最近、富士山の山麓から登ってみようと色々歩いていますが、今回もそのシリーズになります。
今回は、富士山南口と呼ばれることもある登山道「須山ルート」を、スタート地点「須山浅間神社」から中間地点「水ヶ塚公園」までを歩いた記録になります。
途中までは遊歩道といった感じでしたが、「弁当場」というところを通過して以降は、本格的な山道となり、ガッツリとした山行では無いにしろなかなか楽しく歩くことができました。
距離は長いけどアップダウンが少ないルートなので、暫く休んでいた山行を再開する時のリハビリルートに適しているように思います。
それと、トレランルートに使うのにも良いかもしれません。
もし、あなたが上記のような状況でしたら、満足のいくルートになるはずなので、是非、最後まで読んでいってくださいね。
基本情報
まずは、今回の山行についての基本情報です。
日付:2022/5/22
天候:曇り
エリア:富士山エリア
コース概要:富士急バス「須山停留所」〜須山浅間神社〜富士急バス「牧場入り口停留所」〜富士山遊歩道〜弁当場〜水ヶ塚公園〜腰切塚〜富士急バス「水ヶ塚公園停留所」
難易度:体力☆☆、技術☆、危険☆
交通機関:
(往)JR東海等線「三島駅」から富士急バスで、「須走停留所」へ
(帰)「水ヶ塚公園停留所」から富士急バスで、JR御殿場線「御殿場駅」へ
概要
須山ルート(すやまるーと)
須山ルートは、正式名称を「富士山須山口登山歩道」と言い、静岡県裾野市にある「須山浅間神社」を起点とした富士山登山ルートの一つです。
奈良時代の文献に、すでにその名前が示されているほど古くより利用されていた登山ルートなのですが、いにしえのルートを大切に受け継がれて今に至っているといったものではなく、かなり激しく変化してきたルートのようです。
元々は、山麓の「須山浅間神社」を起点に水ヶ塚公園を経由、現在の宝永火口を突っ切る形でルートが伸びていましたが、宝永4年(1707)の宝永大噴火によりその大部分が消失する大打撃を受けます。
そして、長い年月を経て安永9年(1780)に完全復興され、当時流行りだった富士講ブームに乗っかり、多い年には5,000名に近い登拝者達が訪れる大人気のコースとなりました。
しかし、明治時代に入って、お隣の御殿場口が開拓されると状況が一変。東海本線も開通したことで、利便性に優る御殿場口に登拝者達が流れてしまい衰退の一途を辿ります。
そして、登山道の一部が旧陸軍の演習場に組み込まれてしまったことに止めを刺され、登山道としては完全に役割を逸してしまい、誰も使うことなく衰退してしまいました。
現在のルートは、平成時代に入ってから、同ルートを復活させようと地元有志による整備が進んだ結果の産物となっています。
なお、起点となる「須走浅間神社」へは、JR「三島駅」から出ている河口湖行きのバスに乗るか、JR「御殿場駅」から出ている十里木・ぐりんぱ行きのバスで向かうことができます。
関連リンク
地元、静岡県裾野市の公式HPに詳しい遍歴が記載されています。興味ありましたら、以下のリンクよりご確認ください。
今回の山行上でのポイント
地図上の位置と標高
まずは、今回の山行で歩いた場所について、地図上の位置、標高を示します。
最高点の標高: 1498 m
最低点の標高: 583 m
累積標高(上り): 1257 m
累積標高(下り): -393 m
総所要時間: 06:09:33
歩いた軌跡
続いては、GPSデータを元にした軌跡です。
注意した方が良さそうな区間
今回の山行ルート上で、注意したほうがよさそうな区間は、特にありません。
強いてあげれば、車道歩きや車道横断をする箇所で車の往来に気を付けることぐらいでしょう。
- 特になし
おすすめ展望ポイント
今回の山行ルート上の展望ポイントも特にありません。
天気が良ければ、忠ちゃん牧場や水ヶ塚公園から富士山の絶景が眺められるのですが、どちらも雲が厚くて肉眼で確かめられなかったので、今回は載せていません。
次回に期待ですね。
- 特になし
今回の山行での服装
今回の山行では、次のような服装の組み合わせを持参していきました。
同じ時期に赴かれるときの参考にして見てください。
- ベースレイヤー:半袖Tシャツ
- ミドルレイヤー:薄手の長袖Tシャツ
- アウター:薄手のフリース、ソフトシェル、レインウェア
- ボトムス:薄手の長ズボン、厚手のソックス
- その他:手ぬぐい、ネックゲーター、薄手の手袋
今回は、スタートから始終、半袖Tシャツでの活動となりました。
この日は、始終曇り空でしたが標高が低い街中から歩き始めたので、この服装でも軽く汗をかいていました。
水ヶ塚公園まで登ってくると雲の中に入って、少々肌寒い感じになりましたがすぐに慣れてしまいこのままバスに乗って下山となりました。
交通機関での移動中は、半袖Tシャツと薄手の長袖Tシャツ、冷房をつけ始めた帰りのバスの中で飲み、フリースを重ね着したぐらいでしょうか。
もう少ししたら夏装備に切り替えになりそうです。
以下の記事にわたしが里山登山に使っているウェアの具体的な品名や組み合わせについてまとめていますので、詳細知りたいようでしたら合わせて読んでみてください。
あなたが、同じ時期の同じ界隈に赴くときの参考になれば幸いです。
山行の記録
ここからは、今回の山行について述べていきます。
アプローチ
今回は、「須山浅間神社」からのスタートということで「須山停留所」からのアプローチとなります。
東京駅からの主要ルートは、次の二つです。
- 東京駅から東海道本線で三島駅へ向かい、河口湖行きバスに乗り換える方法
- 東京駅から東海道本線で国府津駅へ向かい、御殿場線で御殿場駅へ向かう。その後、ぐりんぱ・イエティ行きバスに乗り換える方法
今回は上記のルートで向かいました。
途中のおトイレは、三島駅南口改札手前と、三島駅を出て右折して交番を越えた先にあります。
後者は少し距離があるので、できれば駅構内のおトイレで済ませておくと無駄に消耗しないので捗るでしょう。
身支度は、「須山停留所」の待合ベンチで済ませると便利です。
ただし、道路を挟んだ反対側となりますので、車の往来にご注意ください。
関連リンク
今回移動に利用した、富士急バスの公式HPを載せておきます。バスの発着時間、運行状況のチェックにお役立てください。
ギャラリー
富士急バス「須山停留所」〜須山浅間神社
まずは、散策開始のご挨拶をしに「須山浅間神社」へ向かいます。
「須山停留所」からだと、富士山とは逆の御殿場方面へ向かうことになります。
御殿場方面からの路線バスが通る大通りを5分ほど歩くと、「須山浅間神社」への案内が出てきますので、以降はその案内に沿って住宅街を進んでいきます。
用沢川が見えてきたら進行方向右へ折れて川沿いを進んでいくと、川を挟んだ反対側に赤い鳥居が見えてきます。
そこが「須山浅間神社」となります。
明るい色合いの真新しく見える本殿は1823年に再建されたものということで江戸時代の建物になるようです。
しかし、神社に残る古い社殿によると創設は、大和武尊の東夷征伐の時期なんだそうです。
山梨県富士吉田市の「北口本宮冨士浅間神社」の由来も大和武尊の東征時の寄り道なので、別の場所に建つ、二つの「浅間神社」が、大和武尊の東征をきっかけに創設されたことになります。
ちょっと興味深い接点ですね。
さて、話を「須山浅間神社」に戻します。
赤い正面鳥居を潜ると、右手に手水舎(ちょうず)があり手を清めたら石階段を上がると、正面に明るい色合いの本殿が現れます。
ご挨拶をしたら、右手に進むと古宮という建物があり、中には旧本殿が残っています。
こちらにもご挨拶していくと良いでしょう。
その他、ハート型の小窓がある石灯籠があったり、手作り感のあるいちごケーキの入れ物が飾られていたりと、御朱印マニアな女性向けの場所といった雰囲気になっていました。
一通り境内を楽しんだら、散策スタートです。
正面鳥居を抜けて、今度こそ富士山方面へ進んでいくことになります。
ギャラリー
須山浅間神社〜富士急バス「牧場入り口停留所」
「須山浅間神社」を出たら、暫く住宅街を進みます。
「常夜燈跡」を越えて大通りを横断し、貯水槽の脇から登山道に入っていきます。
ここから暫くは、日の当たらない針葉樹林帯を進みます。
あまり人の往来が無いようで、枯れ葉や枯れ枝が敷き詰められた平坦な道を抜けていきます。
道々には、目印のテープや案内板が頻繁に建っていますので迷う心配はないです。
ただ、途中、方々から猿の鳴き声がしていたので、野性猿の住処になっているかもしれません。
万が一、出会ってしまったら目を合わせないよう、刺激しないようやり過ごしてください。
林間の道を抜けると、暫し砂利状の道となり、再び登山道に戻ります。
その後、10分ほど歩くと「忠ちゃん牧場」の駐車場に飛び出ます。
天気が良ければ、牧草地帯の先に富士山が見えるようですが、この日は曇りで残念ながら何も見えなかったので休憩は入れずに先に進むと、「牧場入り口停留所」の看板が見えてきて、十里木方面と水ヶ塚公園方面の分岐に到着しますので、ここを水ヶ塚公園方面に進むことになります。
ギャラリー
富士急バス「牧場入り口停留所」〜富士山遊歩道〜弁当場
水ヶ塚公園方面に進んでいくと、車道が終わり「富士山遊歩道」という散策路に入っていきます。
ここも天気が良いと富士山を眺めながら気持ちよく歩けると思うのですが、残念ながら展望皆無の中を進んでいくこととなりました。
ツツジの花や菜の花の残る園内を通過し、「裾野キャンプ場入り口停留所」を越えると緑生い茂る山道に変化していきます。
ここから、用沢川に沿って水源まで登っていくのですが、川辺ということもあり羽虫がひっきりなしに集ってきます。
余裕があるなら虫除け策を講じてから突入した方が良いでしょう。
30分も歩くと「弁当場」に到着です。
名前からすると、当時の登拝者たちの食事場所だったと想像しがちですが、実態は源頼朝に縁ある地だったようです。
この場に立つ案内板を読むに、源頼朝が将兵を鼓舞する目的でこの場所で開いた大規模な巻狩。その炊事場所として使われたことから呼ばれるようになったようです。
当時は飲用可能な水の沸く場所だったようですが、現在は飲料できないようなのでご注意ください。
ここを過ぎると、徐々に富士山界隈に入って傾斜ある道に変化していくことになります。
ギャラリー
弁当場〜水ヶ塚公園
「弁当場」を越えても、暫くは用沢川の川沿いを進んでいくことになります。
途中途中に、石組がなされており、少し歩きづらい区間ですが道筋ははっきりとしているので迷う心配はありません。
相変わらず羽虫いっぱいの中、何度かの渡渉を繰り返していくと、「フジバラ平」という開けた場所に到着します。
多分、本来は池なのだろうと思うのですが、ちょっと大きめの水溜まりにしか見えず、あんまり見てくれは良くない場所でした。
更に、進んでいくと今度はぐりんぱの観覧車が大きく見えてきて、ゴルフ場の脇を登っていく道に変化します。
ここの道、大量のゴルフボールが転がっていて、OB弾が届く位置にあるようです。
直撃すれば大怪我必至ではありますが、注意していれば防げる類のものでもないので、運を天に任せて足早に通過するのが良いでしょう。
この区間を通過してしまえば、「水ヶ塚公園」までは1時間もかかりません。
しかし、傾斜は上がっていきますので、ここからはじっくりと一定ペースで登り切るようにしましょう。
富士スカイラインに出たら、道沿いに5分も進めば「水ヶ塚公園」に到着です。
今回は、ここからもう少しだけ遊んでから帰ることとなります。
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水ヶ塚公園〜腰切塚〜富士急バス「水ヶ塚公園停留所」
「水ヶ塚公園」は、宝永山へ登る際のスタート地点として有名です。
11月末から3月末までの冬季運休期間を除いた期間、三島駅から路線バスが出るだけでなく、4月末からは御殿場駅から発着する春季ハイキングバスの運行も開始されるので、非常に交通の便が良い場所となっています。
ここから30分ほどのところに「腰切塚」という高台があるので、今回はそこまで登ってから帰ることにしました。
公園の大きな駐車場を横切り、「腰切塚」の登り口に取りついて階段を上がっていくと、ちょうど山頂にあたる場所に3階建ビルほどの高さを持つ展望台が見えてきます。
ここ前登ってくると「水ヶ塚公園」からは見えなかった、駿河湾や伊豆半島を眺めることができるのですが、案の定、雲の中で何も見えません。
10分ほど佇んでいましたが、他の観光客も登ってきたので、諦めてバス乗り場に戻り、タイミング良く入ってきた「御殿場行き」バスに乗って、今回はそのまま下山しました。
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おまけ
今回は早めに下山できたので、御殿場駅から歩いて10分の距離にある公衆浴場「人参湯」に立ち寄りました。
相変わらずの町の銭湯といった趣のレトロ好きにはたまらない銭湯です。
必要最低限の設備ではありますが、久々に足の伸ばせる浴槽でゆっくりとした後、御殿場駅早乙女口から出る新宿行きの高速バスに乗ってのんびりと帰路につきました。
お疲れ様でした。
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まとめ
古き富士登山道「須山ルート」を起点となる「須山浅間神社」から「水ヶ塚公園」まで歩いた様子でした。
おそらく陸自の演習場を迂回するためなんだろうと思うのですが、「須山浅間神社」から富士山に向けて直登するのではなく、南へ大きく回り込むような登山道となっているので、思った以上に歩行時間のかかる道程となりました。
その分アップダウンがほとんど無いので、時間さえ掛ければ脚力、持久力それほど必要無く踏破できそうだということがわかりました。
冒頭に述べた通り、長くお休みしていた登山再開の一発目に歩くのには本当に適していると思います。
あとは、宝永山まで登るつもりでトレランするといった使い方も面白いかもしれません。
ただし、春先から夏場にかけては羽虫が多そうなので虫除け対策はしっかり行いつつ楽しんでもらえれば幸いです。
それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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