神奈川県の丹沢にある信仰の山「大山」
一年中ハイカーの賑わう丹沢エリアのなかでも登竜門的ポジションにある山で、山の中腹にある阿夫利神社下社まで、ケーブルカーで登れることから初心者向けの山として根強い人気を誇っています。
中には、Tシャツとジーパンの上下におしゃれ仕様のスニーカーで登ってきたといった声もちらほらと聞かれますが、実際の難易度はどれぐらいなのか気になるところでしょう。
今回は、一番やさしいと言われている阿夫利神社下社から表参道を向かうコースをベースに、山道の様子や所要時間、必要な装備や服装について紹介していきます。
加えて、疲れない登り方や降り方のコツについても触れていきますので、最後までお読みいただければ幸いです。
わたしは15年前から登山を始め、現在でもほぼ毎週、関東近辺の山々を歩いている50歳になるサラリーマンです。
大山には15年前に1度は登っていますが、それ以降は他の山々を巡っていてご無沙汰になっていましたので、改めて、初心者のときを思い浮かべながら登ってみました。
情報としては比較的新しいので、これから大山に登ってみようと考えているようでしたら参考にしてもらえるレベルになっているかなと思います。
本記事をお読みいただいて、丹沢一番人気の「大山」から登山の世界へ足を踏み入れてもらえたら幸いです。
大山登山の様子と所要時間
それでは、大山登山の様子と上り下りにかかる所要時間について解説していきます。
大山には、ほかの山々と同様に様々な難易度の登山コースが存在していて、中には破線ルートと呼ばれる登山熟練者向けのコースもあります。
今回は初心者向けとなる表参道をピストンするコースで解説していきます。
基本情報
まずは、対象コースに関する基本情報から述べていきます。
地図情報
地図上での位置や標高は次のとおりです。
最高点の標高: 1225 m
最低点の標高: 337 m
累積標高(上り): 1384 m
累積標高(下り): -1384 m
総所要時間: 07:59:25
危険を感じる箇所は、特にありません。
市販の地図
今回の山行ルートが掲載されている市販の地図も載せておきます。
本来であれば、国土交通省国土地理院のサイトから2万5千分の1地形図を購入、印刷して持参するのが正しい在り方ですが、毎回それだと面倒なので、紙面の地図は5万分1の市販地図をザックに入れて持って行くことにしています。
わたしの山行でのメイン地図はGPSアプリに移っており、紙面地図は予備扱いなため、今のところこの運用で困った事態には陥っていません。
ただ、読図の勉強をちゃんとしたい場合は、2万5千分の1地形図を購入した方が良いです。
5万分の1の等高線は荒すぎて地形把握には、ほぼ役に立たないのでご注意くださいね。
お得情報
もし、都内から丹沢の山々に行く予定だったら、丹沢フリーパスを必ず購入しましょう。
特定区間の小田急線やバスの乗り降りが自由となるので、かなり融通の利いた山行を楽しめるようになります。ケーブルカー付きのフリーパスもあるので、ケーブルカーを使った大山登山にも非常におすすめです。
具体的には、以下の区間が乗り降りフリーになるようです。ただ、この区間は2021年7月現在のものになりますので、念のため小田急の公式HPも合わせてご確認いただければより安心かと思います。
交通費の他にも、提携しているお土産屋や食事処、立ち寄り温泉施設でも割引を受けられたりするので、事前に提携している施設を把握してうまく活用するのが良いです。
提携しているお店についても、小田急の公式HPに掲載されていますので、以下で確認してみてください。
購入方法は、切符自動販売機のフリーパスメニューから購入する方法と、EMOTというアプリから購入する方法の2つがあります。どちらがよりお得というようなことは無いので、あなたが購入しやすいと思う方法で購入して差支えないでしょう。
山頂までの道のり
ここからは、山頂までの道のりについて述べていきます。
アプローチ
今回の表参道を行き来するコースは神奈川中央バス停留所「大山ケーブル」が起点になります。
このバス停へは、小田急線の「伊勢原駅」からアプローチすることとなります。
北口から駅を出たら、まっすぐ正面に進めば4番のりばが見えてきますので、同のりばからバスで向かいます。駅前にはこれでもかというほど案内が出ているので迷うことは無いはずです。
バスの乗車時間は30分ほどあるので、座れるようなら座っていくことをおすすめします。
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神奈川中央バス停留所「大山ケーブル」~大山ケーブルカー
バス停「大山ケーブル」についたら、トイレが併設されています。この先にもトイレは多数ありますが、ひとまず済ませてから先に進むほうが良いでしょう。トイレを出て少し行くとこま参道というお土産屋や食事処が軒を連ねる歩道にでます。階段が多い道ですが、傾斜はそれほどでもありません。お店を眺めながら15分ほど歩いていくと、大山ケーブルカーの麓駅に到着します。
ケーブルカーは9時の始発から20分おきに出ています。
乗り遅れたとしても少し待つだけで次の便に乗れますので、焦らずに行きましょう。
なお、最終便は2021年7月の時点で17時です。こちらについても、たとえ乗り遅れたとしても歩いても十分降りられる距離なので、焦らずに行きましょう。
ちなみに「伊勢原駅」行のバスは平日でも19時台、土曜に至っては21時台まで出ています。
ここまで時間に余裕があれば何とでもできますね。
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大山ケーブルカー~阿夫利神社下社~大山山頂
大山ケーブルカーに乗ってから6分ほどで阿夫利神社駅に到着します。
そのまま阿夫利神社下社まで向かうことになりますが、途中は参道となっているので迷うことは無いはずです。
登山口は、阿夫利神社下社の左手奥にあります。
ここから本格的な登山道になるので、手前のベンチで見繕いしてから進んだほうが良いです。
登山口をくぐるといきなり急斜面の石階段が現れます。おそらくこのルートでは屈指の急坂で、核心部と呼んでもいいかもしれません。
初っ端ということもありますので、ゆっくり一歩ずつ登っていくとよいでしょう。
階段を登りきって先へ進むと、夫婦杉やボタン岩、天狗の鼻突き岩といった名所が現れます。これらをめぐり1時間ほど歩いていけば山頂に到着です。
山頂には、茶屋が建っていてお蕎麦をはじめ暖かい料理が食べられます。わたしは食べたことが無いですが評判は上々のようです。
そして、山頂からの眺めについては天候に恵まれれば抜群に良い眺望を楽しめます。
一段下のトイレ付近まで降りることで、小田原の海岸線や関東平野を一望できますし、逆方向に回り込めば美しい富士山もしっかりと拝むことができます。ここまでの労力を考えると、かなりコスパの良い山行ですね。
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下山(大山山頂~阿夫利神社下社~大山ケーブルカー~神奈川中央バス停留所「大山ケーブル」)
下山はもと来た道を降ることとなります。
一度歩いていることから、山道の様子も把握できていることでしょう。
調子に乗って、駆け下りたりしなければ大きな事故は起こらないはずです。
落ち着いて、一歩ずつ降っていきましょう。
阿夫利神社下社まで降りてしまえば、あとは街中を歩いている感覚で差し支えないかと思います。
茶屋で一服したり、お土産屋に立ち寄ったり楽しみつつ下山してください。
また、ゴールとなるバス停「大山ケーブル」手前のトイレには、登山靴の洗い場があります。
帰りに電車やバスの中でのエチケットとして、ここで靴の泥を落としておくと良いでしょう。
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おすすめ立ち寄り湯
登山のあとは、温泉の大浴場で手足を伸ばしてゆっくりできたら最高ですよね。
ここからは下山後に立ち寄れる最寄りの温泉施設2か所を載せておきます。
どちらの施設も電車移動が必要ですが、フリー区間内なのでフリーパスあれば運賃かからずに立ち寄れます。
そして、実際に訪れたことがある施設ばかりなので、ハズレなしでおすすめできます。
是非、下山時に立ち寄って汗とほこりを洗い流してからお帰りくださいね。
さざんか
東海大学前駅から徒歩10分、小高い丘の上にある温泉施設です。
この丘が下山後の疲れた足には結構堪えますが、苦労してでも立ち寄りたい施設です。
設備は、内風呂、外風呂の他にサウナやジェットバス、電気風呂まであってスーパー銭湯並みに充実しています。
そして、一番のポイントが外風呂正面から見える大山の展望です。
天気がよければ綺麗な三角形と、てっぺんの阿夫利神社を肉眼で確認できます。
残念なことに柵が邪魔して、外風呂に漬かりながら眺めることはできませんが、まっぱ仁王立ちで、今さっきまで登ってきた山を眺めるのはかなり爽快ですよ。
弘法の湯
藤巻温泉駅から徒歩3分、内装の綺麗な温泉施設です。
内風呂、外風呂、サウナと必要施設は一通りそろってますが、外風呂からの展望はありませんので純粋にお風呂を楽しむ場所となります。
お休みどころが綺麗なので、お風呂上りにゆっくりくつろいでから帰るとよいでしょう。
大山登山に適切な装備と服装
ここまでの説明で、大山で登山をしたらどんな感じなのかイメージできたかと思います。
どうでしょうか、大山へ登山に行きたくなってきたでしょうか。
続いては、大山へ登山に赴くのに適した登山装備や服装について解説していきます。
なお、装備や服装については、季節によっても変わってきます。
今回は登山し易い春先や秋口の季節に適した組み合わせを説明していきます。
適切な登山装備
まずは、大山登山をするときに持参する装備ですが、たとえ2時間程度で行って帰ってこれる山であっても、以下の装備は最低限必要です。
山専用で無くても良いので、持っていくようにしてください。
ザック
普段使っている街用のおしゃれザックでも代用は可能ですが、登山用ザックが推奨です。
街用のおしゃれザックだと、雨が降った時に中身が濡れてしまうことや、ショルダーベルトで固定できないので、ザックの重さに体が振り回されて余計な疲労がたまるというデメリットがあります。
2時間程度の登山なので、それほど顕著に出ることは無いと思いますが、どうせなら快適に登れるように登山用のザックを揃えてしまったほうが良いでしょう。
実際に、阿夫利神社下社より上に向かうと8割以上はガチな登山装備で登っていますので、カジュアルなカバンで登るほうが違和感を感じると思います。
登山靴
靴に関してもスニーカーで登ることも可能ですが、登山靴で登ることを推奨します。
スニーカーのような底が薄い靴だと石の上に足を載せたときに安定しないので、バランスをとるための基幹の筋肉を使ってしまい疲労がたまりやすくなります。
出来ればくるぶしまでガードしてくれるハイカットの登山靴を準備して登るのがよいでしょう。
レインウェア
山の天気は変わりやすいです。麓が晴れていても、山頂は雲の中でびしょぬれになるなんてこともザラに起こります。このためレインウェアも忘れずに持っていく必要があります。
たまに傘を差しながら登山道を歩いている人も見かけますが、まったくおすすめしません。
片手がふさがるので、いざというときに手が使えなくて危ないですし、突風が吹いたときに吹き飛ばされて紛失する可能性もあります。なによりも、狭い登山道ですれ違うほかのハイカーに迷惑になります。
下山後の使用を前提に折り畳み傘を持参するのはアリだと思いますが、山中で利用するためレインウェアもザックに入れておくようにしましょう。
水筒
水分不足は、熱中症や脚攣りの原因になります。
登山では発汗しやすく水分不足に陥りやすいので、こまめな水分補給が必須です。
このため、水筒も必ず必要な装備になります。
ただし、ペットボトルで代用してもらっても差し支え無いので、向かう途中のコンビニで大き目のサイズの飲み物を購入してそのまま利用してもらえばよいかなと思います。
地図
大山は案内も豊富で、山道もしっかり整備されているので迷うことは無いはずですが、何事も100%ということはありませんので地図やコンパスも必ず持参するようにしてください。
ここ最近は便利なGPSアプリが豊富にあるので、そういったものを積極的に取り入れることには賛成ですが、電池切れや故障が100%発生しないとは言い切れません。
万が一に備えて紙の地図とコンパスを一組、ザックに忍ばせて置く習慣を身に着けておくと良いでしょう。
ヘッドライト
大山登山にヘッドライトは大げさだと思われるかもしれません。
実際に使うシーンは無いはずですが、保険として1つ持参していくと安心感が全然違います。
夕方以降の山道は想像以上に暗いです。完全に日が落ちてしまうと、稜線まで出てしまわない限り行動不能に陥ります。実際にその場に出くわすとわかりますが、山の中で日が暮れ始めると気持ちに焦りが生じて、冷静な判断ができなくなっていきます。
普段であれば、入り込むことなんて考えもしない枝道を近道と見なして突っ込んでしまい貴重な時間を浪費してしまうなんてことを起こしてしまいます。
ヘッドライトの灯りがあることで、この夕暮れ時の焦りの感覚に陥ることなく冷静に下山することができるようになりますので、安いもので構わないので1つは持参するようにしてみてください。
ただ、キーホルダー型のボタン電池で動くような小型ライトはNGです。暗やみの中で手を塞ぐことになりますし、そもそも光量が絶対的に足りません。ご注意ください。
通信機器
昔は山中の通信手段と言ったら、アマチュア無線機を指してましたが、現在は携帯電話やスマートフォンでも電波が入る山が増えました。
大山の頂上付近も携帯の電波が入りますので、万が一の通信手段として携帯電話やスマートフォンも忘れずに持参してください。
注意する点としては、山中では受信する電波を探すために余計な電池を食うので、普段は電源を切っておくか、予備のバッテリーを持参してバッテリー切れに備えておく必要がある点です。
GPSアプリを起動させておくためにスマホの電源が切れないといったときは、機内モードに切り替えておくことで、電池の節約になるので覚えておくと良いです。
登山装備について、もっと深堀したい場合は次の記事が参考になるので読んでみてください。
適切な服装
続いては、大山登山のときに着ていく服装についてです。
大山はケーブルカーで標高を稼げるので、歩く距離は短いですが風が冷たいと感じることもあります。
それでも、体を動かしている時間の方が長いので、基本的に動いている最中は半そでTシャツで、休憩時に長袖Tシャツやフリースなどを羽織って冷えに備えるといった服装が良いと考えます。
このように、山での服装は着合わせ「レイヤリング」が基本になるので覚えておくと何かと捗ります。
具体的には、次のような組み合わせをお勧めします。
春先や秋口の登山服の基本については以下の記事に詳しく書いていますので参考にしてみてください。
大山登山にも有効な疲れない歩き方のコツ
最後に大山登山にも有効な疲れない歩き方のコツについて解説します。
この方法は、実際にわたしが山を歩くときに意識しているやり方で、15年変わらずに実践している方法なので一定の効果はあるものだと思っています。
大山登山に赴いた際には、是非参考にしてみてください。
登るときに疲れない歩き方3つのコツ
まず、登るときに疲れない歩き方3つのコツです。
歩幅は小さく
登るときに疲れない歩き方1つ目のコツは「歩幅は小さく」です。
歩幅は小さければ、小さいほど疲れません。
わたしの場合は、傾斜が上がれば上がるほど歩幅を小さくしていき、最終的には半歩ずつ足をずらすように歩いたりもしています。
このような歩き方をし始めてから、1時間3kmのペースで登れるようになってきましたので効果はあるかと思います。
歩く速さは一定に
登るときに疲れない歩き方2つ目のコツは「歩く速さは一定に」です。
傾斜のある急坂はゆっくり歩き、平坦な道に出たら早歩きで距離を稼ぐといった歩き方をすると、逆に疲れてペースが遅くなります。
寧ろ、どんなシーンでも一定のペースを保って歩くほうが疲れが出にくく、長時間歩けるようになるので、頂上まで意外と早くついたりするので、一定ペースで歩くことを意識してみてください。
可能な限り太ももを上げない
登るときに疲れない歩き方3つ目のコツは「可能な限り太ももを上げない」です。
実際に太ももを上げてみるとわかるのですが、太ももを上げるためには、太もも自体の筋肉だけでなく腹筋や背筋といった周囲の筋肉にも力を入れる必要があります。
このため、何度も太ももの上げ下げをしていると多くの筋肉を動かすことになり余計に疲れを感じるようになります。これがダイエットのための運動というのであれば臨むところなのですが、疲れないように歩きたいということであれば逆効果です。
このため、近くの大きな段差を上がるなら、少し歩くことになっても小さな段差が続く山道を登ったほうが疲れません。実践してみてください。
降るときに疲れない歩き方3つのコツ
次は、降るときに疲れない歩き方3つのコツです。
段差は小さく
降るときに疲れない歩き方1つ目のコツは「段差は小さく」です。
段差を降りるときに、大股で駆け下りたほうが素早く降りられて疲れないと感じるかもしれませんが、実際には逆です。段差は小さく細かく降りたほうが、足の負担が減って疲れません。
人は坂を降りるときには、速度が出過ぎないように無意識にブレーキをかけるように降りています。
このブレーキを掛ける行為は足の筋肉を使うので、早く降りれば降りるほど足の負担になり疲労がたまります。
降り坂を下りるときには、なるべく段差の小さなルート取りをすると長時間疲れずに歩くことができます。
歩く速さは一定に
降るときに疲れない歩き方2つ目のコツは「歩く速さは一定に」です。
これは登りの時と同じで、降るときも一定ペースを保った方が疲労がたまりづらく長時間歩き続けられるので、結果、下山にかかる時間の短縮につなげることができます。
べた足で降りない
降るときに疲れない歩き方3つ目のコツは「べた足で降りない」です。
べた足で段差をドカドカと降りてしまうと、地面からの衝撃を逃がすために関節回りの筋肉を消費します。これが長く続くと徐々に体力を奪っていき、疲労困憊してしまいます。
登山は長期戦になることが多いので、なるべく足のクッションを駆使して関節に衝撃が加わらないように歩くと疲れがたまりずらく、最後まで楽に降れるようになります。
まとめ
丹沢エリアの登竜門的山「大山」の登山の様子や所要時間、適した装備や服装について解説してきました。
大山はケーブルカーで中腹まで登れるので歩く距離は短くなりますが、ケーブルカーを降りた先は本格的な登山道になります。
このため、登山を始めようと考えているあなたに最適な山だと思います。
山中もしっかり整備されていて眺めもいい大山登山、是非、足を踏み入れてみてくださいね。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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