる新六合目「半蔵坊」に到着です。
こちらの山小屋は、昨年は準備中だったと記憶していますが、2022年から営業開始になるようです。
新品の山小屋とか、泊まる機会なんてほとんど無いですし、ちょっと魅力的ですよね。
そして、ここで「鉄のワラジ」についてお聞きしてみたところ、宝永山へ続く道の分岐地点付近だというヒントをいただきました。
鉄の棒を目印に探すと良いともおっしゃっていたので、ここよりしばらくは「鉄の棒」を探して徘徊することになります。
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御殿場新六合目〜鉄のワラジ
御殿場新六合目「半蔵坊」で「鉄のワラジ」についての情報を得ることができたので、「鉄の棒」を探して、宝永山分岐地点に向かって登って行きます。
途中間違って、ブルドーザー道を登ってしまい無駄に体力を消耗しましたが、須走ルートへと続く御中道の入り口を見つけることができたので、無駄にならずに済みました。
その後、直線で登山ルートに戻って進んでいくと、旧六合目の小屋の残骸の上にポツンと立つ鉄棒を見つけることができました。
宝永山馬の背へ抜ける道との分岐点近くです。
十中八九、あの棒だろうとルートを外れて足場を確かめつつ登ってみると「鉄のワラジ」を発見することができました。
非常に展望に優れた場所で、山中湖、御殿場市街地、宝永山とそれぞれへの展望を楽しめて、座るのにちょうど良い岩も近くにあって、2、3名で滞在するには良い感じのところでした。
難を言えば、急斜面の狭い一角にあるので、富士山山頂を振り返るのに難儀する点でしょうか。
それ以外は、なかなか魅力的な場所だと思います。
ここまでで、今回のミッションはコンプリートですが、時間も余っていることなので、更に高度を上げて登って行くことにします。
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鉄のワラジ〜御殿場七合五芍
ここからも、飽きることなくザレ場の九十九坂を登って行きます。
前回の最高地点七合目の休業小屋を通過して、七合四芍「わらじ館」に向かうと、ここでもスタッフの方々が開山に向けての準備を着々と進めていました。
昨年通過した時にも感じましたが、ここの山小屋のスタッフの方々は明るく声掛けいただけるので、ちょっと嬉しいです。
この日も、お忙しい中少しお話ししてくださいました。ありがとうございます。
小屋前に金庫が置いてあるのですが、聞いてみたところ、誰か優しい人がお金を入れてくれることを期待して置いているとか。
機会あったら入れてみます。とお茶を濁して先に進むことにしました。
次の山小屋は七合五芍の「須走館」です。
ここには、まだスタッフは詰めていないようで、小屋前の机や椅子も骨組みだけな状況でした。
ここを越えると、以降はガレ場に突入ですが、結構疲れを感じてきたので無理せずに今回はここまでとしました。
時計を見ると14時30分。日帰り登頂をイメージすると後1時間早く到着していないと厳しい感じです。
課題が増えましたが、やる気も出てきました。そんな良い流れの中、下山に移ります。
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御殿場七合五芍〜大砂走り〜富士急バス「御殿場新五合目停留所」
七合五芍「須走館」からはブルドーザー道を降って、下山道に向かいます。
ここからの下山道は、雨風の影響で凹凸があるので、足を取られないように気をつけながら降って行きます。
放映山馬の背からの分岐を越えたあたりから「大砂走り」に入り、駆け降りても問題無いだろうコンディションになります。砂の盛り上がっている場所目掛けて着地すると、いい感じにブレーキが掛かるのと、足を降ろした時の衝撃を和らげてくれるクッションとなるので、駆け降りる時の参考にすると良いでしょう。
ただし、靴底のすり減り具合が凄いので、新品の登山靴で降りるのはお勧めしません。
そして、たまに足を止めて、周囲を見渡してみてください。
特に降り方面、「御殿場新五合目」に向かうガイドのポールとロープが小さく続く眺めは、狭いと言われている日本国内でも、これだけの広がりを感じることができるんだと、ちょっとだけ感動すると思います。
是非、お天気の良い日にお試しくださいね。
永遠と続く大砂走りを降り切ると「御殿場新五合目」に到着です。
ここからのバスは、「御殿場駅」以外に「水ヶ塚公園」に向かう便も出ているので、行き先を間違えないように乗車するようにご注意ください。
「御殿場駅」までの乗車時間は30分です。
バスは「富士山口」に着きますが、反対側「早乙女口」から新宿行きの高速バスが出ています。
大変助かることに、空席があれば予約無しでも乗車できます。
この日も、お風呂に立ち寄った後、高速バスで帰りました。
高速バスでの移動は途中乗り換えが無いので、心置き無く熟睡できるのが助かりますね。
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おまけ
今回の山行は、かなり汗をかいたので、流石に匂いが気になるだろうとお風呂に入ってから帰ることにしました。
御殿場駅での入浴は、いつも「人参湯」で済ませています。
ここは温泉ではなく、昔ながらの大衆浴場でボディーソープやシャンプーの備え付けはありません。
自分で持ってくるか、番頭さんから購入する必要がありますので、ご注意ください。
その分、入浴代は500円でお釣りがくるお値段です。
汗を流して、こわばった筋肉をほぐすには十分ですし、季節によっては柚子湯とか、ヘンテコな入浴剤とか入れてくれたりするので、サプライズで楽しむこともできたりします。
たまにボイラーが不調でシャワーが使えなかったりしますが、常連の方々もあまり気にせず湯船のお湯を汲んで体洗ってたりします。
そんな大らかな感じにイライラしないようでしたら、なかなか良いお風呂場なので立ち寄ってみてくださいね。
人参湯については次の記事に詳しくまとめています。一緒に読んでいってくださいね。
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まとめ
富士山御殿場六合目にある、謎の鉄わらじについてでした。
文中にも書きましたが、御殿場ルートの登りは結構飽きます。
眼下の眺めは絶景ですが、常にバックで登るわけにもいかないですし、登りの大部分は足元を見ての行動です。
2時間、3時間と歩くうちに心が「無」になっていきます。
かつての富士講行者のように「六根清浄」と唱えながら無心で歩くのもモチロン良いのですが、ちょっとしたイベントがあると、多少は心が軽くなるかと思います。
六合目山小屋跡地に差し掛かったら、「鉄わらじ探し」楽しんでみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださりありがとうございます。
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